数々の受賞歴を誇るダンサーが語る「タップダンスは世界に通用する“スペシャルウェポン”」

Masashi

Masashi

2023.02.20
アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_Masashiさん_プロフィール

Masashiさんは7歳でタップダンスを始めて、20歳で単身渡米し、数々のショーに出演。帰国後、コレオグラファー(振付師)、テレビ出演、テーマパークのダンサーなど、幅広い分野でタップダンサーとして活躍しています。日本のタップダンス界をけん引するMasashiさんに、タップダンスを始めたきっかけや、今後のビジョンについて伺いました。

本場アメリカで培ったタップダンスの経験

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_Masashiさん_アメリカのタップダンス

僕がタップダンスを始めたのは、子役の事務所に所属し「何か特技になるものはないか?」と探していた時に、歌を教わってた先生に勧められた事がきっかけです。

始めた当初は親にやれと言われ続けて、先生には辞めた方が良いよと言われるような状況でしたが、転機が訪れたのは16歳の頃。当時の師匠がニューヨークでうまくなったという話を聞いて、18歳から2年間がっつりアルバイトで資金をためて、20歳で渡米しました。

アメリカはひと言で「最高」でした。良い意味で人の目を気にしないですし、本場アメリカではテレビでタップダンスが日常的に放送されてます。老若男女誰でもタップダンスが踊れるという日本とは異なるカルチャーに触れ、すごいなと感じました。

けれども現実は甘くなく、アメリカに住み始めてしばらくした後リノベーション3日前に知らされて家を出され半月ホームレスとなったこともありました。まさに、ハリーポッターに出てくるような、窓もない二畳の部屋で生活なんて経験もありました。

日本のご飯やお家が恋しく感じることもあり、小さい頃は辞めたいと思うことの方が強かったタップダンスを続けてきたのは、色んな人に褒められたい、認められたいということが原動力でした。また、本場であるアメリカに行ってきたので、日本に帰国したらものすごくうまくなった自分を見てもらいたいというのがありました。

タップダンスは技術だけでなく、いかに人を巻き込むか

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_Masashiさん_タップダンスのシューズ

アメリカに残りたい思いは強かったのですが、ビザの関係もあって日本に帰国。日本とアメリカでは、タップダンスに対するギャップがあり、信用を勝ち取らないと日本でタップダンスを続けていくのは難しいと感じていました。まずは信用を積み上げるために、すべて優勝する気持ちで、さまざまな大会に参加しました。

優勝できたのは運が良かったのもありますが、「人の気を引くタップダンス」を意識したからだと思います。タップダンスは技術だけでなく、巻き込む力が重要になります。大会中にお客さんの顔を見て、「今日はこんな感じでやろう!」と会場の雰囲気を感じてダンスをします。アメリカにいたときに出会った人たちが場の雰囲気に合わせて踊っていたのを見ていたのが良い経験でした。

タップダンスが他のジャンルのダンスと大きく異なるのは、「音を出すこと」です。悪く言うと誤魔化しがききません。他のジャンルでは、30歳か40歳で引退することが多々ありますが、逆に引退した方々がセカンドジャンルとして始めるのがタップダンスです。今まで異なるダンスをされてきた方々がタップダンスをやっているのを見ると、違った見方や発見がありますね。

また、タップダンスで使われる『タップシューズ』は独特の造りになっています。ソールの前後に鉄板がついていて、つま先、かかとの先端と内側の4パターンに分けて音を出します。側面も活用して、音だけでなく動きの要素も入れることで、目で見て楽しい工夫もしています。

女性だと、かかとの部分がヒールとなっている人もいます。1kg前後の重さのシューズが一般的ですが、木の素材や鉄板の厚さはダンサーによってさまざまで、ダンス以外にも注目すべきポイントです。

日本でタップダンスをもっと身近な存在に

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_Masashiさん_プロフィール

現在は、タップダンススタジオでプライベートレッスンをやっています。自分の時代のタップダンスは厳しかったので、「自由」をテーマに教えています。また、劇団四季等ミュージカルで活躍されていた方が代表の「一茶企画」で、振り付け、出演を依頼いただいております。

日本では、タップダンスを生で見る機会は少なく、他のジャンルと異なって敷居も高く感じがち。それは、タップシューズに耐えられる板や部屋の確保が必要だからです。ハードルを下げるために、タップシューズを履かなくてもタップできるダンスを生み出していきたいです。

観客目線で言うと、劇団やミュージカルにタップダンスが加わるだけで全体が明るくなります。まさに、“スペシャルウェポン”と言える武器です。タップダンスを見る機会があれば、「なんであんな音がなっているんだろう」など、ぜひ興味を持って知ってほしいですね。

全国を回って、お金をもらわずイベントを開催しファンを増やして、「Masashiがいるからミュージカルを見る」と思われる存在になっていきたいですね。