「漫画で日本を元気に」プロレス×ギャグを極めた漫画家のこだわりの仕事術

ワクセル編集部

ワクセル編集部

column_to_NiwaMakoto

プロレスとギャグ漫画好きが高じて、『THE MOMOTAROH』『陣内流柔術武闘伝 真島クンすっとばす!!』といった代表作を持つ漫画家・にわのまことさん。漫画家になったきっかけや仕事をする上でのこだわり、今後の展望などを伺いました。

隙あらば落書きをしていた幼少時代から漫画人生がスタート

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_にわのまこと_漫画人生がスタート

おとぎ話「桃太郎」の子孫であるプロレスラーのザ・モモタロウがリングで闘いを繰り広げるギャグアクション『THE MOMOTAROH』で漫画家としてデビューしました。そこからサッカー漫画『リベロの武田』、セクシーバイオレンスコメディ『BOMBER GIRL』、柔術格闘技を題材にした『陣内流柔術武闘伝 真島クンすっとばす!!』と続きます。私が生粋のプロレスファンなので、漫画家としてデビューするにあたってプロレスをテーマにした作品にしたいと思っていました。ですので、1作目の『THE MOMOTAROH』がプロレスギャグ漫画のテイストになっているんです。

小さい頃から落書き帳や広告の裏にイラストを描いていました。住んでいた団地の壁に落書きをしたこともありましたね(笑)。ずっとイラストや漫画を描いているので、とにかく漫画と歩んできた人生です。小学生のときは、漫画やアニメが好きで、プロレスと特撮ものも好きだったので、すべてを混ぜて描いていましたね。中学生になると自分が読んでいる漫画雑誌のように描いてみたいなと思うようになりました。そこで、コマ割りをして、キャラクターを作って描いた自作漫画を友達に見せるようになります。友達はお世辞かもしれませんが「おもしろい!」「早く続きを描いてくれ」と言ってくれたので、嬉しくなって学校の休み時間にどんどん漫画を描くと、すぐに友達から反応がもらえることに快感を覚えていきました(笑)。それが漫画家人生のスタートですね。

人気漫画の法則を発見!そこからデビュー作が誕生する

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_にわのまこと_人気漫画の法則を発見

高校1年生のときに、漫画の新人賞をいただきました。そのときの題材がプロレスのマスクマンです。受賞はできましたが、まだプロになるレベルではなかったので、プロとして通用するキャラクターにブラッシュアップしなくてはいけないと思いました。キャラクターで大切なのはシルエットです。80年代の週刊少年ジャンプのキャラクターを見てみると、『北斗の拳』のケンシロウしかり、『ドラゴンボール』の孫悟空しかり、『キャプテン翼』の大空翼しかり、みんなシルエットだけでそのキャラクターだとわかりますよね。プロレスのマスクマンのシルエットだけでは見分けがつきません。頭かマスクに突起物を付けてシルエットだけでわかるようにしないといけないなと思ったんです。日本で強い男をモチーフにするとしたら『桃太郎』だとひらめきました。

22歳ごろに描いて新人賞を取った『THE MOMOTAROH』は、ものすごく弱いレスラーのもとに仙人が現れて、その仙人から桃太郎のマスクをつけたら強くなれると言われ、マスクを付けて強くなったものの、ドタバタが次々に起こるという読み切りの内容でした。雑誌で連載となるとしっかりとストーリーを作り込まないといけないので考え抜きましたね。

プロレスもギャグ漫画も好きだったので両方を組み込んだ作品にしたいと思っていました。ギャグ要素はいろんな作家さんのいいところを取り入れていましたね。プロレスを題材にするからには、格闘シーンのかっこよさや迫力に最もこだわっています。技をかけているところをリングサイドで観ているような臨場感あふれる構図を意識していますね。ロープワークで走るときもカメラが一緒に移動するような形で動きが見られるようにしています。学生時代にプロレスをやっていた経験も生きていると思います。

客観性を持って漫画と向き合い、自分の作品で世の中を元気にしたい

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_にわのまこと_世の中を元気にしたい

漫画家にもいろいろなタイプがあって、私のようにいつも締め切りに追われている人もいれば、『こち亀』でおなじみの秋本治先生のようにすべての作業をスケジュールに落としてやられる方もいます。きっちり管理できているからこそあれほどの長期連載ができるのでしょう。週刊少年ジャンプの場合だと10週間で作品が入れ替わるので、その10週を生き残るために毎回目玉のシーンを入れ込むのですが、毎週死に物狂いでやっていましたね。自分が描きたいというストーリーはもちろんありますが、担当編集者の方のアイデアもとても参考になります。編集者は読者にウケるかどうかビジネスライクなアドバイスをくれることがあるんです。自分が良かれと思っても担当編集者がストップをかけることもあります。上手い編集者は作家の気分を上げて気持ちよく作品を描かせてくれます。「こういう展開もありなんじゃない」と具体例を出して提案してくれて、こちらもいいなと思うとお互い納得してストーリー展開が決まることもありますね。編集者とバディシップを組んで仕事をしている感覚です。

週刊少年ジャンプで連載をするようになってファンレターの数がすごく増えたんです。子どもたちからの「このシーンが好き」「このギャグが好き」というような具体的なシーンを挙げて反応をくれるのはとても励みになります。

20代の頃は「自分が描いているものは絶対に面白いんだ」といううぬぼれがあったのですが、少し引いて自分のことを見てみると全く違っていて、変にこだわりを持っているから読者にウケないんだと自己分析できないといけませんね。売れている作家さんは本当に控えめで全体が見えている印象です。アシスタント止まりの方は自分が描いているものが正しいと思い込んでいて強制的に読ませてくるイメージがあります。自分のことを俯瞰してみることが大切ですね。

自分のキャラクターを使って色紙やグッズの販売をしているのですが、最近は漫画でもAIを活用する時代です。私なりのAIの使い方で世の中に貢献できる表現が何かあるはずだと思って模索しています。私の作品に出てくるキャラクターは元気がウリなので、皆さんを励ますようなメッセージを漫画の中にもグッズにも取り入れていきたいですね。