ウルトラファインバブルでSDGsに貢献。ジェンダーギャップを乗り越え「日本人女性のロールモデルになりたい」

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ウォーターデザインジャパン社の共同創業者である伊藤夏美さんは、SDGsに貢献するウルトラファインバブルの事業を展開しています。幼少期から海外に触れてきた経験から、「日本と海外の架け橋になる」と、さまざまなことにチャレンジしています。本コラムでは、これまで伊藤さんが感じてきた日本と海外のギャップや、これからの展望について伺いました。

スタートアップ企業でさまざまなことを経験

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私はウォーターデザインジャパン社の共同創業者としてPR・海外展開を担当しています。取り扱っている製品を日本だけでなく、海外でも展開して広めていくために日々活動しています。

これまでの経歴としては、8〜12歳まで父の仕事の関係で台湾に住んでいて、中学から日本に帰ってきました。大学は日本ではなくアメリカのペンシルバニアの大学に留学し、経営と美術を専攻していました。

大学でアートの活動をしていた頃、言語の壁をなくす翻訳機の動画をFacebook内で見つけました。Apple製品のようにかっこいい魅せ方をしていたのでとても印象に残ったのです。その企業に入りたいと思って問い合わせをしたのですが、タイミングが合わなくて面接には至ることなく連絡が途絶えてしまいました。

その会社は日本企業だったので、帰国したときに意を決してアポイントも取らずに社長に会いに行きましたが、門前払いをされてしまって結局は社長に会えず。諦めずにもう1度メールを送ったら、しつこく連絡をしたのが功を奏したのか、なんとか面談にこぎつけました。

彼らはスタートアップで新卒採用の経験がなく、まずはインターンとして働かせてもらえることに。社長を見つけては少しでも話を聞こうという前のめりな行動が気に入られ、入社3日目くらいで新しいプロモーション動画の作成や、海外出張を命じられたりするようになりました。

働き始めて1年くらいで、英語圏の市場展開のために上司と共にサンフランシスコへ。デジタルマーケティング、コンテンツ制作、海外展開、カスタマーサポートなど、商品ローンチからその後のマーケティング全般の業務をやらせてもらいました。

日本と海外の中間にいる自分だからできること

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いろんな人と話していると、「日本市場はガラパゴスで、外資系の企業が日本に入るのは難しい」「日本の技術は世界で評価されているけど、ビジネス転換は弱い」などと言われていました。

私は幼少期から、日本にいると日本人には見られず、海外に行くと日本人と言われるような中間の人間だったので、それならば日本と海外の架け橋になれると思ったのです。日本人というバックグラウンドを生かしながら、日本のすばらしい技術を海外に持っていきたいと考えるようになりました。

その後、トルコの外資系スタートアップの会社にヘッドハンティングされて1年ほど働いた後にフリーランスとして独立。いろんな人とネットワーキングをしましたが、そこではグローバルに適応できる技術を手がけているような人には巡り会えませんでした。だったら自分でやろうと思い、そこから起業することに興味を持ちました。

さまざまなところに出向くなかで、今一緒に会社を経営している弊社の代表と出会い、仕事を請けるようになりました。依頼のなかのにあったのがウルトラファインバブルの動画作成。「これは面白そう」と思ったので、ウルトラファインバブルについて詳しく勉強しました。そこから、ウォーターデザインジャパンをみんなで登記して、技術展開の本格的な活動を始めたのが経緯です。

ウルトラファインバブルでSDGsに貢献

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_ 伊藤 夏美さん_犬シャンプー

ウルトラファインバブルは現在、洗浄目的で使われることが大半です。日本は水質が良くて水資源が豊富ですが、海外では「水の戦争」が起こると言われるくらい貴重な資源なのです。汚れた水を循環して使えるようにするために薬品を入れますが、薬品を入れすぎると循環させる機械の寿命が短くなります。

私たちが扱っている製品はノズルで、水の中に元々含まれている空気成分をノズルに通すことによってナノ化し、「ウルトラファインバブル」と言われるナノサイズの微細な泡を発生させます。泡が汚れの下まで入り込み、汚れを剥離することによってメンテナンスコストの削減などに繋がっています。

この技術が本当に使われるべき場所を世界中で探し、そこへアプローチしています。そして将来的には、全世界の全建物にウルトラファインバブルを入れたいと思っています。実現するにはものすごくパワーが必要なので、正直私が生きている間でかなうかわかりません。

そこで技術自体の認知度を上げるために、BtoC向けの犬用シャンプーのブランドをローンチしようと動いています。犬のシャンプーは海外展開しやすいので、ゆくゆくは海外に持っていきたいと考えています。シャンプーなどの日用品は必ず使うものなので、新しい分野でこの技術を使ってもらえる状態にして、最終的に人が使うものも出していきたいと計画しています。

良い技術だけど、売り方を考えた方が良いものは日本にはたくさんあります。ビジネスとして技術展開をうまくやらなければいけません。良いものを持っていても風呂敷を広げているだけでは売れないので、コネクションなどの戦略が必要になると思います。

ペット市場は伸びているし、マーケティング的にも面白そうなことができそうなので、これをきっかけに日本の技術を海外に展開していきます。

チャレンジし続けることで女性のロールモデルになる

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人生は1回きりなので、私はやりたいことがあったら何でもやった方が良いと常に思っています。日本には「チャレンジして失敗したら終わり」という文化がありますよね。海外では1回失敗している起業家に対しては高い価値がつくと言われています。

なぜなら、1回失敗してそこから学びがあったなら、もう1回やったらもっと上にいけるはずと思われているので、失敗している起業家は評価が高くなるというのが向こうの考えです。どちらかと言うと私のマインドは海外寄りですね。

それと、日本ではジェンダーギャップをすごく感じています。1社目のときの上司が女性の方で、彼女が私の最初のロールモデルでした。ステージが上がれば上がるほど、自分が関わっている人が変わっていきます。

しかし、上に行けば行くほど、日本は女性の代表やロールモデルになっている人は少なくなっているように感じます。だから、若い子や学生のロールモデルに、私がなることを決めて、日々仕事に励んでいます。

今はサステナブルやSDGsがすごく注目を集めていて、SDGsに興味を持っていると言うと意識高いと思われますが、私にしてみたら普通のことです。私たちがやっているのは、「このノズルをつけていれば、誰でも勝手にSDGsに貢献している」という状態を創り上げることです。

ウルトラファインバブルはそれが実現できる技術だと思っているので、今年は特に力を入れてがんばっていきたいと思っています。

「100年先においしい食文化をつないでいく」大学発ベンチャー企業の本桜鱒(ほんさくらます)養殖への取り組み

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宮崎大学発のベンチャー『株式会社Smolt(スモルト)』の代表取締役CEO・上野賢さん。「本桜鱒(ほんさくらます)」や「つきみいくら®」の生産、販売による魚食文化の振興、おいしい魚をつくり、未来へと文化をつなげていくために、さまざまな活動をされています。今回のコラムでは、現在の活動内容や今後の事業展開などのお話を伺いました。

大学発ベンチャー『株式会社Smolt』設立の歴史

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現在、株式会社Smoltを操業していますが、大学時代は魚の生理学やホルモン・遺伝子の研究に取り組み、その分野で公務員になり、安定した生活をしていこうと考えていました。「起業するぞ!」という意気込みは特になく、養殖産業に対しても熱意は低い方でした。

きっかけとなったのは、所属していた研究室が「現場に行くこと」を大事にしていて、養殖産業の現状を目の当たりにし、実際にお手伝いさせていただいたことです。命をかけてやっている生産者さんがとても印象的で、研究として取り組む以外にも何かできないかと考えるようになりました。

僕が大学4年のとき、宮崎大学でビジネスコンテストが開催されることになり、賞を取るというより、養殖産業の勉強ができたらという気持ちで参加しました。運よく学長賞をいただくことができて、ゲストの起業家の方と交流する機会が起業への足がかりとなりました。

応援してくださる場があることを実感でき、「起業は変わった人でなくてもできることなんだ」と、大きな後押しとなり、大学発ベンチャーとして、株式会社Smoltを設立することを決めました。

本桜鱒の養殖がもたらす地域産業の価値

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株式会社Smoltが本桜鱒の養殖を事業化したのは、大きく2つの理由があります。

1つ目は、サクラマスの生産性を上げることです。サクラマスは、寒い時期になると河川水の水温が低くなるため、餌を食べなくなるので、生産性も大きく下がります。そこで海で養殖することで、生産性を上げていくためです。

2つ目は、宮崎の地域産業に付加価値を創造すること。宮崎はブリやカンパチ、マダイなどが多く、水温が高い海で育つ魚ばかりです。これらの魚も水温が低くなると育たなくなるので、年末の出荷が終わると仕事が極端に少なくなります。地元の漁業関係の方は冬の隙間産業を探している状態でした。

冬の河川部では、水温が一桁になりますが、海では20度より下くらいで、ちょうどサクラマスが生きる適水温になります。冬のブリやカンパチが餌を食べない時期にサクラマスを養殖することができれば、地域産業に付加価値を提供できるというのが2つ目の理由です。

また、サクラマスは生態もとても面白く魅力的です。同じ環境で育ったなかでも、海に行く個体もいれば、川に行く個体もいます。地域環境によっては、湖に行くケースもあります。同じ種類なのに、環境に応じて大きくなったり、小さくなったりするので、小さい個体は、普段静かに過ごして産卵のときだけ出てくるという戦略を取ります。

サクラマスは、サケと違って川や海、湖と選択肢が多いなか、自ら選び、リスクを取って変化していく姿にとても魅力があると思います。社名である『Smolt』は、「海に行く前のヤマメ」を指しています。海に行くリスクを取って大きくなるサクラマスみたいになろうというコンセプトで、サクラマスを全面的にリスペクトしている会社です。

ANAファーストクラスの機内食に採用された黄金の「つきみいくら®」

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近年、「●●産の魚」と銘打つ魚のブランド化を耳にする機会も増えました。確かに、地名を入れると特別感もあるように感じますが、Smoltでは「ブランドは育てていくもので、お客様に認められることでブランド化していく」と考えています。

サクラマスが産む黄金のいくらである『つきみいくら®』が、ANAのファーストクラスの機内食に採用されることになったのは、講演会でANAの担当者とお会いしたことがきっかけです。

『つきみいくら®』は、黄金色のきれいな見た目が特徴で、食べ方もいろいろと提案させていただいています。なかでも、ご飯にかけて食べていただくのが一番のおすすめです。日本は昔からいくらを食べてきた食文化があるので、昔ながらの食文化をアップグレードしてもらい、伝統的な食べ方で味わってもらいたいと思っています。

株式会社Smoltのミッションは、「おいしい食文化をつないでいく」というものです。100年先にタンパク質を摂取するのに、大豆のブロックを食べる選択肢だけでなく、おいしい魚も食べていたいという思いがあります。

本当においしいものを持続的に提供できるシステムやノウハウを構築していき、回転すしの高価なお皿でサクラマスが回り、それをたどるとSmoltの稚魚だったとなるように今後も取り組んでいきます。

唯一無二の手作りアクセサリー。SDGsに取り組む学生起業家が語る次世代への思い

アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_AlutaKelutaさん_プラスチック廃材からの手作りアクセサリー

『Aluta Keluta』は、幼馴染である岡本京太郎さんと眞野海宏さんの2人が学生起業家として立ち上げたブランドです。SDGsと絡めてプラスチック問題を身近に感じてもらうため、破棄プラスチックから手作りのアクセサリーを製作しています。ブランドへの思いや、学生で事業を立ち上げる際に意識していたことなどを伺いました。

プラスチック廃材からの手作りアクセサリー

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『Aluta Keluta』は、大学生の間に商売の経験をするために岡本と眞野の2人で立ち上げました。ブランドのコンセプトにプラスチック問題を取り入れ、環境問題を身近に感じられるよう日常使いのできるアクセサリーづくりを開始しました。大学で学んだSDGsの取り組みにからめて、自分たちがつくったもので貢献できたらと思います。

昨今、プラスチックの廃棄が世界中で問題になっています。プラスチックは分解されないため、ゴミ捨て場や海岸にたまっていきます。捨てられたプラスチックが生物の体内から発見される報告もあり、生態系への影響も懸念されています。また、プラスチックの原料は石油であり、有限である化石燃料の枯渇や、燃やすと出てくるCO2は地球温暖化を促進します。

『Aluta Keluta』では、本来捨てられるペットボトルキャップや海洋に落ちているプラスチックを洗浄し、新しいアクセサリーへと生まれ変わらせています。一つひとつが手作りなので、世界にひとつしかないアクセサリーとなります。

唯一無二であること、また性別関係なく誰でも付けていいジェンダーフリーのブランドになることを願っています。そして、次世代を担う子供たちが環境問題に取り組むきっかけづくりになればと思います。

未経験で試行錯誤しながら事業を立ち上げ

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商売に取り組んだ経験がないので、どうやって売り出すかを考えるところからのスタート。お店を出して集客する時間もお金もなかったため、SNSで多くの人に届けられるようにECサイトを立ち上げました。

岡本の親がアンティーク家具をネットで販売する計画を立てていたので、ECサイト販売は良い手段だと思いました。工業高校を卒業しているので手先の器用さには自信があり、しっかりしたものをつくればアクセサリーを商品として販売できると考えました。

TwitterやInstagramで投稿すると、いいねやリプライなどの反応はありましたが、実際に商品の購入につながらないことに苦労しました。ECサイトで出店のハードルは低かったですが、文章だけでは自分たちが伝えたいことすべては伝わりません。そこで、対面での販売ができるようにアクセサリーを置いてくれる場所を探したところ、五反田のお店にたどり着きました。

購入までの導線のほかには、価格設定にも苦労しました。最初は、多くの人に届いてほしいと思い、ほぼ原価で販売。若い人に認知されることを目標にしていたため、安い方が良いと思いましたが、運営費などを賄う必要があったので価格を上げることに。

ECサイトだけの販売に限定していたため、広告や価格設定に四苦八苦していましたが、五反田のお店に出すことで少しずつ購買につながるようになりました。

学生起業家が活躍できる環境づくりが重要

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学生団体に所属していたので、起業している人とのつながりはありますが、SDGsに絡めた事業を展開している人は見かけませんでした。それだけ環境問題に対しての事業で持続性を追求することはハードルが高いのだと思います。

我々のように、学生で起業する人は少しずつ増えている印象ですが、それでもまだ学生起業家が珍しく扱われるのは、当たり前の文化として根付いていないからです。チャレンジしたくても一歩踏み出せない人には、自分たちの背中で見せていくしかありません。

学生が事業を立ち上げることに対して違和感のない環境やコミュニティを創り上げたら、誰でもチャレンジができるはずです。家庭でも学校でも、チャレンジを推してくれる場所や人がいることが大事だと思います。

現在、大学1年生と2年生の2人で事業を展開していますが、将来的に『Aluta Keluta』のブランドが後世につながればと思います。学生の間は続ける予定ですが、我々が卒業しても下の代に引き継がれていくようにしたいですね。

岡本 京太朗 | ワクセル Official Web Site

眞野 海宏 | ワクセル Official Web Site

サンゴの魅力を伝え、美しい沖縄の海を後世まで残したい

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珊瑚とはどんなものか。株式会社ラグーンのダイビングインストラクター大嶋紗織さんは「サンゴは生き物であり海の生態系の土台である」と話します。本コラムでは、知ってるようで知らない珊瑚の魅力をお届けします。

ダイビングインストラクターはお客さまの命を預かる仕事

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_大嶋紗織さん_ダイバー

子供のころから海が身近にあり、毎日海に出て遊んでいました。その影響もあり、海にかかわる仕事がしたいと思い、ダイビングインストラクターの道を選びました。

ダイビングは潜るたびに海の状態が違うので、毎回見える世界が違います。18年間ダイビングをやっていますが飽きることはなく、むしろ今が一番楽しいと感じています。

ただ、インストラクターを始めたころはお客様の命を預かる仕事ということにプレッシャーを感じることもありました。そこから経験を重ねることで、さまざまな判断ができるようになり今では緊張感を感じつつも楽しめるようになりました。

サンゴは生き物であり、海の生態系を支えている

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奄美大島で海に潜っていたときに、サンゴはとても美しいと思いました。しかし、地元の方から「これはサンゴの死骸なんだよ」と聞き、サンゴが生きていたらどんな世界なんだろうと興味を持ちました。また、サンゴが動物だと知らなかったので、サンゴがどんな生き物なのかにも興味をもつようになりました。

サンゴは動きませんが、ほかの動物と同じように自らご飯を食べる生き物です。その一生懸命生きている姿がとても愛おしいと感じます。そして、サンゴは海においてかけがえのない存在です。

小さな魚、カニやエビの住処としての役割があり、我々が見えていない世界も支えています。さらに、死んだサンゴには海藻がつき、その海藻をエサとする貝などが集まります。

このようにサンゴは生態系の土台として海の中で大切な役割を担っています。そのため、サンゴを保全していくことが大切だと伝えていきたいです。

サンゴを保全する活動を通じて豊かな自然をこれからも

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地元の漁師さんたちはこれからも豊かな自然を保ち続けるため、サンゴを保全する活動をされています。この素晴らしい活動を多くの人に伝えたいと思い、ラグーンでは「オリジナルガイドブックを用いたサンゴの生態、現状の解説」「サンゴの苗づくり体験」「植付けシュノーケル」などを行っています。

陸上とは異なり、水中ではまっすぐ進むだけでもひと苦労です。サンゴを植えつけるために岩に穴をあけるだけでも大変な作業なので、自分の命と向き合いながら、貴重な体験をしていただけます。

こういったラグーンの活動は、地元の漁師さんの「子や孫の世代まで美しい美ら海を残したい」という思いから立ち上がりました。今ある自然をこれからも大切にすることはもちろん、そこに人の思いが重なることで多くの人を巻き込んだ活動が生まれてきます。
ラグーンを通じて、自然の美しさや人の思いが重なり、その結果多くの人にきっかけを与える。そして、そのきっかけから行動に移すことで、さまざまな活動が生まれたらいいなと思います。

ソーシャルグッドプロデューサー(SGP)~世界を変えるはじめかた②~

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『ソーシャルグッドプロデューサー(SGP)』として、社会にいいことを世の中に広める活動をしている石川淳哉さん。毎週日曜日20時から3時間かけて行われているSGPプログラムに、ワクセル編集部が参加しました。本コラムでは、全10回の講義内容を3回に分けて連載形式でお届けいたします。今回はその第2回。石川さんのプレゼン内容を主にまとめます。

ソーシャルグッドプロデューサー育成塾に参加しての記事、第2弾です。全10回の講義のうち、石川さんのプレゼンがメインの第4〜7回についてまとめました。

第1回の講義から、毎回冒頭で伝えていただいているのが「知行合一」。講義のなかで実際の事例を挙げ、自分の知識と行動が一致しているか?が問われます。石川さんのプレゼン内容は、知識だけでなく実際にプロジェクトを立ち上げて走らせるまでを網羅するので、役に立つ考え方ばかりです。

「ただの慈善事業では持続可能性はなく、いかにマネタイズをするか?」「持続性を見据えた運営とは?」など、表面的な部分ではなく、石川さんの赤裸々な体験談を聞けることが何よりの価値です。

講義を通じて、実生活の視点にも変化が起きました。社会課題に対しての捉え方がより身近になり、そんなメンバーばかりが集まるSGP塾は、ますます盛り上がりを見せています。

人の行動を後押しするには?

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コレクティブインパクトとファンドレイジング

今回学んだ、コレクティブインパクトとファンドレイジングの事例を紹介します。

・コレクティブインパクト
コレクティブインパクトとは、さまざまなプレイヤーが共同して社会課題解決に取り組むためのひとつのスキームであり、共同の効果を最大化するための枠組みのことを指します。

事例として、リユースやリサイクルに力を入れている企業をいくつかご紹介いただきました。講義後、家に眠っている要らない服を無印良品のリサイクルに持って行くなどの行動の変化が。また、街を歩いていると、ボトルの回収や容器の再利用などのSDGsに関する取り組みが目に入るようになりました。

第4回の講義では、プロジェクトを継続するうえで外せないお金の話。

・ファンドレイジング
民間非営利団体が活動のための資金を個人、法人、政府などから集める行為の総称です。

今では助成金、補助金、クラウドファンディングなどの多くの資金調達の方法がありますが、「ファンドレイジング」はそのひとつです。

社会問題の解決には、人件費などの運営費が発生します。ただ、石川さんは「資金がないからと諦める必要はない」と力強く述べ、実際に資金を調達する方法を細かくご説明いただきました。

ナッジ・過去事例から探るヒントと反省

「ナッジ」とは、行動科学の知見から望ましい行動をとれるように、人を後押しするためのアプローチをすることです。最初はなじみのない言葉だと思っていましたが、どこかで聞いたことがある事例ばかりでした。

・ナッジの事例1
オランダで、トイレの便器にハエの絵を張り付けたところ、飛沫を80%減らした

・ナッジの事例2
日本で有名な事例は『DJポリス』。サッカーワールドカップで熱狂する渋谷のサポーターにけが人が出なかったのは、心をつかんだ伝え方でした。

ゴールを明確にして自ら行動する

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石川さんの経歴について

後半の講義では、石川さんのこれまでの経歴をご紹介いただきました。

「パブリックビューイング」「世界がもし100人の村だったら」「retired weapons」など。実際に石川さんが手がけたエピソードが語られました。

ご自身の経験を話されているとき、涙ぐんでいるように見えるくらい思い入れを感じました。各プロジェクトのよかったこと、改善ポイントも惜しみなく共有いただき、とても貴重な経験でした。

災害大国日本だからこそ、想定して動く

社会課題を考えるうえで、災害大国に住む日本人は『防災』が切り離せない問題です。石川さんは「災害死も関連死もゼロにできる!」と本気で考えています。

今後、南海トラフ地震が起きると言われているとおり、大地震は起きる想定で行動する必要があります。なかでも、石川さんが特に力を入れているのが『みんな元気になるトイレ』プロジェクトです。

災害時に最も声として多かったのがトイレ問題。移動式のトイレを日本全2,741自治体への普及を計画。現在は17自治体に導入しています。

ゴールとタスクを明確にしよう

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第7回は石川さんの脳の中を知る時間でした。マンダラート法という、大谷翔平選手が高校の時から取り入れている手法を演習形式で参加者も埋めることに。

石川さんが大事にされていることは「ゴールとタスクの共有」です。現在進行中のプロジェクトのタスク管理表やコミュニケーションの内容まで細かくご紹介いただきました。

石川さんの講義で得られる知識は、会社員では決して出会うことはありません。SGP塾では、毎週日曜の講義だけでなく、Slack上で実際のプロジェクトに対して石川さんが意見を求める時間もありました。

学びをどう活かすかを石川さんが手取り足取り教えることはありません。もらいに行く姿勢ではなく、自分からつかみ取ることが大事。正解はないので、石川さんの体験を自分の実践に活かせるかがポイントです。

今後、実際にプロジェクトを立ち上げ、運営の細かい流れを知ることができることに価値を感じ、ワクワクしています。

第2期以降の塾生も募集していますので、ご興味ある方は下記から申し込みが可能です。

▶︎▶︎▶︎第2期塾生申込 2022.7.3〜9.4

https://socialgood02.peatix.com/

▶︎▶︎▶︎第3期塾生申込 2022.10.2〜12.4

https://socialgood03.peatix.com/

▶︎▶︎▶︎第4期塾生申込 2023.1.8〜12.4

https://peatix.com/event/3226317

ソーシャルグッドプロデューサー(SGP)~世界を変えるはじめかた~

『ソーシャルグッドプロデューサー(SGP)』として、社会にいいことを世の中に広める活動をしている石川淳哉さん。毎週日曜日20時から3時間かけて行われているSGPプログラムに、ワクセル編集部が参加しました。本コラムでは、全10回の講義内容を3回に分けて連載形式でお届けいたします。

石川さんが、持続可能なプロジェクトを推進する担い手(ソーシャルグッドプロデューサー)を育成するために立ちあがった本プログラム。

参加している10名は、年齢層も職業もバラバラ。参加費30万円をかけて学びにきているだけあって、参加者のモチベーションは非常に高いです。育成塾を出るころには、何倍にもできるプロジェクトを立ち上げる人材に成長する予感があります。

参加者それぞれが違う価値観を持っていて、普通に働いているだけでは得られない繋がりができるのが価値のひとつです。何よりも石川さんの「この塾が終わってからも一生付き合うつもり」という決意に感動しました。

SGPを学ぶ上で欠かせない3つの価値観

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第1回目の講義で、これからプログラムを共にする仲間とZoomで初対面。

冒頭で、石川さんがどんな方か、ソーシャルグッドプロデューサーとして何をされてきたのか知る動画を観てからスタートしました。

そして参加者10名それぞれが自己紹介。自分の目的がそんなに明確でないことに不安を抱きながらも、共に学ぶ仲間ができることに嬉しさを感じます。

今後の講義を受けていくうえで大事になる価値観を、石川さんから3点共有いただきました。

①知行合一

中国の王陽明がおこした思想のひとつで、「知識と行為は一体」だということ。

正直、この言葉を聞いたばかりの状態ではまだピンときていません。講義が進んでいくなかでさまざまな情報をインプットし、実践につなげていければと思います。

②ゴールデンサークル

マーケティングなどで、知っている方もいるかもしれませんが、本講義のテーマとして以下のように定義されます。

Why :地域が変われば、日本が変わる
    日本が変われば、世界が変わる

How :日本全国1,741自治体にSGPを

What:コレクティブインパクトでイノベーティブなプロジェクトを星の数ほど生み出す

③コレクティブインパクト

「さまざまなプレイヤーが共同して社会課題解決に取り組むためのひとつのスキームであり、共同の効果を最大化するための枠組みのこと」

ある特定の組織だけが取り組むのではなく、全員が社会課題を解決するため取り組むことを指します。コレクティブインパクトの事例は、後の講義で数多く紹介いただきます。

上記3つの考え方を理解することがSGPの基盤となります。そして、これからの時代を知るうえでも重要な考え方です。

今はどんな時代でどこに向かうのか?

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第2回目講義の最初に流れたのは、”Powers of Ten”の映像です。

銀河系に広がるマクロな視点と、分子レベルのミクロな視点まで一気に旅をする映像。面白いのは、参加者全員で感想をシェアをするなかで、それぞれまったく異なった感性を持っていたことです。

その後、石川さんより現代社会のさまざまな課題をレクチャーいただきます。

たとえば、現代は「広告」ではなく「告広」であること。「解決したいことは何か」から考え、「だからこの製品がある」と提起していくこと。

最も印象に残ったのは、2018年の岡山県倉敷市を襲った集中豪雨の例。自治体から事前にハザードマップが配られていたのですが、その的中率はなんと100パーセント。それにも関わらず、死者は51名も出ていたとのことです。

伝えたつもりでも、伝わっていないことも多いなかで、「伝わる」とは何かということを感じさせる内容でした。

今後の展望については、ESG投資や書籍『人新生の「資本論」』などを交えて語っていただきました。3時間にも及ぶボリュームたっぷりな講義でしたが、「知行合一」が実感できる内容でした。

コレクティブインパクトの事例を見る

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第3回の講義では、社会課題解決に向けて取り組んできた事例を紹介。

世界的な事例から日本の地方まで、およそ20の事例を紹介いただきました。多くの事例が世の中にはあるのを知ると共に、成功例を横展開できる可能性もあり、学びある内容でした。

たとえば、キューバは食料自給率が100%なだけでなく、無農薬の野菜自給率も100%であること。

岩手県の重茂地区で採れる「生わかめ」はまさに絶品で、自然を守るために地域の人が結束していること。石川さんは、みんなで「生わかめツアーを実施したい」と公言されるほどの熱の入れようでした。

どの事例も非常に興味深いものがありますが、実際の苦労は測り知れません。現地への視察も大切ですが、実際に自分が経験することこそが真に学びを自分の血肉に変えられると、知ることができました。

テレビやニュースを見ていても、知らないことがたくさんあります。大切なことは色々な人が関わっているので、全員が同じ方向を見て一体となって進んでいくこと。

コレクティブインパクトのコツは、「誰かが思い切った決断をして、住民がフォローする術があること」「社会課題をみんなで追いかけて解決すること」だと学びました。

石川さんは認知を広め、たくさんの人の橋渡しをしています。個別に事業やプロジェクトの壁打ちする場にも積極的に参加されているそうです。本来であれば、コンサル料だけでも数十万円、あるいは100万円以上かかるところ、塾生のために時間を割いていただけるのはありがたい機会です。

zoomでの講義だけでなく、Slackに参加してくださって情報交換も行われます。宿題として、各自がプロフィールを投稿し、「もっとこうした方が分かりやすい!」と石川さんにコメントをいただける貴重な機会も。

講義を終えることがゴールではなく、「将来自分がどうなりたいか?」を考えるきっかけとしてとても有意義な時間となりました。

プログラムの続きは、また次回のコラムにてご紹介いたします。

また、第2期以降の塾生も募集していますので、ご興味ある方は下記から申し込みが可能です。

▶︎▶︎▶︎第2期塾生申込 2022.7.3〜9.4
https://socialgood02.peatix.com/

▶︎▶︎▶︎第3期塾生申込 2022.10.2〜12.4
https://socialgood03.peatix.com/

▶︎▶︎▶︎第4期塾生申込 2023.1.8〜12.4
https://peatix.com/event/3226317

35%の真実

“ウールマン”という呼称でファッション業界で親しまれている、レダ ジャパン株式会社代表取締役の上野伸悟さん。本コラムでは『マイクロプラスティック汚染』がテーマ。マイクロプラスティック汚染の35%を占めている洋服の洗濯や、日本の取り組み状況や課題についてお話しいただきました。

マイクロプラスティック汚染とは?

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マイクロプラスティック汚染」と言う言葉を聞いたことはあるでしょうか?

世界の海では50兆個ものマイクロプラスティックが海を漂っています。マイクロプラスティックとは5ミリメートル以下の微細になったプラスティックを指し、海や河川を汚染し、生態系に影響を及ぼすと言われています。

マイクロプラスティックは汚染物質との相性も良く魚などに取り込まれ、私達の食卓へ運ばれてきます。マイクロプラスティックの人体への影響ははっきりとは解明されていませんが、免疫力の低下、アレルギー、肥満のつながりがあるという説があり、人は1週間にクレジットカード1枚分ものプラスティックを摂取していると言われています。 

35%という真実

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35%という数値、これが何を示しているのか、マイクロプラスティック汚染の35%がアクリルやポリエステルなどの石油由来の合繊繊維の洗濯から発生している事実をご存知でしょうか。

私達が日々行う、洗えるスーツやスポーツウェアなど合成繊維でできた洋服を洗濯する行為が直接、環境汚染に結び付いています。合成繊維は天然繊維よりも丈夫で安価、安定して供給できることから50年ほどで繊維製品の8割以上のシェアを獲得しました。安価なファッションが普及できたことも合成繊維の普及によるものです。

しかしながら、ここ数年に解明された落とし穴が明らかとなり、日本を除く世界ではファッションの脱プラ化が進んでいます。日本では残念ながら、この情報は公にはされず、何年も経ってしまいました。日本は合成繊維大国でもあり、合成繊維を取り扱う企業もビジネスの中心を担う商品を否定するような発言はできないのかもしれません。

サステナブルファッションで取り組まなくてはいけない課題

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_上野さん_SDGs

しかしながら、SDGsが急速に広まり、日本は先進国でありながらSDGs達成18番目の国と、先進国の中でもSDGsの面では遅れを取っています。SDGs先進国に追いつかなくてはなりません。

私達が働くファッション業界には、SDGsから派生した「サステナブルファッション」と言う言葉があります。残念ながら、すでに間違った方向に進んでいて、日本の繊維企業は1番大事な問題であるマイクロプラスティック汚染には直接取り組まず、リサイクル・アップサイクルという道を選びました。

産業を守るための苦肉の策なのか、リサイクルポリエステルも洗濯すればマイクロプラスティックを出しますし、リサイクルも永遠には行えません。生分解がないために(土に還らない)最後はゴミとして半永久的に残ります。

SDGsでは「12.つくる責任つかう責任」「14.海の豊かさを守ろう」「15.陸の豊かさも守ろう」を掲げており、正しい情報が公になるのは時間の問題です。企業も見て見ぬふりはできなくなりました。

ストローは自身の過ちを認め、脱プラが進んでいます。私たちの業界も繊維の脱プラを進めることが求められています。大手繊維メーカー、大手アパレルは今だけ良ければいいという考えは捨て、未来の子供たちへ地球というバトンを渡す為に努力しなくてはいけない瀬戸際に立たされています。地球はテレビゲームのようにリセットしてやり直すわけにはいきません。