「男装くん」誕生。病室から始めた最後の挑戦

男装くん

男装くん

2026.09.25
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SNSの総フォロワー数が約90万人のコスプレイヤー『男装くん』の連載コラム第10弾です。何度アカウントを作っても伸びなかったTikTok。もう一度だけ挑戦すると決めた私は、最後のアカウントに「男装くん」という名前をつけました。そして病室にあるものだけを使い、大好きだった『東京リベンジャーズ』のマイキーになりきって初めての動画を撮影。そこで、それまでとは明らかに違う小さな手応えを感じることになります。

最後のアカウントに「男装」を入れた理由

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_男装くん_病室からの挑戦

何度もTikTokのアカウントを作っては、消してきました。

女性として発信してみたり。

男の子として「れいくん」という名前でやってみたり。

色んなタイプの名前で挑戦してみたり。

でも、何をやっても伸びない。

投稿しても、せいぜい数百回再生。

ひどいときには、何本投稿してもほとんど見られない。

それでも私は、アカウントを消してはまた作り直していました。

そんな中で、私はあることを考えるようになりました。

そもそも、名前から検索されなければダメなんじゃないか?

もちろん、最初から「男装くん」という名前を検索してくれる人はいません。

では、どうすれば名前を見つけてもらえるのか。

考えた結果、私は、

すでに検索されている言葉に、自分の名前を乗せる

という考えにたどり着きました。

当時、私が発信していたジャンルと一番関係があった言葉。

それが、

「男装」

でした。

男装コスプレイヤーを探している人。

男装をしている人を見たい人。

男装メイクや、男装に興味がある人。

そういう人たちは、必ず「男装」という言葉を検索する。

だったら――

名前の中に、そのまま「男装」を入れてしまえばいい。

そう考えました。

そしてもう一つ。

ただ「男装」だけでは、少し呼びにくい。

そこで、

「○○くん」

という呼び方にしました。

敬称まで名前に入れることで、

「男装くん!」

と、そのまま呼んでもらいやすい。

親しみを持ってもらいやすい。

そして何より、

名前を見ただけで、何をしている人なのか何となく分かる。

そんな名前にしたかったのです。

こうして、

最後のアカウントとして作った名前が、

「男装くん」

でした。

……と、今ならそれっぽく説明できますが。

正直に言うと、そのときの私はかなり疲れていました。

何回もアカウントを作り直して。

何回も投稿して。

何回も伸びなくて。

「もう、これでダメだったら諦めようかな」

そんな気持ちもありました。

だからこそ、

ある意味では半ば投げやりな気持ちもありました。

最後だから。

もう難しく考えるのもやめよう。

検索されそうな言葉を入れて、

呼びやすい名前にして、

もう一回だけやってみよう。

そうして生まれたのが、

「男装くん」

という名前でした。

病室にあるものだけでマイキーになる

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名前を決めたあと。

次はいよいよ、最初の動画を撮影することになりました。

そのときの私は、まだ入院中。

当然、撮影スタジオなんてありません。

リングライトもない。

撮影機材もない。

あるのは、

病院の個室と、病室に置かれているものだけ。

そこで私は、

病室にあるデスクライトを使ってみることにしました。

ライトの角度を変えながら、

できるだけ雰囲気が出るように調整する。

今回演じるのは、

『東京リベンジャーズ』のマイキー。

しかも、私が選んだのは、

闇落ちしている時代のマイキー

でした。

暗い雰囲気。

孤独。

どこか感情を失ったような表情。

今考えると、そのときの自分の状況と不思議なくらい重なっていました。

私は当時、病室で一人。

いつ退院できるのかも分からない。

治療がうまくいく保証もない。

家族とも自由に会えない。

そんな自分自身の感情を、

マイキーというキャラクターに重ねることができた気がしました。

メイクには、もともと少し自信がありました。

だからこそ、

ただ顔を似せるだけにはしたくありませんでした。

漫画を何度も見返しました。

マイキーの表情。

目線。

口元。

顔の角度。

そして、

そのキャラクターがどんな過去を持ち、

どんな感情を抱えているのか。

キャラクターの背景や設定まで、自分の中に落とし込んでいきました。

ただ、

一つだけ、とんでもなく苦戦したものがありました。

首に入っているタトゥーです。

これが本当に難しかった。

何度描いても、

「なんか違う」

消しては描き直す。

また消す。

また描く。

そんなことを何度も繰り返しました。

ウィッグを整え。

メイクをして。

衣装になりそうな服を家から持ってきてもらい。

病室にあるものだけで、できる限り近づけていく。

最初のコスプレを完成させるまで、

気がつけば5時間以上かかっていました。

でも、

鏡を見たとき。

私は思いました。

「……結構、いけるんじゃない?」

もちろん完璧ではありません。

でも、病室の中で。

今あるものだけで作ったものとしては、

自分でもかなり近づけることができたと感じました。

初めて感じた「これはいけるかもしれない」

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準備ができると、

私は病室の個室の隅にあったソファーへ向かいました。

そこで、

当時流行っていた音源に合わせて撮影をしました。

正直、このときも、

ものすごく計算された動画を作ったわけではありません。

まだSNSの知識なんてほとんどありませんでした。

とにかく、

当時TikTokで流行っている音源を使って。

みんながやっているような動画を、

見よう見まねで作ってみる。

それだけでした。

撮影が終わり、

動画を投稿する。

そして、再生数を確認しました。

それまでの私は、

0回。

数十回。

良くても200回程度。

そんな再生数ばかりでした。

ところが――

今回の動画は違いました。

約3,000回再生。

「え?」

何度も画面を見直しました。

3,000回。

もちろん、

今の私から見れば3,000回再生は決して大きな数字ではありません。

でも、当時の私にとっては、

今までの何倍もの再生数でした。

それまで何をやっても、

ほとんど反応がなかった。

何度アカウントを作り直しても、

うまくいかなかった。

そんな私が初めて感じた、

明確な違いでした。

「これは……いけるかもしれない」

まだバズったわけじゃない。

まだ何者でもない。

たった3,000回。

でも、

今までずっと真っ暗だった道の先に、

初めて小さな光が見えた気がしました。

私はこのとき、

「男装くん」というアカウントを、

もう一度本気で育ててみようと思いました。

何度も失敗してきた。

何度もアカウントを消してきた。

何度も「もう無理かもしれない」と思った。

でも今回だけは、

今までとは何かが違う。

そんな感覚がありました。

そしてこの小さな手応えが、

私を次の挑戦へ進ませることになります。

次回予告

たった3,000回再生。

それまでの私にとっては十分すぎるほどの手応えでした。

そして私は、「男装くん」として次の動画を投稿します。

その先で、人生を変える最初の“バズ”が待っていました。