経営者よ、先に触れ。Claude Codeで変わった景色

ワクセル編集部

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2026.07.17
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「社長は知らないのに、現場は当たり前に使っている」。ある日そんな恐怖を覚えた株式会社コミクス代表の鈴木章裕(すずき あきひろ)さんが、Claude Codeを自ら使い始めてから起きた、時間・意思決定・組織の空気の変化について綴っていただきました。

「知らないのに決めている」恐怖

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株式会社コミクスを経営して19年以上になる。ITに詳しいという自覚はなかったが、2024年の夏ごろ、社内でChatGPTを使った自動化が静かに進み始めていることに気づいた。ある日、若いスタッフから「請求書の照合、AIで自動化できますよ」と言われ、「いいね、検討しよう」と返した。だがその言葉は空虚だった。何も具体的にイメージできていなかったからだ。

怖かったのは「知らないこと」自体ではなく、「知らないのに意思決定をしている」という状態だった。2週間後、実際にできあがった仕組みを見て愕然とした。Excelで30分かかっていた照合作業が、ほぼゼロになっていたのだ。驚いたのは効果ではない。自分がまったく関与しないところで組織が変わったという事実に、動揺した。

経営者は組織の変化の起点でありたいという本能がある。なのに変化は自分の知らないところで起き、後から「すごいね」と言うだけの存在になっていた。これが続けば意思決定の質は下がる。AI関連の投資判断も採用方針も「よくわからないけど承認する」だけになってしまう。それは経営の機能不全だと感じた。

これはAIだけの話ではないとも思う。スマートフォンが普及した頃、SNSが広がった頃、クラウドが当たり前になった頃――毎回「先に触った人」と「後から追いかけた人」の間に、小さいようで大きい差が生まれてきた。技術力の差ではなく、「どう使えばいいか」を自分の言葉で語れるかどうかの差だ。AIの波は、その中でも特に大きいと感じている。

Claude Codeに悩みをぶつけてみた

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「コードを書くツール」という先入観を捨てたところから始まった。最初に打ち込んだのは技術的な質問ではなく、「受入企業向けのサポート業務を自動化したい。何から始めたらいい?」という経営の悩みそのものだった。返ってきたのは、業務を「定型」「非定型」「人が判断すべきもの」の3層に分ける提案。この切り口だけで、自動化すべき領域が一気に見えてきた。付箋とホワイトボードで2時間かかっていた整理が、20分で終わった。

それから使い方は広がった。毎月の経営会議のアジェンダ作りは、課題を箇条書きで渡すだけで叩き台が30秒で出る。1時間かかっていた作業が5分の確認作業に変わった。繰り返す作業は「スキル」として定義し、一度作れば使い回せるようにした。最初に作った「顧客フォローアップ下書きスキル」は、1件5分かかっていた作業を1分以下にした。議事録サマリー、提案書アウトラインと、スキルは少しずつ増えていった。

採用面接でも使った。「AIに親和性がある人材」を見極める評価軸をClaude Codeと壁打ちしながら言語化し、「自分で試したことがあるか」「曖昧な状況で自分で判断しようとするか」といった質問例まで整理できた。技術の話ではない。すべて経営者としての対話だった。

変わったのは時間と組織の空気

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会議準備、報告書作成、フォローアップ――積み上げると月に18〜20時間が手元に戻ってきた。だが一番大きかったのは意思決定の変化だ。「よくわからないけど承認する」場面が減り、現場からのAI活用提案は月0〜1件から3〜4件に増えた。書類ミスによる手戻りも、月2〜3件から0〜1件に減った。

2カ月後には、スタッフの側から「これ、Claude Codeでできませんか」という声が自然に上がるようになった。社長が触っている、というだけで組織のムードが変わった。「社長もわからないなりに試している」という空気が、「自分も試していい」という許可になったのだと思う。

自分自身、スタッフとの会話も変わった。「このプロンプト、こう直したほうがよくないか」「この自動化、うちの業務だと週何回発生するの」――具体的に踏み込んで聞けるようになった。社長がツールを知っているというだけで、会話の深さが変わる。それは提案の質にもつながっていく。

組織に追い越されないために必要なのは技術力ではない。「同じ景色を見ている」という感覚だ。完璧な社長である必要はない。わからないことを、わからないまま画面に打ち込む。今日の15分が、経営者と組織を変える最初の一歩になる。