台湾で25年間整体に取り組んできた治療家が語る「元気な台湾と変わりゆく日本の存在感」
大学卒業後に台湾に渡り中医学、鍼灸、推拿、気功を学び『美楽健康中心』を立ち上げた難波鉄也さん。久しぶりに日本に帰国した際に目の当たりにした台湾ブームに驚いたそうです。第2弾となる今回のコラムでは、久しぶりに訪れた台湾のエネルギッシュさと感じたことについて語っていただきます。
コロナ禍でも負けない「元気な台湾」
最近、久しぶりに台湾に行ってきました。老舗の大型マッサージ店から「顧問になってほしい」とのオファーがあったので、その契約のためです。台湾ではよく知られた漢方薬事業を母体とする会社で、光栄な話だし、お世話になった台湾に少しでも恩返しできればとの思いで取り組んでいきます。
今回の台湾滞在で感じたことは多々ありましたが、2点に絞ってお伝えします。
まずは、やはり台湾には元気がある!ということです。台湾もコロナの影響はまだありますが、それでも街や人に活気があって元気があります。
私の台北の店があった地区は、リージェントホテル、日航ホテル、ホテル大倉といった国際的なホテルやビジネスホテルがたくさんあるので、マッサージ店もたくさんあります。マッサージ店のオーナーたちとはライバルながら仲がいいのですが、皆さん苦しい状況を経ても挫けずに、今なお明るくがんばっています。
私は新型コロナウイルスが蔓延し始めてから、1年くらいで店を整理したので店の損失は4~500万円で済みましたが、店を閉めないで耐えてきたオーナーは台北の商業地区の家賃が高いこともあって大体が1000万円、なかには2000万円近い損失を出したところもあります。
台湾はかなり厳しいコロナ政策を施行して、日本のような休業補填はなくて営業禁止令だけ出ていた時期もあるので、赤字が増えるばかりだったんですね。たくさんの損失を出したオーナーはボヤキながらも、私に「日本に逃げてずるいよ〜」などとニコニコして言ってきます。もちろん皆さん、ただ損失が溜まっていくに任せていたわけではなくて、ほかの仕事を始めたり、田舎暮らしを楽しんだりしていました。
私の店で働いていたスタッフも、半分は別のマッサージ店で、半分は仕事を変えてがんばっていました。別のマッサージ店で働いている元スタッフたちは、全員今の店では指名ナンバーワンで忙しそうでしたし、販売員や飲食業に転職した元スタッフたちも充実した仕事ぶりでした。前向きにがんばっている人たちをみると、こちらもやる気がでてきます。
自分次第でチャレンジできるのが台湾の魅力
そしてもう1点は、今回の台湾滞在では日本の存在感が低下しているのを実感したことです。
円安のため、台湾で安さを感じなくなっていることは他のアジア諸国でも同じでしょうが、物価的なことだけではなく、もっと根本的なところで日本の優位さがなくなっています。
たとえばレストランは、高級店や会員制の店でも日本人だったら気兼ねなく入れた時代がありましたが、今は台湾の高級店は日本人を対象客としていないし、実際、駐在員を含めてふつうの日本人には高すぎて入れなくなっています。
マッサージ店にとっても、以前は一番のお得意さんは日本人でしたが、今はそうではありません。マッサージ料金は日本と変わらなくなっているので、日本人は料金が高いと言って短いコースを選ぶし、細かい注文やクレームが多いので、韓国人や台湾人のほうがいいよといった声もマッサージ店経営者から聞こえてきました。
と、あまり日本人にとって喜ばしい状況でなくなっていますが、悲観的になる必要はないでしょう。会社派遣の駐在員だとこれまで日本の国力や所属会社の威信で得ていた居心地の良さはなくなるかもしれませんが、自分から台湾に行って何事かしたい人にはそんな有利さは元々ないので変わりませんからね。
駐在員だろうと個人だろうと、自分自身の力量でチャレンジできる環境が台湾にはあります。何十もの国から個人で来て、ゼロから起業して自分の店をもったり、会社を大きくしている人が台湾にはたくさんいます。日本に来る外国人だって同じですね。
実際は台湾ではまだ日本人は恵まれているほうですが、以前と比べたらずいぶんとフェアになっていて良い時代だと思います。うまくいくかどうかは出身国や背景ではなく、頼れるのは自分だけ。自分次第でどうにでもできるって、わくわくしてきませんか。
先月、私もコーディネーターとして関わった台湾の最新ガイドブック、aruco台北が発売されました。これから台湾に行く人はぜひ手に取ってみてください。
aruco台北
https://www.arukikata.co.jp/web/directory/item/101115/9