ルーマニアのワインで日本と世界をつなぐ女性起業家の想いとは

ルーマニア料理教室の主宰やルーマニアワインのインポーターを務めるスクタリウ朋子(ともこ)さん。料理教室を始めてからワインを取り扱うようになった経緯や今後の展望を伺いました。
ルーマニア人の旦那さんと結婚したことがすべての始まり

私はルーマニア料理教室の主宰を務めながら、ルーマニアワインのインポーターをしています。もともとルーマニアには縁もゆかりもないんです。昔、ニュージーランドの学校で働いており現地に住んでいました。知人からの紹介でルーマニアから語学留学をしていた当時、後に夫になる人と知り合うことになります。結婚をして(現在は離婚)ニュージーランドで暮らそうと思っていたのですが、私は永住権が取得できず、彼も学生だったので彼の故郷であるルーマニアにしばらく住むことにしました。20年ほど前の当時は若かったし、子どももいなかったので、軽い気持ちでルーマニアへの移住を決めましたね(笑)。
ルーマニアの言語はルーマニア語で私はまったくわかりません。彼とは英語で会話していたのですが、彼の家族は英語が話せないので、最初はコミュニケーションを取るのに苦労しました。トータル2年弱ルーマニアで暮らしていたのですが、その間に私の心を癒してくれたのはルーマニア料理が美味しかったことだったんです。ルーマニアにいた時から、いずれは日本に帰ろうと思っていたので、日本でルーマニア料理を広めたいなと思いました。彼の叔母さんが元料理人でリタイアして時間があったので料理を教えてもらっていたんです。
偶然のご縁でルーマニアワインを取り扱うことに

2010年に日本に帰国したのですが、2011年から教えてもらったルーマニア料理の教室を始めたんです。2017年には一般社団法人日本ルーマニア親善協会の理事になりました。その協会に所属することでルーマニア大使館との繋がりができます。私はワインが好きでルーマニアのワインも大好きだったんです。ルーマニアワインのインポーターは日本に5、6社あるのですが、そのうちの1社から料理教室で飲むワインを購入していました。
生徒さんが美味しいので購入したいという声があっても酒類販売業免許がないとワインを販売することができません。そこで酒類販売業免許を取得しようとしたその時に、ルーマニア大使館の大使がヴィナルテ社のルーマニアワインを広めてくれる人を探していたんです。それがコロナ禍初頭の頃だったのですが、コロナ禍は料理教室がまったく開催できなかったんです。
オンラインで料理教室をしても、ルーマニア料理を食べたことがない方が多いので、どんな味が正解なのかわからないんですよね。他の料理教室の方はオンラインで開催していましたが、私の場合はオンラインでの教室が難しかったんです。オンライン上でできる仕事がしたいなと思っていた矢先に協会経由でお話をいただいて2021年からルーマニアワインのプロモーションと販売を始めました。
ルーマニアワインはクオリティが高く酔いにくいと思います。20年以上飲んでいますが、気持ち悪くなったり、頭が痛くなったりすることは一度もありません。ルーマニア自体が自然派発想なので添加物がほとんど入っていないんです。手作りが好きな国民性もあるので、スーパーに行けば食材は売っていますが、自分たちで作れるものは作りたいと考えていますね。田舎の方に行くと、ジャムやピクルス、コンポートなどを家庭で作るのが一般的です。作っている工程が見える安全なものを食べているのではないでしょうか。ワインも然りでお酒の法律が違うのでワインを家庭で醸造しても問題ありません。ぶどうを育てて収穫し、ブナの木に入れて踏んで自然に発酵させてワインを作っていましたね。結婚式や洗練式といったお祝い事の時に、ワインの出来が良い家があると、その家のワインを近隣の方がポリバケツを持って買いに行って、祝いの席でみんなに振る舞うんですよ。
ワインは好きですが、ワイン好きが高じてインポーターになったわけではなく、ルーマニアのことを広めたいと思った時に食事やワインなど口に入るものだとわかりやすいですよね。ご縁があってワインのインポートのお話があったのでよかったなと思っています。
アジア諸国にもルーマニアワインを広めていきたい

ルーマニアのみなさんは素朴な方が多いですね。東欧諸国は共産党圏で暗いイメージを持たれているかもしれませんが、実は東欧諸国の中で唯一ラテン系なのがルーマニアです。ルーマニアの語源は『ローマニア』でローマ帝国から来た人々が祖先なんですよ。南米の方のような明るさはないけれど暗さの中にユーモアがあります。親切な人が多く、人なつっこい印象です。一度仲良くなると律儀で、20年以上たった今でも交友関係が続いています。昨年、旧知の友人の紹介でルーマニアのテレビ番組に出演しました。ルーマニア版『料理の鉄人』のような料理対決をする番組に呼んでいただいたのですが、家族はもちろん親戚や友達も喜んでくれていましたね。
ルーマニアのワインが日本でもっと親しみやすいものになると良いですね。ワインというとやはりフランス、イタリアがあって、アメリカのカリフォルニアがあって南米のチリがあってというイメージだと思うのですが、メジャーなワインの中にルーマニアのワインが入って、飲みたいという人が増えてほしいなと思います。
アジアの国々にはルーマニアのワインがまだ浸透していません。日本でルーマニアのワインを広めることができたら、その次はインド、台湾、シンガポール、ベトナムにもルーマニアワインのプロモーション活動ができたら良いなと思っています。
将来的にはヨーロッパのどこかの国に住んで、日本の文化をヨーロッパに広める活動を第3の人生のミッションにしたいですね。どこにいても自分らしく旅するように暮らしていくのが夢です。