インドと日本をつなぐ起業家が取り入れている“ヨガ瞑想”と“リトリート”
インド人と日本人のハーフであり、インドにいた経験から心の健康をサポートする会社『合同会社For DiL』を立ち上げた薄田大輝(うすだひろき)さん。本コラムでは、起業したきっかけや心の健康について考えていること、今後の展望などを伺いました。
インドのパワーで周りを元気にするために起業
私はインドと日本のハーフで、10歳までインドにいた経験があります。その経験からインドと日本の間で何か役に立てることはないかと考えていました。
昔から将来は起業しようと考えていたので、経営者の方に話を聞きに行ったり、大学では経営学を専攻し、英語を学びながら、人材会社へのインターンの経験もあります。
インドは貧困のイメージが強かったのですが、貧しいなかでも人々が笑顔なんです。現在は経済成長が著しく、人口も増え続けています。
一方、日本は経済的には発展していて豊かですが、電車で見るサラリーマンの表情は暗かったです。自分の身内や友達でうつ病になる人がいたり、メンタルの部分で病んでしまう人が多いと感じていました。
「自分に何かできないか」と考えた時に、自分の周りでメンタルが原因で悩んでいる人のために何かしたいという思いが強くなりました。
そういったことを考えていた大学時代に、現在の共同経営者である三井と出会います。もともと起業したいという思いがあったので、できそうな事業をリストアップしたなかで、低資金で始めやすかった歯のホワイトニングサロンを東京・外苑前でスタート。経営学専攻のメンバー3人と、地元の友達1人の合計4人で始めました。
逆境を乗り越えアパレル事業を展開
最初に始めたホワイトニングサロンは、共同経営者の1人にお店を持っていかれてしまうという結果に終わりました。その後、神奈川・厚木で無人のホワイトニングサロンをやりましたが、うまくいかず撤退しました。
ホワイトニングサロンの経営と並行して、『合同会社For DiL』を登記していました。「心の健康や心のケアの大切さを伝えていく」ことが経営理念です。現在は、生活の身近にある衣服で、心地よいものを提供したいと考えてアパレル事業をメインに取り組んでいます。
会社は3年目に突入し、2022年の10月からアパレル商品を発売しています。起業から2年かかりましたが、ようやく商品開発に辿り着きました。同級生は大学卒業後に就職しているのに、自分は起業して2年間は何もしていないとみられていたと思います。
実際、苦言を言われることもたくさんありました。ただ、私自身は自分の理想とする世界をつくるために集中していたので、周りから何を言われても気になりませんでした。
ヨガ瞑想やリトリートで日本の常識を変える
2023年中のビジョンは、リトリート事業、ヨガ瞑想事業、ホテルウェア事業を始めたいと考えています。リトリート事業で生活習慣の見直しをして、心の健康を気遣うという文化を広めていきたいですね。
ヨガ瞑想は集中力、記憶力が上がると言われており、アメリカのITトップ企業や一流スポーツ選手が取り入れています。日本でも取り入れる企業が増えているので、法人向けにヨガ瞑想事業をやりたいです。インドやヨーロッパなどの有名なリトリート施設へのツアーを企画して、提案をしていこうと考えています。
また、現在のメインであるアパレル事業では、宿泊施設の館内着として採用するという話があがっているので進めていく予定です。
海外では宗教で生きる目的などを解決してくれていますが、日本では宗教がタブーに扱われていると感じます。さらに、日本だと心理カウンセラーにかかるとか、心のケアにまつわることをしているとイメージがあまりよくありません。そのイメージを私たちが変えていきたいです。
「スポーツ×ブランド=かっこいい」というイメージがあると思います。。それと同じくらい、食事を変える、瞑想を取り入れることがかっこいいという常識にしていきたいです。