学生団体の立ち上げから起業の道へ。対話の力で気づけた「ありのままの自分」

米ケ田 和香奈

米ケ田 和香奈

アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_米ケ田和香奈さん_プロフィール

海外留学や周囲の人との対話をきっかけに病気を克服した米ケ田和香奈さん。自分のように苦しむ人を少しでも救いたいという思いから、学生団体を創業し、ホームステイと対話ワークを取り入れた『Homiracle(ほみらくる)』の活動をスタート。米ケ田さんがどのような思いで活動をしているのか、その背景をお伺いしました。

“病気”から学んだこと

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私は、保健師として働きながら『株式会社Homiracle』の代表取締役社長をしています。会社で運営している『Homiracle(ほみらくる)』は、主に思春期の中高生を対象にした、オンラインホームステイと、対話ワークを掛け合わせたサービスです。

私は高校生の頃から、自分への価値を見いだすことができず「みんなと同じが正しい」という狭い価値観の中で生きてきました。自分の考えを人に合わせ、気持ちを抑え込んでいたのだと思います。でも、そのうちに「自分は何が好きなんだっけ?」と思うようになり、自分で自分のことが分からなくなってしまったんです。

その結果、大学生のときに病気を発症しました。病名としては、摂食障害です。当時はかなり追い込まれていたと思います。

それでも周囲の手助けがあり、少しずつ回復しました。今思えば、周囲の人たちは自分のことを「よく見捨てないでいてくれたな」と思います。当時は、少しでも気に入らないことがあると怒り、自分では制御できない状態でした。

でも家族や友人が、そんな自分を根気強く支えてくれました。病気を通して、周囲の人の大切さと、ありのままの自分に向き合うことの大切さを学べました。

海外留学で見つけた“本当の自分”

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海外旅行も、病気が治るきっかけのひとつです。大学2年のときに初めて海外留学へ行ったときに、多種多様な人が自由に生きている姿を見て、自分の価値観が大きく変化しました。まさにカルチャーショックです。

「色々な人がいていい!」「友達に合わせる必要はない!」「友達がいなきゃいけないわけじゃない!」と、これまで狭い価値観で生きていて、取り繕っていた自分がポロポロと崩れていくのを感じました。それをきっかけに大学生のときは、8カ国くらい旅をしましたね。

病気と向き合い、共に歩めるようになった大学3年生のときに、「自分にできることがあるんじゃないだろうか」と考えるようになりました。当時考えていたのが、「対話の力を広める活動」です。

中高生のときは、誰かに自分のことを話す場はほとんどありません。むしろ対話に抵抗がある人も多いですよね。でも大学生になって自分の気持ちを誰かに話したり、お互いの気持ちを話し合ったりする機会が増えました。

対話はものすごくパワーがいることです。でも、ありのままの自分をさらけ出してそれを受け止めてもらえたとき、強い幸せを感じました。そういう対話ができれば、自分のように苦しむ人が減るのではないかと考えたんです。

そのとき『Homiracle(ほみらくる)』を立ち上げるきっかけとなった共同創業者と出会いました。その子から「こういうサービスをやりたい!」と、原型となるビジネスの話がありました。

まさに自分がやりたいこととマッチしていたので、学生団体を一緒に立ち上げて活動を始めました。10回以上のイベントを主催したり、ビジネスコンテストに出場したり色々な活動をしました。そして2022年のビジネスコンテストで審査委員長賞を受賞し、起業の支援を受けられることになったんです。

株式会社にすることで自分たちの本気度も伝わります。また法人化しておけば、企業同士の取引もできるため、株式会社にすることを決めました。その後、共同創業の子が離れてしまったので、私が代表取締役に就任しました。

『Homiracle (ほみらくる)』が目指す未来

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_米ケ田和香奈さん_対話ワーク

『Homiracle(ほみらくる)』では、まず丁寧なカウンセリングや対話を行い、自分の価値観を改めて見つめ直すワークをします。たとえば、自分が好きなこと/嫌いなこと/やりたいこと/やりたくないことなどを明確にしたうえで、ホストファミリーとの対話に入ります。

そこで彼らの価値観を知ることで自分の価値観が崩れ、大きな気付きを得ている人が大勢います。対話が持つ無限の力を感じますね。

また『Homiracle(ほみらくる)』は、その人のわがままを受け入れています。サービスをメニュー化して型を決めているわけではないので、丁寧なカウンセリングを行い、その人がやりたいことを第一に考えています。たとえば、提携していない国のホームステイがよければ、その国のホストファミリーを探すこともします。大切なのは、その人が何をしたいのかという点です。

私たちの仕事は、ありのままの自分を見つけるお手伝いをして、一人ひとりの生き方に寄り添っていくことです。『Homiracle(ほみらくる)』を通じて、自分の持つ要素を言語化して、他の人に堂々と伝えられる人が増えてほしいと思っています。
最終的なビジョンは、『Homiracle(ほみらくる)』が中高生の塾や英語のスクールに組み込まれることです。そして「You are you」「I am i」という、ありのままのお互いを認め合える社会づくりに貢献したいと思っています。