男装くん
Tiktoker
イベント企画
シンガーソングライター
育児系エンターテイメントパフォーマー

SNS総フォロワー60万人のコスプレイヤー『男装くん』。インフルエンサーの傍らイベント運営支援システムの開発やSNS運用代行なども行い、精力的に活動を続けていますが、実は余命1カ月と宣告されたことからTikTokでの発信を始めています。コラム連載第4回目も、闘病生活の実体験について綴っていただきました。

無菌病棟に入ってから、子どもたちとの面会が特別に許可されました。
子どもたちは、その会える日を楽しみに毎日頑張ってくれていました。
1週間待ち続けて、やっと会える時間は――
たったの3分。
それでも、本来なら面会すら難しい状況だったため、特別に延ばしてもらったありがたい時間でした。
面会は、感染を防ぐため隔離病棟のドアと普通の病棟のドア、その間にある2メートルほどの踊り場を挟んで行われました。
2m越しの会話。
触れることはできません。
息子はまだ言葉が話せませんでしたが、私の顔を見ると、にっこり笑ってくれました。
その笑顔を見るだけで、胸がいっぱいになりました。
当時4歳だった娘は、お気に入りのポケモンの歌を歌ってくれたり、「今日はね!」と一生懸命いろんな話を聞かせてくれました。
きっと、この3分のために、ずっと考えてきてくれたんだと思います。
でも――
待ちに待った面会時間は、あまりにも短すぎました。
—

面会の終わりが近づくと、娘の様子が変わります。
笑っていた顔が、だんだん曇っていく。
そして、いつも最後にこう言いました。
「ママ…触りたい。」
「ぎゅーって抱きしめてほしい。」
その言葉を聞くたび、胸が締めつけられました。
そしてお別れの時間は、必ず同じ光景になります。
「ママー!!
ママーーーー!!」
顔を真っ赤にして泣き叫ぶ娘。
看護師さんに連れられて私が病室に戻る間も、
娘の泣き声は廊下中に響いていました。
その声が、
胸の奥に突き刺さりました。
—

病室に戻ると、胸が苦しくて仕方ありませんでした。
もし、このまま――
もう二度と抱きしめてあげられなかったら。
そんな考えが、頭をよぎります。
「そんなことあるわけない。」
「絶対に生きて帰る。」
そう思う自分と、
不安に押しつぶされそうな自分。
その二つが、頭の中でぐるぐる回り続けました。
気づくと、考えているのは子どもたちのことばかり。
「私が見ていない時に、窓から落ちたらどうしよう。」
「道路に飛び出して車に轢かれたら?」
滑り台で落ちないか…
お湯で火傷しないか。
次から次へと、心配が止まりませんでした。
自分の命よりも大事な存在。
だからこそ、不安は止まりませんでした。
そしていつしか、その不安は悪夢になりました。
目を閉じると、
子どもたちに何かが起きる夢を見る。
パニックになって目が覚める。
また眠れない。
抗がん剤の影響による全身の痛み。
不眠。
精神的な不安。
すべてが重なり、体の数値はどんどん悪くなっていきました。
ついには、食事もできなくなり、
栄養は点滴だけになりました。
看護師さんは言いました。
「お菓子でも何でもいいから、口から何か食べてほしい。」
私は何も食べることができませんでした。
1週間、何も口にしなくなりました。
このままでは助かるものも助からない。
そう分かっていても、
心がついてこなかったのです。
その時、私は思いました。
このまま子どもたちのことばかり考えていたら、
私は本当に壊れてしまう。
だから一度、
子どもたちへの不安を、
頭の中から手放さなければいけない。
そうしなければ、
私はここで終わってしまう。
そう思ったのです。
—
(次回:精神を守るために私が始めた“ある行動”)