起業家の顔をもつヨガセラピストが指南するライフスタイル「自分の人生を自分の足で生きる」

三井 里菜

三井 里菜

2023.11.15
アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_ForDiLさん

ヨガセラピスト、モデル、合同会社For DiLの共同創始者と多才な顔を持つ三井里菜さん。看病の末に母の死を乗り越えた壮絶なご経験から、ご自身の人生が詰まった合同会社For DiLの今後について伺いました。

母の病がきっかけで心と体の健康を考えるように

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私の人生観を変えた経験は、母のうつ病と死です。この経験は現在のヨガセラピストとしての活動、そして合同会社ForDiLの創業の大きな動機となっています。一人っ子だった私は、小学校の頃からうつ病という心の病に母と二人三脚で闘っていました。

当時、日本ではうつ病に対しての理解が進んでおらず、誰にも相談できない状況でした。ネットの環境も今ほど普及しておらず、限られた情報の中で必死に闘病していました。

しかし、母を苦しめたうつ病の力は大きく、中学3年生の時に母が自ら命を断ち、私が第一発見者として母の死を経験しました。この経験は簡単に言葉にすることができないものです。

そこから「心と身体の健康について関われることはないか」「母のように苦しむ人、そして私たちのように残された側の辛さを味わう人が一人でも少なくするような活動はできないか」と心の奥で強く思っていました。

時を同じくして、中学3年の時にスカウトされて始めたファッションモデルの仕事と、もともとやっていたダンスを生かしてダンサーの仕事をはじめました。母の死を一つの経験として何かとうまく掛け合わせ「自分が死んだときに自分の人生を何か形として残したい」と思い、ファッションが好きだった私は漠然と洋服のブランドをつくれたらと考えていました。

幼い頃、母と父と海外で過ごしていた経験から、海外で働く経験をしたいと考え、大学の1年間を休学して、合同会社For DiLの共同創始者である薄田の影響を受け、インドに約1年間行きインターンとして働く経験をしました。

滞在中、ダンスの経験から身体を動かすことに興味を持ち、インドが本場のヨガと運命的な出会いをしました。母の死を経験した頃からずっと心の奥にあった想いを叶えることができるツールのひとつだと確信したのです。そして、インドでヨガインストラクターの資格を取得しました。

現在ではオンラインレッスンやパーソナルでのレッスンを通し、企業のトップ・著名人の方をはじめ、多くの生徒様にForDiL Therapyとして、心と身体の健康を保つサービスを提供しています。そして、ForDiLというライフスタイルブランドを通して、伝えたい言葉や想いを洋服や生活雑貨に乗せ販売しています。

カナダで誓ったこと

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日本に帰国後、大学在学中に薄田とお互いの叶えたい目標が合致して、「まずは洋服から私たちのメッセージを伝えていこう」と起業しました。薄田の起業への想い、そして私が抱いていた自分のブランドをつくる想いを叶えるため、生活の身近にある衣食住の“衣”をテーマにしました。

私たちのプロダクトに触れることで、少しでも自分自身の心と身体を見つめ直すきっかけになれば嬉しいです。すべての人が無理なく自分を愛せて、心地よく過ごせる世界を目指しています。さまざまな想いと経験が詰まった会社は薄田と私にとっての宝物です。

起業してから順調だったかというとそうではありません。コロナ禍による生産の遅れや、スタートアップの企業としての歯痒さもありました。アパレル商品では最終サンプルまで完成したのにもかかわらず、工場から「大手の受注が入ったのでつくれなくなりました」と言われたこともあります。

そこから別の工場を探して、またサンプルづくりからやり直しです。想いは強くあるけれど、世の中はその想いだけではやっていけないんだと、悔しさを抱くことも多くありました。

そういった状況もありながら、想いに共感してくれた多くの方のサポートをいただき、2022年9月に1stCollectionのローンチを無事に果たしました。そしてさらなる世界観のブラッシュアップのため、私のホストファミリーが住むカナダに同年11月に薄田と向かいました。

そこで2人でForDiLの世界観をはっきりさせたことで、「やりたいことをやれる環境があることの幸せ」「やりたいことがあることの幸せ」そして「自分たちの経験と想いの価値」を再認識しました。

「今やっていることは正しいのか」「向かう先にゴールはあるのか」「想いを追い続けることは幸せなのか」と何度も落ち込んだり、周りの友人と比較してとりあえず就職しようかなと考えることもありました。それでも自分たちの経験と想いの価値を再認識し、自分たちにしかできないForDiLの世界を創りあげていこうと、カナダで改めて誓いました。

ヨガはライフスタイルそのもの

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インドで初めてヨガを経験したので、私にとって日本とインドでは、ヨガの概念が異なるように感じます。インドのヨガはライフスタイルそのものです。ダイエットや運動が目的というよりも、老若男女関係なく多くの人の日常にヨガがある気がします。

アーサナ(ポーズ)を取るだけではなく、瞑想や呼吸法、食習慣などといった簡単に実践できるものが多く取り入れられており、心身の健康に関しての話もより深くできます老若男女や場所を問わず、それぞれのライフスタイルに寄り添ったヘルスケアをできることが、ヨガの最大の魅力だと思います。

今後はヨガや瞑想、マインドフルネスなどといったメンタルヘルスケアを独自にアレンジしたForDiLTherapyという事業に力を入れていきたいと考えています。最近よく『マインドフルネス』という言葉を耳にするのではないでしょうか。マインドフルネスと瞑想は似ているようで違います。

マインドフルネスとは、「今起きていることやこの瞬間の状態を認識している、もしくは気がつく」ということなので、ヨガや瞑想でもなくメンタルヘルスケアとして、目的を持って誰でもどこでもどの状況下でも実践できるものです。

それに対して瞑想は「思考や感情を落ち着かせ脳を休める」というものです。その繰り返しのなか、集中が高まった状態に起きるもので努力するという「能動的な感覚」から、起こるという「受動的な感覚」に切り替わります。ハチミツにたとえると、ポタポタと垂れていたのがスーッと継続的に線で垂れるイメージです。

ヨガではアーサナ(ポーズ)を取ることや呼吸法などを実践していくことで瞑想ができる身体を作り、その状態になりやすくします。

瞑想は感覚的なものや自覚すらもない状態なの対し、マインドフルネスはその状態にも気がついているということになり、無になるということではないので、聞こえている音に耳を澄ませたり、食べ物を食べる時に目をつぶって食感や味を深く味わったりする実践法もあります。

『マインドフルネス瞑想』とも呼ばれ、対象が何であっても成功も失敗もないのでとてもシンプルでチャレンジしやすいものになっています。ぜひ日常にも取り入れてみてください。

今の自分と向き合う時間を大切にして、自分の心の奥の想いやそれのトリガーとなった経験に気がつき、自分が本当に好きなもの、好きなこと、したいこと、なりたい自分を知ってあげることで、自分で自分を満たすことができるようになり、自分の足で自分の人生を生きていけると思います。

今後はそういった考え方や生き方を発信していきたいです。そして私自身の生き方が、みんなに安心感や癒しを与える存在になることができたら嬉しいです。