大山峻護が切り拓いた格闘家のセカンドキャリア「ワクワクすることに挑戦し続ける」

大山 峻護

大山 峻護

2024.03.06
嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_大山峻護さん

大山峻護(おおやましゅんご)さんは元総合格闘家で、現在は企業や学校向けにトレーニング指導や講演を行っています。大山さんの格闘技キャリアは多岐にわたり、PRIDEやK-1、パンクラスなど、多くの団体で戦いました。現在は、フィットネスと格闘技を融合した研修プログラム『ファイトネス』を運営。格闘技だけでなく、社会貢献にも活動を広げる大山さんに、これまでの半生を伺いました。

ヒーローへの憧れが導いた人生

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_大山峻護さん_PRIDE

私の人生はすべてヒーローへの憧れからスタートしています。私の世代は戦隊モノやウルトラマンが流行っていて、「ヒーローみたいに強くなったらどんな景色が見えるのか」と、大きな影響を受けてきました。

幼い頃はとても弱虫な性格で、母がいないと何もできない子供でした。たまたま見たテレビを見て強くなりたい気持ちが芽生え、取り組み始めたのが柔道です。幼稚園から始め、小中高、大学、実業団まで続けたほど柔道人生まっしぐらでした。

ヒーローに憧れて柔道を続けていたなかで、2000年代前半にはPRIDEが総合格闘技の世界最高峰の舞台として脚光を浴びていました。その舞台に桜庭和志さんが登場し、私はまるでリアルなウルトラマンを目の当たりにしたかのような衝撃を受けました。

東京ドームで桜庭さんの試合を見ていた際、観客全体が「桜庭」コールで会場を揺らした瞬間、「絶対にあのリングに立つ」と心に誓い、そのイメージは今も鮮明に記憶に残っています。“桜庭コール”で東京ドームが揺れた時、「絶対あのリングに上がるんだ」と脳内でイメージしたのは今でも鮮明に覚えています。

東京ドームでの衝撃をきっかけに、アマチュアの競技大会に出るようになりました。あの日からずっとワクワクが止まらず、リングに上がることを頭の中で想像する毎日。何か新しいことに挑戦したいという強い欲求に駆られていました。実業団での柔道選手として活動していた時に、他の競技大会に出場して優勝することもありました。

その実績が格闘技の関係者の目に留まり、アメリカでの大会参加の打診を受けました。当時は大手ガス会社に勤務しており、経済的な安定は保証されていましたが、格闘技の世界には、会社では味わえないドキドキやワクワクがあります。

会社に残ることを想像すると、子供の頃のヒーローになる夢が叶えられなくなると思い、会社を辞めてアメリカの試合に出場することを決意しました。

プロ格闘家としての壮絶なキャリア

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最初の試合では、体重が120kgもある大きな選手と対戦しましたが、奇跡的にパンチが相手選手の顎に命中し、開始わずか17秒で勝利を収めました。当時、格闘技がブームであり、多くの格闘技番組でこの勝利が大きく取り上げられました。

同じ時期、PRIDEで連勝を続けていた桜庭さんが、初めてブラジルの選手に敗北。日本人選手のリベンジを担うべく白羽の矢が立ったのが私でした。桜庭さんの試合から約1年後、絶対に上がると決めていたリングに立つ機会をついに得ることができました。

夢を実現しましたが、プロの世界は甘いものではありません。右目の網膜剥離から復帰した矢先に腕を折られたり、その後、左目も網膜剥離となりました。それでも子供のころからヒーローに憧れ、桜庭さんに憧れて立ったリングだったので、怪我をしても戻ることが当たり前だと思いました。リングに立つたびにワクワクが止まらなかったですね。

プロとして14年間のキャリアを経て、40歳で引退。デビュー以来、体格の大きな選手との対戦が多く、身体にはダメージが蓄積していました。外傷は治っても、脳内のダメージは溜まる一方だったので、「ここまでやったから十分だ」と身体からのメッセージを受け取り、引退を決意しました。

幸福に人が集まることを体感

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_大山峻護さん_運動プログラム「ファイトネス」

格闘技選手としての引退後、セカンドキャリアの選択肢が限られていることに驚きました。これまで全力で戦ってきたのにと悔しい思いを抱えながら、セカンドキャリアとしてたどり着いた分野が企業研修でした。

仕事やストレスで苦しんでいる人々を励まそうと、運動プログラム『ファイトネス』を立ち上げることに。社会人として初めてスーツを着て営業活動やプレゼンを行い、気がつけば100社以上の実績ができました。

柔道から格闘技、企業研修と突き進んできましたが、コロナ禍により研修がなくなってしまいました。自分の時間ができたことで、初めて安らぎと安心感を得られたように思います。

「今、幸せを感じることをしなければ、いつするのか」と考え、一時的に夢を持つことを止めました。今を十分に味わいながら、人が喜ぶことだけに気持ちをフォーカスすると、自分の幸福度が上がってきました。すると、周りにいる人が増えてきて、「幸福に人が集まる」という体感がありました。

与える人の周りには人が集まるものです。ここからさらに縁を深めていければと思います。夢を形にした経験から、これからもワクワクすることに挑戦し続けようと思います。そして、今を大切にして感謝することが、人生を豊かにすると信じています。

大山峻護さん書籍 『ビジネスエリートがやっているファイトネス -体と心を一気に整える方法-』



<ワクセルの格闘家コラム>

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