「ご縁つなぎ」を続けてきた元格闘家が芸術家に転身!人々を惹きつける作品の源泉とは

元総合格闘家で企業研修や講演、出版も手がけてきた大山峻護(おおやま しゅんご)さん。難病発覚をきっかけに絵を描き始め、開催した個展は1週間で900人が来場するなど話題を呼んでいます。個展開催までの経緯や作品にかける想いについて、お話を伺いました。
10カ月で400点の作品を生み出して個展を開催

作品に没頭するきっかけになったのは、難病のアミロイドーシスが見つかったことです。
居酒屋でドラえもんの絵を描いてみようという話になって、そこで描いた絵をSNSに載せてみたら思った以上に評判で、色も塗ったりするようになりました。
「絵を習ったことがないので教えてくれる人いませんか」と呼びかけたら多摩美術大学名誉教授の西岡文彦先生からすぐに連絡がきて、「すごく良い絵だから人に習わないでください」と言われたのです。これから絶対評価されて残っていくから、スケッチブックにきちんと描いてください、と。飛び上がるほど嬉しかったですね。ずっと格闘技をしてきたのでその後画材店に行くのも初めての体験で、ワクワクしました。
そこからさらに絵を描くようになったのですが、4月になって難病のアミロイドーシスが見つかったのです。そこで生存本能が働いたというか、「何かを残さないと」という気持ちになりました。
アントニオ猪木さんが同じアミロイドーシスで闘っている様子をずっと見ていたので、子どもの頃から好きだった人と同じ難病になってしまった、というのは僕にとって大きかったです。
ただインパクトは大きいのですが、落ち込むことはありませんでした。格闘技をやっていた頃からその瞬間を生きてたくさん藻掻いてきたので、苦しい世界に没入しない、俯瞰する癖がついているのです。ドラマみたいで面白いな、といった感覚ですね。
そこから作品づくりにのめり込んでいって。作品がたまってきた頃に格闘家時代の師匠の手塚高弘さんから「個展を開催するといい!」と背中押しの言葉をいただきました。そして、ちょうど同じ頃に「全面協力するから個展をやりましょう」と株式会社ジャストプロ代表の寺井禎浩さんからもお話をいただきました。お二人からお声がけを頂き、そこからまた火がついて作品をつくり続け、10カ月で400点以上つくって、粘土の作品も製作しました。
想いのこもった作品が共感を呼び、個展来場者数は1週間で900人に

たくさんの方の後押しもあって開催ができた念願の個展。会場は、普通の人がやるには少し広い場所だったのですが、実際に見たらワクワクしちゃいました。この場所だったら仲間もたくさん来て繋がりもできて、アーティストの友達とか呼べたら楽しいだろうな、と。
僕は、作品一つひとつに念を込めています。これを見てくれた人が元気になってくれたらいいなとか。描いたものを並べて置いているのですが、どれも愛おしくて作品に語りかけたり、少しでも絵が良くなって欲しいと思ってモーツァルトを聴かせてみたりしました。目に見えない想いが作品に入ってくれて、見てくれた人が共鳴してくれたのかもしれません。
個展には僕のことを知らない人もいろいろなところから噂を聞いて来てくれて、作品の想いに共感して泣いてくれる方もいました。作品は120点出していたのですが、初日で半分買いたいって人が出てきて、ストックしている絵をどんどん出したらそれもどんどん売れてしまって、結果162点出しました。絵のほうは完売です。1週間で延べ900人が来場してくれて、日めくりカレンダーも完売でした。大学時代の恩師や中学時代の同級生、人生で大切に思っている人がたくさん来てくれて、生前葬なのかなと思ってしまったほどです(笑)。
今までにない個展にしたくて、何回でも気楽に来てくれるような、ずっといたくなるような居心地の良い個展にしたかったのですが見事にそうなって、3回、4回と来てくれる人や、開場から終わりまで居てくれる人もいました。毎日トークライブをしたら今までのご縁つなぎで繋がったすごい方々が集まってしまいましたね。
スピリチュアルカウンセラーの方々も口を揃えて「この場所のエネルギーがすごい」と仰っていて。個展の会期中はボランティアの人が帰った後もなかなか帰れませんでした。作品が愛おしいのと、この現実が消化しきれなくて、夜中の1時まで会場に1人でいたのです。絵は行き先が決まっているので、こんな風に並ぶのはもう見られないと思うととても感慨深くて。あまりにも初めての経験で、会場でしばらくぼーっとしちゃいましたね。1週間毎日タクシーで帰っていました。
人生は川の流れのようなもの。苦しい体験も必ず意味がある

プロのファイターになったときに景色が一気に変わっていって、自分が流されてどんどん景色が変わっていくという感じで、人生のスピードは川の流れのように体感できるのだと思いました。今回もあのときと同じで人生の川の中に入ってしまって、自分の意志とは関係なく流されて行っている感じですね。1年でこんなに人生が変わってしまうなんて、すごいと思っています。
身体のほうは先日難病申請が通って、治療法はないのですが進行を遅らせる注射を打っています。ここ最近は息苦しさを感じたり、手の痺れが悪化したりはしているのですが、落ち込むことはないですね。これがあるから幸福度が下がるというのはなくて、ただ息が苦しいだけ。現役時代に苦しい思いをしてきてよかったなと思います。当時は「どうしてこんなに苦しい思いをするのか」とわからないじゃないですか。後々アレが必要だったのだと思わされるときが来るものなのですね。いっぱいいろいろなことがあったけれど、全部このためにあったんだな、と。
とにかく人が喜んでくれることが嬉しくて生きてきているので、今までは今この瞬間の人たちだけが対象でしたが、アートは100年後、自分が亡くなったあとの人たちも元気づけてあげられる。そういう作品を、ひとつつくってやり切りたいと思っています。
私のご縁繋ぎの極意は、下記の書籍でも紹介しておりますので、ぜひお読みになってみてください。
https://waccel.com/book/the-law-of-connection/
