GACKT主演月9と同名になった「Black Trick」の命名戦略

会社を経営していたら、ある日、自社名と同じ言葉がGACKTさん主演の月9ドラマのタイトルになっていました。もちろん偶然で、両者に関係はありません。ただ、この出来事は「人に覚えられ、未来の展開まで受け止められる名前とは何か」を考える機会になりました。株式会社Black Trick代表・黒田周兵が、自身の会社名や作品名に込めた命名戦略を紹介します。
ある日、会社名が月9になった

フジテレビで、GACKTさん主演の月9ドラマ『ブラックトリック~裁きを操る弁護人~』が放送されると知りました。
最初に感じたのは、正直に言えば喜びよりも危機感です。
「ブラックトリック」と検索したとき、自分の会社が見つからなくなるかもしれない。会社名として使ってきた言葉が、テレビドラマの情報で埋め尽くされる可能性があります。
しかし、少し時間を置いて考えると、見方が変わりました。
自分が会社名として選んだ言葉が、数年後、全国放送のエンターテイメント作品を背負うタイトルにもなった。偶然とはいえ、それだけ記憶性や物語性を持つ言葉を選べていたのだとすれば、経営者として少しうれしくもあります。
株式会社Black Trickという名前を考えたとき、最初に重視したのは「覚えられること」でした。
僕の名字は黒田です。
「黒田という人物」とセットで記憶してもらえる、強く、自分らしい会社名が欲しいと考えました。
記憶に残る言葉を探しているとき、頭に浮かんだのが「パペットマペット」という響きでした。意味だけでなく、音の繰り返しや語感によって、一度聞くと記憶に残ります。
そこから「ブラックマジック」という言葉が浮かびましたが、すでに強い既存イメージがありました。
そこで、マジックをトリックへ変え、「Black Trick」が生まれました。
当初は、黒田が仕掛けるという意味です。マーケティングの仕掛けを作る会社だということも、自然に伝わります。
その後、上場企業の経営者をはじめ、さまざまな方と仕事をするようになり、私はBlack Trickへ新しい意味を加えました。
それが「漆黒の瞬間悩殺」です。
頭の中が真っ黒に染まるほど、一瞬で非日常へ引き込み、ビジネスを面白くする。
人の常識や感情を動かすイノベーションを起こす会社でありたいという意味です。
記憶に残る名前は空白を作る

僕が名前を考えるとき、内容をすべて説明しようとはしません。
むしろ、知っているようで知らない。意味がわかりそうで、完全にはわからない。
その空白を残します。
小説『資本主義に疲れて、姉がいなくなりました。』も、その考えから生まれました。
「失踪しました」や「消えました」ではなく、「いなくなりました。」という言葉には、人の感情が残ります。
本当に大切な人が突然いなくなったとき、すぐに「失踪」という事件の言葉では考えられません。
妹の花蓮が、誰かに伝えるように、そして自分自身へ言い聞かせるように、「お姉ちゃんがいなくなっちゃった」と泣いている情景が浮かびました。
別れの直後には、まだ現実感がありません。
だから、叫び声ではなく、静かに言葉を終わらせる句点を付けました。
このタイトルを略すと暗すぎる音になったため、作品名から登場人物の名前を逆算しました。
「資本主義」から志保。「疲れました」から花蓮。そして、姉妹の名前を合わせて「しほかれ」になりました。
普通は登場人物から作品名が生まれますが、この作品では、作品名から登場人物が生まれています。
一方、リアルキャッシュフローゲームの「マネサバ」は、短く広がることを優先した名前です。
正式名称はマネーサバイバルですが、そのままでは長く、口に出しにくい。そこで、覚えやすく、SNSや会話でも使いやすい4文字にしました。
長い名前で物語へ引き込み、短い名前で人に広げてもらう。
目的によって、名前の長さや余白の作り方も変えています。
名前は未来を広げる経営資産

名前は、商品を説明するラベルだけではありません。
新しい概念を生み出すこともできます。
劇場版のタイトルとして考えた『正直者は化皮を見る』には、「化皮」という言葉を使っています。
「化けの皮」という文字を見たとき、「化」と「皮」だけが目に入り、「ばか」と読めることに気づいたのが始まりでした。
仕事、恋愛、人間関係。
僕たちは、その場の状況や感情に合わせて、さまざまな顔を作ります。
「一生懸命やります」「ずっと大好きです」と話したときには、本心だったかもしれません。しかし、数カ月後に環境や感情が変われば、態度も変わります。
やがて、自分自身でも、どこまでが本音で、どこからが演技なのかわからなくなる。
僕は、その状態を「化皮者」と表現しています。
ただし、化皮者は単なる悪人ではありません。
社会へ順応し、何かを成し遂げるためには、自分を演じなければならない場面があります。自分の魂を守るために、あえて化けの皮をかぶる人もいます。
正直に資本主義を生きる人ほど、化皮者に搾取されることがある。
だから、「正直者が馬鹿を見る」という既視感のある言葉を、「正直者は化皮を見る」へ変えました。
現在、僕は小説だけでなく、YouTubeアニメ、劇場、RPG型Webサイト、AIアプリなど、異なる領域の制作を続けています。
半年間に自社で開発・制作した成果物を一般的な外注価格で積算すると、約1億円相当になります。
事業がマーケティングから、AI、アプリ、小説、アニメ、ゲームへ広がっても、「Black Trick」という名前は、そのすべてを受け止めることができました。
説明的な名前は、現在の商品を伝えることには向いています。
一方で、物語を感じさせる名前は、未来に生まれる事業や世界観まで受け止められます。
良い名前とは、現在の自分を説明する名前ではありません。
人に覚えられ、意味を知りたいと思わせ、未来の自分が大きくなったときにも、その成長を受け止められる名前です。
ドラマ『ブラックトリック』と株式会社Black Trickに、直接の関係はありません。
ドラマには最終回があります。
しかし、会社と物語には、その先を作り続けることができます。
数年後、「ブラックトリック」と検索した人が、ドラマだけでなく、株式会社Black Trickと、私が作る小説、アニメ、ゲーム、AI事業にも出会う。
今回の偶然を、そんな未来を作る新しい仕掛けへ変えていきたいと思います。
著者プロフィール
黒田周兵(くろだ・しゅうべい)
AI資産型経営者、しほかれ作家。
AI、BtoBブランディング、GEO・AI検索対策、AI業務OS、アプリ開発を通じて、企業や個人が持つ知識、コンテンツ、顧客データ、業務の仕組みを、継続的に価値を生む経営資産へ変える事業を展開している。
自社の事業開発、コンテンツ制作、アプリ開発にAIを導入し、半年間で一般的な外注価格約1億円相当の開発・制作を内製化。
小説『資本主義に疲れて、姉がいなくなりました。』を中心に、YouTubeアニメ、音楽、劇場、イベント、RPG型Webサイトへ展開する物語IPづくりにも取り組んでいる。
関連情報
▶黒田周兵の経歴と活動について
https://prociel.pro/author/kuro-shihokare
▶AI資産型経営について詳しく知る
https://black-trick.com/kurodake/2026/07/01/kuroda-shubei-ai-asset-management/
▶株式会社Black Trick公式サイト
https://black-trick.com/
▶しほかれYouTube
https://www.youtube.com/@shihokare