アドラー流「目標設定術」:「達成できない目標」こそが劣等感を強める。「不完全な目標」のすすめ。

あい

あい

2026.06.11
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アドラー心理学を用いた、子育て・起業・自己実現サポートを行う、あいさんの連載コラムです。「今年こそ10キロ痩せる!」「TOEIC900点取る!」「年収1000万円達成する!」年始に立てた目標、いくつ達成できましたか? 目標管理の調査では、約8割の人が「年始に立てた目標を達成できなかった」と回答しています。そして、達成できなかった自分を責め、「やっぱり私はダメだ」と劣等感を強めていく。この悪循環の正体を、アドラー心理学は100年前から指摘していました。問題は「あなたの意志の弱さ」ではなく、「目標設定の方法」そのものだったのです。達成できない完璧な目標よりも、達成できる不完全な目標。その具体的な立て方とは?自身も「完璧主義」から解放された筆者が、実体験をもとに解説します。

私が「完璧な目標」に潰された日

私はかつて「目標達成マニア」でした。毎年1月1日に、A4用紙びっしりと目標を書く。「毎日5時起き」「毎日英語2時間」「月10冊読書」「週3ジム」「副業で月5万円」…数えれば20個以上。

そして、1月15日には全てが崩壊していました。

一つでも達成できないと、「やっぱり私はダメだ」と自分を責める。そして翌年、「今度こそ!」とさらに高い目標を立てる。しかし、また達成できず、さらに自己嫌悪。完全に負のスパイラルでした。

ある日、友人がふと言ったんです。「あいちゃん、その目標、誰のため?」と。

私は答えられませんでした。「自分のため…? いや、本当は…『できる人』に見られたいだけ…?」頭の中が混乱しました。そして気づいたのです。私は「理想の自分」を演じようとして、「本当の自分」を置き去りにしていた、と。

アドラー心理学では、これを「優越コンプレックス」と呼びます。自分の劣等感を隠すために、「できる自分」を演じる。しかし、演じれば演じるほど、本当の自分との乖離が広がり、苦しくなるのです。

なぜ「達成できない目標」は劣等感を強めるのか

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「高い目標を持つことは素晴らしい」そう教わってきた人も多いでしょう。しかし、心理学の研究では、「達成不可能な目標」は逆に人のモチベーションを下げ、自己肯定感を破壊することが明らかになっています。

アドラーは「劣等感」について、独自の視点を持っていました。劣等感そのものは悪いものではない。むしろ、成長の原動力になる。しかし、問題は「劣等コンプレックス」つまり、劣等感を言い訳にして行動しないこと、または逆に「優越コンプレックス」劣等感を隠すために虚勢を張ることです。

「毎日5時起き」という目標を立てる。しかし、仕事で疲れて帰宅が23時。睡眠時間は6時間しか取れない。それでも「5時に起きられないのは意志が弱いから」と自分を責める。これが劣等コンプレックスです。

一方で、「私は毎朝5時起きして、朝活してるんです!」とSNSで発信する。しかし実際は週に1回できればいい方。これが優越コンプレックスです。

どちらも、本当の自分を受け入れられていない状態です。そして、この状態が続くと、次のような悪循環が生まれます。

①達成できない目標を立てる→②達成できず自己嫌悪→③「やっぱり自分はダメだ」と劣等感が強まる→④さらに高い目標を立てて「今度こそ」と思う→⑤また達成できず…

私自身、この悪循環を何年も繰り返していました。そして気づいたのです。問題は「私の意志の弱さ」ではなく、「目標設定の方法」そのものだった、と。

「不完全な目標」こそが、あなたを成長させる

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アドラーは「完璧を求めるな」とは言いませんでしたが、彼の思想の根底には「勇気づけ」という概念があります。そして、勇気づけの第一歩は「今の自分を受け入れる(自己受容)」ことです。

では、具体的にどんな目標設定をすればいいのか。私が実践し、人生が変わった方法をご紹介します。それが「不完全な目標設定術」です。

「不完全な目標」の3原則:

①「できたらいいな」レベルの目標にする
「毎日5時起き」ではなく、「週に2回、6時起きできたらいいな」。ハードルを思い切り下げてください。「こんなの目標じゃない」と思うくらいがちょうどいいのです。

心理学者のB.J.フォッグが提唱する「タイニー・ハビット(小さな習慣)」理論でも、「バカバカしいほど小さくせよ」と説かれています。なぜなら、人は「できた!」という成功体験の積み重ねでしか変えられないからです。

②「完璧」ではなく「継続」を目指す
「毎日」ではなく「週2回」。「10キロ痩せる」ではなく「週1回、好きな運動を30分する」。結果ではなく、プロセスに焦点を当ててください。

アドラーの「目的論」では、「過去の原因」ではなく「未来の目的」に焦点を当てます。同様に、「結果」ではなく「今日の行動」に焦点を当てる。これが継続の秘訣です。

私は「毎日ブログを書く」という目標を「週に1回、自分が書きたいことを書く」に変えました。すると、不思議なことに、気づけば週3回書けるようになっていたのです。ハードルを下げたことで、逆に行動できるようになったのです。

③「できなくても自分を責めない」を目標に入れる
これが最も重要です。「週2回、6時起き。でも、できなくても自分を責めない」。この一文を目標に加えてください。

アドラー心理学の核心は「勇気づけ」です。そして、最も大切な勇気づけは「自分自身への勇気づけ」。できなかった自分を責めるのではなく、「でも、今週1回はできた。それでいい」と認める。この積み重ねが、本当の自信を育てるのです。

「不完全」を受け入れたとき、人は本当に変われる

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心理学者のカール・ロジャーズは言いました。「ありのままの自分を受け入れたとき、初めて人は変わることができる」と。これはアドラーの思想とも共通します。

完璧な自分を演じるのをやめる。達成できない目標を立てるのをやめる。「今の自分」を受け入れる。その瞬間、人は本当の意味で前に進めるのです。

私が「完璧な目標」を手放したとき、不思議なことが起こりました。目標を達成できないストレスがなくなり、逆に「やってみたいこと」に自然と取り組めるようになったのです。義務ではなく、楽しみとして。

今夜、あなたの目標リストを見直してみてください。そして、こう問いかけてみてください。「この目標は、本当に私が望んでいることだろうか?」と。

その小さな一歩が、あなたの人生を変える大きな一歩になるはずです。なぜなら、人が変われるのは「完璧を目指したとき」ではなく、「不完全な自分を受け入れたとき」だからです。


【著者プロフィール】 あい / アドラー心理学講師・著者 2児の母。アドラー心理学の実践で、たった3カ月で家族崩壊から家族円満へ変化。2024年起業。「思考のクセ診断」を開発し、100名以上の子育て・自己実現をサポート。大阪・関西万博登壇。国際アドラー心理学会(IAIP ASIA2026)日本代表。10カ月連続ベストセラー著書『アドラー流子育てやってみた』。Instagram: @ai_sensei_0310

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