男装くん
Tiktoker
イベント企画
シンガーソングライター
育児系エンターテイメントパフォーマー

SNSの総フォロワー数が約60万人のコスプレイヤー『男装くん』の連載コラム第5弾です。子どもたちのことを一度頭から切り離すと決めた私。代わりに始めたのは、小さな“楽しみ”を見つけることでした。ピアノ、工作、アニメ、そしてSNS。無菌病棟という閉ざされた世界の中で、少しずつ心を取り戻していった日々。そのひとつひとつが、私を支えてくれていました。

子どもたちのことを考えないと決めた私は、代わりに「目の前の時間」に集中することにしました。
院内にあるキッズルームで、毎朝ピアノの練習を始めました。
私は以前、保育園の先生をしていたことがあり、
娘や息子が好きだった「ポケモン」の主題歌や、『となりのトトロ』の「さんぽ」などを練習しキッズルームに遊びに来る子どもたちに、歌って聞かせる。
絵本を読んであげる。
ちょっとしたマジックを覚えて披露する。
すると、同じ病気で頑張ってる子どもたちも目をキラキラさせて喜んでくれました。
その笑顔を見たとき、
胸の奥がじんわりと温かくなりました。
そしてまた子供たちの事を思い出して心が痛くなりました。

無菌病棟では、ドアの外に貼る貼り紙を各自で作る文化がありました。
「トイレ中です」「シャワー中です」といったことを、部屋に入らずとも分かるように
看護師さんや先生に伝えるためのものです。
私も真似して作ることにしました。
どうせなら保育園で作ってたような可愛い感じにしたいと思い、
画用紙を切って貼って、キャラクターと文字を組み合わせて、
ラミネートして。
自分なりに“作品”として貼り紙を作ってみました。
すると、先生や看護師さんたちが
「これかわいい!」と声をかけてくれました。
その一言が、すごく嬉しかったです。
退院するときには、そのPOPを病院に寄付しました。
また、週に一度の面会のために、折り紙や空き箱を使って
子どもたちへのプレゼントも作りました。
「ママがいない間でもママを側に感じられるように」
そんな気持ちを込めて作り続けました。
すると、面会の度に「ママ、今日のプレゼントは?」と言うようになりました。
楽しみに待ってくれてるのがとても愛しく感じました。

体調が良い日は、院内の卓球レクリエーションにも参加しました。
患者同士や、時には担当の先生と一緒にラリーを続ける。
病院ではこういった患者のためのケアがよく行われていて
とてもいい息抜きになりました。
一方で、体調が悪い日はベッドの上から動けません。
そんな日は、ひたすらスマホでSNSを見ていました。
最初にハマったのはアニメでした。
病院で勧められて見たアニメ『はたらく細胞』。
自分の体の中で何が起きているのかが分かり、
「今、自分の中でこういう戦いが起きてるんだ」と理解できました。
そこから、どんどんアニメにハマっていきました。
『東京リベンジャーズ』に出会い、
キャラクターの生き方や世界観に強く惹かれ、
気がつけば毎日アニメを見続けていました。
そして――
TikTokやYouTube。
そこで私は、ある存在に出会います。
コスプレイヤー。
アニメの中のキャラクターが、
現実の世界にいる。
それを見た瞬間、
衝撃が走りました。
「え、すごい…存在してる…!!」
キャラクターになりきり、
表情やセリフ、雰囲気まで再現するその姿に、
一気に引き込まれました。
気づけば毎日、
いろんな作品のコスプレ動画を見続けていました。
「三次元にいるって、最高やん…」
そう思ったのを、今でもはっきり覚えています。このときはまだ、
それが自分の人生を変えるきっかけになるなんて、
想像もしていませんでした。
(次回:見る側から、発信する側へ)