男装くん
Tiktoker
イベント企画
シンガーソングライター
育児系エンターテイメントパフォーマー

SNSの総フォロワー数が約90万人のコスプレイヤー『男装くん』の連載コラム第12弾です。3,000回再生をきっかけに、少しずつ増え始めたフォロワー。しかし、私が掲げていた目標は、1か月で1万人。現状のペースでは到底届かない数字でした。もっと多くの人に見てもらうには、どうすればいいのか。再生数を伸ばす方法を学び、病院のキッズルームで見つけた意外なものが、男装くんのSNS活動を大きく変えるきっかけになりました。

初めて投稿したマイキーのコスプレ動画が3,000回再生されてから、私のSNSには少しずつ変化が現れ始めていました。
それまで、何度投稿してもほとんど見てもらえなかったのに、気づけばフォロワーが1日に100人、200人と増えるようになっていたのです。
今までの自分からすれば、考えられないような変化でした。
誰かが自分の動画を見てくれている。フォローしてくれる人がいる。コメントまで届くようになった。
それだけでも十分に嬉しかったのですが、私にはどうしても達成したい目標がありました。
それが、1か月でフォロワー1万人を達成すること。
当時のフォロワーの増加ペースを考えると、1日に100〜200人ほど増えているだけでは、到底間に合いません。
目標から逆算すると、1日に400〜500人ほど増やす必要がありました。
少しずつ結果が出始めていたとはいえ、目標まではまだまだ遠い。
このまま同じことを繰り返していても、達成できないかもしれない。
そう考えた私は、もっと多くの人に動画を見てもらうために、何かを変える必要があると感じました。
では、どうすれば動画はバズるのか。
当時の私には、その答えがまったく分かりませんでした。
そこで、まず始めたのが、動画の再生数を伸ばす方法を発信している人たちのアカウントを徹底的に見ることでした。
どんな動画が伸びるのか。なぜ再生数に差が生まれるのか。どうすればフォロワーが増えるのか。
とにかく、少しでもヒントになりそうな情報を集めることにしました。
その中で、特に印象に残ったのが「視聴完了率」という言葉でした。
視聴完了率とは、投稿した動画を最後まで見てもらえた割合のことです。
どれだけ面白い動画を作っても、途中で離脱されてしまえば、最後まで見てもらうことはできません。
つまり、動画の冒頭だけでなく、最後まで視聴者の興味を引きつける工夫が必要だということです。
それまでの私は、マイキーになりきることや、表情、メイク、流行の音源に合わせることばかりを考えていました。
もちろん、それらも大切です。
しかし、動画を最後まで見てもらうために何ができるのかという視点は、ほとんど持っていませんでした。
そこで、次の動画からは、視聴者が最後まで見たくなるような企画を意識して考えることにしたのです。

「最後まで見たくなる動画って、どんなものだろう?」
知識を身につけたものの、いざ企画を考えようとすると、なかなかアイデアが浮かびませんでした。
最後まで見ないと気が済まないもの。結末が気になって、つい見続けてしまうもの。
そんなことを考えていたとき、ふと思い出したのが、当時よく過ごしていた病院のキッズルームでした。
私は入院中、体調がいいときにはキッズルームでピアノを弾いていました。
ピアノを練習したり、同じ病棟にいる子どもたちと一緒に歌を歌ったり。
病室とは違う時間を過ごせる、私にとって大切な場所でもありました。
ある日、動画の企画につながるものはないかと、キッズルームを見回してみたんです。
すると、そこに置いてあったのが、マジック用品でした。
その瞬間、私の頭にひらめきが浮かびました。
「これだ!」
マジックって、昔から幅広い世代に親しまれていますよね。
目の前で不思議なことが起きれば、どうなっているのか気になるし、最後にどんな結果になるのか、つい見届けたくなってしまいます。
まさに、私が探していた「最後まで見たくなる動画」にぴったりだと思いました。
そこで目に留まったのが、テレビなどでもよく見かける、スプーンが折れるマジックのおもちゃでした。
これを使えば、視聴者の興味を引きつけられるかもしれない。
そう考えた私は、さっそくそのマジック用品をお借りして、動画を撮影することにしました。
もちろん、ただマジックをするだけではありません。
それまで続けてきたマイキーのコスプレを組み合わせ、キャラクターの雰囲気を残したまま撮影することにしました。
どんな反応が返ってくるのか、そもそも再生数が伸びるのかも分かりません。
それでも、学んだことを実際に試してみなければ、何も始まりません。
撮影を終え、動画を編集し、夕食前に投稿しました。
あとは、結果を待つだけです。
正直、この時点では、まさかあんなことになるとは思ってもいませんでした。

動画を投稿した後、私はいつも通り夕食を済ませました。
そして、食事を終えてから、何気なく投稿した動画を確認してみたんです。
すると、画面に表示されていた数字を見て、思わず目を疑いました。
すでに7万回再生。
投稿してから、まだ数時間しか経っていません。
それなのに、今まで経験したことのない勢いで再生数が伸びていたのです。
さらに驚いたのは、フォロワーの増加でした。
わずか数時間で、数百人以上もの人が新たにフォローしてくれていました。
これまで、1日に100人、200人と増えるだけでも嬉しかった私にとって、その勢いは想像をはるかに超えるものでした。
何度も画面を確認してしまうほど、信じられない気持ちでいっぱいでした。
もちろん、嬉しさだけではありません。
動画が多くの人に見られるようになると、コメントも一気に増えていきました。
「かっこいい」「似ている」といった肯定的なコメントがある一方で、心をえぐるようなアンチコメントも届くようになりました。
それまでは、誰かに見てもらうことすら難しかったのに、今度は自分のことを否定する人まで現れたのです。
多くの人に見てもらえることへの喜びと、否定的な言葉に対する恐怖。
その両方が、一気に押し寄せてきました。
それでも、心の中には、それ以上に大きな感情がありました。
「やっと来た!!」
ずっと待ち望んでいた瞬間が、ようやく訪れたのです。
手汗が止まらず、全身が熱くなるほど興奮していました。
今まで何度もアカウントを作り直し、何度も投稿しては伸び悩み、それでも諦めずに続けてきた日々。
誰にも見てもらえず、自分には向いていないのではないかと思ったこともありました。
そんな時間を過ごしてきたからこそ、目の前で再生数が伸びていく光景は、私にとって特別なものでした。
そして翌日。
動画の再生数は、ついに10万回を超えていました。
コメントも大量に届き、ひとつひとつ返信するだけでも手いっぱいになるほどでした。
それまで、コメントが欲しくて仕方がなかった私が、今度は届いたコメントに返信しきれないほどの反応をもらっていたのです。
もちろん、すべてが肯定的な意見だったわけではありません。
それでも、自分の動画がこれほど多くの人に届いたという事実は、何にも代えがたい達成感につながりました。
そして、ようやくひとつの手応えを感じることができたのです。
今までずっと暗闇の中を手探りで進んでいるような感覚でしたが、初めて、その先に光が見えたような気がしました。
ただ投稿を続けるだけではなく、学んだことを実践し、自分なりに考えた企画で結果を出せた。
それは、私にとって単なる10万回再生以上の意味がありました。
自分の工夫や努力が、誰かに届くことがある。
そして、これまで積み重ねてきたことが、少しずつ形になり始めている。
そんな実感を初めて得られた瞬間でした。
初めてのバズを経験し、ようやく自分の動画が誰かに届くという手応えをつかんだ私。
しかし、再生数が伸びることと、SNSで活動を続けていくことは、決して同じではありませんでした。
初めての成功をきっかけに、私のSNS活動はどのように変わっていくのか。
次回は、バズの先に待っていた、新たな挑戦についてお話しします。