和嶋ストレッチ

20代のすべてを捧げたボクシングを引退後、ストレッチトレーナーに転身し、全国No.1の指名を誇った和嶋俊光(わじま としみつ)さんの連載コラム第7弾です。今回は、月商10万円・半年で赤字600万円という崖っぷちから、店名や内装、業界の常識まで見直した再生の日々について綴って頂きました。
毎月100万円の赤字 崖っぷちからのスタート

販管費は、毎月100万円。
でも、売上は10万円だった。
半年で、600万円近い赤字。
毎日、天井を見ながら泣いていた。
「もー無理、終わったー、どうやって死ぬかー」
そんなことばかり考えていた。
もう、Ninja Stretchにこだわっている場合じゃなかった。
カッコよく潰れるのは簡単だ。
でも、僕がやるべきことは違った。
カッコよく死ぬことじゃない。
ダサくても、生き残ることだった。
内装と店名の全面見直し

だから、全部見直した。
赤い障子。
薄暗い部屋。
蝋燭の灯り。
日本らしさを演出したつもりだった。
でも、海外のお客様から見れば、ストレッチ店じゃない。
日本へ来た海外の旅行客を相手に、それっぽい日本を並べて、お金を騙し取ろうとしている店。
そんな風に見えても、おかしくなかった。
店の名前も考え直した。
最初に思いついたのは、Ginza Stretch。
銀座は世界中で知られている。
でも、何か違った。
僕が伝えたかったのは、銀座じゃない。
「和」だった。
「侍にしたら?」そんな声もあった。
でも、侍も忍者と同じだ。
宮本武蔵なら来るかもしれない、でも、侍は無理だ。
だから、店の名前を、和嶋ストレッチにした。
回数券をやめて知った業界常識の本質

もうひとつ、変えたものがある。
回数券だ。
業界では、10人来たら3人が回数券を買う。
4割を超えれば優秀。
2割を下回れば、何かに問題があると言われる。
僕は回数券を作らなかった。
回数券が切れた瞬間に、縁まで切れるのが嫌だったからだ。
だから、回数券ではなくリピーター価格を作った。
通常料金の半額で受けられる仕組みだ。
都度払いでもいい、半年後でもいい、一年後でもいい。
また思い出して来てくれればいい。
そう思っていた。
でも、現実は違った。
半年で110人以上のお客様が来てくれた。
リピーターは、5人もいなかった。
その時、初めて気づいた。
回数券は、安く売る仕組みじゃない。
縁を縛る仕組みでもない。
「また行こう」
そう思い出してもらうための仕組みだった。
回数券が切れるから、来なくなるんじゃない。
回数券がなければ、来る理由すら生まれない。
業界の常識には、ちゃんと理由があった。
失敗から得た最大の強み

店の名前も。
内装も。
回数券も。
全部変えた。
正直、言い出しっぺが逃げるなんて、経営者として一番ダサいと思っていた。
でも、もうそんなことを言っている場合じゃなかった。
カッコよく潰れるより、ダサくても生き残る。
そう決めた。
あの日、生き残るために変えたものが、今では僕の一番の強みになっている。