「私にもできることがある」―ママたちと考えた、日常から始まる社会貢献

INSHUTI

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2026.11.05
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アフリカ布でつくる洋服や雑貨を通して、“尊厳ある雇用”の創出を目指すINSHUTI(インシュティ)のコラムです。今回問いかけるのは、「社会貢献」のあり方。寄付や特別な活動だけではない、私たちの日常から始まる小さな一歩とは何かを考えます。

「社会貢献」と聞くと、皆さんは何を思い浮かべますか?

見出し1画像嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_INSHUTI_社会貢献

寄付をすること。

ボランティアに参加すること。

困っている人を支援すること。

私も以前は、そんなふうに考えていました。

先日、子育て中のママたちが集まる「ママレ」で、「INSHUTIと考える社会貢献」というテーマでミニ講座を担当しました。

20〜30分ほどの短い時間でしたが、講座が終わったあと、涙を流しながら聞いてくださった方々から、

「もっとたくさんの人に聞いてほしい」

と言っていただきました。

私がお話ししたのは、何か大きな社会貢献を成し遂げたという話ではありません。

むしろ、アフリカでさまざまな人と出会いながら、「私に何ができるんだろう」と考え続けてきた話です。

「支援する」ことしか知らなかった私

私はこれまで、ザンビア、マラウイ、そしてルワンダで暮らす機会がありました。

アフリカに関わり始めた頃の私にとって、社会課題に対して自分ができることといえば、「寄付」や「ボランティア」でした。

実際にルワンダではNPOの活動にも関わりました。

そこで目の当たりにしたのは、今日、明日の食べ物にも困る人たちの存在です。

一方で、必要なのは物を届けることだけではない、と感じるようにもなりました。

職業訓練に関わったとき、それまで物乞いをして生活していた人が、技術を身につけることで「自分にもできることがある」と感じていく姿を見ました。

人が自分の力で生きていけること。

仕事を持つこと。

自分自身に希望を持てること。

「尊厳のある生き方」を支えるために、仕事が持つ力の大きさを知りました。資料でも、職業訓練を通して「自分にできることがあると言う喜び」を感じてもらえた経験を紹介しました。 

「助けたい人」ではなく、「友だち」になった

見出し2画像嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_INSHUTI_友達に

そして、もう一つ私を大きく変えたのが、ルワンダでの日常の中で出会った友人たちでした。

その一人が、現在INSHUTIの大切なパートナーである、Komera Creative代表のGraceです。

シングルマザーとして子どもたちを守りながら、組合から独立して自分のビジネスをつくろうとしていたGrace。自分自身も困難を抱えながら、若いメンバーに寄り添う姿を私はそばで見てきました。 

一緒にご飯を食べたり、笑ったり、悩みを聞いたり。

そんな日常を重ねるうちに、私の中で彼女たちは「支援する相手」ではなくなっていきました。

友だちになったのです。

友だちが仕事を必要としていたら、仕事をつくれないだろうか。

素晴らしい技術を持っているなら、それを日本の人たちにも届けられないだろうか。

彼女たちがつくったものを「かわいそうだから買ってもらう」のではなく、「素敵だから欲しい」と選んでもらえるものにできないだろうか。

そう考えていった先に生まれたのが、現在のINSHUTIです。

INSHUTIは、ルワンダ語で「友だち」という意味です。

世界の大きな問題を前に、無力に感じることもある

アフリカで社会課題を目の当たりにすると、自分一人にできることの小ささを感じます。

今すぐ支援を必要としている人もいる。

仕事をしたくても、そのチャンスにすらたどり着けない人もいる。

「こんな大きな問題に、自分一人が何をしたところで変わらないのではないか」

そう思ってしまうこともあります。

今回の講座でも、その気持ちをそのままお話ししました。

けれど、だから何もしない、ではなくて。

知ったことから始まる小さなアクションや、誰かに伝えることだけでも、その行動がまた誰かを巻き込み、自分の行動もさらに広がっていく。

そんなふうに私は考えるようになりました。 

社会貢献は、特別な人だけがするものではない

今回、ママレで一番伝えたかったのも、このことでした。

アフリカへ行かなければ、社会貢献ができないわけではありません。

会社を立ち上げる必要もありません。

たとえば、知らなかったことを知る。

知ったことを家族や友人に話してみる。

商品を選ぶとき、その向こう側にいる人を少し想像してみる。

困っている友だちがいたら、その人のことを気にかける。

自分の得意なことで誰かの力になってみる。

一つひとつは、とても小さなことかもしれません。

でも、一人ひとりがそんな小さな行動を重ねることも、社会を少しずつつくっていくことなのだと思います。

「もっとたくさんの人に聞いてほしい」

講座のあと、涙を流しながら話を聞いてくださった皆さんを見て、私自身が改めて気づかされたことがあります。

私は社会貢献の専門家ではありません。

ただ、アフリカで暮らし、いろいろな人と出会い、その一人ひとりと関わりながら、

「私はこの人たちと、これからどう関わって生きていきたいのだろう」

と考え続けてきました。

そして今の私が決めていることがあります。

自分の生活も自立させながら、自分の人生で出会った友だちと、フラットな関係で共に歩んでいくこと。

これは今回の講座の最後にもお伝えした、私自身の選択です。 

INSHUTIはルワンダ語で「友だち」。

世界を一度に大きく変えることはできなくても、まず、自分の目の前にいる一人の人を大切にする。

その人の人生に少し関心を持ってみる。

そして、自分にできる小さな一歩を踏み出してみる。

社会貢献は、案外そんな身近なところから始まるのかもしれません。

今回の時間が、INSHUTIの活動を知っていただくだけではなく、「自分だったら何ができるだろう?」と考えるきっかけになっていたら、とても嬉しく思います。