100万人とラジオ体操を!運動を通じて人と人をつなぐ『ラジねえ。』が抱く野望
ラジオ体操インストラクター 『ラジねえ。』として活躍されている上羽悠雅さん。ラジオ体操を通じて企業、自治体、スポーツ競技団体など年間約100団体とコラボし、イベントや講習会を各地で実施しています。TVなどのメディアにも多数出演し、健康普及の推進活動を行う上羽さんに、現在に至る原点となるお話を伺いました。
本当の自分探しとは?
現在、私はラジオ体操インストラクター『ラジねえ。』として活動しています。
元々スポーツ一家育ちで、子供の頃から体を動かすのが大好きでした。仕事でもスポーツ関係に携わりたいと思い、健康・スポーツメーカーや阪神甲子園球場の球場職員の仕事に携わっていました。
会社に属しながら楽しく自分のやりたいことはできている実感はあったものの、会社という組織の中で結果を残しても達成感はいつも7〜8割の感覚。枠の中から飛び出して、個人でもっとできることがあるんじゃないかと思うようになり、独立しました。
「身体を動かすことの楽しさを発信したい」と、ふわっと考えてはいましたが、具体的に何をするかを模索する毎日。バリへ行って、ヨガインストラクターの資格を取ったり、これまでの経験や、やりたいことなど、自己分析をしたりしながら考えました。
ヨガのインストラクターも好きではあったけど、やりたいことの100%かと言われたらピンときませんでした。ヨガのインストラクターをやっている人は大勢いるので、私は人と違うことがしたかったのです。自分が好きなことを100個くらい紙に書いて、時間をかけて自己分析するなかで辿り着いたのが『ラジオ体操』でした。
ラジオ体操について調べているうちに、自分が小学校の時に思っていたイメージと全然違い、奥深くて面白いことに気づきました。ラジオ体操を知っている人は老若男女問わず多いけれど、本来の意味や目的を理解してやってる人はほとんどいません。教えている人・教わったことがある人もほとんどいないので、自分が発信していきたいと思ったのがきっかけです。
コラボイベントやセミナーを開催
具体的な活動としては、企業、行政・自治体関係、スポーツ競技団体とコラボして健康関係のイベントの開催、講習会やセミナーを行いながらラジオ体操の普及活動をしています。
たとえば、野球やアメリカンフットボール、運動会などの開始前に観客全員でラジオ体操を実施する企画をしています。そうすると選手も観客もスタッフも、スタジアム・球場全体に一体感が生まれるのが素晴らしい光景です。
企業だったら健康経営サービスとして従業員の健康増進を目的に「こり」改善のラジオ体操のプログラムを作成。さらに、企業の健康セミナーに講師として呼んでもらい、ラジオ体操を絡めたストレッチや体操をレクチャーしています。
栄養や製薬などの健康関連会社とは、食と運動を絡めたコラボイベントを、京都・宇治市で実施しました。
紳士服屋と健康メーカーのコラボイベントでは、来店するお客様向けに、伸縮性あるスーツを着ながらラジオ体操をしたり、商品を使ったセルフマッサージの方法を伝授しています。その場にいるお客さんが即商品を買ってくれるので、ラジオ体操というライトなツールから商品購入に繋げられる、気軽手軽なラジオ体操の可能性はすごいと思っています。
他では実施していない特別変わった活動なので、テレビなどのメディアに取り上げていただくことも度々あります。
老若男女みんなが一緒にできるラジオ体操
ラジオ体操の魅力は大きく分けて2つあります。
まずは身体的なメリット。3分の短時間で全身にある約200の骨と、約400の筋肉を動かすことができるとても効率の良い体操なのです。
他の体操をやるとなったらイチから覚える必要があるけど、ラジオ体操なら体に染み付いているから、音楽さえ流れれば勝手に体が動きます。3分という短時間なので、「カップラーメン待ってる間にやってください」と伝えています。
もうひとつは心の面です。誰もが知っている体操だからこそ、ラジオ体操をやる場をつくってしまえば、そこに勝手に人が集まり、集まった人同士が自然とつながっていきます。ラジオ体操は日本で95年も続いていて、老若男女みんなが一緒にできるのはラジオ体操しかないんじゃないかなと思っています。
「ラジねえ。に会えて元気になった」とか、「一人じゃなくてみんなでできるのが楽しかった」とか言ってもらえるので、そういった場をつくれることが幸せだと思います。
今後の展望としては、立ち上げた一般社団法人ラジーンが、大阪・関西万博TEAM EXPO 2025プログラムの共創パートナーに登録されているので、大阪・関西万博に向けて『ラジオ体操100万人プロジェクト』を強化していきたいです。大阪・関西万博で、みなさんとラジオ体操ギネスを目指しています。
また、個人としてのビジョンもあります。家族が野球一家で、お兄ちゃんも甲子園に出場したり野球エリートで生きてきたなか、自分は女性で甲子園に出れなかった悔しさがありました。私と同じで何かやりたくても、周囲の環境や当時の状況で叶えることができなかった人と一緒に、みんなで甲子園でラジオ体操をしたいです。