健康靴下の開発に10年以上携わった経営者が語る「5本指ソックス」の魅力とは?

松藤広幸(まつふじ ひろゆき)さんは、足指を矯正し自然治癒力を高める5本指ソックスのメーカーを運営されています。「健康促進用靴下」として特許も取得した5本指ソックスの魅力や、仕事の醍醐味、将来の展望などについてお話しいただきました。
足について学んで10年以上!5本指ソックス誕生秘話

5本指ソックスのメーカーは家業で、10年以上勤めていました。企画開発をしている中で5本指ソックスの特許がとれることになり、家族名義が一般的だと弁護士にも言われ、社長である父に相談しました。法人であれば特許を譲渡できるのですが、個人事業主は譲渡ができないとのこと。父に提案したところ断られてしまい、結局自分で開発して特許をとりました。
5本指ソックスを開発するにあたり、機能解剖学などを学びました。父が昔『ニューバランス』に勤めていたのですが、ニューバランスはもともと矯正靴をつくる外資系メーカーなので、グレードの高い靴は足に良い、足の機能性を阻害しないよう、足の骨格に合わせてつくられていました。おかげで小さい頃は、好きでもないニューバランスをずっと履いていました。今でこそ格好良いですが、昔のニューバランスのデザインは格好良くなくて(笑)。全然好きじゃないのに履かされていた記憶があります。
ただそのように昔から身近なところに靴があったので、感情に左右されずに足のことを学べているというのはあります。僕は好き嫌いでやるやらないが分かれるのですが、これに関してはずっと続いていますね。
姿勢に影響する足指のトラブルは腰痛の原因にも?

チューブソックスの場合は、指が閉じるように力が向いているのですが、5本指だと指先一本一本に力が入ります。実は1980年代以降、指が地面についていないお子さんがすごく増えています。浮いた指を下ろしてあげるための補正がかかるのが、5本指ソックスの魅力です。
5本指ソックスで解消できるのは、浮き指という症状と偏平足が主な2つです。1980年代に比べて多くの人の重心が少しずつ後退していて、かかと体重になっているという統計が出ているんですね。どうなるかというと、重心が後退することで姿勢にも影響を及ぼします。頭が一番重たい部位なので、頭でバランスをとろうとすると前に頭が出るような姿勢になる。ストレートネックや猫背、反り腰、お腹が突き出る姿勢になってしまいます。足指のトラブルが上半身の姿勢にも関わってくる、足から身体の不具合を生むというのが問題視されているのです。
5本指ソックスは「履きづらくて抵抗がある」という声もありますが、僕自身は「5本指ソックスの人」と覚えられやすかったのでありがたかったなと思います。
ただ、足指のトラブル自体は認知度がそこまで高くないのです。たとえば、腰痛や肩こりであれば、厚生労働省でもそれが原因で生産効率を下げ、経済損失が6兆円くらいと言われるほどに認知度が高いです。腰痛や肩こりも足からきている、もちろん腰からというのもあるのですが足が原因になっていることも考えられます。そういう点では、足指足裏のトラブルの認知度を上げたいというのはありますね。
「5本指ソックスのバシッと締まる感じがいい」というような反応が貰えると、結構履いてもらってうれしいなと。驚きや感動を与えられたなというのがあります。「足はきちんと地面についていると思ったけれど実は浮き指だった」という人は多いので、足を見つめ直すきっかけになるアイテム、履くことでサポート力が高まっていると気づいてもらえるアイテムになっていると良いと思います。
5本指ソックスの魅力を日本にも海外にも広めたい

仕事をするうえでは、喜んでもらうというのが一番ですね。特に足指のトラブルは、その人が今まで悩みを諦めていたというのが多いのです。巻き爪とか、直し方がわからなくてほったらかしになっていたり。改善するととても楽になってもっと出かけたいと思えるようになったりして、喜んでもらえる。喜んでもらえるのがビジネスの原動力、源になっているのを感じますね。
足の指のトラブルというのは消えないので、トラブルを抱えた人たちのフットケアをするきっかけになるためにも、5本指ソックスをもっと広めていきたいと思っています。今後も商品ラインナップを増やしていきたいです。海外でも5本指ソックスそのものは知られていますが、足指のトラブルや腰痛を補正できるというのは認知されていないのです。海外でもトラブルを抱えている人は多いので、広めていきたいですね。