朝チア代表
朝妻久実 × ワクセル
今回のゲストは応援のスペシャリストでもある朝チア代表、クミッチェルこと朝妻久実さんです。朝妻さんは、朝の駅前で出勤や通学途中の皆さんを、チアで応援するという活動を自主的に開催。人を応援することで自分自身がエネルギーをもらえて、夢だったアナウンサーの仕事につけるようになったそうです。その応援の力、夢の叶え方、人を応援し続けるモチベーションについて聞きました。
自分の姿や声で人を元気にするチアの魅力
住谷:今回は応援のスペシャリストでもある朝チア代表、クミッチェルこと朝妻久実さんに来ていただきました。では、まず朝チアについて教えてください。
朝妻:朝チアを始めたのは、「自分を変えたい」「殻を破りたい」と心の底から思ったことがキッカケです。
今でこそアナウンサーやチアリーダーと人前に出るお仕事をさせて頂いていますが、実は子ども時代はいじめに遭っていました。私は北海道の田舎でのびのびと生まれ育ち、転勤をきっかけに違う街に引っ越しました。環境になじめなかったこともあり、年長の時にいじめにあったんです。
幼心ながらに寂しさとか孤独、自分の気持ちが言えないなど、心の痛みを味わいました。その時は辛かったですが、今思えば人の痛みがわかることは大事ですし、応援する気持ちは共感から生まれるので、ここがある意味、応援のスタートだったのかなと思います。
そして、小学生時代の私は勉強が本当にダメダメで、何をやってもビリだったんです。でも、親友が公文式をやっていたことに影響されて、なんとなく公文式を始めました。
するとだんだん計算が速くなり、さらに頑張ったら、いつの間にか、いつもビリだった私がクラスで1番になったんです。そこから意欲が湧いて、中学では勉強も部活も頑張り、学級委員や生徒会なども務めるように。そこから志望高校にも合格しました。
住谷:すごいですね。ビリから勉強も部活も頑張って成果を出したんですね。
朝妻:はい、すごく頑張りました。念願の高校でしたが、そこは私と同じように頑張り屋さんばかりが集まる進学校だったので、すぐにまた落ちこぼれてしまいました。クラス替えに馴染めなかったこともあり、全体的に心が落ち込んでしまっていました。でも、その当時、弟の勉強の面倒を見ていたのですが、自分が手伝うことによって人が成長していくことの喜びを知り、教育に興味を持つようになりました。
その後、私も勉強を頑張り、東京の大学の教育学部に合格して、部活は憧れのチアリーディングに入部。チアは厳しいけれど、とても楽しくて、部長も務めるほど打ち込んでいました。まさに青春を謳歌していましたね。
教育学部で学んでいたものの、自分が将来学校の先生になるかを悩んでいた頃、文化祭でMCを務めたんですが、お客さんから「君の姿や声を聴いて元気になったよ」と言ってもらったんです。チアを仕事にするのは難しいけれど、自分の姿や声で人を元気にすることってなんだろうと考えました。 そうしたら、中学校の先生が「朝妻はアナウンサーに向いてるんじゃないか」と言っていたのを思い出し、意を決して就活はアナウンサー業界に転向。スクールにも通い、全力で挑戦しましたが、結果的に70社落ちました。
周りからは「アナウンサーだけが人生じゃないよ」と言われましたが、この道しか私にはない!とさえ思っていました。教員採用試験をやめてまでアナウンサーに懸けたわけだから、諦めたくなかったんです。
「どうにかしたい、何か人生のヒントを得たい」と思った時に、北海道でずっと聴いてきたラジオ番組の局に電話をかけたんです。採用のことを聞いてみたのですが、「今年はアナウンサーの採用はない」と言われました。
それでもいいから「何かヒントを掴みたい」と話したら、訪問を許可してくれました。東京から、北海道まで飛んでラジオ局に行くと、プロのアナウンサーの方が学生の私の話をじっくり聞いてくれたんです。
そして、最後に思わぬ言葉を言われました。「朝妻さんだったら絶対にできるから諦めずに頑張ってみたら」と。これが、すごくすごく嬉しくて、「70社も落ちたダメ学生だと思っていたけど、尊敬するアナウンサーの人にそう言ってもらえたんだから、叶えるまで諦めない!」と決めました。
そこから2年かかりましたが、島根県にある山陰中央テレビのアナウンサーに合格することができました。あの時のアナウンサーからの言葉があったからこそ頑張れた。応援や励ましは、人の人生をも変える力があるのだと感じました。そこから山陰中央テレビでアナウンサーの仕事を経験させていただき、色々ありましたが(出版本に詳しく書いてあります)契約満了後、東京に戻ることにしました。
「これだけ実績を積んだのだから、お仕事は沢山あるはず!」そんな勝手な妄想は脆くも打ち砕かれるのでした。東京での活動は、想像以上に厳しく、元局アナという看板や経験があってもオーディションには落ちまくるわけです。仕事が無いからお金もない。周りのみんながキラキラして見える。「私なんてどうせ価値も魅力もないんだ」と自暴自棄になり、うつ一歩手前みたいなとこまでいっちゃいました。
人を応援することで人生が好転!夢だったアナウンサーの仕事に
住谷:人生のどん底のような状態だったんでしょうか。
朝妻:まさにどん底です。毎日、人のことを妬んでいて、人生真っ黒な状態でした。でも友達から「結局何をやりたいの」「言い訳ばっかりしてるよ」と言われて、改めて、自分に問いかけました。
その時、頭にふと浮かんだのが、学生時代に青春を懸けてきたチアリーディングでした。"朝の駅前で出勤途中の人を勝手に応援するチアリーダーがいる"と教えてもらい、こっそり観に行きました。すごいとは思いましたが、最初からすぐやろうとは思えなくて。
でも朝チアの初代部長が「会社でいじめにあって逃げるように辞めてしまったけど、今度こそ自分らしい方法で誰かの役に立ちたい。自分のように会社に行くことが辛いと思っている人も多いかもしれないこの場所で、得意なダンスでエールを送ることにした。今日ここで私を見かけた皆さんがちょっとだけ勇気を出す、そんなエネルギーになりたいと思う」そんな想いを叫んでいたことに感動して、「私もやりたい!」と思い、参加させていただきました。
実際に朝チアをやってみると、不思議とエネルギーが湧いてきて。路上にはリストラだったり家を失ったり、我が子が病気で苦しんでいたり…様々な人が朝チアに触れることで元気をもらっていってくれました。そこから「自分は無力でも無価値でもないんだ。誰かの力になれるんだ!」と自分の存在価値を認められるようになっていきました。人を応援することで自分自身がエネルギーをもらえて、前向きになるんです。そうするとどんどん人生が好転していき、最終的に私が昔から夢だった、アナウンサーとしてチアリーディングの番組に関わるキャスターのお仕事までいただけたんです。
住谷:すごいですね。応援はされる方だけでなく、する方もパワーをもらえるんですね。
朝妻:はい、そうなんです。応援すると、応援する側もされる側も両方上がるんですよ。応援する側が「ありがとう」「元気になったよ」と言われたら、こちらはめちゃくちゃハッピーになれる。「あなたのおかげで私、頑張れた!」と言われたら嬉しくないですか? 私があなたの役に立てたんだと思うと、自己肯定感も上がって、自分も頑張ろうと思えるようになれます。そうすると、自分自身が発するエネルギーやマインドも変わってくるんですよね。前向きな人には、人やチャンスや運気も巡ってくるんです。実は、応援する側の方が幸福感も高いという研究結果もあって、科学的にも証明されていることなんですよ。今「応援学」というものを立ち上げ構築しているところです。
それからは、全国に出張チアをしたり講演活動をしたり、ここ最近では「応援アワード」を開催したりと、応援を広める活動を精力的に行っていきました。
そんな矢先…たまたま乗っていたタクシーがトラックに激突してしまって交通事故に遭いました。日常生活がままならない状況でしたが、SNSをはじめいろんな方からの励ましや応援が本当に心に染みたんです。元々は介護が必要なくらいの状態だったのに、みんなの応援で元気が出て、リハビリも頑張り、1か月後にはチアができるようになったんです!
これは本当に応援の力、応援って治癒力も上げるんじゃないかと感じました。今は応援の力をもっと世の中に広げていくんだという思いで、今年も「応援アワード」を開催します。(11月11日ベルサール御成門タワーにて)
目指すのは「誰かが誰かを応援し合う社会」
住谷:ご自身も応援の力を感じたわけですね。では、普通の人でも普段からできる応援はあるのでしょうか?
朝妻:はい、もちろんあります!「1秒でできる応援」で、なんなら喋らなくても、拳1つでできます。ガッツポーズをしながら「あなたにもできる!」と目を見て届ける。声かけも、考えすぎなくて良くて。ほんの一言「頑張ってね」とか「お疲れさま」って言うだけで、相手も「よし」という気持ちになるんです。
朝チアも、知らない人が通りすぎるなか、「いつもありがとね」と逆ガッツを送ってくれる人もいます。だから皆さんも、今、目の前に頑張っている人がいたら、ちょっとガッツポーズしてあげてください。
住谷:では、最後に今後のビジョンを教えてください。
朝妻:”応援の日常化"を目指しています。たとえばスポーツとか特別な時だけじゃなくて、普段、職場とか学校のなかで、誰かが誰かを応援し合う文化を作っていきたいです。そのためには、いろんなところに応援が散りばめてある必要があるので、まず応援の全国支部を作ります。朝チアを見て出勤して、今日も頑張ろうという人が増えたらいいなと思います。
もうひとつは、私たちの思いに共感・賛同して、何か自分のできることをやりたいと思ってくださっている方に、私たち全日本応援協会の会員という名目で仲間を増やしたいと思っています。会員(AJO OUEN PARTNER)を1万人にしたいです!
応援することで、私は人生が向上していきました。応援する側もされる側も元気に前向きになれます。また応援された人が今度は誰かを応援する…という優しい連鎖も生んでいきたい。そういう人と人とのつながりを、「応援スパイラルを巻き起こす」イメージでどんどん広めていき、心が前向きになれる社会を創っていきたいと思っています!
■朝妻久実さん
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コラム記事『フリーアナウンサーの朝チア部長が目指す世界「応援で自分も周りも幸せになる」』
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