「バズらせる極意」を得てクラウドファンディング専門会社を設立。フリーランスから“代表取締役”となった男の挑戦

迫田 裕幸

迫田 裕幸

2023.05.01
アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_迫田裕幸さん_プロフィール

フリーランスの映像ディレクターとして12年間活動してきた迫田裕幸さん。近年、クラウドファンディングの案件に携わる機会が増え、「バズらせるノウハウ」がたまってきたことから、クラウドファンディングに出店する企業をサポートする会社を設立しました。そこに至るまでの経緯や、仕事に関する考え方などを伺いました。

映像業界からセールスプロモーションの世界へ

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_迫田裕幸さん_自身と挑戦

私はこれまでフリーランスの映像ディレクターとして12年間活動してきました。現在は、クラウドファンディングの出店企業をサポートする『UKIUKI PROJECT 株式会社』という会社を経営しています。

これまでの経歴として、まず映像の専門学校を卒業した後は、ミュージックビデオの制作会社に入社し、CG制作や編集を担当していました。しかし、CDが売れない時代に突入し、制作費が削られるなど先が見えない状況が続きます。「このままではいけない」と思い、広告代理店に転職しました。

そこは、展示会に出店する企業などのセールスプロモーションを得意とする会社で、ブースデザインやLP制作、映像制作などいろいろなデザインを担当しました。紙もWebも映像も経験させてもらったので、幅広い知見を得ることができましたね。今もその経験が生きていると感じています。

ブランディングやマーケティングの要素をとことん学んだので、それらを得意とするフリーランスの映像ディレクターとして独立しました。私のお客さんは、中小企業でも年間の制作費をしっかりと準備している方がほとんどです。ブランディングを向上させるための戦略を考え、それに合わせて映像やWebなど、さまざまなクリエイティブを作成しています。

クラウドファンディングとの出会い

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_迫田裕幸さん_迫田裕幸の今後とは

ここ数年は、クラウドファンディングの案件に携わる機会が増えていました。広告代理店で働いていたので、お客さんから「どうしたらバズるのか」という相談が多く寄せられていたんです。試行錯誤する内に、“バズらせるノウハウ”がたまっていったので、クラウドファンディング専門の会社を設立して、本格的なサポートを始めました。

今のクラウドファンディングは、資金調達する場というよりもプロモーションする場になっています。クラウドファンディングでバズれば、PRや雑誌などの問い合わせが増えたり、新規顧客の開拓につながったりと、さまざまなメリットにつながります。

ただお金を集めるのではなく、先に予約購入してもらえるというのも他にはないポイントです。「お客さんが待っている状態」なので、銀行からの融資も受けやすくなります。

また出店数も多くなっているので、「いかに目立たせるか」という戦略も大切です。クラウドファンディングでモノを買う人はミーハーなので(笑)、新しい体験や新しい価値、共感することがないとお金を入れません。

そのため早目にプロモーションをかけて「商品を欲しい!」と思わせて、初日に購入してもらうことを目標にします。イベントをうまく絡めたり、プレスリリースや体験会、説明会などを準備したりして、クラウドファンディングが始まる3カ月前くらいから、計画的に準備を進める方が成功しやすいですね。

広告代理店に勤めていたときからも感じていましたが、そもそも広告代理店というのが厳しい時代になっていると思っています。ユーザーも広告には慣れていますし、広告に映像のクオリティだけを求める時代じゃなくなっています。

「口コミ」とか「本気のファンの言葉」とかの方が刺さるので、そういうファンや応援団をいかに早く準備するのかが大事だと思います。体験した言葉などが映像になっていると強いです。

クラウドファンディングは、ロケット開発や宇宙開発に近いと思います。ロケットを飛ばすのは一瞬ですが、ロケットを飛ばすためには数年以上の準備が必要です。いかにしっかりと準備するかで、成功するかが決まります。私は「クラウドファンディングロケット」と呼んでいるのですが、そのくらい似ていると思っています。

フリーランスから代表取締役へ

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_迫田裕幸さん_映像編集

あくまでもクラウドファンディングはスタートラインなので、クラウドファンディングが終わった後が重要だと感じています。クラウドファンディング中の数字だけをサポートする企業は多くありますが、大切なのはその後の事業が伸びていくためのサポートです。

たとえば、リターンの商品をなるべく2、3カ月で配って一般販売を早くしたり、購入先のECサイトを用意したりと、クラウドファンディング後、ユーザーの熱が冷めない内にどんどん広げていくことが重要です。こうした商品のブランディングを向上させるサポートを、これからも企業と二人三脚で行っていきたいと思っています。

私はフリーランス歴が長いのですが、経営者としてはスタートしたばかり。クリエイターとして良い物をつくるのは当たり前ですが、それとビジネスをどう両立させていくかを日々学んでいます。

これからも楽しみつつ、いろいろなことにチャレンジするつもりです。失敗も含めて、チャレンジする経験が自分を成長させ、より面白いクリエイティブができるのではないかと思っています。

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