カンボジアでの経験を糧に「すべての人が夢を選べる世界」を目指して恩送り

田中 海夕

田中 海夕

column_TanakaMiyu

株式会社Earth High Schoolの代表を務める田中海夕(たなか みゆ)さん。文部科学省アントレプレナーシップ推進大使としてキャリア教育を手掛ける傍ら一般社団法人を立ち上げるなど、幅広く社会貢献に取り組んでおられます。エネルギッシュな行動の根源にある想いと、今後の展望についてお話を伺いました。

カンボジア留学をきっかけに、「恩送り」への想いを同じくする仲間と会社を設立

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_田中海夕_仲間と会社を設立

起業したいと思っていたわけではないのですが、きっかけとなったのは「トビタテ!留学JAPAN」という文科省のプロジェクトの15期生として、1年間カンボジアに留学させていただいたことです。

「トビタテ!留学JAPAN」は事前研修、留学の最中、事後研修と学びの場が厚いのですが、そこで初めて「恩送り」という言葉を知りました。「かっこいい、私にもできることはないかな?」と考えて、自分が「トビタテ!留学JAPAN」にしてもらったことをそのままやってみようと思い、帰国してから無料でカンボジアに学生を連れて行ったのです。プチ・トビタテみたいな。

私たちにない視点を持っている学生6人を集めて連れていって、とても刺激のある4泊5日を過ごしました。これで解散は嫌だ、一緒にやっていきたいという話になって、私はリーダーのようなポジションはやったことがなかったので、最初は嫌だと思ったのです。

ただ、当時の私は認定NPO法人GLOBEJUNGLEにスタッフとして入る話を進めていた時期で、二十歳で何でもできるタイミングでありがたい環境の中で収まってしまったらGLOBEJUNGLEの可能性を広げることができないとも感じていました。コロナ明けで資金集めに苦労されている話も聞いていたので、自分がいるべきは中ではなく、外に出てビジネスの柱になりたいと考えていたところだったのです。

カンボジアで皆と話しているうちに、その社会貢献したいという想いと、ソーシャルビジネスで皆で課題を解決しようというのがマッチして。カンボジアに行ったら起業しちゃった、という感じです(笑)。

60人くらい面接をする中で、グラフィックや法律に詳しいなどいろいろな子がいたので、組織にするのも難しくはありませんでした。

当時は全然、怖さもなかったですね。よくやったなあと思います(笑)。

すべてを共有、巻き込むことはずっと意識していて、巻き込むというわけではないのですが、失敗するときも悩んだら必ず3人に相談するようにしています。自分が美味しい立場にいると思ったら共有する、成功は共有するようにしています。自分にくるチャンスはなるべく誰かと共有してやるようにして、その子が成功したらラッキーだなと思いますね。逆に落ち込んでいるときも1人で考えず、とりあえず何名かに相談して必ず誰かと成功、誰かと失敗というようにしています。

テーマは教育!子どもたちが生きる選択肢を増やし、挑戦できる場をつくる

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_田中海夕_テーマは教育

私たちのビジョンは「すべての人が夢を選べる世界」という大きなテーマの中なので、今は小中高のキャリア教育をやっています。前はカンボジアに住むことを模索することもしていたのですが、したいことと今できることを考えたときに、子どもたちの夢の選択肢、子どもたちが生きる選択肢を増やすのが一番だと考えました。

学校の6時間目、総合の時間を任せていただいて、プログラムをつくって一緒にやらせてもらっています。私が文科省のアントレプレナーシップ推進大使というのをやらせていただいているので、それとコラボした活動を会社でやることもしていて、今のテーマは教育ですね。

会社とは別に一般社団法人を立ち上げて、福島県浪江町と関わることもやっています。まず福島が純粋に大好きなのと、そもそも6人で立ち上げたときに株式会社という形をとったのは社会的に意義のあることをしたいからでした。そのときにやりたいこと、心残りについて話し合ったときに、福島や復興といったキーワードが出てきたのです。

震災や戦争を経験した地域の子たちが集まっていたので、「もっとできることがあるとわかっていたのに、15年間何もしてこなかったことが心残りだ」という声が上がったんですね。じゃあこれから15年のタイミングで何ができるかと考えたときに、福島県のラジオ、ウルトラFMにたどり着きました。

ウルトラFMで枠をいただいて、福島県の人が知らない福島県の魅力を私たちの視点で伝えることをコンセプトにした番組「放課後!Earth High School」をやっています。2026年で2年になるのですが、現地にいないで2年もやり続けると内容も二次情報になりますし、リスペクトが足りないと感じていました。もっとコミットしたいというもどかしさから福島に頻繁に行くようになり、出会ったのが浪江町です。

2026年の1月くらいに浪江町に出会って意気投合して。浪江町は本当に大人が面白い町で、「なみえアベンジャーズ」というクオリティの高いマスクと全身タイツで活動するボランティアの有志団体もあるんですよ。もっと学びたいと知っていくうちに、挑戦者を寛大に応援してくれる町だと知って、ここでなら是非挑戦したいと思い、若者の人生を応援するプロジェクトを始めました。

何でもやらせていただく代わりに、都会ではできない挑戦を浪江町の皆さんに応援してもらい、日々厳しく育てていただくというプロジェクトをやりました。3月から始めて4月に一度卒業という形にしたのですが、8月からまた本格的に始動します。これも、今思うと本当によくやったなと思いますね。

日々消化しきれない思いは「感謝」に変える。事業の価値づけとして「UNDER 30」を目指す

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_田中海夕_事業の価値づけ

大切にしていることは「感謝力」です。綺麗ごとになってしまうかもしれませんが。日々消化しきれないことってあるじゃないですか。私自身も学生で会社を立ち上げたので、難しいご意見をいただくこともありました。ですが、それを感謝に落とすと自分がとても気持ち良く寝られて気持ち良く日々を過ごせるので、「感謝力」というのは敢えて意識しているところだと思います。

今後の展望として、直近では「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」に選出されることを目標としています。私は23歳、会社経営陣の他の2人は22歳なので、7年以内に取りたいです。

「UNDER 30」を取るにはインパクトを与えた、いくつの自治体でそれをやった、といった基準があります。ソーシャルビジネスをやっているとバランスがわからなくなったり、自分のエゴなのではないかと思ったりすることがあるので、基準があって目標があるとブレない。賞が欲しいというよりは、評価されると自分たちがやってきたことに対して自信を持てるのかな、という意味で取りたいと思っています。

著者をもっと知りたい方はこちら