システムエンジニアこそコミュニケーションが重要

鈴木 孝幸

鈴木 孝幸

2023.10.06
アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_ 鈴木孝幸さん

鈴木孝幸さんは、学習院大学で音響学を専攻した後、NTTデータグループ会社に入社し、金融系基幹システムのインフラエンジニアとしての経験を積みました。2018年にはフリーランスエンジニアとして独立。その豊富な経験を生かし、ITスクールやキャリア相談事業を立ち上げました。多岐に渡る経歴を持つ鈴木さんが、IT業界におけるコミュニケーションの重要性を本コラムにて語ります。

「システムエンジニア」と聞くとどのようなイメージをお持ちでしょうか?

私の周りにいる人は、「1日中画面に向かって黙々とプログラミングをする人」「隣の席の人ともチャットで会話するほどコミュニケーションが苦手な人」というイメージを持つ人が多いようです。

当然、システムエンジニアとして仕事を遂行するうえで基礎的な業界知識は必要ですし、一定時間パソコンに向かう時間もあると思います。

しかし顧客が満足するシステムを開発することや、利用者が安心して利用できるシステムを運用し続けるためには、数十人、数百人のチームで仕事をする必要があり、コミュニケーションが重要となる場面がたくさんあります。

私は、コミュニケーションの欠如によってお客様にご迷惑をかけたり、数多くの失敗を経験してきました。それでもコミュニケーションの場数をたくさん踏んで、一つずつ改善してきたことによって、今ではフリーランスとして独立するまでに至りました。

また、エンジニアの現場だけではなくITスクールの運営や、エンジニアの転職支援など、コミュニケーションを土台とする事業を幅広く展開しています。

本コラムでは、システムエンジニアこそコミュニケーションを磨いた方が良いということを、システムエンジニア歴13年の実体験をベースに語っていきます。

使う人を意識したシステムを構築する

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_ 鈴木孝幸さん

IT業界にたずさわって5年くらい経ったときに、古くなったシステムを刷新するプロジェクトに参画しました。経験値を積んでスキルに自信がついてきた時でもあります。

古くなったシステムを見て、「もっとこうしたらスムーズなのに!」と気づくことが多く、これまでとは違うやり方で、使い方が180度変わるようなプログラムを一人でつくり上げてしまいました。

自分の中では良かれと思ってやったことですが、後任者には「あとは見ればわかるでしょ?」という状態で引き継いでしまったため、後処理がとても大変だったと聞きました。

この経験から気づいたのは、決して自分本位にならないことです。大きなプロジェクトであればあるほど、たくさんの人が関わることになります。当然、引き継ぎも多く発生するため、次の人のことを意識したシステムづくりがとても重要です。

周囲の人に配慮することは、コミュニケーションにおいて基本となります。それからは「自分がやった作業の先には人がいる」ということを意識して、仕事に取り組むようになりました。

情報共有を徹底する

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_ 鈴木孝幸さん

システム開発の現場において、情報共有はとても重要な要素となります。

こまめな“報連相”はもちろんのこと、何か問題やトラブルが起きた時には、いち早く関係各所に情報を共有することで、炎上することを未然に防げる場合があります。

とある職場では、進捗状況を一切共有せずに完成後に連絡してくる人がいました。結果的に、最初の段階で認識違いだったことが発覚し、1からやり直す事態になったことがありました。後処理のために、チーム全員が徹夜で残業する羽目になったことは言うまでもありません。

もちろん依頼元の責任もありますが、「技術力がないから、専門家におまかせ!」となる人も一定数いるので、エンジニア側から主体的に報連相を徹底することが必要だと思います。

裏を返せば、情報共有を徹底することで「この人(または会社)に任せておけば、信頼して任せられる」という状態になり、より大きな仕事につながることもあります。

技術力があれば何でもいい訳ではありません。情報共有を徹底して、長期的な信頼関係を築いていきましょう。

否定から入るのを止める

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_ 鈴木孝幸さん

システムエンジニアの現場では、話を聞いたあとに「いや、そうじゃなくて」と反論する人がとても多いことに気づきます。もちろん、それぞれの人に主義や主張があってその考えを否定する訳ではありません。

世の中を支える重要なシステムを担当してる人ほど、保守的な観点が強くなるように思います。否定の言葉の裏には、リスクヘッジの思いがあるのだと思います。

しかし、相手が何かを話したときに否定や反論で返されると、相手が気分を損ねたり場の空気が悪くなってしまいます。必然的に風通しが悪くなり、報告することが億劫になったり、革新的な提案もしづらくなるでしょう。

システムエンジニアとして経験を積み、ある程度は一人でこなせるようになった頃、私自身も無意識で否定の言葉を多く使っていたことに気づきました。今では意識的に相手が話したことに対して、まず同意することや受け入れることを実践しています。

まとめ

以上のように、システムエンジニアという職業は、技術力だけでなく、しっかりとしたコミュニケーション能力が求められるものです。使い手を意識したシステムの構築、進捗や課題の情報共有の徹底、そして他者の意見や提案に対する前向きな態度は、信頼関係を築くうえでの鍵となります。

システムエンジニアとしての技術や経験を活かしながら、より良いコミュニケーションを心掛けて円滑に業務を進めていきましょう!