“ダンスペインター”として唯一無二のスタイルを追求「自分の内面と向き合い自由に表現する」

Ree 理咲子

Ree 理咲子

2024.02.16
アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_Ree理咲子さん

Ree理咲子さんは、ステージクリエーターや舞台監督助手などの経験を経て、独自の『ダンスペインティング』スタイルを確立。絵の具を撒いたキャンバス上で踊り、足や手を使って絵を描くパフォーマンスを行い、アートイベントや企業イベントなどで活動しています。ご自身の思いを自由に表現するRee理咲子さんに、ダンスペインターの活動について伺いました。

自分の内面をダンスとペイントで表現

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_Ree理咲子さん

私は踊りながら絵を描く“ダンスペインター”として活動しています。床に敷いた紙の上に絵の具をまいてその上で踊ることで、ダンスの動きが軌跡となりアートを完成させるというパフォーマンスです。企業イベントや子どもが参加するワークショップなど、屋内外を問わずさまざまな場所で行っています。

私は3歳からバレエを習っていて、「もっとおもしろい表現がしたい」と考えていました。それでも10代の頃は、どちらかと言うと敷かれたレールに乗ってはみ出さないように生きてきた平和主義。

ほとんどおとなしく過ごしていましたが、ごく稀に創造性が爆発する瞬間がありました。特に国語の朗読や文化祭の演劇で、自分が女優になったかのように表現力を発揮していました。その当時は役を演じるのは得意でしたが、自分の意見を発言するのは苦手でした。

高校時代は、自分の内に秘めた創造性をどう表現すればよいか模索する毎日。美術系の学校に通っていた訳ではなく、「平和で独創的な表現をする」ということを探求していました。ただ、高校生で“過激な表現”というと不良になるくらいしかないのですが、別に不良になりたい訳ではありません。何か表現したいという思いがありながら、それを言葉にできずに悶々としていました。

このような経験を経て、私の表現は自分の脳が作り出したものを体現しています。『ダンスペインター』としての活動を開始した当初は、このようなパフォーマンスを行うことに不安を感じていました。それでも周りに宣言して自らを追い詰めることで、やらざるを得ない状況を作り出しました。

最初にダンスペイントをやる時に、直前になって怖くなりやっぱりやめようか迷っていました。その際に「今さら引けないでしょ」と友人に言われて、やることを決意しました。

東日本大震災が発生した際、ダンスの仕事を一時休止し、ファッションショーやバレエ公演で、舞台の裏方として2〜3年間活動しました。その裏方での経験がとても印象的だったんです。

バレエの場合、専用の床材を40〜50人のスタッフが並べ、その上をリノリウムというゴムのような素材のシートで覆います。踊るだけのダンサー側から、舞台という空間を創る仕事に携わった時に、“創り手”としての感覚が芽生えました。

自分らしさを追求するダンスペインティング

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_Ree理咲子さん

ダンスペインティングをするうえでこだわっているのは、“自分らしさ“です。自信を持てる方法を選ぶことがベストですね。私の場合、人のマネをしてしまうとずるい気がして、思いきり自分を表現できなくなるんです。納得がいくまで自分の中で練って、誰にも恥じることのないレベルまで高めてから、堂々とパフォーマンスを披露します。

ダンスペインティングは、動きと線が必ずつながるのですが、実はダンスではなくペイントありきの表現です。稀に仕事の依頼で、仕上がりのデザインがあらかじめ決まっていることがあります。そうなると、デザインどおりに足で描いて、そこに手の動きをプラスしなくてはいけません。

デザインが決まっているとロボットではないですが、不自然な動きになってしまうことがあります。自分でやる時は極力、体の動きと描かれた線が調和するように意識すると、ダンスも絵も上手く表現できます。

あとは、しっかりとトレーニングをして繊細な動きができるように心がけています。トレーニングをせずにダンス風の動きをしても、見ている人はわからないかもしれません。私は最大限にトレーニングで体を鍛え上げたうえで、ダンサーとしても踊れる前提でパフォーマンスを行うことにこだわっています。

最近では、日本舞踊のように扇子を用いた動きを取り入れることもあります。それっぽく扇子をひらひらと動かせばそれなりの見栄えになりますが、私は日本舞踊をきちんと習って、自分の体に覚え込ませたうえで扇子を使用しています。

世界的なダンスペインターを目指して

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_Ree理咲子さん

私には夢がたくさんあって、周りからバカにされることがあります。一番は世界で活躍するダンスペインターになることです。ダンスペインティングをやる場所や観客へのこだわりはありません。地域に根ざしたお祭りから格式高いイベントまで、いろいろな場所でダンスペインティングをしたいです。何でも経験してみたいので、ゲリラ的に道端でやるのもいいですね。

新型コロナウイルスの感染拡大によりイベントが中止になってしまったので、勉強してセラピストの仕事を始めました。新たな仕事を経験することで、さらに自分の内面と向き合うようになって、ダンスペインティングでもっと深いものを表現したいと思うようになりました。

人間は奥深いものだとつくづく思うのですが、人間の心と体の関係性といった単純なようで複雑な哲学的なものを表現できたらと思います。現在は、踊りながら絵を描くという大道芸のようなスタイルですが、将来的にはよりアート性の高い作品を目指しています。

踊っていると常に自分と向き合いますが、感情と肉体の両方をコントロールできないと良いパフォーマンスはできません。肉体は目に見えるものですが、感情は目に見えません。体と心の両方が統合されてはじめて力が発揮できます。踊りは心と体の研究であり、私はその研究成果を芸術作品で表現したいと思っています。

著者をもっと知りたい方はこちら