40代会社員のセカンドキャリア戦略|後悔しない人生のために今からできること

萩原 たく

萩原 たく

2026.10.29
column_Hagiwara Taku

会社員から独立し、コーチとして人生を切り開く萩原たく(はぎわら たく)さんの連載コラム第4弾です。

40代の会社員に、僕は安易に「会社を早く辞めた方がいい」とは言うつもりはありません。

給与、社会保険、福利厚生など、会社員には大きなメリットがあるからです。

ただし、今の会社で、今の待遇のままずっと働き続けられることが保証されていないことを認識した上で、今後について考え、判断していく必要があります。

長く勤めるほど会社への依存度が高まり、環境が変わったときに身動きが取りづらくなるリスクがあるからです。 

40代会社員にこれから必要なのは、退職を急ぐことではなく、会社員である今のうちに、次の選択肢を準備しておくことだと思います。

今回は、40代会社員のセカンドキャリア戦略|後悔しない人生のために今からできることについて、コラムを書いてみました。

65歳まで働けても、「今と同じ条件」とは限らない

見出し1画像嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_萩原 たく_セカンドキャリア戦略

まず、40代・50代の会社員を取り巻く現状から考えてみました。

厚生労働省の令和7年「高年齢者雇用状況等報告」によると、65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施している企業は99.9%です。

数字だけを見ると、

「65歳まで普通に働ける時代なんだ」

と思うかもしれません。

ただ、その中身を見る必要があります。

65歳までの雇用確保措置のうち、「継続雇用制度」が65.1%、「定年の引上げ」が31.0%です。

とはいえ、65歳まで働けることと、現在の役職、給与、仕事内容がそのまま維持されることは別の話です。

大企業には大企業の事情があります。

東京商工リサーチの2025年調査では、役職定年を導入している企業の割合は、大企業で41.0%でした。

さらに2025年度に早期・希望退職の募集が判明した上場企業は46社、募集人数は2万781人。

注目したいのは、実施企業の約7割が直近決算で黒字だったという点です。

以前であれば「リストラは業績の悪い会社が行うもの」というイメージがあったかもしれません。

でも今は、会社が赤字だから人を減らすだけではない。

事業構造を変えるため。

人員構成を変えるため。

新しい分野へ投資するため。

企業が将来の競争力を考え、黒字のうちから人員構成を見直すこともあるわけです。

一方、中小企業なら安心かというと、そう単純でもないのです。

中小企業では人手不足もあり、経験豊富な40代・50代が重要な戦力として求められるケースもあります。

ただし、経営者の判断、主要取引先の変化、事業承継、資金繰り、業界そのものの変化によって、会社の状況が短期間で変わる可能性もあります。

僕なりに整理すると、

大企業には「制度による変化」があり、中小企業には「経営環境による変化」がある。

どちらに勤めていても、「今の状態がずっと続く」と考えるのはかなり危険だと思います。

さらに、これからは生成AIだけでなく、AIとロボティクスが融合した「フィジカルAI」の社会実装も進んでいくと考えられます。

これは、単純に「AIに仕事を奪われる」という話ではありません。

企業が、

「どの仕事を人がやるのか」
「どの仕事をAIやロボットに任せるのか」
「その結果、どんな人材を何人必要とするのか」

という、人材構成そのものを見直していく可能性があるということです。

実際、経済産業省でも、生成AIやロボットの進展によって、職種によっては仕事の代替が進む一方、AIやロボットを使いこなす人材への需要が増える可能性が示されています。

すでに大企業では、業績が悪化してから人を減らすのではなく、黒字のうちから将来の事業構造や人員構成を見直す動きが出ています。

2025年度には、上場企業46社で2万人を超える早期・希望退職募集が判明し、その約7割が黒字企業でした。

今のところ対象は中高年が中心です。

ただ、こうした人材の組み替えが当たり前になっていけば、今後も「何歳までなら安心」と単純には言えなくなっていくと思います。

そして、大企業から多くの経験者が転職市場に出てくれば、次に起こり得るのは転職市場での競争の激化です。

「大企業を辞めても、中小企業は人手不足だから仕事はいくらでもある」

そう考えるのも危険だと思います。

中小企業が人手不足なのは事実です。

しかし、中小企業白書を見ると、不足している職種には偏りがあり、採用コストも上昇しています。採用した人が定着しないことも、人材不足企業の大きな課題になっています。

つまり、人手不足=とにかく人が足りないから誰でも欲しい、ではないということです。

企業が本当に欲しいのは、その会社の事業や文化に合い、これから価値を生み出してくれる人材です。

一方、転職する側は、

「自分には20年、30年の経験がある」

と思っている。

でも企業側が欲しい経験と、自分が積み上げてきた経験が一致するとは限りません。

僕は、これからの労働市場では、この人材と企業のミスマッチがますます大きな問題になっていくのではないかと思っています。

しかも、日本はこれからさらに高齢化していきます。

40代・50代になってから新しい仕事を探すこと自体が不可能なわけではありません。

ただ、厚生労働省のデータを見ても、一般労働者の転職入職率は20代と比べ、40代・50代では低くなる傾向があります。

ここは、少し厳しい現実として見ておいたほうがいいかもしれません。

年齢を重ねれば、経験が増える一方で、企業から求められる条件も厳しくなる。

「経験年数が長いから価値が高い」とは限らないんです。

では、僕は何が言いたいのか…?

「だから一刻も早く会社を辞めるべき」ということではありません。

「若いうちにどんどん転職すべき」ということでもありません。

どんな時代、どんな会社、どんな環境になっても、適応できる自分でいることです。

これが一番大切だと思います。

新しいことを学べる。

これまでの経験を別の場所でも活かせる。

沢山の人と良好な関係をつくれる。

ITやAIを実務レベルで使える。

自分で仕事をつくることもできる。

環境が変われば、自分も変われる。

そんな自分を今からつくっておく。

逆に、

「今の会社以外では、自分は仕事ができません」

「人間関係は、家族と会社の同僚数人のみです」

という状態が、僕は一番危険だと思っています。

会社が変わらないことを願うのではなく、会社が変わっても、自分が対応できる状態をつくっておく。

それも、40代から始めるセカンドキャリア戦略の重要な一つだと思います。

だからこそ、今すぐ会社を辞めるのは合理的ではない

見出し2画像嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_萩原 たく_選択肢

ここまで読むと、

「それなら早く会社を辞めて起業した方が良い?」

「つまり早く会社を辞めろと言いたいのか?」

と思う人もいるかもしれません。

そうではありません。

むしろ、今すぐ辞めないほうがいい人のほうが圧倒的に多いと思っています。

理由は単純です。

会社員という立場には、大きなメリットがあるからです。

毎月一定の給与が入る。

社会保険がある。有給休暇がある。福利厚生がある。

会社の規模や事業内容によっては、個人で出来ない経験ができる。

また、仕事を通して人脈をつくれます。

会社のブランドが自分の信用担保となり、いろんな面で融通が効いたり便利になります。

会社が営業し、商品やサービスをつくり、経理や法務などの機能を持っている中で、自分の仕事に集中できる。

独立してみると、この環境がどれだけ恵まれていたのかを痛感します。

独立すれば、売上がなければ収入はありません。

営業も、集客も、商品づくりも、事務作業も、資金管理も、自分で考え、やらなければならない。

「会社員のままでは不安だから起業する」「自由になりたいから起業する」

「会社員より稼げそうだから起業する」

という理由だけでは、別の大きなリスクを抱えることになります。

だから会社員である今は、ある意味では準備をするためのボーナスタイムだと思うんです。

そのボーナスタイムを未来の自分のため、大いに活用してほしいです。

とはいえ、会社員であり続けることにも、注意点があります。

「会社員を辞めないことを勧めておきながら矛盾していないか?」

と思われるかもしれませんが、そうではなく、メリット・デメリットの話です。

僕自身、会社員時代に一番怖かったことがあります。

それは、会社が倒産することではありませんでした。

自分自身はそれほど成長していないのに、毎月そこそこの給料が入ってくることです。

今は生活できている。それなりの役職もある。だからまだ大丈夫だろう。

「何かあったら、そのとき考えよう。でも、まあ、何とかなるだろう」

そうやって今の環境に慣れて、依存してしまって、新しいことを学ばなくなる。新しいことを始めるのが億劫になる。

時代の流れについていけない。価値観の合うごく一部の人としか関わらない。

そうやって、人間関係が狭小化していく。

気づいたときには50代、60代になり、肉体も思考も衰えている。

時代の流れや新しい価値観についていけなくなる。

つまり、ガラパゴス化してしまうことです。

そして、

「会社の外に出たら、自分には何の市場価値もない」

「いや、会社内ですら、自分の価値が薄れてしまっている」

となったとき、

「もう、この会社にいられる限り居続けるしかない」

「これって、会社にぶら下がる人生では…」

そんな依存状態になっている自分を想像すると、僕はゾッとします。

僕には、誇れるような学歴があるわけではありません。

特別な技術があるわけでもありません。

不動産業界には19年間いたので、その分野の知識や経験はありました。

でも、それだけで今後何十年も食べていけるほど、圧倒的な専門性や独自性があるとは思えませんでした。

いわば僕も、

大した強みのない、ごく普通のサラリーマンだったのです。

だからこそ危機感がありました。

会社員が危険なのではありません。

僕が一番怖かったのは、

会社員という一つの選択肢しか持っていない自分になること

でした。

この違いは、今後の人生に大きく影響を及ぼします。

僕は38歳で決断し、4年間準備してから会社を辞めた

僕が自分のキャリアについて本格的に考え始めたのは、2020年です。

38歳でした。

コロナ禍によって、社会も仕事も大きく変わりました。

収入が激減したのも影響しています。

そこで、

「これまで当たり前だと思っていた環境は、ずっと続くとは限らない」

とあらためて考えるようになりました。

そして、近い将来、会社員を辞めようと決めました。

ただし、すぐには辞めていません。

いや、状況的に辞められませんでした。

今の自分では、社外では無価値に等しいと感じていたからです。

会社員を続けながら、コーチングを学び、経営を学び、マーケティングを学びました。

2021年、39歳からは、会社員を続けながら自分の事業も始めました。

いわゆる複業(パラレルワーク)です。

会社として収入を得ながら、会社の外で自分の力がどこまで通用するのかを試す。

小さく事業を始める。少しずつ、会社員以外の収入が得られるようになる。

でも安定はしない。まだ先行きが見えない。

社外の人に会って、意見を聞いたり相談する。

自分より早く起業した人や成果を出している人を参考にする。

そうやって準備を重ねました。

そして2024年、42歳で会社員を辞め、本当の意味で独立しました。

2026年には法人化しました。

38歳で「会社員を辞める」と決意してから、退職まで4年かかっています。

僕の場合は起業でしたが、別に全員が起業する必要はありません。

転職でもいい。副業でもいい。

今の会社で専門性を高めてもいい。

業務委託や顧問という働き方を目指してもいい。

学び直して、別の職種を目指してもいい。

重要なのは、

会社を辞めるか、辞めないかではなく、「辞めることも、残ることも自分で選べる状態」をつくることだと思います。

選択肢が一つしかなければ、その一つに何かあった瞬間、身動きが取れません。

でも選択肢が複数あれば、環境が変わったときに判断し、軌道修正できます。

つまり、自分自身が選択肢を持ち、いつでも選択できる状態であること。

僕が大切だと思っているのは、人生のハンドルを自分自身で握ることです。

もちろん、自分で選んだ道だからといって、すべてが思いどおりに進むわけではありません。むしろ、荒波にぶつかることもあるし、失敗することもある。

それでも、自分の意思で選び、自分の責任で乗り越えていくからこそ、人は成長できるし、その先で得られるものも大きくなるのだと思います。

人生の幸福を考えたとき、「何を手に入れたか」だけではなく、自分自身で選択できたかどうかは、とても重要ではないでしょうか。

そのために必要なのが、今のうちから人生の選択肢を増やしておくことです。

選択肢は、何もしなくても勝手に増えるものではありません。

学ぶには時間がかかる。新しい人に会うには体力もいる。

副業や資格取得、新しい挑戦には、お金がかかることもあります。

それでも、僕はやる価値が大いにあると思っています。

なぜなら、それは将来の自分に「選べる自由」を残すための投資だからです。

逆に言えば、「現状維持」というのは、ただ今の選択を続けているだけではありません。

それ以外にあり得たかもしれない選択肢を、選ばないままにしている状態でもあります。

もちろん、現状維持そのものが悪いわけではありません。

今いる会社で働き続けることが、自分にとって最善の選択なら、それでいいと思います。

ただ、「他に選べないから残る」のと、「他にも道はあるけれど、自分の意思でここに残る」のでは、意味がまったく違います。

年齢を重ねれば、若い頃と同じようには動けなくなります。

考え方も固まりやすくなる。体力も落ちていく。

そこで初めて別の道を探そうとしても、選択肢を増やすにはそれなりの時間が必要です。

だから40代・50代の今から準備しておく。

僕自身、年齢を重ねた先で「もうここにいるしかない」と思いながら生きる人生にはしたくありません。

一度きりの人生です。

最後に振り返ったとき、

「全力で生きたな」

と清々しく笑顔で言える人生にしたい。

そのためにも、未来の自分が自分の意思でハンドルを切れるように、今から選択肢をつくっておくことが大切だと思います。

そのために40代からやっておきたいのが、とにかく社外へ出ることです。

長く一つの会社にいると、その会社の評価基準や仕事の進め方が、自分の中の「普通」になります。

でも外に出ると、

「こんな仕事のつくり方があるんだ」

「こんな働き方でも生活できるんだ」

「自分の経験が別の業界では役立つんだ」

と初めて知ることがあります。

本やYouTube、AIで情報を集めることも大切です。

でも、それだけでキャリアを決めるのは難しいと思います。

実際に転職した人。40代から起業した人。

副業をしている人。フリーランスや経営者。

自分とは違う場所で働く人たちと直接話してみる。

社外に出ると、順調な人、そうとも言えない人がいます。

なぜ順調なのか、そうではないのか?

その理由や背景も段々と見えてきます。

そこで得られる「活きた情報や感覚」は、自分の選択肢を増やしてくれます。

それだけでなく、選択や判断の質も向上します。

そして、もし「この道に進もう」と決めたなら、期限を決めて準備する。

僕もそうしました。

いつか、ではなく、

「何歳までに、どんな状態になっていたいか」

を考える。

40代・50代は、まだ動けます。

でも、時間が無限にあるわけでもありません。

年齢を重ねれば、体力も気力も環境への適応力も、20代の頃とまったく同じではない。

だから、焦って辞める必要はない。

でも、先送りもしない。期日を決めたら、期日までに必ず実行する。

一方で、慎重に準備することと、何もしないことはまったく違います。

僕は今、独立して2年ほどです。

会社を立ち上げました。

とはいえ、自分が成功したとは到底思っていません。

感覚としては、ようやく離陸したくらいです。

ここからどこまで行けるのかは、これからの自分次第です。

だから、このコラムは読者の皆さんだけではなく、ある意味では自分自身に向けても書いています。

会社員を辞めたから安心、ではない。

独立した後だって、学び続けなければいけない。

環境が変われば、自分も変わり続けなければいけない。

時代と共に自分自身をアップデートしていかなければいけない。

それは会社員でも、経営者でも同じだと思います。

締めのメッセージ

人生100年時代。

これから、僕たちは否応なく、長く働く時代を生きていくことになります。

一方で、現在勤めている会社が、今の待遇をこの先何十年も保証してくれるわけではありません。

大企業なら、役職定年や組織再編、早期退職といった制度上の変化がある。

中小企業なら、経営状況や事業承継、取引先の変化がある。

そして、AIによって、求められる仕事や能力も変わっていく。

だからといって、慌てて会社を飛び出す必要はありません。

それはむしろ合理的ではないと思います。

今ある会社員のメリットを、最大限利用すればいいのです。

定期的な収入を得ながら学ぶ。

社外の人に会いに行く。

自分の市場価値を知る。

副業を始める。

専門性を高める。

そして、もう一つ忘れてはいけないのが、「健康」と「体力」です。

40代から新しいことを始めようとすれば、仕事をしながら学び、人に会い、

ときには副業にも挑戦することになります。

当然、体力が必要です。

だから僕は、健康管理も立派なキャリア戦略だと思っています。

食事、睡眠、運動に気を配る。

年齢を重ねるほど、清潔感や身だしなみにも気を付ける。

それは、若く見せることが目的ではありません。

これから先も長く働き、新しい人と出会い、新しいことに挑戦できる自分でいるために、そして、豊かな人生を歩むために、身体も含めて自分自身を整えておく。

内面外見とも、人から信頼される自分であること。

これも、未来の選択肢を減らさないための大切な準備だと思います。

そうやって、少しずつ、会社員以外の選択肢を増やしていく。

自分の可能性や領域を広げておく。

そして、いざ環境が変わったときに、

「この会社にいるしかない」

ではなく、

「残ることもできる。別の道へ進むこともできる」

と言える自分になっておく。

僕が考えるセカンドキャリア戦略とは、そういうものです。

正解が起業のみとは思いません。

正解が転職とも限りません。

今の会社で働き続けることが、一番いい選択になる人だっています。

ただ、自分の人生を会社だけに預けない。

自分の意思と行動で、次の進路を切り開いていく。

その状態を40代からつくっておくことが、これからますます重要になるのではないでしょうか。

今すぐ会社を辞めなくていい。

でも、今すぐ準備は始めよう。

まずは、自分の会社、業界、仕事が10年後どうなっているか。

そして、そのとき自分には何ができるのか。

そもそも、自分はどう在りたいのか?

一度、真剣に考えてみることから始めてみてはいかがでしょうか。

人生のハンドルを自分自身で握るために、今から準備と計画と行動を!

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