ポートレート100人斬りフォトグラファーの流儀とこだわり「相手を人生の主役にする」
現在、カメラマンとして活動している橋本永美子(はしもとえみこ)さん。幼少期から絵を描いており、「自分がカメラマンになるとは思ってもみなかった」そうです。どのような経緯で現在の活動に行きついたのか、本コラムにて語っていただきます。
絵描きからカメラマンへ転身した意外な理由
私が写真を撮るようになったのは、長女を妊娠中のときにベリーダンサーの友人から、「自分のアーティスト写真を撮ってほしい」と頼まれたことがきっかけです。
私は幼少期からずっと絵を描いており、展示をしたり、ロンドンにアート留学に行ったりしていました。絵描きとして大成したいという夢もあり、会社員をしながら、ずっと活動していたんです。彼女は、その私の感性を知っていたので、「絵を描くときの感性のまま、自分の写真を撮ってほしい」といわれました。
写真を撮るのは初めてでしたが、「いい写真を撮りたい」と思い、キヤノンのEOS Kiss(イオスキス)という入門機と呼ばれる一眼レフカメラを購入しました。
カメラを持ち、撮り始めるとだんだんと探求心が湧いてきました。「思ったようにボケないな」「暗く撮れちゃうな」などとオート撮影に対して不満が出てきたんです(笑)
それで、我流でいろいろと調べながら撮影していくうちに、思い通りの写真が撮れるようになってきました。そこから、徐々に口コミで「写真を撮影して欲しい」と依頼されるようになったんです。
撮影した写真を見た人から、「実物よりきれいに写っている」「すごい!」といわれるようになり、喜んでくれる姿を見て、「これなら仕事にできるかもしれない」と思い、2017年にカメラマンとして独立しました。
『ポートレート100人斬りフォトグラファー』を名乗るきっかけ
2019年から『ポートレート100人斬り』という、プロジェクトを行っています。これは、年間で100人を撮影するというプロジェクトで、お客様の要望ではなく、私が感じた“その人の魅力”を切り取った写真を撮影するという企画です。
この企画をする前は、あたたかい家族の写真を撮影するママカメラマンとして活動していました。でも、同じようにママカメラマンとして家族写真をメインに撮影するという人はたくさんいました。その人達と自分を比べたときに、「自分の写真は良いと言えるのだろうか」と疑問を感じていたんです。
カメラマンとして独立して2年ほど経ち、自分の方向性に悩んでいた時期でした。その時、起業SNS講座というコンサルを受けていたんですが、その講師から「大人の女性の写真を撮影するのが上手いからそっちでやってみたら?」といわれたんです。
自分では考えたことがなかったので、意外でした。また、その人にいわれたのは、「ポージングが上手」というものでした。
確かに、思い返せばアパレル会社のプロモーション部門で、広告などのグラフィックの仕事をしていた時期がありました。そのときモデルの撮影では、私がポージングなどを指定していたんです。これは無意識にしていたのですが、他の人からいわれたことで、「自分には向いているんだ」と実感しましたね。
「じゃあ大人を撮影しよう!」と思い、ひらめきで始めたのが『ポートレート100人斬り』です。最初はFacebookで募集をかけたのですが、3日で40人が埋まるほどの大盛況で驚きました。初めは何が起こったのか分からない位、いろいろな反響をいただきましたね。
海外移住をきっかけに世界を舞台に活躍したい
私が写真を撮影するときは、「その人を人生の主役として見る」ということを心がけています。その人にスポットライトを浴びせて、「あなたの人生がいかに素晴らしくて、あなたがいかに素晴らしい存在なのかを感じて欲しい」と思いながら撮影しています。
そして、その人が撮影を通して自分自身の輝きを見つけたとき、とても喜んでくれるんです。それを見た私にも幸せが返ってきます。カメラマンの仕事は、被写体となる人を喜ばせて私も幸せになる、ウィンウィンの仕事だと思っています。
今年から、主人の仕事の都合でバーレーンに移住するので、これからは海外を舞台に幅広く活動したいと思っています。もともと、「知らない世界を見てみたい」という願望が強いので、海外のさまざまな景色をみなさんと共有したいですね。
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