著書70冊以上のイラストレーターが伝える「仏像の奥深い世界」

田中 ひろみ

田中 ひろみ

アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_田中さん

元看護師でありながら、今はイラストレーター・文筆家として活動している田中ひろみさん。京都の仏像に恋をしてから、仏像や神社仏閣についての書籍を70冊以上も出され、メディアにも多数出演しています。仏像に魅了され、その魅力を世界に伝える活動をされている田中さんにとっての仏像の魅力とは?仏像愛たっぷりに語っていただきました。

京都の三十三間堂の仏像へ恋に落ちる

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_田中さん

私は子供の頃から歴史が好きで、神社仏閣は慣れ親しんだものでした。仏像好きな叔父に連れられて、奈良・京都の仏像を見に行く機会が多くありました。子供の頃はあまり興味が持てなかった神社仏閣も、段々と年を重ねるにつれて心に染みてくるようになりました。

現在は、イラストレーターや文筆家として仏像や神社仏閣について絵と文を書いています。子供の頃からイラストレーターになりたかったのですが、親に「絵では食べていけないから手に職をつけなさい」と言われ、とりあえず看護師になりました。そこでお金をためてから絵の学校に行き、小説家のアシスタントのバイトを経て独立。そこからイラストのお仕事をしています。

江戸の史跡巡りの本を書くことも多くなって、頻繁にお寺に行くようになりました。そんな中、京都の三十三間堂で出会った仏像に恋に落ちてしまいました。

恋に落ちてから、「仏像についての本を書きたい」という気持ちが大きくなり、小学館から『仏像、大好き!』という本を出版することができました。その中では、みうらじゅんさんと対談もしています。仏像の見方や、おすすめの仏像をイラストと文章でご案内している本で、重版もかかるほど売れました。

そういった本をいろいろと書いていますが、1番ヒットしたのが写仏シリーズです。『仏像なぞり描きシリーズ』が特にヒットして、ありがたいことに累計20万部売れています。写経はお経をなぞって心を整える修行ですが、写仏は仏画をなぞって心を整える修行です。おうち時間も増え、集中してできるということでヒットしました。

仏像関係の本を書くこと以外にも、カルチャーセンターで講師をしたり、バスツアーの同行講師をしたり、お寺での講演会などもしています。名古屋テレビでお寺をご案内する役をやらせてもらうなど、ときどきテレビやラジオに出たり、YouTubeなどもやっています。

女子の仏教レジャーサークル『丸の内はんにゃ会』の代表も務めています。OLなど会員がみんなで一緒に写経に行くことや、そういった仲間をつくろうということで発足した会です。その会でも写仏をやって人気でした。

いつも気持ちに寄り添い、見守ってくれる仏像

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_田中さん

仏像の魅力はたくさんありますが、お寺に行けばいつもそこにいらっしゃることが魅力のひとつです。彼氏や友達だったら相手の都合を聞いて予定を合わせないといけませんが、癒やされたいときに行ったら仏像はいつもそこにいて、優しい目線で私たちを見守ってくださる。行くだけで癒やされます。

そして、同じ仏像であってもそのときの自分の気持ちによって見え方が全然違うのも魅力です。悲しいときは「大丈夫かい?」と寄り添うような表情に見えますし、不安なときは「しっかりせぃ!」としかってくれるように見えます。

角度によってイケメンに見えたり、立って見るのと座って見るのでは違って見えたりもします。同じ仏像でも行くたびに表情が違って見えるところが、私たちの気持ちに寄り添ってくれているなと感じます。

2009年に東京国立博物館で阿修羅展があったとき、仏像ブームが起こったと感じています。今まで言えなかった人が表立って言えるようになってきたのか、阿修羅展がきっかけで好きになったのかはわかりませんが、その頃から「私も仏像好き」という人が急に増えてきました。老若男女の世代を超えて広まっている気がしています。

毎月カルチャーセンターで史跡巡りについて教えていますし、仏像講座を持っているので、

仏像は数えきれないくらい見ています。そんな私が1番好きなのは、京都の永観堂の『みかえり阿弥陀』です。

差し込み画像1_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_田中さん

この仏像は、正面から見るとお顔が見えなくて、横から見るとお顔が見えるようになっています。昔、永観という和尚がお経を唱えながら、阿弥陀様のまわりを念仏を唱えながら一晩中ぐるぐる巡る修行をしていました。そのときに阿弥陀様が檀から降りてきて振り返って「永観遅し」と言った姿を模した仏像です。一緒に修行をしてくださる優しい阿弥陀様です。

仏像の魅力を世界やネットへ発信

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_田中さん2

仕事においての戒めでもありますが、感謝をしながらやりたいと常に思っています。お寺に行ったら「感謝しなさい」といつも言われます。仕事をいただけてありがたいと思いつつ、感謝の気持ちを持ち続けられたら良いなと思っています。

ありがたいことに、海外向けの書籍も出版しています。日本で出版された本を翻訳したものです。コロナ禍の前は高野山に行ったら8割ほどの方はヨーロッパ系の人がいましたし、アジア圏の方もたくさんいらっしゃいました。海外でも仏像や神社仏閣は人気があり、需要がとても高いです。

YouTubeで『田中ひろみちゃんねる』というチャンネルを持っているんですが、そこからもっと世界とつながりたいと思って配信しています。今はメタバースでギャラリーを開いていますし、ネットで世界とつながりやすくなりました。そこから、もっと多くの方に私も仏像も知られたら良いなと思っています。

田中ひろみちゃんねる

http://urx3.nu/LVNu

仏像はマニアックな趣味と思われがちですが、知るとすごく楽しみがあるので多くの方に知ってもらいたいです。テレビやYouTubeにどんどん出て、広報活動をしていきたいと思っています。

先日、『四国遍路 別格二十霊場 空海伝説の地を旅する(西日本出版社)』という新刊を出したのですが、四国にある『別格二十霊場』のご案内をしたものです。御朱印帳と、御朱印のイラストを描かせていただいているので、そのことも含めてオールカラーの本になっています。ぜひ手に取って読んでみてください。
https://www.amazon.co.jp/dp/4908443742

仏像のことをわかりやすくイラストで説明した本「仏像イラストレーターが作った仏像ハンドブック(ウェッジ)」も評判で4刷になりました。是非、あわせてお読みください。https://www.amazon.co.jp/dp/4863102291

差し込み画像3_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_田中さん
差し込み画像2_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_田中さん
著者をもっと知りたい方はこちら