男装くん
Tiktoker
イベント企画
シンガーソングライター
育児系エンターテイメントパフォーマー

SNSの総フォロワー数が約90万人のコスプレイヤー『男装くん』の連載コラム第13弾です。何度アカウントを作っても伸びなかったTikTok。初めてのバズをきっかけに、フォロワーは1日に500〜600人ずつ増えるようになりました。最初の1週間で約2,000人。少しずつ目標に近づいている実感が生まれる一方で、私はまだ入院生活の真っただ中にいました。限られた環境の中で、どうすればもっと多くの人に動画を見てもらえるのか。病室での試行錯誤が続いていきます。

初めて投稿したマジック動画が10万回再生を突破してから、私のSNSは少しずつ勢いを増していきました。
フォロワーは、1日に500〜600人ずつ増えるようになっていました。
それまで、1日に100人増えるだけでも嬉しかった私にとって、この変化は驚きでした。
そして、最初の1週間でフォロワーは約2,000人に。
1か月で1万人という目標には、まだ届いていません。それでも、今までとは明らかに違う手応えがありました。
ただ、私はここで満足するつもりはありませんでした。
なぜ、あのマジック動画は伸びたのか。
なぜ、ほかの動画とは反応が違ったのか。
その理由を考えずに、ただ喜んでいるだけでは、次につながらないと思ったからです。
そこで注目したのが、マジックを使った動画と、そうでない動画の反応の違いでした。
マジックを使った動画は、次に何が起こるのか気になります。
スプーンは本当に折れるのか。どんな仕掛けがあるのか。最後には何が起きるのか。
結末を知りたくなり、つい最後まで見てしまう。
そこで私は、マジックを取り入れることで、視聴維持率や視聴完了率を高められるのではないかと考えました。
そして、こうした指標が動画のバズにも大きく関係しているのだと理解するようになりました。
もちろん、マジックを使えば必ずバズるわけではありません。
同じような企画でも、反応がよいものもあれば、そうでないものもあります。
だからこそ、いろいろなパターンを試してみることにしました。
幸い、病院のキッズルームには、ほかにもマジック用品が置いてありました。
私はそれらを借りてきて、マジック動画を撮影するようになりました。
中には、種や仕掛けを理解する必要があるものや、ある程度の技術が必要なものもありました。
そういったマジックは、撮影前に何度も練習しました。
ぎこちない動きでは、見ている人にも違和感が伝わってしまいます。自然に演じられるようになるまで、繰り返し練習してから撮影するようにしました。
一方で、ちょっとしたネタのようなマジックも試しました。
特別な技術がなくても、見せ方次第で最後まで見てもらえるかもしれない。
そんな可能性を探りながら、企画を考えては撮影し、投稿して反応を確かめる。
その繰り返しでした。
それまでの私は、自分がどれだけキャラクターになりきれるか、どれだけかっこよく見せられるかということを中心に考えていました。
しかし、この頃から少しずつ考え方が変わっていきました。
自分が作りたい動画を作るだけではなく、見ている人が何を気にして、何を知りたくなるのかを考える。
それが、動画を伸ばすために必要な視点なのだと、実践を通して学んでいったのです。

マジック動画を繰り返し投稿する中で、私は次の課題を考えるようになりました。
それは、どうすればコメントを増やせるのかということです。
当時、SNSのアルゴリズムについて分析している人の投稿で、「動画投稿後1時間以内にコメントが100件を超えるとバズる」という内容を目にしたことがありました。
それが実際にどこまで正しい情報なのか、当時の私には分かりません。
ただ、再生数を伸ばすためのヒントになるかもしれない。
そう考えた私は、今度はコメントを集めるための方法を考え始めました。
「どうすれば、投稿してすぐにコメントをしてもらえるんだろう?」
そこで思いついたのが、視聴者が参加できるゲームのような動画でした。
ただ動画を見るだけではなく、見ている人にも答えを考えてもらう。
そして、その答えをコメント欄に書き込んでもらう。
そんな仕組みを作れないかと考えました。
ここでも、マジックの要素は残しました。
手の中に握ったキャラクターのフィギュアを、素早く見せたり隠したりしながら、何のキャラクターなのかを当ててもらう。
構成自体は、とてもシンプルなものでした。
しかし、私はそのシンプルさが大切だと考えていました。
当時の私の動画には、比較的年齢層の低い視聴者も多くいました。
難しいルールを覚えたり、複雑な知識が必要だったりする企画では、気軽に参加してもらえないかもしれません。
だからこそ、誰でも簡単に答えられるものにしたかったのです。
さらに、コメントが自然に増えるような流れも考えました。
答えが分かった人は、正解を書き込みたくなる。
分からなかった人は、ほかの人の答えや正解を確認したくなる。
そして、コメント欄で答えを見たり、ほかの人の書き込みを読んだりする中で、視聴者同士のやり取りも生まれるかもしれない。
つまり、動画を見る人が増えるだけでなく、コメント欄そのものが盛り上がるような仕掛けを考えたのです。
実際に投稿してみると、その反応は想像以上でした。
投稿からわずか1時間で、300件以上のコメントが集まったのです。
当時の私にとって、これは大きな成功でした。
動画の内容を工夫することで、こんなにも反応が変わるのか。
ただ投稿するだけではなく、見ている人が参加したくなるように設計することで、動画の楽しみ方そのものを変えられるのかもしれない。
そんな手応えを感じました。
もちろん、これですべての動画が必ず伸びるようになったわけではありません。
それでも、視聴者が何をしたくなるのかを考え、それを企画に落とし込むことが、私にとって新しい武器になっていきました。
そして、この頃から私は、動画を投稿して終わりにするのではなく、投稿した後の視聴者との関わり方にも力を入れるようになりました。

動画の企画を工夫する一方で、私が欠かさず続けていたことがありました。
それが、コメントへの返信です。
当時の私は、投稿してから1時間以内に届いたコメントには、必ず返事をするようにしていました。
そして、ただ「ありがとう」と返すだけではなく、できるだけ会話が続くように工夫していました。
例えば、コメントに対して質問を投げかけたり、相手がさらに返事をしたくなるようなリアクションをしたり。
動画を見てくれた人とのやり取りを、一度きりで終わらせないように意識していたのです。
目標にしていたのは、毎日コメントが100件を超えること。
その数に届くまでは、とにかく地道に返信を続けました。
今振り返っても、決して楽な作業ではありません。
動画を撮影し、編集し、投稿する。
それに加えて、届いたコメントを確認し、ひとつずつ返信していく。
自分が考えた企画に参加してくれる人がいる。
自分の言葉に返事をしてくれる人がいる。
そんなやり取りが増えていくことが、毎日の楽しみになっていました。
ただ、
この頃の私は、まだ白血病の治療のために入院していた為
撮影できるのは、基本的に体調がよい日だけでした。
さらに、全身には管や点滴がつながっていました。
自由に身動きが取れるわけではありませんし、動き方によっては管が外れてしまう心配もあります。
撮影するときには、そうした身体的な制約にも気を配らなければなりませんでした。
また、もう一つ気をつけていたのは、動画を見ている人たちに入院中であることや病気のことが分からないように撮影することです。
限られた場所、限られた時間、そして体調と相談しながらの撮影。
今思えば、決して自由な環境ではありませんでした。
それでも、動画を作り続けました。
なぜなら、動画を撮影することも、コメントを確認することも、いつの間にか毎日の楽しみになっていたからです。
それまでの入院生活では、治療に耐えながら、先の見えない不安と向き合う時間が続いていました。
そんな日々の中で、自分が考えたことに誰かが反応してくれる。
自分の工夫が誰かに届き、画面の向こうにいる人たちとつながることができる。
その感覚は、私にとって大きな意味を持っていました。
もちろん、SNSが病気の苦しさを消してくれたわけではありません。
体調が悪い日もあれば、思うように撮影できない日もあります。
それでも、体調がよい日に動画を作り、投稿し、届いたコメントに返信する。
その積み重ねが、入院生活の中に新しい楽しみを生み出してくれていました。
そして、フォロワーは少しずつ増え続けていました。
最初は、誰にも見てもらえなかった。
コメントが欲しくて、アンチコメントでもいいから誰かに気づいてほしいと思っていた。
それが今では、コメントへの返信に追われるほど、多くの人が自分の動画を見てくれるようになったのです。
まだ、目標の1万人には届いていません。
でも、少なくとも私は、最初の頃の自分とは違っていました。
ただ運よくバズるのを待つのではなく、自分で考え、試し、反応を見て、次の工夫につなげる。
その繰り返しによって、少しずつ自分の力で前に進めるようになっていたのです。
目標に掲げたのは、1か月でフォロワー1万人。
最初の1週間で約2,000人まで増えたものの、まだ道のりは続いていました。
果たして私は、この挑戦で目標を達成できるのか。
次回は、1万人という目標に向けて進んでいく過程を描いていきます。