ファッションに関わる人が楽しめる環境づくりを!エシカル・サステナブルを掛け合わせた理想の世界とは

鈴木 友都

鈴木 友都

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ファッションに、エシカル・サステナブルを組み合わせた活動をしている鈴木友都さん。華やかな業界である一方、過酷な労働環境や自然環境の破壊などもあるなか、ファッションを純粋に楽しめる環境をつくるために奔走しています。鈴木さんが実際に見て体験してきたファッションの世界や、これからの展望について伺いました。

ファッション×エシカルで広がる多様性

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_鈴木友都さん_ファッションとエシカルとサスティナブル

普段はライフスタイル雑貨チェーン店での販売員をしていますが、休日を使って、エシカル・サステナブル界隈の人のお手伝いをしています。イベントに足を運んで輪を広げたり、SNSや口伝えで出会った人たちの活動をシェアしています。

この活動のきっかけは、僕の周りにいる素敵な人やブランドをもっと色んな人に知ってもらいたいと思ったからです。自分が働いているお店なら、お店に合いそうなものを上司に提案しますが、それ以外にも素敵なものはたくさんあります。

自分の友達やお世話になっている人たちが、普通の生活をしていたら出会わない人、行かないであろう場所をシェアしたら、そこからつながりが生まれると思って情報を発信しています。

元々ファッションが好きで、ファッションがきっかけで、エシカル・サステナブルに興味を持ちました。ですので、オーガニックのものを着たい、フェアトレードのものしか身につけないというようなタイプではありません。

おしゃれをする、そしてそういう文化が好きというのが大前提にあります。そこから、労働環境などで苦しんでいる人たちがいるという事実を知り、自分が好きなものに対してアクションを起こそうと思いました。

今世界で活躍する日本人デザイナーのブランドで、僕が個人的にクリエイションとの掛け算がおもしろいと思うのが、『doublet(ダブレット)』というブランドです。「服は健常者だけが着るものではない」そういうところまでちゃんと考えて、車椅子のモデルを起用するなど、本当の多様性を表現しているブランドです。

あとは『ユイマナカザト(YUIMA NAKAZATO)』は、義足のモデルを起用する試みをして、オートクチュールなのに色んな人が着ることができるようなつくり方をしています。

最近では、黒人・白人・アジア人など、人種関係なく起用したり、モデルのサイズもさまざま。車椅子のモデルだったり年配のモデルを起用するブランドも増えています。ファッションは一部の人が楽しむものではなく、色んな人が楽しめるものという発信が、エシカル・サステナブルを取り入れることで広がる気がしています。

イベントは企業の“見せ場”であると思っていて、最近はおもしろいイベントが増えています。中でも僕が注目しているイベントのひとつが、『PASS THE BATON MARKET(パスザバトンマーケット)』です。色んな企業が抱えている滞留在庫を、イベントで放出する取り組みです。

シーズンオフになった在庫は店舗に出さないので倉庫に保管します。それだけでコストがかかります。シーズンオフでも新品ですし、価値のあるものに変わりありません。少し安く売ることでお客さんにとってはお得だし、コスト削減にもなって、そこから新しいクリエーションに取り組めます。このような本質をついているイベントも多くなっていると思います。

ファッション業界の裏にある劣悪な労働環境

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_鈴木友都さん_ファッション業界の裏

僕を含めて、僕の周りでは、大量生産・大量消費が問題視されるファッション業界の闇を描いたドキュメンタリー映画『ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~』に影響を受けている人がたくさんいます。

他に影響を受けたものとしては、ファッションの勉強をしたいと思って偶然手に取った『NAKED FASHION ―ファッションで世界を変える― おしゃれなエコのハローワーク』という本です。

ファッション業界の消費者からは見えない構造が見られると期待していましたが、労働環境や自然環境などといった見たくない裏側について書かれている本でした。ここに出ているような途上国に旅行に行くことが多かったので、とても身近に感じました。ショックというより、使命感が生まれた気がします。「ファッション好きとして、おしゃれを楽しんでいるだけじゃダメ。もう少し踏み込んでみよう」と思った本です。

旅行会社の企画で『めぐる旅』というファッションの裏側で起きていることや、環境問題・労働環境を実際に見に行くイベントがあることを知りました。その中のインドのツアーに参加して、フェアトレードの工場を見学させてもらったことがあります。

ツアーの主催者が、エシカルファッションプランナーとして活動されている方だったのですが、のちに彼女が『Little Life Lab(リトルライフラボ)』というコミュニティを立ち上げました。そういうことに関心がある人たちの交流の場になっていたので、「いい出会いがありそうだし、面白そう」と思って入りました。

僕は人に会うとたくさん話してしまうので、文字で伝えていくためにリトルライフラボ内で月3本のブログ記事を書くようにしました。話すのはその場のノリで通じることもありますが、文字で伝えるのは難しいと感じます。直接会話しているかのように、みんなが情報を取っていってほしいと思って文字で伝えていました。

ファッションに関わる人が楽しめる環境をつくりたい

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僕が描くビジョンはいくつもあります。

まずひとつは、自分でできるかわからないくらいの規模感ですが、ファッションに関わる人みんなが楽しめる環境をつくりたいです。まずは国内で展開できたらと考えています。

次に、これからのプレイヤー、カスタマーの人たちも楽しめる環境づくりをしていきたいです。進路選択がまだ少ない、小・中・高校生に焦点を当てて、ファッションや物づくりなど、消費者目線で考える場を学校内でできるようにしたいです。

それをすることで、買い物をするときに何を基準に買うのか、一時的な気持ちなのか、飽きずにずっと使っていられるかを考えるきっかけになればと思っています。

プレイヤー側になる場合、高校生までファッションは自分の趣味として楽しんでいて、そこから専門学校に入ったり、業界に就職したいとなると、情報源が少なすぎるんです。
それが原因で、無理かもと諦める人もいるだろうし、就職してさらに壁にぶち当たることもあるかもしれません。学校で教育をすることが、そういった障がいを軽減できるのではないかと考えているので、大学進学前の人のためにアクションを起こしたいと思っています。できることから始めています。

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