和風庭園づくりから飛騨が産んだ茶葉の販売へ「日本の希少品として再発見する」

ワクセル編集部

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2024.01.15
アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_丸川勝彦さん

父の代から続く造園技術を磨いて50年。岐阜や京都など数多くの寺社仏閣の庭師を務める丸川勝彦さん。丸川さんは飛騨地域に眠る特産品を日本の希少品として再発見し、お届けするためのブランド『金飛騨』をローンチしました。茶葉の保全活動やドローンの普及活動など、多方面で活躍される丸川さんに今後の展望やビジョンについて伺いました。

造園の魅力とは

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2代目として、父がやっていた造園の事業を受け継いで50年近くたちます。庭師として修行を始めた当時は、時代背景として庭園というよりも京都和風が主流でした。建物を建てればほとんどが庭をつくるというように、造園が盛んな時代でもありました。そういった理由で和風の庭園づくりを提供したいと思い、京都で6年ほど修行したのです。

私が京都でお世話になっている頃、良い先輩に恵まれて、その方の影響を今でも引き継いでいます。最初の頃は「造園が人をつくる。人に影響を及ぼす空間を僕たちがつくる」と言われ、何を言っているのか理解が追いつきませんでした。当時はまったく響かなかったんですが、今に至って少しずつわかってきました。

植木の剪定(せんてい)を取っても、枝の切り方ひとつで景色が大きく変わることがあります。私は冒険的なアプローチよりも、自然の流れに沿った雰囲気を重視しています。人がデザインする造形は比較的容易ですが、自然の造形を再現することははるかに困難です。自然に従うことがいかに難しいかと感じており、自然に従った造形というのはもはや神技だと思います。

切った庭木で新たな製品をつくる

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私たちの時代は“つくる”時代であり、眺める庭をつくるために木を植えたりしていました。時代が移り変わって、今では昔つくった造園を取り壊して、ガレージやバーベキュー空間をつくったりすることが増えてきました。

昔庭つくりのために植えた木は、30年以上も経つと結構な大木になっているんです。植えたときは人の手で簡単に持てたものが、育って大木になるとチェーンソーでもなかなか取り除くことができないほど立派で、直径30センチ以上になるものもあります。

それをただ切って捨ててしまうのはもったいないと思い、何かいい方法がないかと考えた結果、簡単なテーブルや、間接照明などをつくることにしました。庭にあった木を、表面の皮の部分など自然が感じられる部分を残した製品をつくって、お客様に喜んでいただけたら幸いです。

小さなコミュニティから新たな事業を

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今私がいる飛騨金山の地域では、お互いを尊重し合う小さなコミュニティがあります。そこには自分の事業を喜んでくださる方や、自分に対して意見をくださる方などいろんな方がいます。コミュニティから生まれた『金飛騨茶』の事業は、飛騨地域に眠る特産品を日本の希少品として再発見するというものです。他にも町全体を巻き込んだビジネスとして形にしていきたいと考えています。

この狭い町には光るものがたくさんありますが、埋もれてしまっている現状があります。ビジネスとして何か利益が上がるものができればいいと漠然と考えていますが、やるからには後に残る形でできればいいかなと思います。

自分のやりたいことも取り入れながらも最優先はお客様の気持ちを表現し、意思を尊重した事業をつくっていくことをこれからも大切にしていきます。