ひとつの服を着続けることで環境問題に立ち向かう『KEEPWEARING』

宮沢 桜太朗

宮沢 桜太朗

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宮沢桜太朗(みやざわおうたろう)さんは慶應義塾大学に在学中で、ソーシャルグッド番組『SPINZ』に出演しています。2021年にはエシカルファッションブランド『KEEPWEARING』を立ち上げ、マイクロプラスチックなどの環境問題と、ファッションについての活動に取り組んでいます。「服を大切に着続けるカルチャーをつくる」と話す宮沢さんに、立ち上げの経緯や思いを伺いました。

留学で気づいたファッションと環境問題の関係

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私は幼少期に6年ほどドイツに住んでいました。当時の学校では環境問題について話すことが多く、それと同時にドイツは初対面の人でも服を褒め合う文化がありました。それでどんどん洋服が好きになっていき、中学生の時に自分で洋服づくりを始め、そのままファッションデザイナーになることを夢見ていました。

高校生の時に進路を考え、夏休みの間だけ留学できるサマースクールに参加したのですが、そこで衝撃的な出来事がありました。

毎日通うスクールバスの中でたまたまファッション業界に対するデモをみかけたんです。

自分のやりたい業界に対する環境問題のデモで、僕は将来的に地球や誰かを苦しめるかもしれない、それを加速させるようなファッションデザイナーになってはいけないと感じて、日本に帰ってきました。

出会いから生まれた『無洗百人プロジェクト』

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日本に帰ってから色んなファッション会社に連絡し、洋服と環境問題について聞きました。その中のパタゴニアさんから環境問題について色々教えてもらいました。

色々とご意見を伺うなかで、「服を洗濯するときに発生するマイクロプラスチックの問題に対し、洗濯ネットをつくることでマイクロプラスチックの流出を防ぐ」という考えを知りました。

とても素晴らしいと思ったのと同時に、洋服を洗ってしまうと耐久性が落ち、消費までのサイクルが早くなってしまう事に気がつきました。

さらに、普段から何気なく使っている洗剤なども環境に良くないという意見もありました。そこから「そもそも洗わなくてもいい服」があってもいいんじゃないか、実際にそういう服があったら自分が欲しいと思いました。それがすべての始まりです。

調べていくなかで、マイクロプラスチック問題についてたくさん発信している方を見つけました。その方と直接会い、メリノウールという防臭性のある肌触りの良い素材を使ったTシャツについて話し合い、その日のうちに『無洗百人プロジェクト』を計画しました。

プロジェクトのルールは、「毎日同じ服を12時間着て、それを100日間続ける」というものです。これをやることによって、環境問題に関心のない人も興味を持ってくれるんじゃないかと思い、それからどんどんスケジュールが決まっていきました。

もちろんプロジェクトに対する反対意見もありました。それでも人とのご縁を大切にした結果、徐々に理解してくださる方が多くなり、プロジェクトは大成功で終わりました。

「洋服を着続ける文化」を大切にする

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今後の大きな目標としては、「洋服を着続ける文化」を大切にしたいと思っています。多くの人が自分の洋服に愛着心を持ち、長く着てもらいたいという考えが根本にあります。

これまでのイベントなどを通して、若いうちからとにかく行動をするべきだと思っています。計画をするだけでなく、実際に行動にうつすことで協力者がたくさん増えるし、世の中には優しい人たちがたくさんいます。

行動してたとえ失敗しても誰も気づかないし、気づかないということは、失敗しているわけではないのです。そう思って、僕はこれからもチャレンジし続けていきます。

また、登山や漁業など同じ洋服を使い続ける環境下の人たちに、「ひとつの洋服を着続ける」というテーマに、これからもいろんなイベントをやっていきたいです。

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