「早くしなさい!」が効かない理由―子どもが自分で動き出すアドラー流・声かけ術

あい

あい

2026.09.23
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アドラー心理学を用いた、子育て・起業・自己実現サポートを行う、あいさんの連載コラムです。今回は子育てでの声のかけ方の実践編コラムです。日常生活で子どもに対してどんな言葉を使っているかで、その子の人生が変わると言っても過言ではありません。本当に子どものためになる具体的な言葉選びをアドラー心理学の観点からまとめます。

「早くしなさい!」「何回言わせるの!」朝の支度や寝る前、ついこんな言葉を繰り返していませんか?

私もかつて、毎朝のように「早くしなさい!」と叫んでいました。でも、子どもは動かない。むしろ、動きが遅くなる。そして、私のイライラはどんどん増していきました。

ある朝、娘に「早く着替えて!」と怒鳴ったとき、娘がぽつりと言ったのです。

「ママ、怒ってる…」

その瞬間、私は自分が恥ずかしくなりました。私は、子どもを動かそうとして、毎日怒りをぶつけていたのです。

そんなとき、アドラー心理学の「子どもを支配するのではなく、協力を引き出す」という考え方に出会いました。

「『早くしなさい』は、命令である。命令では、子どもは自分で考える力を失う」

アドラーのこの言葉に、私はハッとしました。私は、子どもを動かそうとして、実は子どもの自律性を奪っていたのです。

今回は、アドラー心理学が教える「『早くしなさい!』が効かない理由」と、子どもが自分で動き出す声かけ術について、私の体験を交えながらお伝えします。

なぜ「早くしなさい!」は逆効果なのか権力闘争の始まり

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_あい_権力闘争の始まり

アドラー心理学では、「命令は、権力闘争を生む」と指摘します。

「早くしなさい!」という言葉は、命令です。そして、命令は縦の関係(Vertical Relationship)つまり、「親が上、子どもが下」という構造を作ります。

では、何が起こるのでしょうか?

子どもは、この命令に対して、二つの反応をします。

  • 従順になる(服従): 親の言うことを聞くが、自分で考えることをやめる
  • 反抗する(権力闘争): 親に対抗し、わざと動かなくなる

私の場合、娘は後者でした。

「早くしなさい!」と言うたびに、娘は動きが遅くなりました。それどころか、「やだ」「今やろうと思ってたのに」と反抗するようになったのです。

あるとき、アドラー心理学のカウンセラーに言われました。

「お子さんは、あなたに対抗しているのではなく、『自分で決めたい』という自律性を守ろうとしているのです」

その瞬間、私は気づきました。

娘は、私の命令に従いたくないのではなく、自分で決めたかったのです。

アドラーはこう述べています。

「人は、支配されることを嫌う。だから、命令には抵抗する」

心理学者のエドワード・デシ(Edward Deci)とリチャード・ライアン(Richard Ryan)も、自己決定理論の中で、「自律性の欲求が満たされないとき、内発的動機づけは失われる」と述べています。

つまり、「早くしなさい!」という命令は、子どもの自律性を奪い、やる気を失わせるのです。

「命令する親」から「協力を引き出す親」へ私の葛藤と変化

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_あい_私の葛藤と変化

私がこの問題に向き合い始めたのは、ある朝のことでした。

いつものように、「早く着替えて!」と叫んだとき、娘が泣き出したのです。

「怒らないでぇえええ(涙)」

その言葉を聞いた瞬間、ハッと気づきました。

私は、子どもを動かすために怒っていたのではありません。時間に間に合わせたいという親の都合で、怒っていたのです。

「早くしなさい!」は、私の不安を子どもにぶつけているだけだった

アドラーはこう言います。

「怒りは、相手を支配するための道具である」

私は、怒りという道具を使って、娘を支配しようとしていました。でも、それは逆効果でした。娘は、ますます動かなくなり、私との関係も悪化していきました。

心理学者のトマス・ゴードン(Thomas Gordon)も、著書『親業訓練』の中で、「命令は、子どもの反抗を生み、親子関係を破壊する」と警告しています。

私は、変わらなければならないと思いました。命令する親から、協力を引き出す親へ

実践! 子どもが自分で動き出す3つの声かけ術

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_あい_子どもが自分で動き出す

では、どうすれば子どもが自分で動き出すのか? 私が実践して効果があった3つの声かけ術をご紹介します。

声かけ術1: 「早くしなさい!」を「今、何時だと思う?」に変える

まず、命令を質問に変えます。

  • 命令: 「早く着替えなさい!」
  • 質問: 「今、何時だと思う?」

例えば、朝の支度が遅いとき、

  • ×「早くしなさい!」
  • ○「今、7時半だよ。8時に家を出るには、あと何分あるかな?」

この質問によって、子どもは自分で考え、自分で決めることができます。

娘の場合、「あと30分しかない!」と気づいた瞬間、自分から動き始めました。

アドラーが提唱する「横の関係(Horizontal Relationship)」は、このような対等な対話から始まります。

声かけ術2: 「〇〇しなさい」を「〇〇してくれたら、助かるな」に変える

次に、命令を依頼に変えます。

  • 命令: 「片付けなさい!」
  • 依頼: 「片付けてくれたら、ママ助かるな」

例えば、おもちゃが散らかっているとき、

  • ×「片付けなさい!」
  • ○「おもちゃを片付けてくれたら、ママ助かるな。一緒にやってくれる?」

この言葉の違いは大きいです。

「片付けなさい」は、親が子どもを支配している言葉です。でも、「助かるな」は、協力を求めている言葉です。

娘の場合、「ママ、助かるな」と言うと、「いいよ!」と笑顔で動き始めました。

心理学者のマーシャル・ローゼンバーグ(Marshall Rosenberg)も、「依頼は、命令よりも協力を引き出す」と、非暴力コミュニケーション(NVC)の中で述べています。

声かけ術3: 「できない」を責めず、「どうすればできる?」と問う

最後に、責めるのではなく、解決策を一緒に考えます。

  • 責める: 「なんでできないの!」
  • 問う: 「どうすればできると思う?」

例えば、宿題がなかなか始められないとき、

  • ×「なんで宿題やらないの!」
  • ○「宿題、難しい? どうすれば始められそう?」

すると、子どもは自分で考え始めます。

「タイマーを10分セットして、そしたら始める」

この瞬間、子どもは自分で決めたのです。だから、実行できます。

心理学者のキャロル・ドゥエック(Carol Dweck)も、「問いかけは、成長マインドセットを育てる」と述べています。

私は、この3つの声かけ術を実践して、驚くほど子どもが変わりました。命令しなくても、子どもは自分で動き始めたのです。

【まとめ】 命令ではなく、協力が子どもを育てる

「早くしなさい!」が効かないのは、子どもが悪いのではありません。

命令という方法が、子どもの自律性を奪っているからです。

アドラー心理学が教えてくれた最も大切なことは、「子どもを支配するのではなく、協力を引き出す」ということ。

命令を質問に変え、依頼に変え、一緒に解決策を考えることで、子どもは自分で考え、自分で動く力を身につけていきます。

あなたも今日から、「早くしなさい!」を手放してみませんか?

その一歩が、子どもの自律性を育て、親子関係を大きく変える始まりです。

【著者プロフィール】

あい / アドラー心理学講師・著者

2児の母であり、アドラー心理学を実践することで家族関係が3カ月で劇的に変化。2024年に起業し、「思考のクセ診断」を独自に開発。これまでに100名以上の子育てや自己実現をサポート。関西・大阪万博での登壇や、国際アドラー心理学会(IAIP ASIA2026)日本代表に選出。10ヶ月連続でベストセラーとなった著書『アドラー流子育てやってみた』の著者。Instagram: @ai_sensei_0310

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