「癒しと感動を提供する庭づくり」を日本から海外へ

有限会社わかな造園

有限会社わかな造園

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千葉に拠点を構えるわかな造園は、ベトナムをはじめとする海外での日本庭園づくりに取り組んでいる企業です。二代目社長を務める代表の若菜 義大(わかな よしひろ)さんに、海外展開にチャレンジしたきっかけや日本庭園の魅力についてお話を伺いました。

植木から造園まで手がけるわかな造園

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_有限会社わかな造園_植木から造園まで

有限会社わかな造園は、造園の会社です。一般の戸建て住宅や店舗の植栽、庭全体、マンションに植えられている植物の維持、管理、メンテナンスをしていくのが主な事業です。エクステリアと呼ばれる最近のお庭をつくることもやっていますが、日本庭園の造園や管理もおこなっています。

会社を設立したのは父で、当時は植栽、植木のみを行う会社でした。千葉県の土気にあすみが丘という団地があるのですが、集合住宅で建売住宅がどんどん建っていって。最初のうちは植木の工事も多くて良かったのですが、家が完成していったらこの仕事はなくなると感じました。同時に庭をつくりたいなという想いはあったので、そこからチャレンジしました。

始めた当初、あまりリスクは考えていませんでした。いきなり始めたわけではなく、造園の専門学校を出た後に父のもとで仕事をしていたのですが、あるきっかけで日本庭園をつくる機会があって。当時一緒に仕事をしてくださった造園会社さんの技術レベルが高く、父に相談して一度その会社で学ばせていただいたのです。そこで学んだことを活かして事業を拡張したので、まったく違うことをしているわけではなく、そういう意味ではリスクや怖さはあまり感じていませんでしたね。

もともとはプロサッカー選手になりたかったです。土気に生まれたのでサッカー名門校の市立船橋高校に行きたかったのですが力が及ばず、高校は青森に行って、かなりハイレベルな選手権にも出させてもらいました。そこでやり切って、結果的にプロにはなれませんでしたが、自分の中では満足しました。その後、両親が創業した仕事で何か手伝いができたら、というのが今の仕事のスタートです。

それから専門学校に行って、そこで僕は植物が好きなのだと気づきました。高校までは気づかなかったので意外でした。一般的には葉っぱを見ただけではわからないので、今のようにタブレットなどが無いので図鑑を持ち歩いて、マーカーを引きながら、1つ1つ覚えていくのです。何科で何目で、どういう害虫がつきやすいとか。そういうのを覚えるのが楽しかったです。今でもわからない植物は調べますね。小さい頃から周りが植物だったので、その頃から好きだったのかはわからないのですが。

国内外問わず日本庭園の魅力を伝えたい

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_有限会社わかな造園_国内外問わず日本庭園

一番こだわっているのは庭園ですが、実は日本でのニーズは少ないのです。そこで今は海外にニーズを求めています。わかりやすいところだと、ベトナムにはニーズがあるのが明らかで、実際にベトナムでも庭園づくりをしています。世界に日本庭園の価値を出していきたい想いがあります。ただまだまだうまくいっていないので、どうやったらうまくいくか考えているところです。

海外に目を付けたのはコロナがきっかけでした。コロナの時期にZoomで話すことが増えて、海外の方ともお話できるのがすごいなと思って。実際に30カ国近い国の人に聞いてみたのです。日本庭園のニーズがあるか聞いて回ると、日本文化に興味がないと答えた人は一人もいませんでした。それで、海外で自分のやりたいことができる可能性は高いのではないか、と思ったのです。

ベトナムにニーズを見出したのもZoomがきっかけですが、ビジネスパートナーもZoomがきっかけでした。「この人とだったら一緒にできそう」と思えた方と出会えたのが大きいですね。今のパートナーはベトナムに10年以上住んでいる日本人の方で、現地で会社を経営しています。そういうパートナーを今でも探し回っています。

日本で仕事するのと海外で仕事するのとは全然違います。何時に打ち合わせするとか、日本はある程度きっちりしてますが、海外はそのあたりが”適当”なのです。もちろんすべてがルーズということはないのですが。ベトナムに行ったときはたまたま旧正月で、昔の日本のように人やお店が止まってしまって難儀した思い出もあります。ただ言葉やコミュニケーションでストレスを感じたことはないです。

日本庭園の価値、自分がつくるに当たって職人としての価値を感じてもらえれば、場所はどこというこだわりはありません。どこに行っても作れたら良いなと思います。

生真面目で忙しい日本人に癒しと感動を

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_有限会社わかな造園_日本人に癒しと感動

将来的には、日本庭園をつくれる職人を残したいと考えています。今の状況では職人を作っていないので残せない。デスクで指示しても伝えられないことが多く、自分自身が一緒に現場で仕事をしながら、というのが一番効果的なので、代表はあと7年で降りようと考えています。50歳になったら完全に職人に戻って、60歳くらいまで10年間は完全な職人としてやりたい、これは僕の夢として社内でも公言しています。

人間は、植物がないと生きていけないと思うのです。経営理念に「癒しと感動を提供する庭づくりをする」というのを掲げているのですが、日本人はどうしても生真面目で忙しいですよね。癒しを提供できる庭をつくっていきたいなと思っています。

そしてなにより、自分は現場で仕事しているのが一番楽しいのです。「豊かな人生」にはいろいろな考え方があると思いますが、僕は庭園を作っているときが一番楽しい。ひとつの作品とまではないですけど、自然の意思や樹木などを組み合わせた庭園を見て癒しや感動を覚えてもらえるのが自分にとっては生き甲斐、働き甲斐だと感じています。

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