サンゴの魅力を伝え、美しい沖縄の海を後世まで残したい
珊瑚とはどんなものか。株式会社ラグーンのダイビングインストラクター大嶋紗織さんは「サンゴは生き物であり海の生態系の土台である」と話します。本コラムでは、知ってるようで知らない珊瑚の魅力をお届けします。
ダイビングインストラクターはお客さまの命を預かる仕事
子供のころから海が身近にあり、毎日海に出て遊んでいました。その影響もあり、海にかかわる仕事がしたいと思い、ダイビングインストラクターの道を選びました。
ダイビングは潜るたびに海の状態が違うので、毎回見える世界が違います。18年間ダイビングをやっていますが飽きることはなく、むしろ今が一番楽しいと感じています。
ただ、インストラクターを始めたころはお客様の命を預かる仕事ということにプレッシャーを感じることもありました。そこから経験を重ねることで、さまざまな判断ができるようになり今では緊張感を感じつつも楽しめるようになりました。
サンゴは生き物であり、海の生態系を支えている
奄美大島で海に潜っていたときに、サンゴはとても美しいと思いました。しかし、地元の方から「これはサンゴの死骸なんだよ」と聞き、サンゴが生きていたらどんな世界なんだろうと興味を持ちました。また、サンゴが動物だと知らなかったので、サンゴがどんな生き物なのかにも興味をもつようになりました。
サンゴは動きませんが、ほかの動物と同じように自らご飯を食べる生き物です。その一生懸命生きている姿がとても愛おしいと感じます。そして、サンゴは海においてかけがえのない存在です。
小さな魚、カニやエビの住処としての役割があり、我々が見えていない世界も支えています。さらに、死んだサンゴには海藻がつき、その海藻をエサとする貝などが集まります。
このようにサンゴは生態系の土台として海の中で大切な役割を担っています。そのため、サンゴを保全していくことが大切だと伝えていきたいです。
サンゴを保全する活動を通じて豊かな自然をこれからも
地元の漁師さんたちはこれからも豊かな自然を保ち続けるため、サンゴを保全する活動をされています。この素晴らしい活動を多くの人に伝えたいと思い、ラグーンでは「オリジナルガイドブックを用いたサンゴの生態、現状の解説」「サンゴの苗づくり体験」「植付けシュノーケル」などを行っています。
陸上とは異なり、水中ではまっすぐ進むだけでもひと苦労です。サンゴを植えつけるために岩に穴をあけるだけでも大変な作業なので、自分の命と向き合いながら、貴重な体験をしていただけます。
こういったラグーンの活動は、地元の漁師さんの「子や孫の世代まで美しい美ら海を残したい」という思いから立ち上がりました。今ある自然をこれからも大切にすることはもちろん、そこに人の思いが重なることで多くの人を巻き込んだ活動が生まれてきます。
ラグーンを通じて、自然の美しさや人の思いが重なり、その結果多くの人にきっかけを与える。そして、そのきっかけから行動に移すことで、さまざまな活動が生まれたらいいなと思います。