CBDオイルのレシピ本を出版「体の変化を体感してほしい」

今回は、恵比寿にあるヘンプ料理専門店「HEMP CAFE TOKYO」のオーナー宮内達也さんをゲストに招いて対談を行いました。

宮内さんはもともと消防士として働かれながら、フレンチレストランにて無給で修行をし、2017年にHEMP CAFE TOKYOをオープン。

HEMP CAFE TOKYOは全ての料理にヘンプ(麻)が使われ、動物性食品を一切使わないビーガンのメニューとなっています。

これまでたくさんのヘンプ料理を考案してきた宮内さんですが、9月にはヘンプに含まれるカンナビジオール(CBD)をメインに抽出したCBDオイルのレシピ本を出される予定です。

今回の対談では、タレントの渋沢一葉さんとワクセル総合プロデューサーの住谷知厚が、日本ではまだまだ知られていないヘンプの魅力についてうかがいました。

完全植物性のメニュー、ビーガン料理の「薄味」イメージを払拭

住谷:
そもそもなんですが、ヘンプ料理とは何かを教えていただきたいです。

宮内:
ヘンプとは大麻草の一種なんですが、食用のものもあります。HEMP CAFE TOKYOでは食用ヘンプを使った100%ビーガン料理を提供しています。

ちなみにビーガンとは完全菜食主義のことで、植物性のものしか食べません。動物性のものを一切口にしないため、肉や魚の出汁、ミルクも飲まないんです。

実際に食べてみないとわからないと思うので、今日は人気メニューの石焼ビビンバをご用意しました。

住谷:
今日はお店で対談させていただけるということで、ヘンプ料理を食べられるんじゃないかと、お腹を空かせてきました(笑)

ビビンバというと焼肉屋で出るイメージなんですが、お肉は使われていないんですか?

宮内:
こちらのビビンバは大豆のお肉を使っていますが、大豆って気づかないくらいに満足できる食べ応えだと思います。さらに自家製キムチ、ビーガンチーズ、自家製ニンジンのナムルが載っています。

渋沢:
ビーガン料理は味が薄くて、食べた気がしないというイメージだったんですけど、かなり味がしっかりしていますね!

宮内:
そうなんです。ビーガン料理って薄味と思われている人が多いんですけど、このビビンバははっきりした味付けで、ガッツリ食べたい男性にもオススメです。

住谷:
めちゃくちゃ美味しいですね。大豆って全然わかりません!ガッツリ食べても健康的なんて、すごく嬉しいです。

日本初CBDオイルのレシピ本、効果が上がる組み合わせを紹介

宮内:
さらに今日はブラウニーもご用意しました。こちらのブラウニーにはCBDオイルが入っていますが、CBDはご存知ですか?

住谷:
CBDって、チョコレートとかにも入っていることがある成分ですよね?

僕も健康を意識することが多くなり、CBDが配合されたチョコレートを食べたことはあります。

「CBDが健康にいい」というイメージはなんとなく持っていますが、どういうものかは詳しく知らないです。

宮内:
CBDは、大麻草に含まれる100種類くらいの化学物質のうちの一つなんです。

大麻のイメージから怪しいって思われる人が多いですが、CBDは完全に合法とされているものです。

睡眠障害への効果や、リラックス効果など、多岐にわたる効果が期待できるため、最近世界的に注目されていて、9月にはCBDオイルを扱った日本初のレシピ本の出版を予定しています。

渋沢:
このブラウニーは見た目もすごくオシャレで、さくっとした食感で美味しいですね。

宮内:
こちらはレシピ本にも掲載されていますが、ナッツをフードプロセッサーで潰して固めているだけなので、誰でも簡単に作れます。

ブラウニーには非加熱のクルミとフルーツも入っているのですが、クルミなど脂質の高いものとCBDを一緒に摂ることによって、CBDの効果が約5倍に増幅すると言われているんです。

ただ単に料理にCBDを入れるだけではなく、CBDの効果が上がる組み合わせを意識しています。

不健康な消防士時代、ビーガン料理との出会い

住谷:
ヘンプ料理を提供するレストランを出店したきっかけは何だったのでしょうか?

宮内:
僕、もともと消防士として働いていたんです。ただ、料理が好きだったのでフレンチレストランでも無給で働いて、消防士とのダブルワークをしていた時期があったんです。

住谷:
消防士しながらフレンチで!?すごい経歴ですね。

宮内:
ダブルワークをしていたときに、たまたまビーガンのレストランに行く機会があったんです。それまで僕も皆さんと同じように、ビーガンって健康にいいけど、美味しくないイメージを持っていましたが、そこの料理が本当においしくて衝撃を覚えました。

ナッツが使われた料理なんですが、ヘルシーなのにコクがあったんです。それを食べてから、ビーガンに興味が沸いて勉強し始めました。

住谷:
今日の僕らと同じような経験をされたんですね。

ただ僕らは美味しいんだって感動するだけなのに対して、宮内さんはそこから勉強して、さらにお店まで出して、とんでもない行動力ですね!

宮内:
ビーガンって健康にいいことはもちろん、環境にもいいということで、海外では主流になっています。

今後日本でももっと知られていくと感じたので、フレンチから一気に振り切って、ビーガン料理人として活動を始めました。

渋沢:
消防士、フレンチ、ビーガン、そしてさらにヘンプに出会うわけですね。

宮内:
僕は料理をする上で、「ウェルネス」と「サスティナブル」をコンセプトにしているんですけど、ヘンプがそのコンセプトにピッタリと当てはまったんです。
日本では怪しいとか、危険なイメージが強いですけど、逆にそれが面白いと思いました。

住谷:
そこを逆に面白いって捉えるって、なかなかできることじゃないと思います。普通は、周りの反応が怖くて扱うのを躊躇してしまうところですよね。

ネガティブなイメージを持たれることもあるヘンプですが、それでも扱いたいと思うほど魅力があったということですか?

宮内:
消防士をしていたころは、よく筋トレをしていたので、いろいろなプロテインを飲んでいました。ただ動物性のものを飲むとお腹が緩くなってしまうので、何かいいプロテインがないか調べていたところ、ヘンプのプロテインを見つけたんです。

ヘンプのプロテインは鶏肉の2倍くらいのたんぱく質、ごぼうの約3倍もの食物繊維が含まれていて、たんぱく質を摂りながら、腸内環境も整えてくれることを知りました。

住谷:
ヘンプって栄養素が盛りだくさんなんですね。

美味しくて健康になれる料理を提供したい

宮内:
今日僕が着ているTシャツはお店のオリジナルTシャツなんですが、これも実はヘンプから作られています。

ヘンプってコットンより水分量が少なくて、どこでも育つという特徴があり、サスティナブルな植物としても注目度が高い。

住谷:
日本人も健康志向の人がどんどん増えているなと感じますが、宮内さんはかなり早めにヘンプに気づかれて、目の付け所がさすがですね。

宮内:
消防士時代、筋トレはするけど、毎日お肉を食べて大好きなコカ・コーラを飲み、昼夜逆転という生活だったのでストレスも多く、消防士のくせによく風邪を引いていました。

そんな中で、体って根本的に食事でできているものだと気づいたんです。

毎日のように救急車に乗り、若くしてガンを患った方やうつ病の方といった健康ではない人と出会い、「きっと健康的な食事をしていないんだろうな」と感じたんです。

渋沢:
確かにそういうイメージはありますね。

私の周りの友人って、みんな健康や美容への関心が強くて、食事にも気をつかっている人が多いんですけど、そういう人ってとてもイキイキしているなと感じます。

宮内:
消防士のときはさらにアトピーやアレルギーもひどくて、重度の花粉症だったんですけど、食事を変えてから花粉症の薬は一切飲まなくなりました。

そういった経験もあり、せっかく料理を作るなら、美味しくて健康になるのがベストだなって考えにいたりました。

大好きなコカ・コーラを飲んで健康になれたら最高じゃん!じゃあ健康なコカ・コーラを作ろう!というノリでビーガン料理を始めたんです。

それぞれの好きなことが社会貢献になったら最高

住谷:
罪悪感なく食べられる料理って本当にありがたいです。ヘンプ専門料理店やCBDオイルのレシピ本を出すなど、これまで誰もやってきていないことにチャレンジされている宮内さんですが、今後も挑戦したいことはあるんですか?

宮内:
南アフリカの公園に「プレポンプ」って遊具があるんですけど、その遊具と井戸が繋がっていて、子どもが遊ぶと水をくみ上げる仕組みにすごく惹かれました。

子どもが遊んでいるだけで誰かの役に立っている。僕も好きなビーガン料理を作っていたら、健康にいいものを提供できていたので、みんながそれぞれ好きなことをやって、それが結果的に社会貢献になっていたら最高だと思うんです。

漠然としていますが、今後もそんな活動をやっていきたいですね。

住谷:
ワクセルは健康やサスティナブルな活動に力を入れているので、今後一緒にヘンプ料理を広めるプロジェクトができたら嬉しいです。

こちらのお店に来たらビーガン料理がどんなものかわかるので、友人にもどんどん紹介していきます。ビビンバもブラウニーも本当に美味しかったので、次は別のメニューを食べに来たいです。

宮内:
今回のCBDオイルのレシピ本はとてもわかりやすく、この一冊を見ればCBDを知ることのできる内容になっています。31種類のレシピが載っていますが、そのうちの2種類はペット用です。気軽に手に取ってもらい、実際に体の変化を知ってもらいたいですね。

ビーガン料理ってやっぱり健康のための食事で、美味しくないというイメージがあるので、そのイメージを一新できるように、ビーガン料理をエンターテイメント化させていきたいです。


「非常識な行動」が「非常識な結果」を創り出す

リラクゼーションのお店「りらくる」の創業者、竹之内教博(たけのうちゆきひろ)さんにインタビューさせていただきました。

竹之内さんは美容師を経て、「りらくる」を創業されました。創業から7年間で、直営600店舗まで拡大し、270億で事業を売却。そこから3年で飲食、アプリ開発、EC、レンタルスペース、マツエクサロンなど約20近くのビジネスを立ち上げられてきました。

竹之内教博さんのこれまでの経歴

2021年4月には『無名の男がたった7年で 270億円手に入れた物語(扶桑社BOOKS)』を出版。現在は、経営者、作家、ユーチューバーなど多方面で活躍されています。

今回はラジオパーソナリティーの窪田有美(くぼたゆみ)さん、ワクセル運営責任者の住谷知厚(すみたにともひろ)がインタビュアーとして、竹之内さんの成功の秘訣をうかがいました。ぜひ最後までお楽しみください。

「非常識な行動」が「非常識な結果」を創り出す

窪田:竹之内さんは、もともと経営者になりたいと思われていたのですか?

竹之内:小学生の卒業文集に「社長になりたい」と書きました。わたしの実家はあまり裕福ではなかったので、やりたいことができるようにお金持ちになりたいと思っていました。

お金持ちになるためには社長になる必要があると考え、社長になるために必要な勉強や経験をしようと子供のころから思っていました。高校、大学にも行ってみましたが、教わる内容が経営に役立つとは思えず、大学はわずか4か月で中退しました。

ほとんどの人が社会に出て、サラリーマンか起業家になるにも関わらず、大学に入るまで「働くこと」について教わらないのは不思議だなと思います。

貴重な人生を有意義に過ごそうと思い、高校時代はコンビニ、酒屋、テレアポなど10種類のバイトをしてさまざまな仕事を経験しました。このおかげで経営者や大人と話すことが多くなり、コミュニケーション能力が身につきました。

大学を辞めてからは、手に職をつけたほうがいいと考えて美容師を選びました。アシスタント時代も経営者になるつもりで仕事をしていて、教えてもらいながら「自分だったらこう教えるな」といったシミュレーションをしていました。

生意気なアシスタントだったと思います。まわりからのやっかみもありました。もちろん、気にはなりますが、わざとやっているので仕方ないと割りきっていました。

「非常識な結果」を生むためには「非常識な行動」が必要だと考えています。そして、行動すると「いい結果」と「悪い結果」の両方が出るので、「悪い結果」を我慢できれば「いい結果」だけが残ります。

つまり「非常識な行動」をしつつ、やっかみや非難などを我慢できれば、「非常識ないい結果」を得られるのです。金持ちになるためにはこの感覚が重要だと思います。

また、「非常識な行動」をするといいましたが、「人間性」は非常識であってはいけません。人間性は信頼関係に大きく関わるので大切です。

住谷:常に稼ぐことを考えていらっしゃったのですか?

竹之内:もちろんです。プロ選手になるために小学生は素振りを毎日します。目標のためにストイックに練習するのは当たり前だと思っています。

わたしはよくポジティブだと思われがちですが、もともとネガティブです。しかし、ポジティブなほうがいいので、努力してポジティブにしています。

窪田:ストレス発散も上手にやっていそうですね。

竹之内:仕事のストレスを発散する方法は、仕事をすることです。仕事で生じたストレスは仕事以外では発散できません。お酒やカラオケなど、ほかのことでストレスを解消しようとしても、結局は逃げているだけです。

窪田:ここまで聞いていると、とても強い人だなと感じるのですが、弱いところもあるんですか?

竹之内:もちろんありますよ。例えば、会社のように働く時間を決められると、仕事に行きたくなくなります。アルバイト時代も美容師時代も店長になってからも、仮病でよく休んでいました。今日も来るか悩みましたよ(笑)

住谷:来てくれてよかったです(笑)

事業の立ち上げは「スモールスタート」が鉄則

窪田:竹之内さんは事業を始めるとき「スモールスタート」を大切にされていると思いますが、その理由をうかがえますか?

竹之内:堅く、小さくスタートするのが当たり前だと思っています。お店で例えると、内装、看板のような見栄えの部分はあとから力を入れれば十分なので、最初は本質の部分だけに注力すべきです。

レストランであれば「おいしいものを出す」ことだけに集中する。パレートの法則というものがあって、「重要な2割が成果の8割をつくる」とされています。大事な2割の部分にだけお金をかけて、スモールスタートしてください。

窪田:竹之内さんが一緒に働きたいと思うのはどのような人ですか?

竹之内:サラリーマン、経営者どちらでも共通するのは「自分の給料以上の働き」をしている人です。そして、休みの日にも完全にオフモードにならずに、常にアンテナをはっている人です。

仕事の日は作業をしていることが多いので、休みの日のほうがふとアイディアが浮かびやすいです。わたしの場合、寝る前にベッドでくつろいでいると、アイディアを思いつきやすいです。夜中の1,2時に仕事が終わり、そこからいろいろ考えて5時くらいに寝ています。

窪田:現在いくつの事業に関わられていますか?

竹之内:今は20個の事業に関わっています。この2,3か月でも新たに4事業が増えました。アパレル、レンタルペース、ハウスクリーニングなどジャンルもさまざまです。

基本的には、すでに流行っている事業をリサーチし、やれそうだなと思ったら徹底的にまねをしています。わたしのファンや一緒に仕事をしたいと言ってくれる人から社長を選び、任せています。

窪田:いま一緒に仕事をしているのはどのような方々ですか?

竹之内:先ほどの話にもつながりますが、オンオフなく働ける人ですね。さらには、寝ても覚めても利益のことを考えられる人。あとは、わたしと仕事するには体力がいるので、結果的に若い人と仕事をすることが多いです。

役員クラスはやることさえやっていれば、好きな時間に働いてもらっています。社員は作業があるので、時間を決めて働いてもらっています。社員の中にはそのほうが働きやすいという人も多いですね。社員は失敗を恐れる傾向があるので、この時間働いていればOKとしたほうが安心みたいです。

子供がビジネスを学べる場所をつくりたい

窪田:失敗といえば、本の中で「仕事に没頭しすぎて奥さんが出て行った」というエピソードが載っていましたが、どのような状況でしたか?

竹之内:ある日、家に帰ったら奥さんが家財道具、預金通帳とともに消えていました。当時娘は0歳と6歳、今では17歳と23歳になり無事成長してくれて安心しています。

窪田:娘さんたちは竹之内さんをみて、どのように育っていますか?

竹之内:わたしは家で仕事の話をしないので、子供の頃はわたしの仕事が何かわかっていなかったと思います。最近はYouTubeや本で私の仕事を知り、理解してきたようです。仕事や進路の相談をされることも増えてきました。

窪田:学校ではビジネスについて学ばないという話がありましたが、学校生活について口出しすることはありましたか?

竹之内:いっさい口出ししません。一度、娘が金髪の男を連れてきたのですが、わたしは大歓迎でした。娘が選んだ人であれば信用します。

ただ、ビジネスの場合は別です。彼がビジネスを教えてほしいと言って訪ねてきたのですが、ピアスをつけていたので門前払いしました。ビジネスマンがピアスをつけていると、人間性を疑われかねません。信頼に影響するので、人間性を疑われる非常識は絶対にやってはいけないと考えています。

窪田:娘さんも含め、次の世代にやってあげたいことはありますか?

竹之内:ビジネスを学べる子供向けの塾をつくりたいと思っています。小学生から高校生までは、そもそもどんな仕事が世の中にあるのかを教えてあげたい。株の取引や事業も、概要の理解は小学生からできるはずです。それを中学生、高校生と成長する間に詳しく学ぶことでしっかり理解できるようになります。

「りらくる」を売却した270億円で20事業を立ち上げた

住谷:いろいろな事業投資をされていると思いますが、「りらくる」を売却して得た270億円はどのように使ったのですか?

竹之内:「りらくる」を270億円で売却したのですが、資産として手元に残ったのは100億円ほどでした。生きるのに困らないお金として10億は残し、残りは投資やビジネスに使っています。いま所有する20事業のうち、10事業はゼロから立ち上げ、10事業はM&Aで獲得しました。

そして「りらくる」を売却したあと、講演会の依頼などがたくさん来るようになりましたが、断っていました。「りらくる」という1事業の成功だけでは、自分のノウハウが本当に正しいのかわからなかったからです。

いずれ売却資金を使って立ち上げた事業が全部うまくいったら、自分のノウハウを発信しようと思っていました。現在、起こした事業のほとんどが成功したので、自分のノウハウを多くの人に共有したいと思っています。そのため、YouTubeや講演、出版などで積極的に発信するようになりました。

窪田:『無名の男がたった7年で 270億円手に入れた物語』というタイトルに「270億」という数字を入れたのは意図があるのですか?

竹之内:「270億」という数字はインパクトがあるので、目立つように入れています。まず目にとまり、手に取ってもらうことで本は買ってもらえる可能性が出てきます。 「りらくる」の看板が目をひくようになっているのと同じ仕組みです。

『無名の男がたった7年で 270億円手に入れた物語』は具体的なノウハウが詰まった一冊

住谷:『無名の男がたった7年で 270億円手に入れた物語』はどのような人に読んで欲しいと思いますか?

竹之内:誰でも楽しめる本になっています。仕事をされている方はもちろん、主婦の方も「ああ、こういう考え方があるんだ」と思うような内容になっています。

多くの本が抽象的な内容であるのに対して、『無名の男がたった7年で 270億円手に入れた物語』はかなり具体的に書いています。「書いてある通りやれば成功できそうだ」と思えるはずです。

実際にビジネスで成功する確率はかなり上がると思うので、起業する前の人の勉強や、すでに起業している人のブラッシュアップにもおすすめです。

本の中でも紹介している「TTP(徹底的にパクる)」は何にでも通用するノウハウなのでぜひやってみてください。大手企業もいろいろな成功モデルをまねしています。わたしの経験上、うまくいっているものをまねして失敗することはほとんどありません。

窪田:もしまた本を書いて欲しいと言われたら、何について書きますか?

竹之内:『無名の男がたった7年で 270億円手に入れた物語』にわたしの経験や知識をすべて書きました。この本を読んだら私のすべてがわかると言えるくらいに。なので、5年10年経って、新たな知見がたまってきたらまた書くかもしれません。

住谷:とても読みやすかったのですが、読みやすく書くコツはありますか?

竹之内:読み手の気持ちを常に考えることですね。途中途中で、原稿をFacebookで公開し、全員が面白いというまでブラッシュアップしつづけて完成しました。経営者の感覚でいけると思ったものは、大衆の感覚とずれていることが多いです。そのずれを修正するために、自分では完璧だと思ってもみなさんに聞くようにしています。

時間がかかるやり方ですが、わたしは効率化をあまり考えません。最初は不安要素を取り除くためにできることを徹底的にやります。大変だとしても、いいもの、結果の出るものをつくることを大事にします。まずは自分で100%のものをつくり、そこから人に任せていきます。
ほかにも、わたしが体験し学んできたすべてを『無名の男がたった7年で 270億円手に入れた物語』に書いたので、興味がある方は一度手に取ってみてください。


森林管理、廃プラ、雇用、SDGsなどの課題を知っていただきたい

株式会社アキュラホーム 広報担当の西口彩乃さんにインタビューさせていただきました。

西口さんは2012年に株式会社アキュラホーム(以下アキュラホーム)に入社、2018年から「木のストロー」の開発にたずさわり、現在は「木のストロー」の普及活動や講演活動をされています。

「木のストロー」はプラスチックごみの削減につながるとされ、地球環境大賞、農林水産大臣賞など多くの賞を受賞しています。

インタビュアーは中村麻里子さん、たかしまれおさんのお二人です。
中村さんは元AKB48所属のアイドルで現在はフリーアナウンサーとして活躍されています。
たかしまれおさんはドラマ「今日から俺は!!」映画「HIGH&LOW THE WORST」映画「今日から俺は!!劇場版」などに出演され、俳優として活動されています。

今回は、西口さんがさまざまな苦難を乗り越えて、「木のストロー」が誕生した経緯などを伺いましたので、ぜひ最後までお楽しみください。

間伐材の有効利用から思いついたのが「木のストロー」

中村:まずは「木のストロー」開発のきっかけをお聞かせください。

西口:はじまりは環境ジャーナリストである竹田有里さんからの一本の電話でした。

竹田さんが2018年に起こった西日本豪雨の際に、地元岡山の土砂崩れを取材したときの体験がきっかけとなりました。土砂崩れの被害にあった住民が「この土砂崩れは、間伐(木森林が健全に成長するように木を間引くこと)など森林管理を怠ったために起きた人災だ!」と言ったのが印象的だったそうです。

そこで、間伐材を有効活用した商品を作れないかと考え、「木のストロー」を思いついたそうです。そして、わたしのもとに「木のストローを作れないかな?」という連絡が入りました。

中村:そのときは、どう思いましたか?

西口:「え、住宅メーカーなのに、ストローを作るの?」と思いました(笑)

ただ、人に頼られるのは嬉しいですし、期待にこたえたいという気持ちから、すぐに大工さんに「木のストロー」を作ってほしいと連絡を入れました。

そもそもどうやって作ればいいのかすら、誰もわからない状態だったので、まずはとにかく穴をあけてもらいました。その結果、大工さんのお陰でなんとか試作品が完成しました。

この試作品は角材にドリルで長い穴をあけてもらったものだったのですが、作製に時間と手間がかかること、太すぎて飲みづらいことが大きな課題でした。

次に作製したのが、鉛筆の構造を参考にした分解できるストローです。こちらは分解して洗うことができ、飲みやすくなったので使い勝手も改善されました。ただ、作製コストの高さが変わらずの課題でした。

もともと「木のストロー」は ”間伐材を利用してストローを作ること”、 ”廃プラ削減に貢献すること” が目的でした。そのため「木のストロー」は世の中に普及する持続可能なモデルになるべきであり、作製コストの削減が必要不可欠でした。

アキュラホームの代名詞「カンナがけ」がヒントになった

中村:最初の試作品と現在の「木のストロー」はかなり形状が違いますが、どのように現在の形になったのでしょうか?

西口:どうすれば作製コストをおさえ、みなさんに使っていただける商品をつくれるかを試行錯誤するなか、アキュラホームの代名詞でもある ”カンナがけ” がヒントになりました。

カンナがけの際に出るうすく削られた木材(スライス材)が社内にたくさんあり、これを使って「木のストロー」を作れるのではないかと。

この時点ではじめて、会社に「木のストロー」のアイディアを提案しました。会社としても森林の保護や、間伐材の活用、植林事業などにも力をいれていたのですが、さすがに簡単に賛成してもらえるとは思っていませんでした

そこからいくつもの壁を乗り越え、ついに会社からOKをいただくことができました。とても嬉しかった反面、「絶対に成功させなければ」というプレッシャーも感じました。

なにしろ世界初の試みなのでゼロから生み出すしかなく、とにかく試行錯誤の連続でした。たくさんの人の力を借りながら、現在の形へ近づいていきました。

そんな中で「木のストロー」を最初に採用してくださったのが「ザ・キャピトルホテル東急」さんです。ザ・キャピトルホテル東急さんは持続的な社会貢献活動のアイディアを探しているタイミングでした。

そこで、まだ未完成の木のストローを当時の副総支配人にプレゼンテーションしたところ「完成したら導入したい」とオファーしてくださいました。

ここから、ホテル基準へとさらにクオリティを上げていく段階に入っていきます。「長時間水につけても劣化しない」「食事の味の邪魔をしない」など高い基準を求めて改善を重ねていきました。

そして、ついに完成したタイミングで発表することになりました。当時のホテルの総支配人が「せっかくこんなにいい物ができたのだから、記者発表会を開いて想いを伝えよう」と提案してくださり、ホテルの会場をお借りしての発表会をおこないました。

ザ・キャピトルホテル東急さん、竹田さん、アキュラホームによる世界初の「木のストロー」の発表会となりました。発表会には国内のテレビや新聞、さらには海外のテレビ局まで取材に来てくださいました。

記者の方がとても多かったので2回に分けて発表をおこないました。それだけ「木のストロー」が世間から大きく注目されているとわかり、とても嬉しかったです。

それから「木のストロー」はG20で採用、また地球環境大賞、農林水産大臣賞を受賞するなど、どんどん世の中へと広まり、素晴らしい評価を受けております。

キットを使えば、誰でも「木のストロー」を作ることができる

中村:木のストローを作る体験ができるとうかがったのですが。

西口:はい、誰でも木のストローを作ることができる、簡単なキットがあります。せっかくなので作ってみませんか?

中村、たかしま:ぜひ作ってみたいです!

(西口さんの指導のもと、中村さん、たかしまさんともに5分程度で木のストローが完成)

たかしま:とても簡単に作れますね。わたしは学生時代、美術の成績が2だったので、わたしが作れるのなら本当に誰でも作れると思います。

「木のストロー」だけでなく、背景のストーリーを伝えていきたい

中村:最後に今後の展望をお聞かせください

西口:「木のストロー」を世の中に広めるのはもちろん、「木のストロー」が完成するまでのストーリーをいろいろな人に知ってほしいなと思います。

2020年10月に『木のストロー』という本を出させていただきました。「木のストロー」を作る裏側ではさまざまな課題があり、それらについても書かせていただきました。

あまり普段意識しない森林管理、廃プラ、雇用、SDGsなどさまざまな課題をできるだけ多くの方に知っていただけたらいいなと思っています。


逆風はチャレンジしている証拠

株式会社スペックホルダー代表取締役の大野泰敬さんからお話しを伺いました。

ソフトバンクで新規事業を担当したあと、2006年からCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)で配信事業を手掛けられます。その後ソフトバンクに復帰し、当時は日本初上陸のiPhoneマーケティング戦略を仕掛けて成功へと導いてこられました。

そのノウハウを活かして独立し、現在はいろいろな企業のサポートをしています。
大手企業が中心のクライアントに対して戦略を練ることを得意とし、企業の課題を把握して、解決するためにどうしたらいいのかを提案されています。

2020年12月25日には『ひとり会社で6億稼ぐ仕事術』(クロスメディア・パブリッシング)の出版もされています。

今回は大野さんに事業計画をたてるコツをお話しいただいたので、ぜひご自身の仕事にご活用ください。

事業計画はコツをおさえれば誰でも作成できる

「うちの企業は新規事業に向いていない」
「役員はなにもわかっちゃいない」
「新規事業の提案をしても、賛同や協力を得られない」

という相談を受けることがよくあります。

しかし、新規事業の提案が承認されない原因のほとんどは、起案する側にあることが多いです。

1,000件規模の新規事業アイディアコンテストを開催し、内容を分析してみると、84%は事業計画がない、もしくはKPI(目標達成度合いを評価する評価指標)設定が含まれておらず、そもそも判断材料が揃っていませんでした。

残りの16%の中でも経営会議に出せるレベルのものはほとんどなく、経営会議に出せるものは1%以下です。

また、「事業計画なんて書けない。企画書が作れない。天才にしかできない。」という声もよく聞きます。

わたしは偏差値42、学校の落ちこぼれでしたが、事業計画を数多く書いています。つまり、コツさえ掴めば誰でも事業計画書はつくれるのです。

今まで約70にも及ぶ事業の立ち上げをおこなってきました。新規事業をスタートするためには役員など多くの人を説得する必要があり、そのために数千の資料をつくってきました。

そこで蓄積されたノウハウをいかして、短期間で資料作成のコツを習得できるセミナーや研修を行っています。

新規事業には失敗するリスクが必ずあります。100%成功する新規事業はありません。ただ、1つだけわたしが100%成功しているものがあります。それは「企業や経営層を説得し資金を獲得すること」です。

事業計画の基本は情報収集

資金を獲得できる事業計画を作成する上で最も大切なことを5つ紹介します。

1.意識改革
2.情報収集
3.テクニック
4.クリエイティブ
5.精神力

これらを使いこなすことができれば、誰でも資金を獲得できるようになります。

さまざまな企業で、この5つのポイントを実践し結果が出てきています。その理由は教科書には出てこない、実践的なものだからです。

わたし自身が本当に苦労をして手に入れてきたものなので、実践的で必ずみなさんの人生に役に立つはずです。

さて、今回は5つのポイントのうち、基本となる “情報収集” についてお話しします。

なぜ “情報収集” が重要なのかと言うと、インプットの量とアウトプットの質は比例するからです。

・市場がどのような状態か?
・他社がどうなっているのか?
・ユーザーはなにに興味があるのか?

このように、ユーザーや他社がどのような状態なのかを正確に把握することは重要です。いかに効率よく、インプットする情報量を増やしていくかがとても重要になってきます。

わたしは、1人で年間6億円を売り上げています。このような数字を達成できるのは、同時並行で異なるジャンルの複数のプロジェクトを動かしているからです。

インプット量を増やしているお陰で、どんなジャンルの案件にも対応できるのが強みです。

日常から情報収集を習慣化する

インプット量を増やし、かつ効率的に情報収集するコツをお話しさせていただきます。

そのためにはまず最初にやるべきことがあります。5つのポイントでも紹介した、 “意識改革” です。

そもそも新規事業を立ち上げるときに重要なのはデータ(根拠)です。役員や企業、VC(ベンチャーキャピタル)を説得するのには必ずデータが必要です。

直感や情熱だけで説得するのは難しいと思います。

データを収集することは、事業の方向を示す羅針盤にもなります。航海するときに羅針盤がないと危険なように、データがない事業は危険なのです。

とは言え、ただ単にデータを収集すればいいわけではなく、日々意識的にデータを取りに行き蓄積する必要があります。

例えばマクドナルドには並ばなくても注文できるアプリがあるのを知っていますか?

CMや店舗でも宣伝しているのですが、ほとんどの人は目の前にある情報に気づかず見逃しています。

このように、ちょっとした店や市場の変化を見逃してはいけません。普段の何気ないことに気を配っていき、情報を収集できるかが大事になってきます。

人間の記憶は曖昧で、新しい情報が入ってくると古い情報は忘れてしまいます。そのため、意識して収集する必要があります。

街中で見かける広告や、すれ違う人の持ちものなどを意識的に蓄積する癖をつけるといいと思います。

また、人間は1度覚えたものを24時間以内に74%忘れる(エビングハウスの忘却曲線)というデータがあります。

逆に何度も復習することで、3日で75%の定着率があるそうです。そのために、わたしはニュースをFacebookでつぶやいたり、知り合いにメールで共有したりしています。

情報はキャッチアップするだけでなく、記憶に残していくことを習慣化するのが大切です。

無料ツールを使いこなして効率よく情報収集する

ここからは便利な情報収集ツールをご紹介します。

まずは「Googleアラート」。

1度キーワードを登録するだけで、自動で自分が欲しい情報を収集できるサービスです。検索すら不要で、絶対抜け漏れがない、非常に優れたツールです。

次に「Feedly」。

こちらは、さまざまなホームページやWebメディアの更新情報をまとめてチェックすることができます。

独自のAIが導入されており、自分が設定しておいたトピックやキーワードに優先順位をつけて表示してくれます。さらにそれを資料化できるので、プレゼンテーションにも使えます。

ユーザーの興味を検索履歴から分析する

ここからはもう少し専門的なツールをご紹介していきます。

「一体ユーザーはなにを考えているんだろうか?」
「お客様はなにを求めているのか?」

新規事業を考えるとき、このようにユーザーの思考性を探るのは非常に重要なことです。そこで問題になるのは、どうやって情報収集をするのかという点です。

一つの解決策はアンケートをとること。しかし、回答が本音とは限らず、起案者側が質問によって回答をコントロールできてしまうので、正確な情報は得にくいと感じます。

では、どうしたらいいのか。ユーザーの頭の中をのぞくには、検索履歴がわかればいいのです。検索履歴を分析することで、さまざまな思考性を正確に把握できます。

検索履歴を無料で調べられるのが「ラッコキーワード」

検索している人たちが、どのようなキーワードで検索しているのかを調べられるツールです。人がなにに興味をもっているのかを把握できます。

ここまでわかると、次に気になるのは「特定のキーワードに対してどれくらいの人が興味をもっているのか」ということ。

特定のキーワードや商品などに興味があり、実際に検索する人がどのくらいいるのかを推測できるツールが「キーワードプランナー」です。

集客のための企画などに用いることが多く、広告を効果的にしたり、SEO対策に活用したり、店舗のPOP、商品パッケージなどに応用できます。

SNSを使って情報収集する

自分たちの商品に興味がある人がどれくらいいるのか、知りたくないですか?

自分たちの商品に興味がある人が、年齢、性別、住んでいるエリアごとにどれくらいいるかわかるツールがあります。しかも、普段みなさんが使っているツールで。

それが「Facebook」「Instagram」です。

広告を出稿するためのツールを利用すると、調べたい商品に興味のある人たちがどこのエリアに何人いるかを正確に教えてくれます。

さらに、自分たちの商品の本当のターゲットが誰なのかも把握することができます。

新しい事業を提案するときはトレンドを分析する

ライバル企業と自社の製品がいつ頃、どのエリアで検索されているのか知りたくないですか?

「Googleトレンド」を使えばユーザーの興味を把握することができます。Webで検索している人がどのようなキーワードで検索しているかを調べるツールです。

つまり、人がどのようなものに興味があるかがわかります。さらに、話題になっているエリアや、関連キーワード、トピックスもわかるので便利です。国や期間、カテゴリーなど、詳細な検索もできます。

また、知りたいトレンドのデータを複数組み合わせて、比較データを一瞬で作成できるのでライバル企業との比較も簡単にできます。

過去のデータがない、新しいものを提案したいときに非常に有効です。
※その他便利ツールに関しては文末の一覧をご参考ください。

情熱をもって小さな達成を積み重ねる

序盤に資金調達に重要な5つのポイントをご紹介しましたが、実はもう一つ、承認率を飛躍的にアップさせるポイントがあります。

それは「情熱」です。「情熱」や「想い」が、人を動かし組織を動かすのです。もちろん「情熱」だけではダメで、戦略が伴っていることは大前提です。

膨大な量の努力と失敗を重ねて、どんな状況、タイミングでもチャンスをつかめるように準備してください。

資金調達に一番必要な事は、結果を出すことです。はじめは小さなことでもいいので、相手と約束したこと、目標設定したことを達成し続けましょう。

継続していれば、仕事が回ってきたり、長期契約が取れたりします。

逆風はチャレンジしている証拠

最後になりますが、嫌われることを恐れないでください。新しいことをやるとまわりから変な目で見られるものです。

しかし、他人が理解できないことこそがチャンスなので、情熱と覚悟を持ってチャレンジしてほしいなと思います。

「人にバカにされる」
「人に見下される」
「人にいじめられる」
「人に嫌がらせされる」

これらはすべて成功するための登竜門です。人より苦しい経験をし、それを乗り越えると違う景色が見えてきます。

自分の信念をもち、目標だけをみて進み続けてください。その先に望んだ未来が待っているはずです。

<参考>その他 大野さんおすすめ便利ツール一覧

「BuzzSumo」
ライバル企業の商品がバズっている理由を分析できます。

「Wayback Machine」
ライバル企業が過去になにをしたのかを把握できます。URLをいれるだけで、1994年以降の過去のWebページをすべて見ることが可能です。

「APP Annie」
ライバル企業のアプリのダウンロード数、ユーザー数、年齢、いつ使っているのか、ほかにどんなアプリが入っているのかを調べられます。

「SimilarWeb」
ライバル企業のWebページを分析して、どんな戦略を使っているのか調べられます。

紹介したツールは一部ですが、ほとんどの機能が無料で使用できるのでぜひ使ってみてください。


銚子電鉄を救いたい想いで税理士から社長へ

銚子電気鉄道株式会社(以下銚子電鉄)の竹本勝紀社長、映画監督の赤井宏次監督にインタビューさせていただきました。

お二人は映画『電車を止めるな』の代表取締役プロデューサー、映画監督として一緒に映画を制作されました。

経営破綻寸前の銚子電鉄を復活させた竹本社長の熱い想いを、赤井監督が映画という形で世の中に発信しています。

今回は銚子電鉄や映画『電車を止めるな』にまつわるエピソードをお聞きしたので、ぜひ最後までお楽しみください。

銚子電鉄の売上の7割は菓子製造業によるもの

インタビュアー:竹本社長、赤井監督よろしくお願いいたします。

竹本社長:よろしくお願いします。早速ですが、今日は銚子のお土産を持ってきたんです。当社は菓子製造業を営んでおりますので(笑)

一同:爆笑

竹本社長:当社の売上の7割を占める「ぬれ煎餅」をお持ちしました。「赤の濃い口」「青のうす口」「緑の甘口」の3種類それぞれの味わいがあり、どれも好評いただいている商品です。

さらにもう1種類「まずい棒」もご用意しました。いろいろな味があるのですが、今回はオリジナルのコーンポタージュ味です。

これは「まずいです、経営状況が!」という ”自ギャグ” ネタから名付けた商品です。

”自ギャグ” は ”自虐” と ”ギャグ” をかけ合わせた造語です。

”自虐” ばかりしていると、自分の心に穴が空いてしまうので、ギャグにして笑い飛ばしてしまおうと考えて生みだしました。

インタビュアー:まずい棒は味が何種類かあるんですか?

竹本社長:現在は4~5種類ですかね。

半年前に販売開始したワサビ味は、車両のサビを見つけて「わ!サビ!」と言っているうちに思いついた商品です(笑)

このように、楽しみながら仕事をさせていただいております。

インタビュアー:では、早速「ぬれ煎餅」をいただこうと思います。赤の濃い口をあけてみます。

(袋をあけて)あけた瞬間に、醤油のいい香りがしますね。噛みごたえがあっておいしいです。醤油の味が濃くて、おいしい。これは人気があるのもわかります。

竹本社長:醤油の味がしみ込んでいるので、とてもおいしいんです。ありがとうございます。

まずい棒の大ヒットが銚子電鉄を救った

インタビュアー:次はまずい棒をいただいてみようと思います。

竹本社長:味がまずいという意味ではなく、経営がまずいという自ギャグからきた名前です。味はとても美味しいんです。

インタビュアー:おいしいですね。わたしはこの味とても好きです。

まずい棒って数年前にバズりましたよね?

竹本社長:そうですね、3年前に一気にはやりました。

インタビュアー:ヒットしたときのことを事前に調べていますので、ご紹介させてください。

まず、2018年7月25日に銚子電鉄のFacebookにて発売を発表しました。

すると、翌日テレビでも取り上げられ、さらにYahoo!ニュースで発信されたのをきっかけに、Twitterのトレンドに登場。

ニュース番組でも取り上げられ、なんと発売開始30分で5000本も売れました。

竹本社長:当初3万本製造したのですが、初日で完売しました。追加で15万本製造したのですが、こちらもすぐに完売。

ヒットして本当によかったです。まずい棒のヒットがあったからこそ銚子電鉄は生きのびてこれました。

インタビュアー:まずい棒の名前はどうやって決まったのでしょうか?

竹本社長:もともとビジネスパートナーの寺井広樹さんが提案してくださいました。

寺井さんは涙活(るいかつ)を提唱されている方で、涙のデトックス効果でストレスを解消しようという活動を広められている実業家の方です。

寺井さんからまずい棒を作りたいというお話をいただいたのですが、どうまずくするのかで悩み、なかなか商品化できずにいました。

そのまま2年が経ち、また寺井さんから連絡がありました。まずい棒をどうしてもつくりたいとおっしゃるので、思い切って「経営状況がまずい」というのはどうでしょうか、という提案をしました。

この提案を寺井さんが気に入ってくださり「うまいのにまずい棒」という商品が生まれました。

まずい棒という商品名で販売することを許可してくださった株式会社やおきんさんには本当に感謝しております。

銚子電鉄を救いたい想いで税理士から社長へ

インタビュアー:竹本社長はもともと税理士をされていたなか、銚子電鉄の社長に就任しましたが、どのような経緯で社長になられたのでしょうか?

竹本社長:16年前に銚子電鉄の顧問弁護士の紹介で、銚子電鉄の仕事を手伝ってくれないかと言われました。当時の銚子電鉄は破産するしかない状態でしたが、破産するために必要な予納金すらない状態。

なんとか立て直そうと思い、頑張っているうちに社長になっていました。

インタビュアー:インフラとして重要なので、銚子電鉄がなくなったら困りますよね。

竹本社長:子供やお年寄り、いわゆる交通弱者にとって重要な交通手段ですからね。なんとか存続させようと、資金作りに奔走しました。

ただ、線路の修理などですぐなくなってしまうので大変でした。

自由な発想から生まれた映画『電車を止めるな』

インタビュアー:映画にまつわるエピソードもお聞かせいただけますか?

竹本社長:映画を思い立ったのは2年前でした。寺井さんと電話で話しているときに、わたしが「映画つくろうかな」と言ったら、「やりましょう!」と言ってくれたんです。

さらに、銚子だけに超C級ってどうかなと提案すると賛成してくれました。

そして、映画を制作することを新聞記者に話したら、すぐに記事になってしまいました。キャッチコピーしかない状態で映画の製作がきまったのです(笑)

インタビュアー:赤井監督は映画製作で印象的なことはありますか?

赤井監督:飛び入り参加ですね。銚子電鉄関係の方が映画に出たいと言って、飛び入りで何人か参加されました。

当然役がないので、その場で役をつくって演じてもらいました。

そのため、映画を観ていると「この人なんでここにいるんだろう?」と思うシーンがいくつもあると思います。

ぜひツッコミながら楽しんでもらえればと思います。

超C級ホラーコメディー『電車を止めるな』をぜひご覧ください 

インタビュアー:最後に一言ずつお願いできますか?

赤井監督:この映画は竹本社長の銚子電鉄への想いがつまっているので、多くの人に届くといいなと思っています。

わたし自信も念願だった長編映画を撮影でき、竹本社長には本当に感謝しています。

今後とも銚子電鉄さん、映画『電車を止めるな』をよろしくお願いします。

竹本社長:途中から脚本に参加させていただきました。原作本もあるのですが、無視してかなり脚本を変えました。

超C級ホラーコメディーとして、自分が感動できる作品になったし、主題歌も素敵です。ぜひ多くの方に観ていただければと思います。


信念をもって仕事をすれば仲間が集まってくる

漢方薬剤師、心理カウンセラーの結城奈美枝さんにインタビューさせていただきました。

薬科大学を卒業後、漢方薬局の会社に就職して、都内の薬局店店長経験を経て本部店舗販売促進部へと就任。

その後、29歳のときに子育てをしながら女手一つで漢方薬局を起業され、会社にし7店舗まで広げましたが、7年前に離婚して会社を全部手放す経験を経て、今は新宿にて仲間に恵まれ、漢方カウンセリング薬局と鍼灸院を併設経営、婦人科や皮膚科にも勤務されています。

今回は結城さんの貴重な経験や知識をシェアしていただいたので、ぜひ最後までお読みください。

信念をもって仕事をすれば仲間が集まってくる

インタビュアー:ベビーカーを押しながら女手一つで漢方薬局を起業された経緯をお聞かせください。

結城:大手の会社を妊娠を機に退職したあと、ふとパートで勤めた街の小さな漢方薬局の売り上げを劇的に伸ばし、そこの店長に「あなたはすごい才能を持っているから起業した方がいい」と強く勧められたのがきっかけです。

当時、まだ28歳。会社に勤めていた時も売り上げを劇的に伸ばし、店舗販売促進部にいち早く昇進していたため、「会社内だけでなく、世間でも通用するのかな?」とついその気になり、」深く考えずに「やってみよう!」と思い起業しました。

1996年に起業したのですが、当時は今とちがって女性起業家が少ない時代。まわりの人たちは子供を育てながら起業することに対して、かなり批判的でした。

不動産屋にもなかなか相手にされず、物件が見つかるまでに半年間かかりました。ときには説教もされました。ただ、わたしは批判されるほど見返してやろうと思うタイプなので、逆にやる気が出ました。

これから社会のためになることをやろうとをしているのに、なぜここまで批判されるんだろうと当時は「悔しい想い」でしたね。

最終的に応援してくれる不動産屋の方と出会い、起業へと前進できました。信念を持ち続けていると同じような信念をもっている素敵な人と繋がれるんだなとわかりました。

インタビュアー:起業5年で7店舗まで拡大できた理由をお聞かせください。

結城:店舗を増やそうと思っていたわけではなかったのですが、優秀な従業員に恵まれたおかげで7店舗まで拡張することができました。

一緒に働きたいと言ってくれる人がたくさんいらっしゃって、本当にありがたいです。

インタビュアー:店舗が増えるとそれだけ大変なことも多かったのではないですか?

結城:従業員を育てるなかで多くのことを学ばせていただきました。人を育てることと子供を育てることは似ているなと思います。

子供は思い通りに育たないじゃないですか。長所も短所もすべてを受け入れて、まず先に認めてあげることが大切だと思います。

社員を育てるのも同じ感覚で、認めたうえでどう長所を伸ばしてあげるかが大切なんだなと学ばせてもらいました。

インタビュアー:2012年まで16年間かけて黒字経営できたのはなぜですか?

結城さん)ありがたいことに、自分より才能のある社員がたくさん入ってきてくれたからです。わたしは社員一人一人が最大限活躍できるように土壌をつくろうと頑張りました。

その甲斐もあってか、「仕事に集中できるから、うちの会社に入った」と言ってくれる人が多いです。

インタビュアー:海外にもよく行かれていたようですが、東洋医学と西洋医学の違いは大きかったですか?

結城:はい、全然違いました。アメリカに行ったときに、最先端のエリート医師とお話しさせていただく機会があったんです。

アメリカでは西洋医学と東洋医学が一緒になっていて驚きました。同時に、東洋医学が西洋医学と同様にリスペクトされているんだなと実感しました。

子育てしながらの仕事で多くのことを学んだ

インタビュアー:育児と仕事のバランスはどう取ってきましたか?

結城:忙しかった時期に、会議が長引き夜中に帰宅したことがありました。「子供に寂しい思いをさせてまで、何のために働いているんだろう?」と自問自答を繰り返しました。

家に帰ると子供からの手紙がおいてあって「ママ、いつも僕たちのために働いてくれてありがとう」と書いてあったんです。

これをきっかけに、子供に寂しい思いはさせないと決めました。夜にやっていた会議は朝に変更し、飲みに行って話す代わりにランチの時間内に話し合うようにしました。。

時間が決められているので、重要なことだけを話せるようになりました。結果的に、子供のためにやったことが仕事の効率化に繋がり、会社を成長させました。

インタビュアー:お子さんを薬局に連れて行っていた時のエピソードをお聞かせください。

結城:起業当時、子供を預かってくれる施設もなかなかありませんでした。そのため、薬局に子供を連れていくこともありました。

ある日、お客様が来たので息子に調剤代の下に隠れてるように言いました。お客様が帰ったあとに息子の様子を見たら、調剤台の下でお客様に頭を下げていたんです。

息子になぜ頭を下げていたのと聞いたところ、お客様のお陰で生活ができているので感謝のお辞儀をしたとのことでした。子供たちから大切なことを教えてもらい、わたしも人間的にさらに成長できました。

漢方薬にも人間関係と同様に相性がある

インタビュアー:漢方薬剤師ならではの健康法、おすすめの漢方はありますか?

結城:江戸時代、オランダから入ってきた西洋医学を蘭方と呼ぶようになりました。それに対して日本の伝統医療を漢方と呼ぶようになったのです。漢方はよく中国のものと思われがちなのですが、日本古来の医療なんです。

シルクロードを通じて中国やベトナムのものを集め、日本独自の医療として漢方は発展してきました。

今日は甘草(かんぞう)、芍薬(しゃくやく)、大棗(たいそう)、生姜(しょうが)、桂皮(けいひ)の5種類の生薬(自然界に存在する動植物を用いる薬、漢方薬の原料)をご用意しました。

これらを合わせて処方すると、桂枝湯(けいしとう)という漢方薬になります。いろいろな漢方薬のベースになる組み合わせですね。

ちなみに、これに葛根(かっこん)、麻黄(まおう)を加えると有名な葛根湯になります。

インタビュアー:生薬は自由に組み合わせていいんですか?

結城:漢方にも相性があります。人間関係と一緒ですね。植物は人間の大先輩ですが、植物の時代から相性は存在したようです。

不眠の場合は、基本の5種類に竜骨( りゅうこつ)、牡蛎(ぼれい)を追加すると桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)という漢方薬になります。

竜骨は哺乳類動物の骨のことで、神経を鎮める効果があるカルシウムを含んでいます。現在は入手しやすい牡蠣の殻(牡蛎)も混ぜるようになっています。

インタビュアー:植物以外にも漢方薬の原料はありますか?

結城:一例をあげると、鉱物の石膏ですね。最近研究が進んでいて、首から上の症状、特に喉の症状に使えるんじゃないかと言われています。

ほかには動物由来のものもあります。一番身近なのはすっぽんですね。

漢方薬によって腸内環境が整う

インタビュアー:花粉症に効く漢方もありますか?

結城:花粉症には小青龍湯(しょうせいりゅうとう)を出されている方が多いです。青龍は天皇家の東側を守る水の神様として、川に宿るとされています。

花粉症は鼻水が出ますよね。水分代謝を改善するために水の神様を取り込むという考えなんです。さらに麻黄も入っているので覚醒作用があります。

西洋の花粉症薬は抗ヒスタミン剤によって脳内の伝達物質が減り、頭がぼーっとしやすいです。小青龍湯は頭がさえるので、使い分けてもらうといいと思います。

アレルギーがあると粘膜が荒れて、肌も荒れてきます。漢方薬は粘膜を強くするのが得意なので、体質に合わせて処方することで改善が期待されます。

最近腸活も流行っていますが、漢方は腸内環境をよくするものがたくさん入っているので、腸活にもおすすめです。

花を潤すなら根に水をあげるのと同様に、漢方薬によって内側に水分を与えてあげることによって肌荒れや乾燥を改善できるのです。

インタビュアー:肌も含め、常に健康を気にしていらっしゃるんですね。スタイルの良さの秘訣も漢方ですか?

結城:ありがとうございます。たしかに、今年に入って一気に痩せたんですよ。自分でもこんなに痩せるとは思わなかったのですが、漢方と合わせていろいろやってみたら痩せられたんです。

リバウンドも、痩せることで老けたくもなかったので、アンチエイジングしながら痩せられる方法を探した結果、3か月で8kg痩せることに成功しました。

今日は残り時間も少なくなってきたので、リバウンドしないダイエット法については、また次回お話しさせていただきます。


社員の幸せを一緒に考えることも人事の仕事

株式会社ラッシュジャパン 人事部長の安田雅彦さんにインタビューさせていただきました。

安田さんは西友、グッチグループジャパン(現ケリングジャパン)、ジョンソン・エンド・ジョンソン、アストラゼネカという名だたる企業を経て、2015年より株式会社ラッシュジャパンにて人事部長をつとめられています。

一般に人事部というと、もしかしたら「普段の業務であまり関わりのない人」「会社をマネジメントする側の人」のようなイメージを持つ方も多くいらっしゃるかもしれませんが、安田さんご自身は社員とのコミュニケーションをとても大切にされています。

「なぜ社員とのコミュニケーションを大切にするのか」「人事として活躍し続けている秘訣」など、安田さんの考えや経験を沢山お話いただいたのでぜひ最後までごらんください。

つねに自分の価値を高めていくことでキャリアアップする

インタビュアー:ご自身のキャリアで、一番大事にされてきたことをお聞かせください。

安田:自分にどれだけ市場価値があるのかを常に意識してきました。

マーケットでは、いかに会社に貢献できるかがその人の価値です。

自分は常に成長しているか、マーケットで必要とされているかに目をむけていました。

日頃の仕事においても、きちんと実績をつみ、どこにいても貢献できるようになることを考えています。

社員の幸せを一緒に考えることも人事の仕事

インタビュアー:西友時代、L.L.Bean JAPAN に出向し、同社の会社清算に伴い全社員の契約を解除するという経験をされたそうが、振り返るといかがですか?

安田:全員としっかり向き合い、新しい道がその人のためになると信じて話をしました。

とても大変な経験でしたが、この経験があったからこそ、人事のプロとして生きていこうと思うようになりました。

人事としていろいろな社員をみていると、会社の評価基準にあわない人もいます。そのような人には、ほかの場所で活躍することを提案するときもあります。

わたしはその人のためを本気で考えて提案をしています。一生懸命頑張っているにもかかわらず、何年も低い評価をされているのは、幸せじゃないと思うからです。

人事は社員との信頼関係が大前提

インタビュアー:人事という仕事は、ある意味で社員から非難されることもあると思いますが、仕事に対するモチベーションをどう保っていますか?

安田さん)おっしゃるように人事という仕事に、嫌われ役のイメージをもっている人は多いです。しかし、わたしはただ非難されるということがないように、まず人としてコミュニケーションをデザインすることを大事にしています。

”人事は相手の立場に立って、言うべきことを言うべきである。”

「逃げない、嘘をつかない、ごまかさない」がわたしの信念です。

当然、厳しいことを言う場合もあります。ただ、そこには大前提として相手との信頼関係があります。

「安田が言ってるんだから、それが正しいんだろう」と思われるくらいの信頼関係をつくることが大切だと思います。

リーダーもマネージャーも、任せて見守ることが大切

インタビュアー:リーダーとして大切にしていることをお聞かせください。

安田:人気アイドルグループNiziUを生み出したJ.Y. Parkさんも言っていましたが「リーダーとしてふるまい、人を育てるのにふさわしい自分でいる」ことです。

自分が率先垂範で行動するからこそ説得力がでます。部下や仲間に「難しい仕事をどんどん取りにいけ」と言うなら、まず自分がやるべきだと考えています。

インタビュアー:チームづくりについて、大切にされていることを教えてください。

安田:信頼してマネージャーに任せるようにしているし、なにか伝えたいときはマネージャーを通すようにしています。

マネージャーたちに任せる理由は2つ、「マネージャーの育成」と「社内での露出による知名度アップ」です。

マネージャーはいつも暇であるべきだと思っています。実務をもたず、部下になにかあればすぐサポートできるようにしておく。

もちろん、難しい問題がおきて僕が対処したほうがいいこともあります。状況に合わせて自分が出ていく場合と、マネージャーに任せる場合を決めています。

あとは信頼関係がとても重要ですよね。わたしとマネージャーの会話はおもに雑談です。

ミーティングでも4割は仕事以外の話をしているくらい、雑談は大切だと思っています。

これは古い考えと言われるかもしれませんが、マネージャーには「本気を出したら、プレイヤーとしても、俺の方が凄いぞ」という自負も必要です。

もちろんその自負を表に出して部下と張りあう必要はないですが、刀をさやにおさめているイメージでもっておくといいです。

自分でもできるけれど、あえて任せるというスタンスです。そして、任せたらほったらかしにするのではなく、ちゃんと見守ることを意識するといいと思います。

人事は社員と会社に誠実に向き合う

インタビュアー:決めたことをやり切るために大事にしていることを教えてください。

安田:最後までやり切るのと、やり切らないのは全然違います。

30年のキャリアの中で仕事を投げ出したくなったこともありますが、それを乗りこえてきたからこそ成長できたという実感があります。

やりとげることで、マーケットにおける自分自身の価値が上がり、結果として新しいポジションを得られ、新しい仲間と出会えました。

インタビュアー:どの会社へ行っても素晴らしい結果を残されてきた原因はなんでしょうか?

安田:社員に誠実に向きあい「逃げない、嘘をつかない、ごまかさない」を守ってきたからではないでしょうか。

人事は会社側の人間です。西友時代の上司に「社員が『会社は・・・』と言う場合の会社は人事のことだ」と教わりました。

なので人事は誠実に、会社が決めたことは正しいんだ、社員にとっても最善の選択である、と信じてコミュニケーションをとるべきだと思っています。

チャレンジこそが成長のチャンス!

インタビュアー:最後に、ビジネスや事業にチャレンジして成功したいと思っている人へメッセージをお願いします。

安田:チャレンジすることが大事だと思います。「これは無理だ!」と思う壁にぶつかったときこそが成長のチャンスです。

背伸びすると、背伸びの分だけ伸びしろが増えます。たとえ失敗したとしても、なぜうまくいかなかったかを学べます。

だから失敗を恐れずどんどんチャレンジしてください。変化を求めましょう。


ダイバーシティ経営は思いやり

元カルビー株式会社 代表取締役会長兼CEOの松本晃さんにインタビューをさせていただきました。

松本晃さんは伊藤忠商事での会社員時代を経て、ジョンソン・エンド・ジョンソン代表取締役社長、カルビー代表取締役会長兼CEO、RIZAPグループの取締役を務め、現在はラディクールジャパン代表取締役会長兼CEOでいらっしゃいます。

数々のビジネスを右肩上がりにしてきたプロ経営者の松本晃さんの考え方は、実にシンプルかつ整理されています。

今回のインタビューでは、互いの価値観を認め合い最大限に活かし合うダイバーシティ経営や、目標数字への正確性など、多くの仲間と共に仕事を進めていく上で大事な考え方について、深掘りして質問させていただきました

とことん成果主義という松本晃さんの仕事に対する姿勢は、自分の決めた目標を達成し、人生を豊かにすることを決めている私たちにとって、目指すべきことのひとつだと思います。

ご自身が率先垂範で数々の変革を実行してきたきっかけをお聞かせください。

松本氏:特にきっかけはなくて、僕は「仕事でもなんでも成功しないと意味がない」という、典型的な成果主義者なんです。要するに、勝たないと何も良いことがない。勝てばみんなに良いことがある。

1番に良いことが訪れるのは、お客さんや取引先です。2番目は従業員とその家族。3番目はコミュニティ(地域社会)で、4番目は株主と考えています。

最終的に自分のところに良いことがあるかどうかはやってみないとわからないですが、きっと自分にも良いことがあると思ってやっているだけです。良いことがなかったらなかったで仕方がない。自分の欲望を1番や2番に優先順位を上げても上手くいかないですね。

インタビュアー:松本さんの会社員時代も同じスタンスだったのでしょうか?

松本氏:僕が伊藤忠商事にいた時には、日本の会社って矛盾があるんだなと思っていました。しかし、在籍しているときは仕事に全力投球するしかない。どっちみち伊藤忠商事は究極の自分の会社じゃないんだなと感じていましたね。

インタビュアー:究極の自分の会社ではないとはどういうことでしょうか?

松本氏:伊藤忠商事でずっと働き、そこでいくら活躍しても、最終的に自分にとって本当に良いことはおそらくないだろうって思っていました。伊藤忠商事も今はすっかり変わりましたが、今でも変わっていない会社が日本には多すぎます。

個人的にはどのくらい仕事に深く関われるか、仕事に何を求めているかは個人によって違います。しかし、サラリーマンなんてべらぼうに大きいことは求めること自体が少ない。ちゃんと食えて、余暇を楽しんで、お金の心配が最低限なくならないくらいは望みたいですね。

ダイバーシティ経営に関する質問です。会社や組織の中で何かを変えようとすると、反発も起こると思います。上手く解決する方法についてお聞かせください。

松本氏:大事な視点は、「どうして反発が起こるのか」ということ。この理由がハッキリわかっていれば、対処の仕方も変わります。だからといって必ずしも解決できるかどうかは別ですけれど。

実は反発が起こることって当たり前なんです。人間は、自分の持っている既得権を奪われる事に対して徹底的に抵抗するんです。
ダイバーシティが進まないことにはいくつかの理由があります。

1つ目は、例えば、今100人の男性の管理職がいます。100人の枠で30%を女性にしたいと思ったら、男性の30人は降りてもらう必要があります。男性からしてみれば、自分に損することは反対するのが当たり前なんです。このような当たり前なことを理解した上でやらざるを得ない。

2つ目は、トップマネジメント(注:企業の経営管理において、全体を統括して最終的な方針の決定を下す部門)におけるダイバーシティのプライオリティが低いからです。

会社の経営のことを1番に考えている方は多いです。しかし、2番目以降になると、関係のないことを考えてしまう。例えば週末のゴルフや今晩の接待とか。従って経営の優先順位の上位に、ダイバーシティはなかなか来ません。「やらないとまずい」という思いから、やっていますというスタンスの人は多いけれど、優先順位は下の方なんです。

3つ目は、異物が入ると不愉快なんです。10人の男性の中に女性がひとり入っても、逆に10人の女性の中に、男性がひとり入っても、少なからず違和感があります。10人の日本人の中に外国人がひとり入っても、何らかの違和感が生じます。

この違和感を乗り越えない限り、変えられないんです。こんな当たり前の事を理解せずして「なかなか難しい」と言っているうちは、本当にできません。「いやいや、やりたいんだけれど、うちには人がいない」と言うようなマネジメントになってしまう。

例えば、僕がずっとやってきたのは「来年の4月1日からこのポジションは女性にすれば…」です。誰にするかは皆さんで決めてと伝えると、今いる人達の中で誰が一番相応しいんだろうと話し合いが始まります。これが正解!もちろん、上手くいかない人もいます。上手くいかなかったら、残念ながら変えるしかありません。

4つ目は、男性と女性は求めるものが少しだけ異なることです。男性は名誉や地位、ポジションなどが大好きなので、役職や地位を与えることでがんばります。女性は、名誉や地位というより、責任と報酬のバランスがちゃんと合っていることを重視します。僕は2001年からずっとダイバーシティに取り組んでおり、女性の登用をしてきましたが、断った人は一人もいません。ゼロです。

人間の本質的なところをわかればダイバーシティは上手くいきます。

インタビュアー:実際に、松本さんご自身がダイバーシティに関して話されることもありますか?

松本氏:僕がカルビーに入る直前にやったことの一つは、コーポレート・ガバナンスです。取締役はそもそも社外の人がやるべきです。社内の人が取締役を占めていることはおかしい。しかし社外取締役だけでは、社内のことはわからないため、社内から取締役を選ぶのは一人か二人で良いと考えています。

カルビーから会長兼CEOをやってくれとオファーがあった時に、僕は「ガバナンスだけはやりますよ」と伝えました。それが気に食わなかったら僕はやらないつもりでした。仕事なんていくらでもありました。

僕自身、それほど派手じゃないし贅沢でもないため、お金は適当にあれば困らないから、給料を増やしてくれと言ったことはありません。お金には興味はありますが、優先順位が高いわけではない。

インタビュアー:松本さんの優先順位の一番は何でしょうか?

松本氏:コーポレートのビジョン(※)通りです。企業が描いているビジョンの通りにやったら面白いと思うので、優先順位は一番です。

※カルビーグループのビジョンより
顧客・取引先から、次に従業員と家族から、そしてコミュニティから、最後に株主から
尊敬され、賞賛され、そして愛される会社になる​。

カルビー時代の大変革について、どのようなことから着手されたのですか?

松本氏:まず働きやすい環境を作る上での、オフィス作りです。でも、社員に「どんなオフィスだとみんな働きやすい?」と聞いても皆さんよく分からない。会社は上手な仕組みを作ってあげて、その後は社員に任せることです。
人は仕組みに従って動いていきます。こうしたら絶対に良くなるという仕組み作りが経営者の役目です。

インタビュアー:反対する人が出てきた時はどうされていたんですか?

松本氏:反対する人は当然います。なぜ反対するかというと、自分にとって損するからです。人間なんて簡単です。自分にとって得なことはイエスだし、損することはノーなんです。そんな事は当たり前です。

まず、なぜ変えるのかをちゃんと説明すること。それにはやはり辛抱がいります。しかし、人間は正しいことに対しては反論できない。それでも実行するには、いくらかの我慢がいりますよね。それでしびれを切らしたらしょうがないでしょう。だから僕は、「正しいことを正しくやらないとだめだ」と辛抱強く言い続けます。

会社のルールなんてどっちでもいい。法律は守らざるを得ないけど、会社の中のルールは会社が勝手に作ったのだから、正しくないと思ったルールは変えればいい。

松本さんは人徳をお持ちだと感じるのですが、どのように努力したら人徳が得られるのでしょうか。

松本氏:多分に人徳は努力ではなく、もともと持って生まれたものだと思っています。

僕に人徳があるかというと、ハッキリ言ってないですよ。しかし、僕には実績があります。

理論的にも非常にクリアです。人徳がなくても、実績と納得感の強い理論立てた話ができれば大丈夫です。ただ、できるだけ人徳は持とうとは思っています。人徳をもともと持っている人には到底勝てません。

​松本さんが数字を作る上で、こだわっていらっしゃることはなんですか。

松本氏:どんな数字が達成できるか。利益がいくら上がるかに関しては、いつも関心を持っていて、一度決めたら絶対に変えない。なおかつ、正確性にもこだわっています。決めた数字が100とすると、100と101の間に収めようとしている。正確に達成するために、年がら年中、色々な現場を見て、人と触れ、お客さんや社員に会っています。

しかし、私はその100と宣言し、結果は110になった人、また、結果が90になった人がいるとします。110は+10で、90は-10です。どちらも評価しません。100と101の間に必ず収める。1円でも下回ったらダメなので、99.9もダメですよ。正確性を突き詰めていくと、だんだんと皆さんの精度が上がってきます。精度が高くなるわけだから、途中のレビューは必要なくなります。

一方、そんな中で数字が足りないからと言って、期末に例えば無理やり押し込みをして調整した社員がいる。その人はどうするか……?

……クビ。

何十年も前から、押し込んだら「クビ」だと言っています。押し込んだかどうかは、すぐわかります。期末に押し込めば、期初はドーンと下がります。

理屈的にはこうですけれど、いつも上手くいくということはないんです。社員に繰り返し言うようにして、会社の文化を少しずつ変えていく。そうすると会社がどんどん良くなっていって、一人ひとりが強くなれます。

大概の会社は100m走を105m走らすのです。それが毎年期末の決算のための押し込み売りです。

​こんなことをやってどうなるかと言うと、翌年も同じことをやるわけです。すると5年で525m走っているかというとやっぱり500mしか走っていない。マイナスから始めて、やっと追いついてゼロ。毎年期末に無理をさせて、年度初めに入ったらまたしんどい思いをさせる。そんなことやらせて何の役に立つんですか。

逆に、100m走を95mにする工夫もできます。社員はどんなに楽になることか。よりみんなが楽になる工夫をするのが経営者の役目です。上手に貯金を作って、新しい期に入り、初日にドーンと売上・利益をあげると余裕が出てきます。楽をしながら働いたほうが良いのに決まっているでしょう。

最終的にもし足りなくて、計画を達成できなかったらけしからんことです。しかし、それはトップの責任です。トップが責任を取る。上の人間は責任を取るのが仕事なんだから当たり前です。

当たり前のことを当たり前のようにやってきただけです。奇をてらったことをやっているわけではありません。従業員やその家族の優先順位が2番目なんです。この順番は絶対に崩しません。

松本さんが次に手に入れたいと思っているものはなんですか。

松本氏:今は、好奇心を持てることに残りの人生を生きています。だから、世の為、人の為になって、面白いことを求めています。知らないは自分の好奇心をくすぐります。僕は医療の世界に20年、次に食品の世界に約10年関わりました。残るのは「環境」しかないと思って、今は環境問題への取り組みをやっています。

ただし、環境というビジネスは全く知らなかった。このビジネスに入ってみて一番最初に感じたのは、非常にローテクということ。例えば、ゴミで汚れているから清掃しようとか、ゴミの削減を頑張ろうなどです。そこを取り組むのではなく、環境でハイテクってなんだろうと思って、ハイテクを探してやっています。

インタビュアー:環境でハイテクとはどういったことでしょうか。

松本氏:ラディクールジャパン(Radi-Cool)という会社は、カッコよく言えば地球の温暖化に挑戦する会社です。化石燃料をまったく使わずに物体を冷却する技術を用いて、地球の気温をこれ以上上げないことにチャレンジしています。

表面温度5,500℃の太陽が、四六時中地球を温めています。なのに、地球は何億年もの間、温まっていない。なぜだろう。実は、放射で熱を地球の外に逃がしているからです。

今、地球温暖化は、化石燃料を燃やしすぎたことによって、二酸化炭素が溜まってしまったためです。地球の温度が1℃上がることは、この環境にとって本当に大きな問題です。1℃上がっただけで、海水の蒸発量が大きくなる。蒸発したものはそのうち空から落ちてくる。だから、記録的な台風や大雨・大洪水はさらにひどくなる。

そうはいっても、そう簡単に地球温暖化問題は解決はしません。しかし、少しでも化石燃料を使わず、自然に冷やすという方法であれば面白いなと思ってやっています。

今でも学び続けてらっしゃるとのことですが、具体的にはどういったことを学んでいますか。

松本氏:とにかく何でも新しいことを学ぶことです。世の中っていうのは着眼大局です。「着眼大局、着手小局(注:物事を大きな視点で捉えて、小さなことから実践すること)」という言葉がある。世の中の大きな動きや流れに関することを知って対処する。

30年前ベルリンの壁の崩壊は何を意味したのか。それによって世の中がどれだけ変わるのか。それくらいわかっていないとダメなんです。西と東が失くなると日本は大変なことになるよということくらいわかっているはずです。でも当時は「バブルでまだまだ良くなる」と言っている人が多くいました。良くなるはずがない!案の定、2年後にはソ連がなくなったんです。そして、全てが変わってしまった。

メディアが伝えるものと、実態は全く違います。中国がどうして一気に経済成長したのか。なぜ、どうして、こうなったのか。世の中の情報をもとに、どのように変わっていくのか考えています。

あとは、興味のあることを学び続けています。

北朝鮮はなぜあんなことをやっているのか。中国がどうしてあのような国になったのか。なぜ、どうして、こうなったのか。を知りたい。それがわかると世の中はこれからこのようにして変わっていくだろうということがみえてきます。

強いチームは「基準」でつくられる

株式会社アースホールディングスの創業者であり代表取締役社長の國分利治さん、同社取締役の山下誠司さんにインタビューをさせていただきました。

名実ともに日本一の美容室グループ「HAIR & MAKE EARTH(ヘアメイク
アース)」をゼロから育て上げ、今もなお多くの成功者を輩出し続けている國分利治さんと山下誠司さん。今回は、仕事観や人生観、そしておふたりが大事にしている「基準」について、深掘りして質問させていただきました。

國分利治さん・山下誠司さんが語る【物事の原理原則】は、私たち塾生だけでなく、人生を豊かにすると決めている全ての人に効果的な内容だと思います。ぜひお読みください。

國分さん自らが非常に大きな成果をつくり、周りの方々も成功されています。成功者を多く輩出していく土壌づくりにおいて意識されていることをお聞かせください。

國分:成功する土壌づくりは、法則的なものがあると思います。経営を続けていく中で、「成功する、失敗しない」には法則的なことが必要です。

「失敗した会社」「倒産した会社」が取り上げられている本や雑誌を読んでみると、失敗した会社の特徴は「社長だけ儲かる」「会社だけが儲かる」「取引業者が潰れてしまった」など、色々なケースが書かれていますよね。

それらの失敗を教訓にして、「これをやったら潰れるな」「これをやったら会社を継続していける」というのを意識しています。また、会社が儲けてきたら自分だけ利益を取るのではなく、富の分配とも言えるかもしれませんが、頑張ってきたみんなで共有できるようにしています。考え方や想いを仲間たちと共有することはもちろんプラスになります。ただ、物質的なお金も共有しないと、どこかで不満が出やすくなります。

(共有の仕方について)頑張って結果をつくった人をしっかりと評価することは大事ですが、みんな平等に分配するのは少し違うのかなと思います。例えば、「ボーナスはみんな一律です」「利益が出たら一律で全員に分けます」「入社一年目、十年目関係なく、一律で20万円の分配です」などは、平等とは違うと思うのです。分配方法は別として、何かしらの形で共有できたらいいのかなと思っています。

ある程度の軌道に乗り、企業が成功してもトップだけ儲かっているというパターンが結構多いじゃないですか。そうなると、そこで成長が止まってしまうと思います。また、一緒に頑張ってきた仲間とはあまり繋がっていないような感じがします。それならば「10人フェラーリに乗る人を作る」という目標を作った方が良いと思っています。もちろんフェラーリに乗りたくない人もいるので、そういった人には強要はしません。違う形で一緒に共有できる方法をを考えますね。

インタビュアー:夢や目標を形にしてみせてあげることを大事にしているのですね。

國分:そうですね。見せられるもの、わかりやすい方法を取っています。モノをポンと出して、「頑張った結果がこれだよね。頑張ったら、自分の手で掴めるよ」と見せられる方がわかりやすいと思っています。

長く続く企業をつくる上で、次世代のリーダーを輩出することが大事だと思います。育成していく上で、No.2やNo.3が頭角を表すために意識されていることはありますか?

國分:基準を上げるきっかけをたくさん作ることだと思います。

ある程度稼げるようになると、年収1千万や2千万円で満足するというパターンもあります。その場合は、さらに上の基準を魅せていくことが大事です。2億や3億じゃなくて「10億円以上稼いでいる人もいるよ」「それ以上に20億円も稼いでいる人もいるよ」など、さらに上の基準となる情報を流してあげることです。

本を読むだけでも基準は上がります。しかしそれ以上に、実際に稼いでいる人と会ってその人の基準に触れる。リアルな環境に触れると基準が上がりますね。

成功の基準が一番大事かなと思っています。

國分さんは「基準」をどうやって設定していますか?

國分:今だったら、ソフトバンクの孫正義さんをはじめとする、世界的に活躍している方々の基準ですね。彼らの基準からしたら、僕はまだまだ成功していると思ってはいません。自分自身の基準で、すごいと思っていると上には行けませんね。自分よりもっとすごい人を見ていたら、まだまだって思います。

つまり、「基準を高める努力をして行動するか」ですね。

インタビュアー:ご自身が基準を高めるためにされていることはありますか?

國分:情報を常に入れることです。自分より高い基準でやっている人の情報を常に入れる。本もそうですし、今であればSNSやYouTubeもありますよね。

山下さんがEARTHで頑張ろうと思ったきっかけをお聞かせください。

山下:きっかけは、國分社長との目的が一緒だったことです。美容業界で一番になるんだと思っていたので、全国制覇、全国展開というのがしたかったのです。日本一を目指す人がいたら、その人と一緒にやった方が早いだろうと思いました。それがたまたま上司だったというだけです。

インタビュアー:専門的な職業に携わる場合、組織に所属するより独立したい人が多いように感じます。この観点で、EARTHで頑張ろうと思ったきっかけは何でしょうか?

山下:(組織に所属している方が)自分自身の目標に対して、加速しますよね。自分の部下や同期の人もそうですけれど、上司の強みを活かすことができるのが一番大きいですね。優秀な上司や部下がいる環境にいても、彼らの強みをうまく活かすことができない人もいるのですが、どちらも活かすことができるとすごい武器になります。

國分社長をきっかけに、名だたる経営者の方に会わせていただいています。数ヶ月に一度、CoCo壱番屋の創業者の宗次徳二さんやアパマンの創業者の高橋誠一会長にお会いしております。國分社長のさらに10歳上の御方達です。

僕自身、國分社長をメンターとしていますが、宗次さんや高橋さんからも学んでいるのです。宗次さんからは経営姿勢を、高橋会長からは数字に対する姿勢を学んでいます。例えるならば、国語の先生と算数の先生のようなものですね。ほかにも、理科の先生や社会の先生がいます。これは僕ひとりだけでは、直接縁を得ることも、学ばせていただくことも難しいと思っています。

自分を高みに引き上げてくれる方がいるのなら、彼らを活かした方が早いと思うのです。別に、楽をしたいわけではないですよ(一同爆笑)。

インタビュアー:國分社長の力を活かすというのも簡単なことではないと思います。活かすうえで大事にされていることをお聞かせください。

山下:そのままの地で行くということです。嘘や隠し事は、まず通用しません。ありのままの自分で誠実に接するようにしています。

また、アドバイスいただいたことは、次会う時までに必ずこなすようにしています。できていないと、次を教えてもらえませんからね。教えていただいたことをちゃんとやる。そして、やったことをしっかり伝えて、新しいアドバイスを貰うようにしています。

立ち上げ当初、EARTHの基準や育成されている仕組みがある中で、他のお店のビジネスモデルを取り入れて業績を急拡大させたと伺いました。なぜ取り入れようと思いましたか。

國分:成長する時間が最短でいくのかなと思ったからですね。自分ひとりで頑張っても、5店舗くらいしかできない。しかし、あるサロンは5年か6年くらいで17店舗を展開していたのを見て、それと同等の会社くらいはできるなと思いました。

インタビュアー:今では取り入れたモデルよりもさらに大きな結果を創られているそうですが、元の仕組みをどう評価し、再現していったのでしょうか?

國分:「改善の繰り返し」ですね。何かすごく大きなアイデアがあったわけではないです。コツコツとやってきた結果だと思います。瞬間的にガーッとやったときもありましたけれど、結果的には30年になっていました。

一つの基準で考えると、30年くらいは別にすごいことではないですよ。EARTHより早く大きくなっている会社を見ると、その差はなんだろうって考えます。例えば20年の差があったとしたら、その差を埋めるために他にも何かできることは無いのかなと考えるのです。

國分さんのビジョンに共感した、熱量の高い人と一緒に仕事をされている印象をお受けします。何を意識してチーム作りをされているのでしょうか?

國分:「人のために頑張る人になりたい人!」というのを意識しています。

インタビュアー:そのビジョンを、國分さんが対面で伝え続けているのでしょうか。

國分:そのまま言葉で伝えるのは難しいですし、大変なんですけれどね。結果的に、人のために頑張るようになろう!となるようにミーティングなどで会話しています。

インタビュアー:國分さんや山下さんが普段やられていることが、チームや組織に伝染していくのですね。

山下:性格って、周りに伝染していくと思います。

経営者になると、社外の人とゴルフなど誘われるのですが、社外の人と一緒にいると気が楽な部分もあるんですよね。ただ、経営者が社員に時間を使わなくなると成長は止まってしまうので、社員とのコミュニケーションは大切にしていますね。

実は2日前まで、20名ほどの社内合宿を徳島でやっていたのですが、写真が出てこないのです。もう、何が起こったのかなと(笑)。出せない写真ばっかりなのかもしれませんね。絆は深まっていると思いますけれどね。

インタビュアー:常に現場でコミュニケーションをとっていらっしゃるのですね。

國分:僕は、今は前ほど現場へは出ないですけれど、1年に1回は全店舗を回るようにしています。オーナーも100人程いるので、彼らと一緒にいる時間を増やしています。今回の徳島での合宿は1泊2日で、遊びながらですけれど、伝えられるところは伝えています。

山下さんはフランチャイズオーナーを束ねるキャプテンとして、オーナー個々の意識をどのようにまとめあげてきましたか?

山下:例えば、僕はフランチャイズの本部ではないため、僕や他の100人のオーナーと、國分社長は異なります。そのため、「國分社長を超えられないんじゃないか」とか「國分社長の傘下についているんじゃないか」など、色々心に思う方もいたのですが、実際はそうではありません。僕は國分社長に使われているなんて思ったことは一度もないですし、言い方はおかしいですが、むしろ使わせてもらっていると思っています。

オーナー個々の意識をまとめるという点では、僕自身が今のEARTHのフランチャイズオーナーとしてスタートし、今では役員の仕事もやっていますが、仕事を通じて「楽しいな」と思って過ごしています。

逆に、「やってられない!」と思っている人は、顔に出ちゃっていますよね。「いつまで経ってもフランチャイズ本部になれない」というような雰囲気を出している方がいる中で、そこは彼らの期待の星にならなければいけないなって思っています。

一般的にフランチャイズというと、あんまりいい評判がなく、負のイメージを持たれている人もいますよね。EARTHで取り組んでいるのは、フランチャイズという名称の「のれん分け」です。のれん分けといっても少し違って、未来型ののれん分けといいますか。100%株主ですし、オーナー経営者ですしね。みなさんが持たれているイメージとは違うところがあるんですよ。

自分がやってて、いいなって思っているフランチャイズオーナーが、またフランチャイズオーナーを生みますよね。「(オーナーになったことで)失敗したかな、道を間違えたんじゃないか」と思っている人は、次のリーダーを産めませんよね。部下は上司の姿をすごく見ていて、口で言っていることと、行動していることが食い違っていることに敏感なのです。

インタビュアー:山下さんの成功が、ほかのオーナーにとっての大事なモデルとなっているのですね。

フランチャイズという意味では、他のオーナーと直接の利害関係がない中で上手くまとめ、方向性を整えていらっしゃることがすごいです。

山下:例えば僕のところから卒業した経営者が新しく店を出しても、僕には1円も入ってこないのですけれど、卒業生を大事にしたいと思っています。

國分:自分がやってもらったことを、後輩に返していく。先輩にラーメンをご馳走になったら、後輩にそれを返していく。まるで義理人情のようですね。

美容業界で結果を出したいものの、出産や子育てなどを考える女性にとっては、休み無しで働いてこられたおふたりと同じような頑張り方は難しいのではないかと感じています。女性ならではの強みについてどうお考えですか?

國分:女性の強みは、引っ張っていくよりもフォローしていくイメージだと思います。実は、僕もどちらかと言うとフォローの方が得意なタイプで、自分が表に出るよりも、縁の下から支えたいと思うことがあります。

女性だからこそ、そこにいると安心する。ほっとする。そんな女性特有の安らぎを与えられるような経営をしたらいいんじゃないかなと僕は思います。

山下:僕は女性のフランチャイズオーナーを2人輩出していて、直属の関係なのでよく見ているんですけれども、女性をリーダーにすると、従業員もほとんど女性になりますね。ですので、女性をNo.2とかNo.3にするといいと思います。ちなみに僕がやっているお店は、僕は男性の成功モデルになろうとしているので、従業員もほとんど男性になるんですよ。

インタビュアー:今までお話ししてきたなかで、山下さんのもとで女性オーナーが育つ理由は、山下さんの細やかな心配り、マメさがあるからだと感じました。女性ならではの強みを活かすうえで、繊細さ、マメさなどコミュニケーションで大事にされていることはありますか?

山下:マメさでいうと、例えば10万円をプレゼントするとします。男性には10万円を一度にプレゼントする方が喜ばれ、女性の場合は、1万円ずつ10回プレゼントした方が喜ばれるような気がします。

國分:女性は感情レベルが男性に比べて高いですよね。その感情レベルを満たすことが大事だと思います。例えば相談事にしても、まず最後まで聞くことが大事なんだと思います。男性が相談する時は、相手に具体的なアドバイスや答えを求めるけれど、女性は特に答えを求めていない場合が多いのではないでしょうか。女性にとっては、悩んでいるときに電話してくれた、話を聞いてくれた、ご飯誘ってくれたとか、そういうことを大事にしていると思います。

インタビュアー:女性のことをよく理解しようという姿勢そのものが、女性にとっては嬉しいです。

國分:嶋村さんも、女性ならではの強みを活かした経営は得意かと感じました。

嶋村:どちらかというと得意かもしれません。僕の周りの女性経営者は、マメで目の前の仕事をきっちりやってくれるような方が多く、非常に一緒に仕事がしやすいですね。

國分:責任感が強く、きちんとやる方が多いですよね。仕事も安心して任せることができます。 >

成功に奇策はいらない!

成功に奇策はいらない』の著者であり、グローバル・コマース・イノベーション合同会社の代表を務める平山真也さんにインタビューをさせていただきました。

平山真也さんは、アメリカ有数のコンサルティング会社であるベイン・アンド・カンパニー社、そしてリクルートを経てアパレル業界へと移られ、2011年にアパレルブランド「Dickies(ディッキーズ)」の日本法人を立ち上げました。そして、1年目より黒字化、6年間で売上高を約10倍にしたほど、経営戦略のプロとも言えるお方です。

インタビューの中で印象的だったことは、「当たり前」を徹底的にやり抜く経営姿勢と、「やるっきゃない!」というマインドでした。自分自身の目標達成に邁進する私たちにとって、平山真也さんのプロ姿勢は学ぶべきものが多いと思います。

平山真也/グローバル・コマース・イノベーション合同会社

これまで色々なことを経験され、乗り越えられてきたと思います。その原動力をお聞かせください。

平山:「とにかく成功したい!」と思って乗り越えてきました。途中からは「やらなきゃいけない」という意識にもなっていました。

例えば、日本法人の代表を務めながら、業績悪化していた中国法人の社長を兼任で引き受けた時は、協力会社の社員などにかなり入ってもらいました。しかし、中国がダメになったら日本もダメになるなと思い、外部の方を巻き込んだ以上は「やるっきゃない!」です。

だから本当に「やらなきゃいけない」という意識ですね。しかし、やり続けてみて「逃げても何も生まれない」ということが、実感できたのが何より一番の収穫ですね。

コンサル経験を経て、その後ご自身で起業されたそうですが、コンサル時代と起業されてからの違いや、社長になって一番大変だったことをお聞かせください。

平山:何が大変だったのかな。あっという間に過ぎていったんですよね。2014年の6月から2015年の1月までは、マジで大変でしたね。

飛行機の中で「死にたくないけど、落ちるんだったら落ちてくれ。落ちたら楽になるな」と本当に何回も思いましたね。それくらい追い込まれていましたし、味方が誰もいないような感じもしていました。その時期は本当に大変でしたね。

で、何が大変だったかと言うと、とにかく色々な事が一気に起きている中でどうにかしなきゃいけなかった。(ディッキーズ改革時の守旧派の)クーデターが起きた後に、ホテルのラウンジのような場所で近しい人3人で話していて、「とにかく(この状況を)忘れたい!」という気持ちになり、気を紛らすために野球選手のドラフトをやろうみたいな流れになりました。やってみても結果的に忘れられなかったんですけれどね。

いつもそうなんですけど、最後は開き直る!「やるしかないでしょ!」って思って進めることがポイントです。起業してからはずっと幸せですね。色々起きますけど、自分でどうにかできますから。

ディッキーズにいた時に何を考えていたかというと、当時は5つある主要部門の中で2番目に小さい部門だったんです。会社自体は急激に成長していたため、5年以内に事業売却をすると思っていたんですよ。私がいた頃は、数年後で創業100周年を迎えるため、その年に売却するのではないかと推測していたところ、結果的に95周年の年に売却されました。自分の計画では、あと5年は頑張って当時いた部門を最大部門に押し上げてから、商社や同士たちを巻き込み、M&Aをしようと青写真を描いていたんです。

買収されると発表があって、少し早かったなと思いましたね。売却先の会社は知っていて、実際に接してみると、心が分かり合えないなと感じました。

インタビュアー:そう思った理由は何かありますか?

平山:外資の大企業は、仕組みを作ってその通りにやるスタイルが多いです。売却先の会社もすべてシステマティックにやろうとしていましたが、そのシステム自体が古く感じてしまったんです。また、アートとサイエンスに対するリスペクトが全然ないように感じました。

平山さんは、日本企業の課題のひとつとして「これからは会社じゃなくて生態系に変わっていく」と予測されています。平山さんが考えるビジネスにおける生態系の定義はどういったものですか?

平山:以前いたディッキーズは、社員もいますし協力会社にはたくさんの人材がいます。みんながチーム・ファミリーとなって戦っていく。

僕のGCI(グローバル・コマース・イノベーション社)も、独立した企業をいくつかまとめあげ、多種多様な人材がいる中で戦っています。社員もいるし、外部の方もいる。様々な人材がひとつの生態系として形づくっています。

事業が成り立つために何が必要かをちゃんと考えて、それに合ったベストパートナーを決める。それが社員であれば社員で良いと思うし、違ったら別の会社にアウトソースするのもいいと思います。色々なことを柔軟に考える必要性があるのかなと思います。

どんどん変化する中で、様々なことを抱え込んでいると対応できなくなります。つまり、柔軟な変化に対応していくことが重要です。もちろん人を大切にしながら、柔軟にスピーディに対応していくことが、時には必要になるかなと思います。

自前で全部揃えて、会社の中で全て機能させていくというのは、一部の大企業じゃないと難しくなってきています。

インタビュアー:適切なチームを組んでいくことでしょうか?

平山:そうですね。

例えばですが、出産のタイミングで会社を辞められる方がいます。なかなか続けるのが難しくなるのも理解できます。ただ、企業ができることとしては、業務委託にして「在宅ワークで働いていただいて構いません」と柔軟に対応できるかですよね。

今後、この様な働き方も必要になってくると思います。中国なんかでも「別に仕事できれば良くない?」という意識が強いです。多様性の中から、似たような感覚や価値観が合っていれば、どんな人でも仕事ができると思っています。

今後、僕の会社でも「自分でもこういった風にやりたい」、「事業をやりたい」という社員が出てくるでしょうから、「アライアンスの関係にしますか?」という選択肢を用意したいですね。両方ハッピーだったら結果的に良いという感じです。

インタビュアー:会社の枠にとらわれず、結果を出すために必要なものを選択していくということでしょうか?

平山:そうですね。会社組織って古いと思っています。日本人はみんなコミュニティという村の中で生きているから、どんどん辛くなっていくんじゃないかと思います。嫌な仕事であれば、我慢して続けて病んでしまう前に別の仕事を探したらいい。そこまで会社の枠にとらわれる必要はないと思っています。

チームとして機能し、成果が作りやすい価値観や世界観はなんだとお考えですか?

平山:「プロとして振る舞ってやっていく」「色々な方をリスペクトして仕事に取り組んでいく」

誰がどこの組織に所属しているというのは関係なく、結果を出すために必要な人と手を組む。そして、楽しく仕事をするにはどうやったらいいかを考える。

さらに、物事を多方面からみる事が重要だと思っています。アートもサイエンスも両方重要で、それらを織り交ぜながら、物事を考えていく。お客さんに満足してもらえなかったら、売上があがりません。売上にこだわり、価値観が一緒なら問題ないかと思っています。

インタビュアー:チームをつくっていく上で一番大事にされていることはなんですか?

平山:頭が柔らかいこと、精神年齢が若いことですね。実年齢は全然関係ないんです。

弊社に、僕よりも年齢が一回り上の者がいるのですが、彼はいまオフィス系ソフトウェアの講座を受けています。ディッキーズアジアの本部長をやっていたので、その時はオフィス系のソフトは使っていなかったのですが、いまの僕らの仕事には使わざるを得ないんです。あまり得意ではなかったようですが、やっているうちに楽しくなってきたそうです。

誰しもが、新しいことを学ぶことに対して抵抗感があります。前提はどうであれ「まずやってみようか」という気持ちがとても重要だと思いますね。世の中は絶えず変化しているため、自分も変化してどう対応するかです。やってみることが結果的に変化することに繋がります。

それから、僕がよく後輩に言っているのは「今までの実績や結果に自信を持つのではなく、これからの自分の可能性に対して自信を持ちなさい」ということです。

過去の事例や経験から考えることって多いんですが、実際は過去ですし、僕自身もディッキーズでの栄光にこだわっていません。これから自分が新しいものをつくっていく方が、よっぽど重要です。過去がどれだけすごくても、未来もそうなるとは限りません。未来志向であることが大切ですね。

あと、過去の事例から未来を予測する方がよっぽど重要だと思うんですよね。会議などでの振り返りで「昨年、どうでしたか?」は大企業病だと思っています。僕の会社では、毎週予測型のマネジメントをやっており、各事業単位でPLやBS、CFを計算し、毎週一年間分の予測をしています。

予測すると、なぜこういった数字になったのか?どうしてこんな風になるのか?徹底的にポイントをついて、毎週ひたすらPDCAを回していく。これをやった結果、社員は数字にめっちゃ強くなりました。余裕ができた分、投資など今後の行動がやりやすくなりますね。

平山さんのように、スピード感を持って仕事をするのが苦手な方が多いと思います。何かコツはありますか?

平山:僕も最初は面倒なことから手をつけるってことはできなかったんです。むしろ後回しにしていたと思いますね。ひとつ大きいのは、中学の夏の時に軍隊学校に入ったんです。入る前は部屋は汚いし整理整頓が苦手でしたが、軍隊学校で規律を学び、改善したと思っています。

私は好き嫌いが強く、好きなものはきっちりやるし、嫌なものはやらないっていう人なのです。ただ、突破しないと自分が思い描いている理想の場所にはたどり着かないため、頑張ってやっていました。

平山さんは目標設定などすべて考えられているように感じます。そのような”考える癖”は、アメリカでの生活で身についたのでしょうか?

平山:日本と異なり、アメリカではディベートを教育に取り入れるケースが多いからかと思いますね。アメリカ人って面白くて、僕がアメリカに渡った当初、英語が喋れない時はとても優しいんですよ。ある程度会話ができるようになり、コンペティターになり得ると思われたら競争が始まります。その競争に勝つとアメリカ人になれる。

そういった背景があるから、どうやったらディベートで勝てるかをずっと考えます。考えて考えて、自分で意思決定する必要があります。常にレールが敷かれているわけではありませんからね。私にとってはこの経験が良かったのかもしれません。

あとは、親から「〇〇になりなさい」とは一回も言われたことがありません。両親ともに歯科医師ですが、仕事を継いで欲しいというのもなかったですし、それも良かったかもしれませんね。

(御社の)皆様が平山さんについてきているのはどういった理由だと思いますか?

平山:どうなんでしょうかね。未来をつくっていて、自分たちにとってプラスになると思っているからではないでしょうか。

自分で起業して人を雇うということに関しては、とても慎重になりましたね。一人でも雇った以上は、その人の未来を背負う覚悟が必要なため、そう考えると責任が大きいです。起業してから人を雇い始めるまで7〜8ヶ月間ありましたが、最初は一人だけで気が楽だなって思っていました。

オフィスを構えて人を雇って、パートナー企業を含めて今では50人くらいになりました。一人の時と比べて、責任は大きいですね。でも、だからこそ頑張らなきゃって思います。

従業員の給料をあげたり、キャリアプランをつくる必要があります。そのためにも企業はもっと成長する必要がある。考えるたびに責任は大きく感じますが、社長業はその覚悟がなかったらやるべきじゃないとすら思っています。

僕は、自分で決断して、開き直りながらやるという仕事の仕方は楽しいですね。

平山さんの今後のビジョンをお聞かせください。

平山:今は、複数の事業展開をしていく構想があります。今取り組んでいる軍師・傭兵事業も当然やっていきますし、美容や健康の分野でも事業を考えています。「コト消費」の事業をもっとやりたいなって思いますね。もう一つは、ファンドをやり、買収して自分で経営するのがいいかなと思っています。

とにかく40代は楽しくやりながら、お金に関して一生困らない状態をつくる。そのうえで50代からは資金を気にせずに社会貢献をしていきたいと思っています。現時点ではどの分野での社会貢献かは想像ついていませんけど。

嶋村吉洋:どういったテーマのファンドをお考えですか?

平山:あくまでアパレルの分野で小さな企業を買収し、日本でもまだまだ成長できるよというのを証していきたい。大手がやっていることの小さい規模をイメージしています。

アジア進出もやっていきたいですね。今の成長戦略、GCIと呼んでいますが、グローバル(G)、クリエーションオブライフスタイル(C)、インベストメント(I)をやっていきます。あとはいつになるかわかりませんが、どこかのタイミングでシンガポールにオフィスを作ります。今後、成長していくのは東南アジアかアフリカだと思っています。日本から近くて、ある程度設備が整っているのを考えるとシンガポールになります。

また、昔から繋がりのあるビジネスパートナーがファンドをやっており、今はシンガポールにいるので入りやすいというのも起因していますね。

インタビュアー:アパレルへのこだわりは、今までのご経験があるからでしょうか?

平山氏:純粋に服が好きですし、今はアパレルだけでなく、ライフスタイル全般を考えています。(ファッション分野は)圧倒的に強いわけですから、アパレルジャンルでやるというのもひとつだと思っています。

インタビュアー:社会貢献などお考え中とのことですが、いまはアパレル分野における環境問題も話題になっていますよね。

平山:社会貢献ってひとくくりに言っても、僕の場合は人の育成を考えていますね。もちろん、環境問題はすごい重要だと思います。個人的に効果的だと考えるのは、環境に負担がかかるファストファッションの在り方を考えるべきだと思います。ユニクロの柳井さんは凄い方だと思います。ユニクロの服は品質もよく、長く使えるじゃないですか。長く使うことが究極のエコだと思っています。

だから本質的な価値を追求するラグジュアリーは伸びると思っています。気分あがるじゃないですか、いいものを着ていると。そっちの方がよっぽど良いと思いますけれどね。

嶋村吉洋:2冊目は書かれないんですか?

平山:書きたいと思っていますが、今後の売れ行き次第ですね。

嶋村吉洋:1冊目のタイトル(「成功に奇策はいらない」)も凄いですよね。相当な量の仕事をこなしている人でないと、このタイトルでは出せないと思いました。この本を読んで刺激を受けた人は、現場のことばかり考えているのではないかと思います。書籍のリアルな反響はいかがですか?

平山:リアルな反響はすごくいいですね。「この本で初めて知った」「納得して読みやすい」などの声をいただいています。

嶋村吉洋:僕も平山さんの本を読んでとても刺激を受けました。現場のことを今まで以上にすごく考えています。本質的な事が書かれている本を読んで、燃えるような仲間と仕事をしたいですよね。

平山:本当にそうですね。何も変えるつもりがないんだったら、お金もらったとしても楽しくないですね。ちゃんと変えてくれるお客さんと仕事がしたいなと思います。

どうしても僕は性格上、変えたくてしょうがないから、本当のことを言っちゃいます。今までもそうなんですけれど、だいたい見通しの通りにはなりますね。最近、この辺の見通し能力は、特殊能力になってきたと思います。予測したことが、ズバズバズバと当たりますね。

これからを担う若手に向けてひとことお願いします。

平山:とにかく、「諦めないこと」ですね。

夢や目標を持っているのであればなおのことで、「負けを認めなければ負けることはない」とリクルート時代の上司である波戸内さん(現株式会社リクルートエグゼクティブエージェント社長)からよく教えていただきました。精神論っぽく聞こえますが、諦めずに続けていると、違う形で勝つこともたくさんあります。誰でも事業をやっていれば、良いときが続くわけでもないですし、大変なこともいっぱいあります。でも、続けていれば良いことは絶対に起こると信じています。