接客を極めた実演販売士が語る「対面で人の心を動かす極意」

フィットネス系実演販売士 春岡 まんたろう

フィットネス系実演販売士 春岡 まんたろう

2023.09.06
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さまざまな接客業を経験した後に実演販売で実績をあげた、フィットネス系実演販売士の春岡まんたろうさん。現在はテレビ通販出演やセールスプロモーション全般のアドバイザーとして、短時間で心を掴む接客ノウハウの講師としても活動しています。多彩な分野で活躍し続ける春岡さんに、現在の仕事に至るきっかけや、短時間で人の心をつかむ秘訣、今後の展望を伺いました。

接客業から実演販売の世界へ

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学生時代、接客のアルバイトが楽しかったのと、ファッションが好きだったので大学卒業後はアパレルメーカーに就職をして、販売員として働いていました。

アパレル販売員時代に「ブランドの洋服が着られる」ということにステータスを感じていましたが、それはブランドの広告塔になっているだけで、「鍛えた身体にシンプルな無地Tシャツ」がいちばん格好いいということに気づいてしまったんです。

この時からシンプルな洋服を着こなすために、細マッチョなスタイルを目指して自宅で筋トレを始めました。あるタイミングでさまざまな接客業を極めて楽しさを突き詰めたいと思うようになり、アパレルメーカーを退職。派遣で営業や接客の仕事を転々としました。

その後、実演販売で活躍していた芸人さんからお声をかけていただき、実演販売の世界に。実演販売というと、スーパーで売っている食品の試食や通信販売のイメージが強いと思うのですが、もともとは化粧品の『ワゴンDJ』という仕事です。

ドラッグストアやショッピングモールの店頭でワゴン台に化粧品を並べて、お客様にサンプルをいくつか配ります。「サンプルが欲しい」と集まったお客様に対し、ワゴンに並んだ化粧品を販売するんです。

一般的な接客は1対1から1対3程度と少人数向けですが、『ワゴンDJ』は多人数向けで、感情の緊張と解放をうまく使いながら15分~30分かけたトークで接客します。

大きなショッピングモールだと1対30、1対50といった人数に向けて話しますが、クスっと笑う場面を入れたりして、初対面同士のお客様でもコミュニケーションが生まれます。そもそも人を喜ばせることが好きなんです。

接客の秘訣は「大切な人を思いやる」気持ち

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接客はこちらの話し方次第で、相手の気持ちを手繰り寄せることができると実感しました。短時間でお客様の気持ちに入り込むことができるなら、相手に2個、3個と追加で買っていただけるということがわかって、いろいろな商品の販売をしてみようと決意しました。

大切な人にいいものをおすすめしたいという気持ちで接客しています。恋人や家族を思いやる気持ちを、目の前のお客様に当てはめるだけなんです。

無理矢理おすすめするのではなく、商品を使ってみて何が良かったのかをわかりやすく伝えるために、自分の言葉で「話す」のではなく、相手に「伝える」ための言葉選びをするようになりました。商品に感動したお客様は、勝手にその商品の魅力を周りに話し始めたりすることもありますね(笑)

私が実演販売をするときにこだわっているのは、販売者目線と消費者目線を合わせた提案をすることです。お客様の「なるほど、なるほど」といううなずきを積み重ねていくのが、実演販売の楽しみだと思います。

実演販売で重要なのはリアクションです。一般的な販売員の接客では「話す・伝える」ことに主眼を置きがち。他のお客様からその姿を見ると、販売員に捕まってしまったように見えてしまうんです。

私の場合、リアクションが大きいうえに、雑談混じりで話すので、周りから見て私の目の前にいるお客様が楽しそうに見えるんですよね。楽しそうにしていると他のお客様が気になって聞き耳を立てているところで、そのお客様を巻き込んでいきます。そのようにして1対1が、1対3、1対5と増えていくんです。

コロナ禍ではお客様が集まって密になってしまうので、対面で実演販売をする機会が激減しました。リモートで実演販売をしたこともありましたが、最近ようやく対面での仕事が増えてきました。

お客様のリアクションや表情を見ながら、いい意味でプレッシャーを感じつつ接客販売するのが、リアルでパフォーマンスをする醍醐味です。暑がりな私はとにかく汗もかきやすいので、汗を流しながら接客することも多いんです(笑)

SDGs×フィットネス×実演販売

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この6年くらいでTVショッピングに出演させていただく機会が増えました。実演販売とTVショッピングはまったくの別物です。

よく出演させていただくTVショッピングのスタジオでは、遠隔でカメラが動く撮影スタイルで、現場にいるのは4〜5人のスタッフだけ。キャストと呼ばれるパートナーと共に、お買上げいただいたお客様の日常生活が、もっと便利に楽しくなるイメージを湧かせるフレーズが重要。

つい先日も、大笑いしながら商品説明をしてきました。店頭の実演販売とは違った楽しさがありますね。

最近では自分のことをエシカルなフィットネス系実演販売士と名乗っています。自分に元気がないと仕事ができませんが(笑)、日本全体も元気でいてもらう必要があります。

いつまでも元気でいるためには、生涯寿命と健康寿命をイコールにしなくてはいけません。たとえば、ガチムチな筋トレは行わなくてもいいんです。壮年期や仕事をリタイアされた方が、ちょっとした外出時にエスカレーターやエレベーターを使わないとか。

ふくらはぎとスネを意識して階段を上り下りするでも、生涯健康で生きることにつながると思います。あとは健康的な身体づくりで食事も考えます。それで『フィットネス系』と名乗ることにしました。

また、「子どもたちの未来のために私たち大人が何ができるか」と真剣に考えて、SDGs活動にも力を入れています。SDGsというと胡散臭く聞こえたり煙たがる人もいるのは事実ですが(笑)、お金を払えば何でも買えるという感覚にどっぷり浸ってしまっている私たちは、幼いころは「もったいないから」と親世代によく言われていました。

私は2児の父ですが、親として人としてごみ問題や子どもが健やかに生きることのできる環境づくりを中心に、地道に取り組んでいます。

家庭から出る揚げ物油はゴミとして捨てられることが多いのですが、実は使い古したてんぷら油がディーゼル車の燃料になります。この技術は昔からあるものの、以前よりも高純度で精製できる設備も開発され、現在ではディーゼルエンジンを積んだ鉄道も走っています。

廃食油からつくられたバイオディーゼル燃料は、幼稚園の送迎バスやゴミ収集車、そして業務用貨物車輛が走る燃料にもなり、実質的にCO2を出しません。地域で生まれた廃食油を地域で使うエネルギーとして使うことが、地域活性化につながると考えており、この理念を掲げる連合会に賛同した私は準会員として所属しながら活動しています。

廃食油からバイオディーゼル燃料を作る際に必ず出る残渣(ごみ)から、植物由来で合成界面活性剤不使用の天然アルカリ洗剤をつくってしまった企業があります。

合成界面活性剤を含まないため、下水として流れてもバクテリアが分解できる生分解性の高い洗剤です。人間の経済活動により生態系が大きく変化し、絶滅危惧種の動物も急増しているなか、「私たち個人に何ができるか?」を考え、できることから始めています。

ここ数年、暑い日が増えていると感じませんか?

私が幼少期の頃、30℃に届く日はほとんどありませんでした。父の運転する車にエアコンは無く、中学校の教室や体育館にもエアコンはありません。たった1世代でこの変化です。

最近の夏は暑すぎて公園の遊具に触れることもできず、屋外スポーツは熱中症の危険だけでなく、パフォーマンスクオリティの低下やけがの増加も懸念され、結果的に夏の屋外スポーツは出来なくなるとも言われている現状があります。

子どもの10年後、20年後を考えると、「何かアクションを起こさないと!」という気持ちが駆り立てられ、同じ意識の方々とつながり行動しています。

今の大人たちが今から始めないと、子どもたちが大きくなった未来とその先は苦しい時代になってしまうのではないか?だからこそ、ごみ問題やこれからの環境問題について実演販売で得た“伝わるトーク”を活用し、わかりやすくコミカルに伝える活動を続けていきます。