フリーアナウンサーの朝チア部長が目指す世界「応援で自分も周りも幸せになる」

朝妻 久実

朝妻 久実

2023.04.28
アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_朝妻久実さん

殺伐とした朝の通勤時間の駅前で、元気いっぱいにチアリーディングをする集団。その代表を務めるのは、フリーアナウンサーとしても活躍している朝妻久実さんです。『女版・松岡修造』の異名を持つ彼女ですが、どうして人を応援しようと思ったのか、これからのビジョンを含めて語っていただきました。

応援されてつかみ取ったアナウンサーの道

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私はAJO(一般社団法人全日本応援協会)の代表理事をしています。そして、東京や神奈川、静岡などの駅前で、朝からサラリーマンたちを応援するチアリーダーの2代目部長を務めています。

チアリーディングに青春をかけた学生時代を過ごした後、就職活動ではアナウンサーを志望しました。でも、アナウンサー試験だけで70社ほど落ちてしまい、どうしたら良いかわからない状態のとき、どうにかして何かを掴みたい!という思いで、北海道の実家にいるころからいつも聞いていたラジオ局に電話をかけ、実際に会社訪問をさせていただきました。そうしたら、憧れていたアナウンサーの方が対応してくれたのです。

70社も落ちているような学生の実力なんてすぐにわかるはずなのに、私の話を一生懸命に寄り添って聞いて下さいました。そして最後に「あなただったら絶対できると思うから、あきらめずにがんばってみたら?」と言っていただきました。

そのひと言で「絶対にあきらめない」と強く決め、2年後に局アナの内定をいただきました。応援や励ましは人の人生を変えることが出来るんだと思えた瞬間でした。

残念ながら局アナは1年で終わってしまいましたが、局アナの肩書やテレビの仕事をした実績が多少できたので、それを持って東京に戻りました。けれども、その後のフリーアナウンサーのお仕事にはまったく繋がらず、「何をやっても無駄だ」と自暴自棄になっていきました。

衝撃的だった朝チアとの出会い

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すべてに対してやる気がなくなってしまったとき、友達から「言い訳ばかりで、一体何をやりたいの?」と聞かれて、学生時代にチアリーディングへ青春をかけていたことがふと頭に思い浮かびました。

全力でがんばっていたあの頃に戻りたいという感覚から「チアがやりたい」という言葉が出ました。そうしたら、「今チアで話題になっている人がいる」と教えてもらった方が、朝の駅前で出勤途中の人を1人で応援しているチアリーダーでした。

当時は「こんなことが出来るのはこの人だからだし、私には無理だ」と思っていましたが、勇気を出して見に行ってみました。その方が駅前で一生懸命に応援している姿を見たとき、変わりたいと思っていた私の心にすごく響きました。

「今日ここで私を見かけたみなさんが、ちょっとだけ勇気を出す、そんなエネルギーになりたいと思います。今日も1日がんばりましょう。がんばります!」と、終わりのスピーチで言っていて、自分の殻を破ろうと決意しました。その場で「私も一緒にやってみたい」と伝えたのがきっかけです。

私が今も応援を続けているのは、応援すると自分も元気になれるからです。応援される喜び以上に、応援する方が形のないギフトがたくさんあって、自分の成長やいろんなものが豊かになっていきます。応援は、相手も自分も両方ハッピーになれるんです。この価値や文化を広めたくて、AJO(全日本応援協会)を立ち上げました。

応援することで自分も幸せになる

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なぜ人は応援したりされたりすると心が前向きになるのか、この力は何だろうと考え、『応援学』というものを構築しています。これは感覚で伝わる人もいれば、感覚だけじゃ伝わらない人もいます。もっと応援自体の必要性を広めていくためには、「なぜ?」というところを科学的にひも解くことが必要です。

私がハッピーになれると言っているのは、感覚的なものだけではありません。人は応援する気持ちになったときに『オキシトシン』という愛情ホルモンが分泌されます。人を思う気持ちで多幸感を得られたり、ストレスが軽減されたりするので、現代人に必要なものだと思います。

「応援は特別なもの」「スポーツの世界にだけあるもの」と、捉えている人がいるかもしれませんが、そんなことはありません。応援にはいろんな形があって、誰かの話に耳を傾けて聞くだけでも応援になります。自分の仕事を心から相手のためを思ってやることすべてが応援です。やることすべてに応援マインドを持ち「誰かのため、何かのための行動」であれば、それは全て“応援“です。

その一環で、昨年から『応援アワード』を開催しています。これは応援する企業・人・団体を表彰するというもの。一般部門では、応援が力になったという『応援エピソード部門』と、応援するための取り組みを紹介する『応援アイデア部門』があります。

その他に『特別表彰部門』があって、芸能人・文化人・アスリートの中で、この人こそが応援を世の中に広めている象徴だという人を、私たちが勝手にノミネートして表彰します。2022年は松岡修造さんを表彰させていただきました。

応援アワードを通して、「誰かを何かを応援したい!」という思いやアクション、取り組みを表彰する形で「価値」を付け、そこに関わる企業や社会を巻き込んでいくためのイベントにしていきたいと考えています。まずは応援会員を1,000人にすることを目標に、応援ビジネスをこれからもっと増やしていきたいです。

また、2022年に『誰かをちょっと応援するだけで幸せになる!』という本を出版しました。「全力でがんばっているけどうまくいかない」「何か突破口を見いだしたい」という人のために書いた本で、幸せな気持ちになるためのヒントがたくさん散りばめられています。良かったらぜひ読んでみてください。

これからはこの本をひっさげて講演活動をしていきたいと思っています。唯一無二の『講演チア』を全国各地でやっていきます。