生活を豊かにして環境問題にも役立つ『LFCコンポスト』とは?

中原 千尋

中原 千尋

2023.08.25
アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_中原千尋さん_プロフィール

中原千尋さんは、看護師として病院に勤務する傍ら、漠然と環境問題に対して何かできないかと思っていたところから、LFCコンポストに出会って継続して使用しています。2022年にはLFCコンポストアドバイザーを取得し、現在は広める側に回って活躍しています。中原さんに、LFCコンポストの魅力や今後の展望についてお伺いしました。

環境問題に対して何かしたいと思って出会ったLFCコンポスト

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_中原千尋さん_LFCコンポスト

LFCコンポストとは、「Local Food Cycling」の略称です。九州の方が立ち上げた企業の名前が由来になっています。当時、代表が病気だったので、身体によい食事を探していた際、有機野菜を育てる土壌を改善する必要があると感じたのがきっかけだそうです。コンポストは英語で“堆肥”の意味で、もっと広げていくためにLFCコンポストが誕生しました。

田舎では畑に生ごみを入れたら勝手に分解されるのですが、都会では中々できません。マンションのベランダに自分の出した生ごみをそのまま捨てるのではなく、かばんに生ごみを入れて堆肥化することは、環境にとって良い取り組みです。自分でつくった堆肥を家庭菜園に使うことで、どんな由来の肥料を使っているか知りながら野菜を育てられます。

LFCコンポストに出会う前、環境問題に何かできることはないかと漠然と考えていた時期がありました。たまたま友達がごみ拾いをするというSNSの投稿を見て参加したのが転機でした。将来自分が結婚をして子どもが産まれた時、このままの環境を維持できるのか、友達とごみ拾いをしながら話していました。そこで調べて出てきたのが、LFCコンポストです。

性格がずぼらなので、環境問題のためといっても面倒なことは続けられません。継続できないことを人に勧めることもできないので、まずは自分が実践しました。

LFCコンポストはものすごく簡単で、生ごみをかばんに入れるだけで微生物が勝手に分解してくれるし、家の中も生ごみ臭さが無くなりました。こんな良い取り組みならとのめり込んでいたら、いつの間にかアドバイザーとして活動しているのが現在の状況です。

生ごみを自分で分解することで、生活が豊かになる

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_中原千尋さん_生ゴミの分解

ごみ拾いを一緒にした友達と話した時は、お互いに環境問題について考えているのだと共感しました。LFCコンポスト以外にも布ナプキンが使い捨てでもったいないと思っていたところから、自分でつくってみようとなって、むしろ買うより使い勝手がよくなりました。

生ごみについて調べてみると、生ごみは水分が80〜90%あるにもかかわらず、水を燃やすために税金を使っていることがわかりました。わざわざお金を払って捨てている無価値なものを価値あるものに変える取り組みは、非常に有意義です。また、謎の肥料でつくられた野菜を食べるより、自分が食べて安全とわかっている野菜のクズからつくられた野菜を口にする方が健康的で楽しいですね。

元々は環境問題に興味がありましたが、地球温暖化を抑止するために具体的に何をすれば良いかわかりませんでした。環境問題に対して「これはよくない」という話は聞きますが、何かに取り組むとなると壮大すぎて、意識を高く持たなくてはいけないと感じ、足踏みをしていました。

LFCコンポストは、環境問題のためと思って始めましたが、今ではアドバイザーとして「生ごみを捨てずに自分の家で分解している方が、ごみ捨てが楽になる」という伝え方をしています。環境のためというより、生活が豊かになると勧めている方が楽しく取り組んでもらえる人も多くなります。

LFCコンポストがあることを知ってほしい

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_中原千尋さん_LFCコンポストを広める

私がのめり込んだのは、「気を張って継続しなくてもいい」というところです。実は、途中で面倒に感じて1〜2カ月中断したことがありました。それでは良くないと思い、再度かばんに生ごみを入れ始めましたが、微生物は中断なんて関係なく分解してくれます。

お手軽に始められて、いつでも再開できるからこそ、取り組むハードルは低くなります。自治体によっては助成金もあるので、費用面で足踏みしている人にもお勧めです。

現在の課題は認知度が低いことです。ご高齢の方で、家庭菜園をしている人にとっては知ってもらうだけで喜ばれます。実は、LFCコンポストは近所のホームセンターで販売しているわけではなく、ネット通販が主流です。そのため、高齢者層へ広がっていない原因でもあります。現状はアドバイザーから購入するか、会社に登録しての購入となります。

認知度をあげるために、地道にマルシェにアドバイザーが参加したり、SNSで発信したりして少しずつ広めています。将来的にコンビニやスーパーでも手に入る世の中になるように、ちょっとずつ進んでいます。

最初は虫がくるのではないかとか、かばんに入れたままでいいのかなど、不安になることは多いと思います。今後は横のつながりができて、地域単位で堆肥化のサポートが気軽にできることが目標です。

マンションに住んでいたら堆肥の使い道がない人でも、仲間とのつながりで家庭菜園や畑をやっている人に肥料をあげて、できた野菜を安価に提供してもらえるならとても良い循環が生まれます。

あとは、小学生の自由研究で分解の過程を学んでもらい、自分でつくった肥料を使って野菜を育ててもらえたら、子ども大人も巻き込んですごく楽しい取り組みになると信じています。

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