舌から始まる人体構造学②:正しい舌のあり方とは
陸上自衛隊を退職してから鍼灸大学に通い、卒業後に七星スパルタ鍼灸院を開業し、院長を務める平井幸祐(ひらいこうすけ)さん。全国各地での治療や健康セミナー、ワークショップ、歯科医院に呼ばれての講演会なども開催し、多方面で活躍中です。こちらのコラムでは、平井さんより「舌から始まる人体構造学」をご紹介いただきます。
30歳までの夢は「重力からの解脱」
反対咬合と言う、上の歯と下の歯が逆転してしまい下顎が突出してしまう現象はご存知でしょうか?
アントニオ猪木氏の顎を代表としたシャクレです。
僕は、8歳ごろから下顎が出始めて…
それで10〜15歳までチンキャップ(紙のヘルメットみたいなモノ)まで就寝時に付けたワイヤー矯正をやって全く治らなかったのですが150万円は掛かったんです。
「反対咬合」なんて、よく名付けたものでして…
僕なんて気にしていたから人1倍、「姿勢良いね!」と言われて来ましたが…
「反対咬合」に成る舌なんて「反対」な動きしかしていないから身体の中から全部「反対」な訳です。
そして、常に筋肉の過緊張があちこちにあるのです。舌に関しては古武術の秘伝書などを小学生の頃から研究していたのですが…「正確」が解らず終いでした。それで30歳までの夢は「重力からの解脱」でした。
柔軟体操も人一倍やってたし…ウォーターベットを買ったり、ハンモックで寝たりもしました。19歳の時にNYに2か月間ほど滞在した時に、中華街で太極拳の奥義の本を見つけたのですが、そこに描いてあった図は、舌尖(ベロの先端)を上の歯の手前の上顎に付ける位置でした。
その時の僕の舌尖は、舌の前歯の随分下を推している状態なのですから、「舌尖を上顎に付ける」だけでも全く出来ずに、「奥義は始めから難しいな!」で終わってしまっていました。
今では「舌はがし創始者」と呼ばれるように
20年前に、せき歯科医院の関 暁彦先生に出会えて、正しい舌の位置・正しい舌の動き・舌の筋力を知る事が出来ました。そこで一気に、今までの古武術・馬術・自動車工学・ロボット工学・弾薬の知識が舌の本来の機能とリンクしていったのです。この多方面との舌の繋がりの実体験の多さで、「舌はがし創始者」と言う位置付けをされる様になりました。
筋肉もですが…骨も軟骨も重力に対して出来上がって行くのです。筋肉も力強く使えるのは重力線上の上か下です。骨が重力線上だと筋肉は弛緩できます。軟骨は重力に水平に在って筋肉の過緊張が無ければ膨らんで行きます。
スマホも真上に揚げるのは簡単ですが、肘を伸ばして肩より上に揚げるとシンドイですよね。舌もね、真上には揚がるのですが、ちょっとズレると耐えきれずに落ちます。
舌が脳を支えているのは舌尖ではなく、舌根部の付け根から上顎全部を推し揚げている!と言う状態が正常なのです。そうなると寝姿は、真っ直ぐになり、寝返りを打つ事もありません。仰向けで真っ直ぐに寝る事の重要性を知って頂きたいです。