元ビリギャルが伝える「学び続けることの大切さ」

ビリギャルの小林さやかさんにインタビューをさせていただきました。

小林さやかさんは、『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40あげて慶應大学に現役合格した話』(坪田信貴著)で一躍有名になったビリギャルのご本人でいらっしゃいます。

当時の家族間の絆や坪田先生に教わった教育を伝えようと講演活動をされながら、『キラッキラの君になるために ビリギャル真実の物語』という本も出版されています。

また、より多くの方に教育の大切さを理論的に伝えるため、お仕事を続けながら、2019年に大学院に入学し、学習科学のご研究をなさっています。

常に学び続ける小林さやかさんから「学び続けることの大切さ」を学ばせていただきましょう。

小林さやかさんは、ご自身の得意なところを理解し伸ばしていると感じています。どうやって自分の得意分野を見つけられてきましたか?

小林:(得意分野を見つけるというより)できないことや苦手なものの方が先にわかりません?

苦手なことをやらないようにしている。無理にできないことをやらないって割り切っちゃったら、できることしか残らなかった感じかな。

講演は、人前で喋るのがそんなに嫌じゃなくて。すごく楽しいし、あんまり緊張しないんですよね。元々向いているのかもしれないですけど。

私の講演を聴くとね、みんな「やっぱりさやかちゃん、頭いいのよ」って言うんだよね。話を聞いて「やっぱ確信したわ、あんなに頭の回転速くないもん」みたいな。だから「やっぱり慶應くらい受かるわよね!」という謎のロジックが出てくる。

でもね、冷静に考えると私も最初から喋れたわけではないんです。すごい悩んで練習もしたし。ただ学生時代合コンに行きまくっていたから、(合コンで)場を盛り上げる力は身についていたかもしれない。合コンでは女子も男子も楽しめないと困るから、場を盛り上げなきゃいけないじゃないですか。講演で場を見て盛り上げるのは、合コンテクニック的なとこがありますよね。

先日、坪田先生に私の講演を3年ぶりくらいに聴いていただいたんですけど、「すごく上手になった!」って言ってくれた。

私の講演後に、坪田先生がお話されたんですけど、壇上で「さやかちゃんの講演聴いてみんなどうでしたか?やっぱりさやかちゃん元々できるんだよ、頭の回転が速いんだよ、頭いいなんて思うでしょ。だけど3年前はあんなに上手じゃなかったですよ」って言ってくれた。

数えると、去年は120回講演したんですよ。その前は100回、その前は90回、その前は80回なんで、この4年で400回くらいやっています。400回も同じ話をして、それでも何かを伝えられなかったら、向いてないからやめた方がいいって思うね。

継続するってことが大事だったり、一番の力になるなと感じています。ただマネージャーさんにお願いしているのは、3連休の中日(なかび)とかにやる会社の研修はなるべく入れないで欲しいって言ってるんです。

研修で強制参加だと、みんな嫌々出てきているから、反応が1ミリもないんですよ。「なんでビリギャルの話なんか、聴かなきゃなんねーんだよ。」って、空気を感じると私も気持ちが下がるじゃないですか。

モチベーションが下がる仕事は「やらないでおこう」って言ってます。苦手なことや自分のモチベーションが下がることは、時間も有限だしやめたほうがいいと思いましたね。

嶋村吉洋:相手に合わせてどうしたら聞いてもらえるかを工夫しているんですよね。

小林:そうですね。どうやって言ったらちゃんと聞いてもらえるかだんだんわかってくるので、学生ばかりなら、言い方をちょっと変えてみたり。おじいちゃん・おばあちゃんが多かったら表現を変えるし。田舎へ行くと、「ビリギャル?なんか有名人ぽい人だから行こう」みたいな感じで人がいっぱい来る。だったらビリギャルの説明をもっときちんとしないとなって考えて話します。

やっぱり、(秘訣は)全部合コンですね。講演と合コンは一緒です。

インタビュアー:合コンは、学びになることがいっぱいありますもんね(爆笑)

小林:合コンは、いろんなスキルが必要ですしね。

坪田先生がアメリカに行ってた時に、毎日一人ナンパするって決めていたみたいです。営業マンは特にそうですし「一人の人を口説けないくらいだったらやめちまえ!」みたいなのが坪田先生の考え方。自分が好かれたいと思う女性を口説くことが大事だと言ってた時、「なるほどな!」って思った。

学生にそんな話をすると、みんなザワザワする。いまそんな感じじゃないからね。草食系男子ばっかり。

さやかさんにとって、チャレンジする価値はどういったところにありますか?

小林:最近ブログにも書いたんだけど、チャレンジしていないとなんか怖くなってきません?

1回チャレンジすると、バッと世界が広がって、しかもそこで出会う人たちみんなチャレンジしている人だから、その中で自分だけがずーっと同じところにいるのが怖い。

チャレンジするってことは、いいか悪いかわからないんだけれど、新しい別の世界がまた見えるってことで。今度YouTubeチャンネルを始めること一つ取っても、コメント欄でめっちゃディスられたり、今まで避けて通ってきたことを目の当たりにすることも承知の上でやる。

傷ついても「アンチの人が広げてくれているんだ!」って捉えてやるしかないと思っているんだけれど、そのおかげでチャンネル登録数がいっぱいになったら、本や講演とはまた違う伝え方ができるかもしれない。

講演に行くことはできないけれど、YouTubeで15分だったら観ようかなと思う学生さんもいっぱいいると思うので、大事なメッセージが伝えられるのであれば、ディスられて、凹んでいる場合じゃないなって思う。(チャレンジするということは)自分の世界を広げるっていうことだと思うから、止めちゃうとつまらないよね。

インタビュアー:ポジティブに捉えたのは受験の経験からですか?

小林:うん。そうだと思いますね。中学受験、大学受験が私にとってすごく大きな成功体験になってる。ビリギャルのおかげで、みなさんに「すごいね」って言ってもらえるけど、冷静にね「いやーそんなにすごくないんだけどな」って気持ちがどこかにあります。

だって究極暗記しただけだし、そんなのみんなやっているし、別にギャルだったからキャッチーで物語にしてもらえただけで。合格してなかったら普通の社会人になっただろうし、慶應へ行ったら、同じくらい努力した経験をしている人、まわりにたくさんいたしね。

受験の世界から一歩出たら、もっと厳しいところで挑戦して頑張っている人もたくさんいるって今はわかる。何がすごかったんだろうと思うと、挑戦して成功したことが多くの人たちの経験に重ね合わせやすいロールモデルだったっていうだけだと思うんですよね。

すごい人はいっぱいいる。大したことやってないのに、こうやって多くの人に話を聞いてもらえる立場にいるからこそ、ちゃんと学び続ける姿勢を見せて、大事なメッセージを伝えていかないと使命を全うできないなって焦りがある。だから学び続けている。

大学院に通って学んで、ロジカルに話せるようになったら、もっと色々な人が話を聞いてくれるんじゃないか、私の考えを伝えられるんじゃないかと、その気持ちが軸にありますね。

いつもポジティブじゃないんですけれど、ちょうどよく自分を追い込めているというか、そういった感じがあります。

講演活動を始めたきっかけはなんだったんですか?

小林:単純に『呼ばれたから行った。』のが始まりです。名古屋の中学校に呼ばれたのが初めてだった。

私、慶應卒業してから結婚式場で3年間働いていたの。ウェディングプランナーをやっていて、そこでお世話になった方で、おかんって呼ばれてた同僚がいたんです。おかんには二人の息子さんがいて、学校でPTAをやってた。その学校で講演して欲しいと呼ばれたのが最初ですね。

交通費2万円もらえたんだけれど、当時東京に住んでたので赤字だったんです。でもそこから講演活動は始まった。

(初めての講演をしたのは)ビリギャルの本が出てからですね。私が本を出すのはその大分後ですけれど、坪田先生の本が出て、「さやかちゃんはビリギャルで有名になったから、子どもたちに話をしてあげてよ!」という感じで。手探りで、パワポの資料も何もない中、喋ったのが始まりです。

そこから講演の依頼が来るようになった。

嶋村吉洋:講演を今まで続けられてきたのは、ビリギャルのリアルを伝えるのが主な理由ですか?

小林:もったいない捉え方をしている人が多いなって感じていて。講演会の後にサイン会をやると、お母さんが、後ろに隠れる子どもを引っ張って「ほら!名前をいいなさい!握手してもらいなさい!」と言って無理やり前に出すんです。よかれと思ってというのはわかるけど、子どもの意志を尊重する、という話をしたすぐあとなのにあんまり伝わってないなと。

それで私は、どうやったら伝わるかなーといろいろ試した結果、今の形になったんです。時間があったらお母さんたちに向けて、こう言って子どもたちに伝えてねっていつも話しているんですけれど、それでも伝わらない時がやっぱり多く、体験でしか人は変わらないので、1時間話を聞くだけでは、難しいのかなって思う。

納得してもらえるには、ロジックが足りないのかなと思って、大学院に通うことにしたり、私も試行錯誤しているんですけれど。

嶋村吉洋:昔に比べ打たれ強くなりましたか?

小林:打たれ強くはなりました!今もそうなんですけれど、結構小さいことで傷ついたり、めちゃくちゃ自尊感情を傷つけられて「あー私なんてー」みたいなモードの時もある。講演するようになって、みなさんに多くの自己肯定感をもらえるし、みなさん話を聞いてくださるし、仕事で自己肯定感が高まっている感じ。

嶋村吉洋:結構、無茶苦茶なアンチみたいな人もいるんですか?

小林:いるんじゃないですかねー?でもあまりネットは見ないようにしてる。ビリギャルの本が出たときに、坪田先生から絶対にネットは見るなって言われて、(ネットで)何を言われているか想像はつくんだけど、実際に生の声には触れてこなかった。

だからYouTubeはちょっと怖いんだけれど、コメントはやっぱり観たい。そこにプラスのコミュニケーションもあると思うので、見ざるを得ない。

いつもは、「なんのために勉強するのか?」というのを学生たちに、もっと時間を割いてじっくり伝えるんです。(勉強する理由は)とても重要だと思っています。本当に聴いて欲しいのは親なんですよね。

大人が思っている以上に子どもたちはちゃんと考えているんだと。親も一緒に講演を聴いてもらうと、「確かにな!」ってなるんだけど、忙しすぎて考える余裕がないから、(講演は)きっかけだと思うんですよね。

だから親が言っても伝わらないことを、私が代わりに伝えることが大事かなと思っていて、学校の先生が同じことを言っても「はいはい」って(スルーして)おしまいにしても、私だったら「ビリギャルが言うことはちょっと聞こうかな」って気持ちになったりするからさ。

「クソ」とか「しょーもねー」とか、わざと口を悪く喋ったりもしています。学生たちに「あ、この人はこっち側の人間だな」と信頼してもらえるように。

それと絶対に学校の先生を否定しないようにしてる。あの人たちも精一杯やっているから。それがやっと最近になってわかったので、(先生と生徒の)中間の橋渡しができるようになったらいいなと思います。

さやかさんから見た坪田先生の魅力について、どういったところが一番すごいなって思われますか。

小林:坪田先生は、私にでもわかるように説明してくれるので、すごく好きです。頭がいい人って難しく言いがちじゃないですか。本もそうだしさ。でも伝わらないと意味ない。みんながそんな難しい文章をわかるわけでもないし、すっと入ってくるわけでもないので。

私なんかでも「わー!なるほど」って思わせてくれる天才。たとえ話がすごい上手なんです。

坪田先生は、その子に合わせてたとえ話をしてくれるので、ゲームが好きな子はゲーム、ジャニーズが好きな子はジャニーズ、野球が好きな子は野球と。相手に合わせられるっていうのは、本当に頭のいい人じゃないとできないような気がするんです。そして先生自身が、一番楽しそうっていうのがすごいね。

私は(坪田先生の)少年みたいな感じに憧れますね。今も一緒にいて、一番ワクワクする人です。

坪田先生は、ロジカルとパッションを、どっちも持っている人なので、だから説得力があるというか。パッションだけでも「はいはい」ってなるし、胡散臭いなってなる。ロジカルばっかりでも、ワクワクしない。ここが合わさっているから、先生は面白いなって思うんです。

さやかさんが、大事にされている言葉や座右の銘はありますか?

小林:私、座右の銘はないんだよねー(笑)

いつも「やってみなきゃわかんないっしょ!」です。っていって、ビリギャル感を出して話してる。座右の銘か、考えていこう。

インタビュアー:坪田先生からのメッセージで「意志あるところに道は開ける」はとても素敵だなって思いました。

小林:坪田先生が受験の時に言ってくれた言葉ですね。

インタビュアー:受験を経験している身だととても響きますよね。

小林:大人になっても何にしても一緒だと思いません?

インタビュアー:仕事と一緒だと思います。

小林:私の講演って、色々な立場の人が自分に置き換えて聴いてもらえるのが特徴なのかなって思っていて、お父さんはお母さんの視点と違うだろうし、泣くところも男性と女性で全然違うんですよ。

お母さんたちは、うちの弟の話で絶対に泣いちゃうんです。それって多分、自分が同じことをやっちゃってるかもしれないなと感じているからだと思うんです。子どもに長く接しているのは女性が多かったりするので、男性にはわからない感情があるのかな。

男性は男性で、うちのお父さんのことで「わかる~一緒〜!」みたいなね。でもお父さんとは今は仲良しなんだということが伝わると、そこでグッとくる男性もいるしね。

誰かを指導する立場の人は坪田先生に自分を重ねるだろうし、なんか今から頑張ろうとしている人は、私のポジションだし、上司、部下、先生、生徒、親、子、色々なところに置き換えられる話なんじゃないかなと思う。

ビジョンを描き続けるってすごく大事だなと思っていますが、今のさやかさんのビジョンは何ですか?

小林:いま目の前のビジョンは、来年大学院を卒業するので、修士論文を書き上げるということが目標です。書き上げてどうするんですかって、よく聞かれるんだけれど、私はいつも直感で、ワクワクしたらやってみて、違ったら止めようってタイプなの。

大学院も行った方がいいなと思って、すぐに決めました。卒業後どうするかはまだわからない。学習科学という知見を身につけないと見えない世界もあるだろうし、知識を持って初めて何ができるか、わかるじゃないですか。その時にまた、考えようかなと思っています。

大きな目標は、幸せな子どもを増やしたい。そのためにやりたいことは3つっていつも言ってる。

1つ目は学校教育をもっとイケてるものにしたい。私の中では学校教育は意味なかったからね。捉え方の問題だったし、その時は気づけなかっただけなんだけど。一方で、坪田先生が私にしてくれたみたいなやり方はできなかったのかなと思ったりします。ただ坪田先生ですら、心理学やエニアグラムを駆使して一人の女の子を成功に導いたのかもしれないし、同時に多くの生徒を担任の先生1人で導くなんて、相当の化けもんじゃなかったらできないと思っています。

そうするとやっぱり今の日本の学校教育でやっている一斉授業制度は、もうそろそろ限界なのかなって思います。

だから学習科学の知見を活かして、ビリギャルもちょっと利用させてもらいながら、教育制度を変えたいと言うのが一つ目のやりたいこと。

2つ目は、もっと笑っているお母さんを増やしたいですね。もうね、講演を聴くとね、みんな泣いちゃうんですよ。感動してかもしれないけれど、辛くて泣いているお母さんもたくさんいると思っています。

社会の環境もそうだし、旦那さんとの関係もあると思うので、一概に言えないけれど、お母さん自身が、もっと自分の人生を楽しんで生きることが子どもたちにとっても幸せなんだよっていうことを、もっと伝えたい。

だから3年前にクラウドファンディングでお金を集めて、渋谷でママ大学っていうイベントを企画しました。色々模索しながらやれることはないかなって。

3つ目は、自分もいつか誰かを育てる身になりたいなと。自分が産んだ子じゃなくてもいいなって思ってる。できれば産めたらいいけどね。でもこればかりはわからないから。お母さんにはなってみたいなって思う。

この3つができたら、きっと幸せな子どもが増えるって思っています。

子どもにはどんなことを伝えたいですか?

小林:勉強ってさ、正解はないじゃないですか。正解を探すことが勉強だと思っている子どもたちがすごく多いけど、社会に出ると正解のない問題に取り組んでいかなきゃいけないのが本当の勉強なので、小さい時から正解なんて一つもないことを伝えたい。

「大学入学共通テスト」で国語・数学を記述式問題に変える話があったじゃないですか。結局記述式も問題があるとなって、なくなったのがありましたよね。

あれはどういった意味があったのかというと、(選択式問題は)どこかに答えがあるって子どもたちが思っちゃうことがまず問題。人それぞれ違っていいのに、どこかに答えがあるはずで、消去法でこれかもって思って答える。当てずっぽうでも当たっちゃうっていう世界が、今までの試験。

これを記述式にすることで、自分で答えを生み出して、どういったことが正解というか、この文脈から何を読むか、自分で発想を巡らすっていうことを生み出したくて、記述式に変える話が発生していたんですよね。

でも結局、新たな問題が出てきてやめちゃった。なんかすごくもどかしいなと。そこにちゃんと意味があるということを、なぜ伝えられなかったのかなと思うんです。課題なんて日本の学校教育にはめちゃくちゃあるんだけれど、解決のスピードをどうにかできないものかと、研究室で悩んでいるんです。

結構長いね、道のりは。

インタビュアー:小学校は海外だったので……。記述式しかなかったような気がします。エッセイを書くなど。

小林:いいですね。しかもだいたい一つは褒めてもらえるでしょ。何かを書いたら必ず褒めてもらえるというのが、アメリカの教育だと私は思っていて、だからあんなに異常に自己肯定感が高くなると思っている。

日本は、やっぱり間違い探しなんだよね。だから自己肯定感が低くなる。相手の顔色を見て、自分の行動を選ぶようになってしまうと、すごくもったいない。

日本は呪縛が解けないというか、すべてのことに言えることなんじゃないかと思うんですけれど、何か正解があるって思いすぎ。子どもたちには「オールオッケー何でもいいよ」って伝えていきたいですね​。

日本を変えたいという大きなビジョンからお仕事されているということですか

小林:そんな大層なことは一人じゃできないけれど、ビリギャルのおかげで、すごい人たちが周りにたくさんいてくれるから。

こうやって世の中変えていけるんだなと。私も何かやらなきゃっていう気持ちが私の中でありますね。

インタビュアー:かっこいいー!

小林:いやいや、かっこよくない。まだ何もできていないから。

嶋村吉洋:僕も学校は本当に嫌で、最後は行かなくなった。社会人になって、人生をもっとよくしていこうという人たちが活躍する場所を作ろうと思って、まさに教育みたいなものですよ。自分で自分を教育する場所を作っています。あとは本人の努力次第なんですけれどね。

小林:やっぱり、自走することしかできないからね。みなさんは仲間がいっぱいいるでしょ。それが大きいんじゃないかと思います。私が、コーチを探せって本で書いているのは、坪田先生やうちのお母さんを想定して書いたんですけれど、学生たちって仲間がいないんだよね。

だからマイノリティ(少数派)になっちゃって、怖くなっちゃって、「自分が異常なんじゃないか」、「大きなことを言うのが怖い」などと思ってしまう。ああいった一つのコミュニティがあって、一緒の軸を共有するような仲間がいるのは強いなと、爆発的な威力を持つと思いましたね。

最後に、若手の起業家に向けてひとことだけお願いします。

小林:若手起業家ね、そうだね。

何かを始める時、特にお金を使うことだったり、人を巻き込む時は勇気がすごいいる。私も何度も怖気づいた経験あるからね。だけど所詮、周りの人は周りの人だからなっていつも思ってて、結局は自分の人生なので、失敗したってそこから何かを学べばいいと思うし。失敗したら怖いなって思うことほど実は成功する確率は高いので、小さなゴールでもいいから目標を見つけて、挑戦して欲しいなと思いますね。

色々なものが変わっていきますし、子どもたちも育っていくと思います。

事業をやる時に、この3つのうち1つでも埋めてなかったら失敗するからやめた方がいいと坪田先生が言っていた法則をお伝えしますね。私の言葉じゃないんだけれど。

当たり前っちゃ当たり前なんだけれど、

1つ目はちゃんと(事業が)持続可能なくらいお金が儲かるもの。当たり前ですよね。ボランティアでは持続できないもんね。

2つ目は世の中のためになること。ベクトルが自分にしか向いていないものはいつか終わりが来るので、これによってどれだけの人を幸せにできるかが2つ目。

3つ目は、自分自身が必ずワクワクすること。

これがどれか1つでも欠けていれば、失敗するから辞めておけって言ってましたね。

私はいつも新しいことをする時に、この3つが満たされているかを確認しています。それで何度も辞めてきた。「これだと儲からないよ、儲からないからやめよう」って。始めはいいかなと思っても、中々この3つに当てはまらないから、できなかったりするけれど、でもいつかね。

ここを大事にしておけば、成功し続けられる事業が見つかるかなって思います。


内なる輝き「秀雅」を生きる

タレントのデヴィ夫人にインタビューをさせていただきました。

デヴィ夫人は、テレビやコメンテーターとしてご活躍されている傍ら、その知られざる社交界の一面を、ブログやYouTubeを通じて発信されています。さらに、NPO
アースエイド・ソサエティを設立し、世界中の難民や地球温暖化問題に手を差し伸べる国際社交家でもいらっしゃいます。

今回は、美の秘訣や人生のモットーについて、デヴィ夫人のお考えや普段実践なさっていらっしゃることをお聞きしました。

インタビューの中でデヴィ夫人は、心のゆとりの大切さや、飽くなき挑戦心といったお話をしてくださいました。デヴィ夫人の美しさは外見の美しさだけでなく、内なる精神の輝きによって人々を魅了しているのだと感じます。

人の三倍以上の努力によって人生を変えてこられたデヴィ夫人の「人を惹きつける魅力」は、私たちがぜひ身につけていきたいものだと思います。

ずばり、デヴィ夫人の美の秘訣についてお聞かせください。

デヴィ夫人:そんなの、何もないのですよ。(笑)

そうね、どうしたらいいかな。毎日、朝起きたら鏡を見る、夜寝る前に鏡を見て休むなど、常に緊張感を持つことです。自分は人に見られていると思うこと。私にとって、人の視線がビタミン剤なのです。

あとは、身体のラインはなるべく保ちたい。胸を上げるブラや、ウエストがぴったりした洋服を身につけます。

逆にダボッとした服は着ないですね。人間の身体は甲冑の中に入れておかないと、油断してどこまでも大きくなってしまいます。特に日本人の身体は、何百年も帯を締めていたので、胴長でお尻も下がっています。今ではだいぶ矯正されてきて脚長の美人がいますけれど、腰の位置は下がっています。

それから、畳の上に座る習慣。あれは足の形には非常に悪いですね。中国人や韓国人の足は綺麗ですよね。昔から、立ち、椅子に座る生活でしたから。日本人の身体は、着物と畳の上に座る習慣のために、非常に足太です。これからはどんどん直っていくと思いますけれどもね。

そして、姿勢に気をつけています。日本人は非常に姿勢が悪い。猫背になると酸素を吸い込む量が少ないから疲れやすくなる。逆に、胸を張っていると酸素の吸収が自然と多くなるので疲れにくくなる。ヨガをやっている人は、いかに酸素を取り入れるかを習慣化しているため、ヨガを習うのも良いですね。

姿勢の悪い歩き方は変えましょう。胸を張って、おなかを引っ込めた歩き方をすると、自然と酸素を吸収する量が増えます。お肌のためにも、酸素は非常に大事だと思います。

最後に、食事。私が気をつけていることは、脂身が多いものは食べないことです。
夜はお呼ばれが多いし、外で食事を頂くことが多いけれど、昼間はお家にいるため、日本食中心にしています。日本食はクリームやチーズ、バターはあまり使わない。よく食べるのは、豆、ごま、わかめ、野菜、魚、椎茸、お芋など。私のお家の冷蔵庫を開けるとお豆腐やわかめが多いです。お魚も干物みたいにして、焼けば食べられるものが多い。お野菜はなるべく多く摂ろうとしていますね。シンプルな食生活を心がけています。

朝は、果物だけを食べています。果物を食後に食べるのは良くないんですよ。果物は胃の中で発酵しますから、一緒に食べたものにも影響します。果物は単体で食べたほうが良い。朝起きて一番必要なのは、糖分なんです。脳に糖分を送ってあげないといけないですから。

インタビュアー:デヴィ夫人の交友関係はとても広く、華やかなイメージがあります。社交界の方々とのお付き合いなどもありお忙しい中で、たくさんのことに気を遣っていらっしゃるのですね。

デヴィ夫人:私、芸能界の人たちのお付き合いは、ほぼゼロです。スタジオではご一緒にお仕事を楽しくして、収録が終わったら別れます。私の住む世界と彼らの住む世界が全く異なるため、残念ながらまったくお付き合いがないのです。

私のブログやYouTubeを御覧ください。そうすると私の生活がわかりますので。
夜は、各国大使館のパーティに呼ばれますし、私の友達が主宰しているパーティにもお呼ばれします。たえずディナーの約束が入っていますし、歌舞伎やオペラを鑑賞したり、色々な事をしています。

なので、芸能界の方とお付き合いする時間がないのです。芸能界の中では、美川憲一さんや神田うのちゃんくらいですね。それもそんなに会えない、電話で話すくらい。みんなお互いに忙しいですからね。

著書「選ばれる女になりなさい」の最後にも書かれていた、デヴィ夫人のモットーについてお聞かせください。

デヴィ夫人:私が作った造語「秀雅(しゅうが)」。3つの「ゆうが」の上に来る生き方です。こころのゆとりを持つことが大切です。

まずは、遊ぶという字に雅と書いて「遊雅」。つれづれなる遊び心。人は余裕があれば、遊び心が出てきますよね。遊雅なことだと思うんですよ。

2つめは、心のゆとりを持って生きる裕福の裕を当てた「裕雅」。
3つめは、美しいものを見ると人の心は優しくなる「優雅」。

「遊雅」、「裕雅」、「優雅」の3つの「ゆうが」の究極を「秀雅(しゅうが)」と名付け、私の人生のモットーにしています。私が死ぬ時に思い残すことがないという状態で、死にたいなって思っています。

インタビュアー:「秀雅(しゅうが)」、素敵な言葉ですね。そういった想いを込めて作られたのですね。その言葉はいつ頃できましたか?

デヴィ夫人:私が50歳の時です。ホテルオークラに泊まっていてテレビを見ていたら、4500人の百歳を越えた人がいる。今は100歳を超えているかたが6万数千人いて、100歳を超えることが夢じゃなくなったことを知りました。

約30年前は4,500人程度だったんですよ。テレビを見て、それで「え?!」って思って。100歳って昔は想像もつかない。50歳の時に「まだこれから50年生きられるんだ!」と思い、「じゃあ、スカルノという姓を取り去って、自由に生きてみたいな」と思いました。夢かもしれませんが、実現できたらと思うと素晴らしいことだと思います。

自分の中の革命ですよね。あと50年生きられるんだ!50年繰り返すことができるんだって。その時は、本当に驚きでした。100歳ってびっくりしましたね。

インタビュアー:好奇心がおありで、色々な事ができるんだと昔から思っていらっしゃいましたか?

デヴィ夫人:あの人にできて、私にできないことはありえない。同じ人間じゃないですか。自分の挑戦する、挑むという気持ちが失くなったら、歳を取ったんだなって思うんです。

加藤タキさんのお母さん(シヅエさん)。女性で初めて衆議院議員(1946年)になられ、その後参議院議員(1950年〜1974年)も務められたかたで、104歳で亡くなられたんです。99歳の時に、病院に入院、その時ベッドで本が読めないと、目の手術をしたそうです。99歳で目の手術ってすごいでしょ。本が読めないと退屈だと言って、99歳で目の手術をなさったんです。だから、上には上がいるんですよ。

あと人間は、物質にあまり恵まれすぎてはいけないと思うんです。なぜなら、精神力が落ちるから。今の日本人の精神力はどんどん低下していると感じます。

戦後、早期復興したのは日本とドイツ、イタリアの三国同盟を組んだ国々なんですけれど、その中でもいち早く復興を成し遂げたのは、日本人なんですよね。戦争で受けたダメージを、ハングリー精神で復興してきました。

そして、教育水準が高かったから復興が早かったんです。江戸時代には寺子屋があって、文字は書けたし、計算はできたし、そろばんも弾けました。戦後何年間も教育水準が一位だったんですよ。

そして、その時代に引きこもりなんてあるはずないんですよ。今の時代の引きこもりはどうやって食べているわけですか?親のすねかじり?政府の補助?補助金で生活?

引きこもりや不登校、これらは深刻な社会問題なのに、全然解決していません。引きこもりや不登校だけでなく、いじめ問題も解決していません。教師のいじめ問題もひどかったけど、子供のいじめ問題もひどいですね。

人間はやはり、物質にあまり恵まれない状態がいい意味でのハングリー精神を持ち、イデオロギィで戦う。私達が子供の頃は「働かざる者食うべからず」だったけれど、今は社会保障で食べている人も多くいる。そんな世の中が変わっていくことを願っています。

「人材」でなく「人財」に恵まれる生き方

タレントの清水国明さんにインタビューをさせていただきました。

長年芸能界で活躍する傍ら、数々の事業を手掛け、大きく成長させている実業家でもいらっしゃいます。

事業のひとつであるアウトドアと研修をミックスさせたプログラムは、研修を受けた社員間の絆が強固になり、退職率が激減するなど大好評で、リピート率が非常に高いのだそうです。

そんな清水国明さんにさせていただいた本インタビューでは、ビジネスに関することから、良好な人間関係の構築やチームビルディングなど、成功するために必要不可欠な項目を中心に掘り下げ、お話をしていただきました。

歳を重ねても精力的に仕事をされ、また、ユーモア溢れる清水国明さんは、起業することで人生を豊かにすることを決めている私たちにとって、とても良いモデルだと思います。

芸能活動をされながらも様々な事業にチャレンジしようと思ったきっかけをお聞かせください。

清水氏:芸能人は面白かったんだけど、ずっとやる仕事じゃないなと思っていました。いくつかある仕事の中のひとつだと。そう言いながらも芸能活動に没頭していて、仕事は当然来るだろうと思ってました。いわば芸能サラリーマンですね。

ところが、3日くらいスケジュールが空いた時がありまして、その時はちょうど子供を育ててた時だから「これ、イカンなー」と気づいて。こういう貰い仕事って、(貰えないと仕事ができないという意味で)良くないなと思うようになりました。誰かに生活をコントロールされてしまう働き方は良くないなと思って。

それが、いわば起業のきっかけみたいなものかな。

オートバイのレースをやっている時はお金を集めなきゃいけないから、うちのチーム(国武舞レーシングチーム)のTシャツにサインをして、鈴鹿サーキットで販売したんです。中国から仕入れた300円のTシャツを3,000円で売ってたんですよ。

それが飛ぶように売れて。

「これだ!」と思ったね。昔はCDやレコードなど1枚売れても、色々な中間流通の関係で2円50銭くらいしか手元に入ってこない。それを数売らなきゃいけないんですが、中間流通がないと手元に残るお金が増える。これが直接販売なんだなと実感して、それがひとつのきっかけにもなりました。人に仕事を貰って、人に養ってもらうのではなく、「自分でやろう!」と決意する、そんな事がありましたね。

人との繋がりや出会いを常に大事にされていると伺いました。このことについてお考えをお聞かせください。

清水氏:人との出会いは大事にしてますね。

出会いも大事にしているし、合うかどうかも大事。人に合わせ過ぎるとしんどいと感じることもあるしね。

人生の後半は、「この人、今日は機嫌がいいかな?」とご機嫌を伺ったり、相手の機嫌の良さで、喜んだりがっくりしたりするような人付き合いはしたくないなと思っています。病気になるの人の側には、ご機嫌を伺わなきゃいけないような人がいる。他人の機嫌をいつも伺ってるような人が病気になりやすいんですって。

『不機嫌は罪(齋藤孝著)』という本を読んだんです。不機嫌でいる人は勝手に不機嫌でいれば良いわけで、他人を嫌な気持ちにさせる権利は誰にもなくて、その不機嫌が周りの人を病気にしてしまう。ご機嫌を伺わなきゃいけない人とは、程よい距離感でいるようにして、自分と感覚が合って、ちゃんとお付き合いできる人との繋がりを大事にしたいですね。

以前、清水さんとお話する機会があったときに「人の持つ周波数」のことを聞きました。ご自身の中で、どういった形で周波数を意識されていますか?

清水氏:特に何にもないんですが、「誰とでも合わせられるなー」って思ってます。自然の中で木に抱きついて、木とコミュニケーションしたり、草や動物ともわかりあえる。集中すれば誰とでも合わせられます。例えば、恐ろしい違う世界で生きている方たちに、仕事で取材しに行った時にも、最初はびびりましたが、最後には仲良くなって一緒に酒を飲んでましたね。

誰とでも合わすためには、自分のキャンバスを真っ白にしておかないといけないんですね。白だからどんな色にも染まれるんです。

インタビューの仕事などでも、予備知識や先入観があると、相手のノリが悪くなります。知ってる話を繰り返すのは辛いですからね。それはあんまり良くない。インタビュー番組をやった時に、その人のデータとか全く知らないままに「この人どんな人なんだろうなー」と思って興味を持っていくと、それが相手に伝わって、丁寧に質問に答えてくれるんです。

相手との周波数も、自然体で臨めば誰とでも合わせられます。過去に、会社への出資をお願いするために妻と一緒にあちこちの投資家を訪ねて回ってました。彼女は隣でパソコンを開いて議事録を取っている風にしてましたが、実は友達にメールを打ってただけだったんだけどね。それでも、なぜか1千万や1億の出資が決まったんですね。

河口湖へ帰る車のなかで

「(嫁)今日、いくらだったの?」
「(清水)今日、一千万円の出資が決まったよ」
「(嫁)なんだ、1億じゃないんだー」

って、横に居たじゃないかって思うんですけどね。

興味深いのは、妻が「あの人、私はちょっと苦手」って言う時があるんです。空気が吸い辛い、息苦しいって言うんです。変な威圧を感じるのかもしれません。霊能力者みたいに、意外と当たってるんですよね。周波数とか、出している波動みたいなのが合わないのかなと思います。

周りの人を一瞬で自分が出してる周波数に合わせてしまう能力がリーダーには必要ですね。「ツカミ」がokであれば会場の周波数が同じになります。最初に「スベル」と最後まで空回りしますね。あとは、あんまり自分の生き方とかにこだわらない、自然体で生きたいなと。自然体って、無理に禁欲せず、全ての欲望と無邪気につきあうことだと思ってます。なんにしても固執するのはみっともないですね。

コミュニケーションをとるする上で大事にされていることはありますか?

清水氏:下にいきますね。うちの姉(橋本真由美氏:ブックオフコーポレーションの元社長)もそうなんですけれど、絶対に相手の足元に潜り込むようにします。例えば、そこそこ勉強していた時も「私、こんなもんですわー」と下から入る。「何だこいつバカじゃねーか」と相手に思われるようにする。いくらバカにされたって気になりません。

初対面の時に上から来る人は全然怖くないですよ。逆に、挨拶の時に低姿勢で潜り込まれたら相手を見定めるのが大変です。さらにこちらも下に下がってみる。「下手に出る」という意味でもありますね。

「なんだ、変なやつだなー」と思われてしまうこと。そういったことを心がけて、バカにされるところから始まる。しかし本当にバカにされるのではなく、(相手の心の)扉をあけるというかね、安心させるというか。下に、下にということなんですね。

清水さんの言葉の中で『縁あって出会い、力を合わせてきた人と喜びと富を分かち合うこと』が、とても心に響きました。このような清水さんの人生の格言や座右の銘について教えてください。

清水氏:今はその言葉にハマってます。これは自分で考えたんですけれど、会社がいくつかあってホールディングにして企業を束ねなければならないので、考え方もまとめようと思ったんです。その時に「縁で集まっていること」と「分かち合うこと」。そしてその文言には出てこないけれど、「苦労も分かち合う」わけなんですよね。それが力を合わせることで、最後はみんなで分け合うことが目的なんだなと気付きました。

俺の知り合いに経営者はいっぱいいますが、世の中には不幸な金持ちが多く、幸せな金持ちはなかなか少ないですね。会社をバイアウトして、100億くらいの大金を得て、世界旅行へ出かけた知り合いがいます。嫁さんは連れて行かないし、バーっと寄ってくる仲間たちも全部切って一人で世界旅行へでかけたんです。でも途中で、鬱になって帰ってきた知り合いが、ふたりいるんですよ。

自分の欲望を達成して、憧れていた豪華旅をしている間に「俺の人生、何だったんだろ、これから何がしたいんだろう」ってわからなくなってしまったのだそうです。

彼らはお金はあって、やりたいことがなんでもできますが、互いに、バカにしたりされたりしても許せて、心から笑い合えるような仲間が居ないのです。1番大切な分け合うという基本がないと、どんな事業も成功しませんね。

さっきの言葉は、思い立って急遽作ったやつなんですが、こんなにウケると思わなかったんですよね。それぞれ任せている会社の仲間たちが「額に入れて飾りましょう!」と言い出しました。みんなの想いを言葉にして共有するって、大事なことですね。

あんまり他人の格言はないのですが、「足るを知る」という言葉は好きですね。「吾唯知足(われ、ただ足るを知る)」京都の龍安寺の手を洗うところの石に掘ってあります。足るを知らないと、糸の切れた風船みたいにどこまでも飛んで行ってしまうんでしょう。

起業やビジネスをしていくにあたり、一人ではなくて、色々な方と関わり、チームをつくって同じ目標に向かって走っていくと思います。清水さんがチームづくりで大切にされている事があればお聞かせください。

清水氏:今、まさに人材を募集していて、名古屋の飲食店づくりで18人くらいの人に面談したんです。人材業界でよく言われることは「人材」って言葉がありますね。一番いいのは、人の財産の「人財」です。それから、存在の「在」を使った「人在」のいるだけな人。もう一つあるのは「人罪」、罪な人がいますね。

このような分け方をする上で、「人財」となる人。「何かやろう」って言う前に「やります!」って言う人がいい。「何かやろう」って言う時に、すぐやって来る人がいい。声をかけても、そっぽを向いたり、水をかけて消そうとしたりする人とチームをつくるのは難しいですね。

コンフォートゾーンから出ようとせず、安全圏でやろうとしている人は駄目です。外はパニックゾーンだから、自分の知らないところには出たくないという人たち。

年齢や性別、立場は関係なしに、みんなで話をして、可能性があるならやってみよう、試そうというような人たちと一緒に仕事がしたいですね。

成人式の講演会に呼ばれたときに、めちゃくちゃ腹が立って怒鳴って帰るような事が何回かありました。「横とべちゃくちゃ喋って、人の話を聞けないやつは成人じゃない!」と。それからギャグを言っても全然ウケない。シーンとしていて関係者は喜んでましたが。

若者には将来の可能性を伝えたいですね。自分の可能性を信じている人は、仏さんの後光のようにキラキラ輝いているのがわかります。

俺なんかこんな生まれだし、こういう親だし、環境だし、と最初から諦めている若者はもったいないですね。経営者の立場からすると、自分で自分の可能性を殺しちゃってる人よりも、自分の可能性を信じて、どんどんチャレンジしようとする人がいいなと思います。

こんな風に色々と考えてはいるのですが、今までの経験から言うと私は人を見る目は、まだまだなんです。

採用面接をするじゃないですか。その時はものすごくいいんですよね。美女で成績一位って、非の打ち所がない人。打ち合わせしようって、2度目会うと最初に会った時の印象とは違う。どんどん下がっていくじゃないですか。

入社後、「なんであの人、採用したんですか?」って言われることが何回もあったから。僕はそういったハッタリに弱いんだよね。

その子が目一杯背伸びをしてきてるときに、俺はそのさらに上を見ているからね。こんな能力があるから、こんなことまでできるかなと。採用した人の中には目一杯、上げ底で来てたっていうのもありましたね。人を見る目ってやっぱり難しいね。

今のお話は、募集の段階だと思います。チームになった時、まとめあげる上で大事にしていることはありますか?

清水氏:そうですね。会議を例にあげることになるけど、一番大事にしていることは、最初の段階でネガティブな発言をする人には、「ちょっと待て」と伝えます。誰かが何か考えて提案してくれる場合、3~4日くらい考えてくるわけです。その案に対して、「それって、雨降ったらどうするんですか?」、「蛇に噛まれたらどうするんですか?」と、考えてきたわけでもない、その場で思いつくネガティブを言う人がいます。

一生懸命やろうとすると、そういうネガティブな人たちにぽんと潰される。その結果、最終的には何もやらないのがいいとなってしまう。だからみんなで、まずはネガティブを言わずに盛り上げて、いいことだけ言う。「こうなったらやったー!」「そうだねー!一人一台ずつ外車買えるね」って、みんなが最高の状態までたどり着いたら、「一回戻ってみよう!」とネガティブ意見も取り入れてみる。「万が一こうなったらどうするんですか?」という意見に対して、「外車が買える」とポジティブな目標を最初に味わった人たちは、このネガティブの壁を乗り越えるエネルギーがあるんですよ。

ここを体験していない人たちの集まりは、止めておいたほうがいいねと思います。会議やチームづくりの時に、その場の思いつきでネガティブを言うような人はまず待っておくように言います。そうじゃないと会議やミーティングは進まないと思います。

チームづくりもそうですよね。足を引っ張ることだけでリーダーになっちゃうのが日本の悲しいチーム。「それは止めておいたほうがいいですね」と言っちゃう人が社長になることもある。

どういうことかというと、確率的には上手くいかない方を主張すると当たりやすいです。だから、ネガティブな人は反対する事を主張する。言ったことが当たるから、まわりからの評判があがる。でも、こういった人が社長になると、社員の提案を否定から入り潰してしまいます。本人はクリエイティブな事をしようと思っていないので、その会社は終わっちゃうよね。

経験値というか、チームをつくっているときも、リーダーを決めるときもずっと気にしていますね。

最後にこれからを担う若手に対して一言お願いします。

清水氏:やればできる!!(一同爆笑)

どうだろうなー。出会いや縁を大事にした方がいいかなと思います。あとは、チャンスの後頭部には髪の毛がないってよく言いますよね。

ツルッツルな頭って掴めないから、近づいていくるチャンスを発見する力を身に着けておく必要がある。そのためには、ずっと必要に思い描いておかないとだめ。

流れ星の時に、願い事を言うと叶うというじゃないですか。バッと流れた時に「えっと?なんだっけ?願いなんだっけ?」「えっと、100万円!」「えっと、結婚したい!」という頃には、流れ星が消えている。普段から「100万円!100万円!100万円!」ってずっと思ってる人は、流れ星の一瞬でも「100万円!!」って言えるわけですよ。

それくらい念じ続けている「願い」は叶うわけですよね。チャンスというのも、チャンスがきてから何とかしようというのではなくて、そのチャンスを「ないかな?」「ないかな?」って見たら、他の人には見えないチャンスが見えてくるようになるはずです。

ずっと念じ続ける、思い続けることが必要ですよね。

今日即決する!走り出してから考える!

株式会社HIROWA代表の和田裕美さんにインタビューをさせていただきました。

和田裕美さんは、外資系の営業からキャリアをスタートされ、ファンづくりという営業スタイルから世界2位の営業成績をお持ちのお方です。「陽転思考」という、考え方の癖を現実的に変えていくことを提唱しており、ビジネスコンサルタントや作家、テレビ番組への出演など、幅広く活躍されていらっしゃいます。

今回は、結果を出し続けるために実践されていること、女性が力を発揮するために意識すべきことなど、和田裕美さんにしか聞けないことを深掘りしてお聞きしました。起業を通して、自分の人生にワクワクしながら目標達成していきたい私たちにとって、取り入れていきたい学びがあると思います。

輝かしい業績をお持ちの和田さんですが、どのような幼少期を過ごされていましたか?

和田:私の両親は自営業でした。小説『タカラモノ』は、私の育った環境のモチーフとして書いているんですけれど、お父さんがご飯を食べないように炊飯器を隠しているような子どもだったんです。ちょっとぐちゃぐちゃで辛かったため、その時に「生きていく」ということを考えるようになりました。

幼少期は、よく紙芝居を描いていました。当時は友達があまりいなかったんですよね。友達とどう喋っていいかわからないし、遊ぼうって家に来た時も、隠れるような子どもでした。誰とも接するのが嫌だったから、ひとりで紙芝居を描いていました。

インタビュアー:お友達とはあまり交流しない幼少期を過ごされたとのことですが、どのようなきっかけから外へ出て行くようになったのですか?

和田:仕事するようになって……人間て徐々に変わっていくんですよね。人間はずっとそのままじゃなくて、変わるきっかけがあります。挫折があったから、瞬間的に変わるのではなく、大人になるうちに、ちょっとずつ改善していくんですよ。

例えば、学生時代にバレーボール部に入ってみると、スポーツが苦手だったとしても、補欠で入ってみる。身体を動かすことで、自信につながるんですよね。ランニングをやると、インドアからアウトドアになったりして、ちょっとだけ性格が変わっていきます。あとは周りの友達が変化することでも影響を受けますね。

中学・高校・大学で、ちょっとずつ変わっていきました。それでも私はおとなしかったんですが、少しずつ、じわじわと牛歩のように変わりました。そして、新卒で入った会社の勤務先が東京になり、たまたま東京での生活がスタートしました。

東京は、色々な地方の方が集まっていますよね。私は京都の宇治市という田舎出身です。私の時代の女子は、特に四年制大学に行く人が少なかったし、田舎でもあったため、周りの人はいい大学へ行こうという感じでもありませんでした。東京に出ると環境的にみんなが勉強して、みんなが良くなっていきます。私は、普通に大学を出て普通に就職して、そのまま東京に出てきたときのカルチャーショックが大きかった、有名大学出身の方がいっぱいいて、頭のいい人が普通にウヨウヨしていて、さらに変化を感じるようになりました。

会社員時代、上司にたくさん叱られたり苦しい経験をされてきたことが本にも書いてありました。どのタイミングでスイッチが入りましたか?

和田:仕事をこなしていく過程で徐々に変わっていったと思います。

最初のお客さんから工夫し始めていく。今まで人生の中で、達成感を持ちませんでした。自分のことをすごいって思ったことが、そんなにないんです。それでも1個ずつ目標達成をすると褒めてもらえる環境があり、すごく楽しくなる。自分って頑張ればできるんだと気づきました。1つ1つの工夫が、やってみたら活きるというトライアンドエラーみたいで面白かったですね。

私は世の中にいつも流されているんですよ。会社に入ったら、周りに流されて、揉まれていった。スイッチが入ったというよりは、そんな感じです。

インタビュアー:女性が稼げるチカラを身につけたらいいなって思います。女性と話していて感じるのは、「誰かのためには頑張れるけれど、自分のために頑張るという人が少ない」ということです。和田裕美さんの著書にも自分のために頑張るって書いてあり、とても共感しました。

和田:人のためにやってることが自分にとって嬉しければ、自分の為だと思います。

人の為って書いて「偽り」って読むじゃないですか。人間は、本能的に自分が一番可愛いと思っています。ボランティアなどで一生懸命に活動している人は、「ありがとう」と言われる自分に存在意義を感じて頑張っていると思います。感謝を感じる自分でありたいってことが、結果的に自分が好きってことなんだと言い換えられるのではないでしょうか。

「人のために生きる自分でありたい」と欲望も、言っているその人自身が美しく人のためにと思っています。穿った見方をすると、すべて自分の欲求なのではないかと思ってしまいますね。そのため、自分のために頑張るほうが良いと思いますね。

男女の共生を実現するために男性側が力になれるとしたら、どんなことがあるとお考えですか?

和田:(男性のインタビュアーに対して)凄い!!優しい~!!!素晴らしい~~!!!!

逆に、同じ人間なんだと思うことですかね。「女性だから」と特別扱いしないことが、一番の優しさではないのかと思います。もちろん、力の加減や体力など、そういったものには差があるので棲み分けていく。仕事上で「女の人だから難しいよね。女の人だからこういった仕事で大変だよね」などといったバイアスが掛かっちゃうと、反発しますね。

あとは、男性ホルモンの量も関係していると思います。男性ホルモンが強いと、女性を守りたいと思う心理が強くなっちゃいます。強くありたいから、守りたいという気持ちが芽生えます。守りたいと思っていると、守っちゃいます。守ることと、人を育てることは同じではないので、一緒にやっていこうとしてもうまくいきません。

もともと男性は、自分より年齢が高い、収入が高い、学歴が高い女は許せないと思っています。男性ホルモンを調べると科学的にそう言われているため、女性には弱くいて欲しい、可愛くいて欲しいという心理が出てしまいます。

そうすると、女性もすごく力があるのに可愛くいようと演じてしまいます。言葉を謹んだり、可愛くいようとすると、自ら進んで手を上げなかったり、男性を立てようとして、自分は引いてしまいます。ビジネスシーンであっても、どうしても出てきちゃうんですよね。

だから女性側には「可愛いを捨ててくれ!」と伝えています。
女らしさとは可愛くあることが大事。でも、「可愛く扱って欲しい」という気持ちは捨てていかないと、主体的に動くことがなかなかできなくなりますし、勇気がなくなることもあります。

男性側は、そういった心理があるということを理解しながら、喋り方やアプローチの仕方、ロジックの作り方など、意識することが大切です。女性は割とプロセスを話すことが多いので、男性は我慢して聞くということですかね。もちろん、女性側も注意しなくてはいけなくて、男性に喋るときは、結論を先に言って、後から理由を添える喋り方をした方が良いです。

嶋村:ボクの周りで頑張っている女性の仲間は、男性に引けをとらず、バリバリに仕事をするかたが多いです。インタビュアーのみなさんは、ちょっと可愛らしさを取り戻してくださいね(一同爆笑)。

和田裕美さんは、可愛らしさの中に力強さと柔らかさをを感じます。普段から意識されていることはありますか?

和田:私は営業の世界にいましたが、セールスのイメージを変えたいので、スーツやジャケットなど堅めに見えるものは着ないようにしています。

「営業で世界2位!」と言うと、会う前からみんな怖がるんですよね。ものすごい怖い女が来るんじゃないかなど思われてしまいます。おまけに名字が和田なので、芸能人の力強い女性を連想するんですよ(笑)。もうちょっと可愛らしい名字だったらまた違うんですが、【和田で世界No.2】って、ダブルで強そうなものも影響していますね。

強そうにしちゃうと強さが出すぎちゃいます。仕事柄でも強さが出過ぎちゃうので、足し算と引き算だと思って、意識的に印象は変えています。女性起業家やセミナーをやっている方は、割とカチっとされている方が多いので、あえてそうならないようにしています。そんなに中身怖くないのに最初からオドオドされたら、ものすごい嫌だなって思います。

インタビュアー:和田裕美さんはとても若々しく、キラキラ輝いていて素敵です。いつまでも綺麗でいらっしゃる秘訣はありますか?

和田:そんなの、わからないですよー(笑)。
多分、最初から、年齢という賞味期限があることを認識していたら、潔く生きられます。なんかそこに頼らない方が、自分は努力するかもしれないですね。若さに頼ってしまわないことがすごく大事なんですよね。

インタビュアー:セロトニンやホルモンの話、男女の特性や生物学的なことなどは、普段から学んでいらっしゃるのですか?

和田:学んでいるのではなくて、読書や人の話を聞いたりして覚えます。

例えば、女性の話ってロジックがないってよく言われます。私もそうですが、「たのしー!」という感じで雰囲気で喋ってしまうことがあるんですけれど、女性の話の欠点なんですね。

対して、男性の話にはロジックがあります。根拠論や理由がある方が、男性には受けやすい話になります。そういう特性を考えると、男性と女性が会場にいらっしゃるときは「なぜ?」という話を意識的に盛り込むようにした方が良いんじゃないかと思っており、あえて入れています。

論理的な情報を意識的に入れる際に、科学的な情報が役に立つので、ずっと話を聞きに行っていました。

男女の特性の違いを理解することで、役に立ったという経験はありますか?

和田:男女の違いについて質問されることもあるのですが、質問されると、ちゃんと答えられないといけないなって思っています。本を読んだり勉強をしているんですが、自分としても知りたいと思っちゃいます。

付き合った男性が、なんでこんなにこの人マウンティングするんだろうとか。なんで、こんなに威張るんだろうとか。みなさん、ないですか?

一同:あります!(一同爆笑)

和田:なんでこんなところで、威張る人がいるんだろうかって思うと、いるんですよね。でも、不思議なもので、どうしようもない性質があるんだなと納得すると、許せたりしませんか?

「仕方ないじゃん、男性ホルモンだもん」「そういった生き物なんだもん」と思うと、それも違う生物だから許そう、みたいな。どんどんマウンティングしてくださいという気持ちになります。理由を知らなかったらすごく腹が立つことが、理由を知っていると、解釈が変わる。自分の対応も変わる。なんでかな?って思うことは調べるようにしていました。

インタビュアー:そういった知識をどんどんと積み重ねていらっしゃるのですね。

和田:そうです。1個1個の知識は薄っぺらいんです。学校行ったわけではないし、専門的に学んだわけではありませんが、人と会話をするときは専門的なことはいらないですよね。そのため、ちょっとずつしか知らないです。

営業で世界2位という経験もありながら、今でも業績を伸ばされ続けていると思います。その原因はなんだと思いますか?

和田:「運も強さ」……全然理由になっていないと思うんですが、運が強いんだと思います。

自分の実力以上の事が結果になっている気がするんです。世界2位は「マグレかな」って未だに思います。自分でもなんでなれたのか、あんまりわからないんですよね。もっと凄い人はいっぱいいたんですよ。自分より凄い人やもっと努力している人、行動量がある人はたくさんいたはずです。

本は継続的に売れ続けたんですが、私が世界2位の本を出して、売れた後に出版会社に「私も売ってた」、「同じ会社で和田より売った」という人が殺到しました。殺到って言っても10人くらいなんですけれど。

私はタイミングが良かったんだと思います。先輩や後輩の中には、私よりもっと売った人が当然いるわけです。実際に日本に来て30年以上経つので、私より長い人、大活躍している人もいるから、その人達の言い分も当たっています。ただ現実問題、タイミングが良かったんだなと思っています。

私は、基本的に単純なんです。上司たちに「お前はできる、すごいよ!」って言われたら、「私ってすごいんだ!」と思っちゃう人間なんです。単純さで、上手く行ったんじゃないかなと。乗せられるとやっちゃう性格なので、狙えるんじゃない?ってポイントが見つかると、チャンスかーってなるんですよ。

ノッてる時でも、逆に全然駄目な時でも、最後まで励まされたりすると、大丈夫だと思って続けられます。継続していると、奇跡的な事が数字とリンクするんです。例えば、最後の日にたくさんのお客さんが来るとか。まさかの大逆転みたいなことが、ラストワンデイで起こります。世界ランクで言うと、10番以下の人が、たった1日で塗り替えるなど、9回裏で大逆転みたいなことが何回かあるんです。その根拠って知りたいじゃないですか。

私は毎日仕事をやっていて、「これくらいでいいかな」「今日はこれくらいでやめておこう」と思う時こそ、あと1回やってみようと思うんです。あとひとりだけに声をかけてから帰ろう、あと1本だけ電話かけてから帰ろうなど。

「あと1個」やるのを365日やると奇跡が起きやすくなるという法則があります。積み上げていると、それは奇跡じゃなくて「あと1個」が重なって、結果的に金鉱を掘り当てたみたいになっているんです。毎日のあとひと振りが、それを叶えていると思っています。でもたったひとつの差だと思います。

和田さんが大事にしている人生の格言や座右の銘はありますか?

和田:若い頃は「成功者は走り出してから考える」という言葉を上司に言われたのを覚えています。悩まずやってみて、走りながら色々なことを解決すればいいじゃないかと言われてましたね。

「二兎追う者は三兎も得る」や「出る杭は打たれ強くなる」など、ひとつの常識から超えた考え方も好きですね。これらの言葉を自分の中に投げかけて、よし頑張ろうって思っていました。

インタビュアー:走っているときは、夢中という感じなのでしょうか?

和田:たぶん、嶋村さんも同じだと思うんですけれど、成功されている人は、夢中という感覚はないと思いますよ。やる前に考えたりしている。考えている意識もなく体が動いていると思うんです。

やろうかなって思っていることを、聞いている最中には、もうその場にいなくて走り出しているみたいな。成功されている方は、スピード感をお持ちなんじゃないかとちょっと思っています。数秒間の差で掴み取りに行くのがお上手だと思うんですよね。

「ホイッスル」や「よーいどん!」が要らないんですよね。「さぁ、いきますよ。スタートしてください」という掛け声が必要なく、思った瞬間にばって行ける人が多いだろうなと思います。

最後に、若手起業家に向けてメッセージをお願いします!

和田:「今日、即決する!」

「決断する」など色々と言ってきましたが、やる気や才能は、色々とあります。これは以前メルマガにも書いたことですが、起業する中で人間が一番やられやすいのは、倦怠感、飽きやすいことだと思うのです。

長く続けていると、だんだん飽きてきません?仕事って。

恋愛も仕事も3年がピークで、だんだん新鮮さがなくなって飽きてくる。手を抜ける感覚が身についてきて、だいたい合ってくると仕事を辞めたくなります。業績が悪くなった原因は、世間が変わったではなくて、トップの人が飽きているのかなって。なんか熱量が半端なく下がることがあると思うんです。

どうやったら人は目の前の仕事を飽きずに続けられるか。それがテーマではないのかなと考えています。

新しいことをしてみたり、新しい人と出会ったり、なんか新鮮な気持ちになったり。改めて会社の中で良いことを探してみたり、こういった風にやったら面白いかなど。そんなことで、自分が続けていこうと思えるかですね。

本当に10年やって企業など6.3%しか残らないって言われているので、100社あって6社しか続けられないのは、売上が伸びないのではなく、単に飽きたからだと思っています。

みんなが売上が伸びなくて、撤退している人が多いんじゃないかなって思われがちですが、「辞めてやっぱりサラリーマンやろう」、「上手くいかなかった」というのは、仕事に飽きてしまった事に原因です。やり方次第で10年後に10社でも20社でも残ると思っています。

なので飽きない(商い)で続けてください。

「人の役に立ちたい」人のための聞き方教室

プルデンシャル生命の川田修さんにインタビューをさせていただきました。

川田修さんは、プルデンシャル生命で入社から退職まで96か月のうち、月間目標を95ヶ月達成され、当時最短で営業職の最高峰であるエグゼクティブ・ライフプランナーになられた、まさに伝説の営業マンでいらっしゃいます。営業成績で全国トップの経験をもとに、作家や講演会講師としても活躍されています。

今回のインタビューでは、目標達成する上で自分の弱い部分との向き合い方や、信頼に繋がるコミュニケーションなど、圧倒的な結果を出し続けていらっしゃる川田修さんにしか聞けないことをお聞きしました。たくさんの人と協力しながら、互いの目標に向かって切磋琢磨する私たちにとって、役立つ内容が詰まっていると思います。

輝かしい業績を積み上げられてこられた川田さんですが、本気のスイッチが入った瞬間はいつだったのでしょうか?

川田:僕の経験上、お客様は生命保険の営業に対して、最初から心を割って話してくれることはありません。お客様は、生命保険なんて興味ないし、知人・友人から紹介されたから会っているだけです。しかも、生命保険の営業マンに対して、あまりいい印象抱いていない方が多いです。ただ、そんな中で話をしていくと、あるところで「あ、今までの生命保険の営業マンと違うんだな」と思ってもらえる瞬間が出てきます。わかりやすく言うと、お客様が、自分の悩みや問題点を話してくれるようになるときです。それも深く。

その瞬間から、「役に立ちたい」という気持ちに変わるんですよね。もちろん営業マンなんで、モノを売ることは頭の中にありますが、なんかここで裏切ってはいけないと思えてきます。この人の役に立ちたい、この人と縁をつくりたいなど、スイッチが入る時が少しずつあって、それが本気になった瞬間なのかもしれません。

人の役に立ちたい、縁をつくりたいと感じるようになったタイミングについて、もう少し詳しくお聞かせください。

川田:実をいうと僕は、会社でトップを取ったあとに、すごく辛かった時期があります。

「入社して5年でトップになります!」と宣言して、実際に5年目でトップになりました。その頃は「人の役に立ちたい」という気持ちではなくて、トップになることでいっぱいでした。トップになることを目指していたので、トップになったら急に自分の目標が失われかけてしまった。もう一回、トップを取ろうと5年後くらいに「今年、トップを取ります!」という話をしてスタートしたんですね。結果、2位でした。そこから急にやる気を失ってしまいました。

自分を苦しめていたのが、順位に対するこだわりだったことで、それに気づくのに少し時間がかかってしまいました。

苦しんでいた時期は、子どもが小学生の時でした。子どもが朝起きて学校へ「行ってきます!」というのを、ベッドの中で聞いていました。ずっとベッドから出れないんですよね。子どもが帰ってきても、まだベッドにいて、明日は絶対に仕事へ行こうと思いながら。

アポイントがキャンセルになると、ちょっとホッとする自分がいて。だけどフルコミッションなので、生活ができなくなるから不安になります。そういった時期が少しありました。

それから徐々に周りの人たちに会っていった時に、ある時から自分の考え方を変えようと思いました。いつから自分が順位にこだわっていたかというと、おそらく中学生くらいです。試験結果などが廊下に順位が張り出されていた時代で、常に順位付けされていました。そして、上位の成績をとって周りから「すごいね」って言われることに、自分の価値を見出していました。

この長く身にしみていた順位へのこだわりを手放そうと思ったら、急に何していいかわからなくなったので、途中からこの3つのことに当てはまることは、イエスと言うように決めたんです。

1.それは新しいか?
2.それを想像したとき、ワクワクしたか?
3.それは人の役に立つか。

この3つにイエスだったら人に頼まれた事は何でもやろうと。順位は関係ないわけなんですね。イエスだと思って色々な事をやりだしたら、仕事じゃないことでも人に駆り出されることも出てきます。自分が変わっていったら、考え方はもちろん周りも変わっていったんです。

それからですね。「お客様の役に立たなければいけない、喜んでもらわないといけない」と思えるようになったのは。

様々な方からよく「営業で何を意識しているか?」と質問されます。
僕は「お客さんを元気にすること」と答えています。

商品が売れることではなくて、「川田さんに会ってよかった」と思われる営業マンでいたい。別に、売れる営業マンでいたいわけではない。こんな風に考え方が変わると、自然に売れるようになります。がむしゃらに営業する若手もいるため、常にトップにいられるわけではありませんが、彼らと比べるわけでもないので、いいのです。それに、がむしゃらにやる時期もとても大切だと思っています。

ちょっと長くなってしまいましたが、そんなところです。

インタビュアー:川田さんは本当に、人間的に素敵な方ですね。

川田:全然、そんなことないですよ。それは本当に勘違いなんです。絶対にプライベートなところなんて、見せられません!(笑)

仕事で結果を出すために行なっている自分磨きや、こだわっていることはありますか?

川田:あんまり「自分磨き」は、してこなかったと思っています。

とにかく自分に甘いところがあって、実はこう見えて人見知りなんです。人見知りという以外にもあります。例えば、電車の同じ車両に、同じ支社の人が乗ってきたとします。でも自分は「声かけたとしても、相手が次の駅で降りるような、ちょっと違和感のあるやりとりになったら嫌だな~」と思って声かけられないんですよ。あんまりわからないかもしれませんが、どうですか、わかります?

インタビュアー:はい、わかります。

川田:そういった気持ち、わかりますよね。あとは、人と一緒にいるのがあんまり好きな方ではありません。パーティに行くのも得意じゃない。だからあんまり行かないんです。たくさんお誘いいただくときに、顔を出す程度です。

あんまり自分を磨くとか、何かに挑戦するとか、あんまりないんですよね。だからすごく会社の人間に言われるんですよ、「川田さん新聞何種類、読んでるんですか?」と。僕、新聞取ってないからって(笑)

本を読むのも、僕は年間1、2冊程度しか読みませんし、本を読むのがあんまり得意じゃない。

インタビュアー:ではん、どこで情報収集されていますか?

川田:今は、ニュースアプリなどでいくらでも情報収集することができます。調べようと思えば調べられます。また今、皆さんが感じさせられたように、あんまり喋らなくても知ってるんじゃないかと雰囲気を醸し出すことはできます(一同爆笑)。

リクルート事件の時期の入社やプルデンシャル生命への転職など、逆境を乗り越えてこられた原動力はなんですか?

川田:逆境に向かおうとする原動力は、その時々に欲しいものがあったからだと思っています。

例えば、リクルートで働き始めた時は、大企業で働く人たちよりもリクルートの人たちの方が光って見えて、自分も輝きながら仕事がしたいと思ったからです。

プルデンシャル生命への転職も、実は一番欲しかったのはお金なんですね。今こうやってハッキリ言えるのは、「お金だけでは幸せになれない」というのがわかったからです。お金はすごく大事。大事だけれど、お金と同等もしくはそれ以上に大事なことがあるとわかってきました。だから今は、「転職理由は、お金だった」と言えます。あとは時間もですね。そして平等に評価されたらどれくらい価値があるのかを知りたかったというのもあります。

不安の中で転職はしましたが、最初の1年目は元旦しか休まず働きました。なぜそこまで追い込んでいくかというと、弱いからなんですよね。頑張れる環境を利用させてもらわないと、できないからです。

以前本にも書きましたが、アポイントを取る電話がすごく重いんですよ。それを自分で跳ね除けて、自分でアポの電話をかけようと思っても、何か理由をつけて、逃げたくなります。だから人に言うんですよ「俺、7時からアポ取りの電話するから、もし電話してなかったら言ってくれ」って。周囲に話していると、やらなかったことに対して言われるのが嫌だから、ちゃんとやるるんですよ。

全部、自分が弱いから。でも、逃げたくないから環境を利用させてもらって、向かい合うのが僕のやり方です。

「運に勝る実力なし!運は見えない努力が呼び寄せる」が信条になったきっかけを聞かせてください。

川田:成功された方は同じことを思っていらっしゃると考えています。成功された方は、運が強いんですよ。ただ、運は神様から与えられたものではないと僕は思っています。

その人は見えないところで、すごい努力をしているんですよ。ただ単に一生懸命、何時間も勉強するだけではなく、自分の考え方を変えようとする、言葉に表現できないような、書き出せるようなものではない努力をたくさんしています。

物事を前向きに捉えることもそうですね。すべてにおいて、何か得られるものはないかと探していることなど、実はすごい努力だと思うんです。それが結果的に神様が与えたものでも何でもなくて、その努力に見合ったものがちゃんと降り注いできている。運と思われがちだけれど運じゃなく、その人の努力だと思っています。

運じゃなく努力だというのは、僕が成功している方や経営者の方々とお話をする機会をこの仕事を通じていただいて感じることです。やっぱり上手くいってる人は、思考が違うんですよね。思考が違うから上手くいったのか、上手くいったから思考が変わったのかはわかりません。僕の中で辿りついた答えは、努力によって思考も変えたということ。もともと生まれ持った思考だけでなくて、努力によって色々なことを吸収し、自分が変わろうとして、過程で思考が変わり、結果的に上手くいったと推測しています。

インタビュアー:努力によって思考を変えることは、とても時間がかかることだと思います。川田さんのご経験では、どのくらいの年数がかかったのでしょうか?

川田:いっぱい落ち込んだり、布団から出られないなど、色々なことを乗り越えてきましたので、どれくらいの年数かはわかりません。

でも、40歳過ぎてからだと思っています。それこそ40歳くらいのときに、飲んでいる場で剣道をやられている人が「打って反省、打たれて感謝」と、ポッと言ったんですよ。剣道には「交剣知愛」という言葉があるんです。「剣を交えて愛を知る」「打って反省、打たれて感謝」という言葉から推測するに、自分にとって辛いことや納得できないことはいっぱいあるけれど、得られるものは必ずあると思っています。

冒頭にお話した営業成績が2位に終わったことも、実は一時的にはトップでした。最後の月に「付き合いで保険に入ってもらった件数が認められない」ということがあり、トップから陥落したんですね。その時は、会社の考え方を許せませんでした。

それは、一番売った人間がトップだと思っていたためです。だけど今は違うんですよね。世の中を変えていくため、良くするためにやるんだから、正しいことを正しく判断する必要があるなと学びました。だから「打って反省、打たれて感謝」という言葉が僕の中に入ってきました。成功している人は「打たれて感謝するのを忘れてはいけない」と考えていると思っています。

この言葉をどういった経緯で耳の中に止めるようになったかはわかりません。伝えてくれる人がいるのかもしれません。その人のタイミングによって、受け止められる言葉は変わってくると思います。僕は、色々な経験をした40歳を過ぎたくらいだと思っています。

保険営業というイメージは、警戒され、疑われるところから始まることもあるかと思います。前提を覆すポイントなど意識していることはありますか?

川田:まず、力まないことです。力みといっても身体のことではなくて、相手の頭の中にあることに注力する。こちらのやりたいことに注力するのではありません。

相手の脳みその中に「保険のことを聞きたい」というのはありません。しかしおそらく、脳みその裏側の端っこにちょこんと存在し、完全にゼロではないと思います。なぜなら保険のお金を月々払っていますから。今のプランが正しいかどうかもわかっていません。よくありがちなキャンペーン商品を勧めてくるような営業マンには話したくありません。

では今、何に興味あるかを考えると、お客様が経営者の場合「社員にどうやって楽しんで仕事をしてもらうか」「資金繰りのこと」「採用の時の面接」などがイメージできます。だから、そこに僕が何かしらのお役に立てないかというスタンスです。

僕が得意なのは「営業の方々にお話をして、営業の考え方を変えていく」です。「僕、勉強会できますよ」とお伝えすることもできますし、商談にならず勉強会の話をしていくこともあります。面接でどういったことを聞いていけば良いか、見抜いていったら良いかなどです。

プルデンシャル生命は、140年歴史があるので、基本的に全部マニュアル化されているすごい会社なんです。面接1人に対して、2時間くらい3人で面接をします。すごくヘトヘトになるんですよ。だけど終わった瞬間に、完全に化けの皮を剥がされたなという感覚が残ります。非常にマニュアル化されているため、必ず過去を問うようにしており、人は必ず過去を繰り返します。過去どうだったかを徹底的に、違う角度で質問することで、本質を探るなど、怖いでしょ?

そういった話が役に立つこともあるんです。このように、ひたすら相手の役に立とうとしていると、「保険なんだけどさー」って言ってもらえて、話を聞いてみると大体の場合、大満足していません。

僕は保険の「ほの字」も話してなくても、名刺交換した瞬間から保険の話をしたいと相手は思っています。もし相手にお話することになったら「一番自信を持ってできる社会貢献は、生命保険の正しい考え方を伝えることです」とお話します。「入ってもらうことではありません。生命保険の正しい考え方を伝えることを仕事としています。おそらく生命保険に関しては、一番詳しいことと生命保険の真意についても理解してもらっていると思っていますので、聞かせていただく時間をください」とアポを取り直します。

そこで何も生まれなければそこで終わりです。「次回、色々と聞かせていただいて、それで必要がなければ商品の話も一切しません。必要ないところに商談は存在しないと思っています」と言う風にお伝えをし、お時間をいただきます。そうすると保険の話を聞けるじゃないですか。でも本人からすると保険の話を聞かれているという感じになりません。

保険は色々な事ができるのです。例えば、相続のことや、社員を幸せにするための福利厚生の考え方、社員の定着率はどうなんですか?と保険に関係する質問にはなりますが、「どういった風に後継人に会社を引き継ごうと思っていますか?身内なんですか?」など。

事業承継も保険に関係しています。お客さまにとって事業承継は保険に関係していると思わないんですよ。「実は、事業承継でこういったことを悩んでるんだ」とポロッと出てくるので、そうしたら「もしかしたらお手伝いできるかもしれない」と、次回のご提案になっていきます。

つまり、意識していることは順序です。

まず最初は相手にチューニングする(合わせる)。相手の興味のあることに、ちゃんと自分が役立てることを考える。そうすると相手の姿勢が変わっていくことがわかるんですよね。

インタビュアー:本当にお客様のことを想って、それがお客様に伝わっているからこそ、川田さんの成功があるのですね。

お客様を一番に考えるコミュニケーションは、色々な方と接する中で培われたことなのですか?

川田:そうですね。最初から持っていた訳ではありません。最初はモノ(商品)を持っていたんですよ。

よく言うんですけれど、「話し方教室」はよく聞くじゃないですか。でも「聞き方教室」はありませんよね。だけど一生懸命に話をされるのと、話を聞いてくれるのは、どちらが嬉しいですか?

インタビュアー:聞いてくれることです。

川田:ですよね。人とのコミュニケーションは、圧倒的に聞くことの方が大事だってみんな言います。しかし、話し方教室はあるけれど、聞き方教室はない。矛盾しているんですよね。それは多分、話し方はテクニックで向上する。聞き方は、テクニックではなく心なんです。おそらく相手をどれだけ愛せるかなんですよ。

「みなさんの周りで、この人の話だったら親身になって聞けるという人は誰ですか?」と聞いたら、「家族や親友」と返ってきます。家族や親友は、自分が愛している人なんですよね。愛情がある人に対しては聞けますが、お客さんになると愛情がないから聞けません。だからある意味で話は繋がっていて、「この人の役に立ちたい」と思った瞬間に、愛情は生まれます。相手も尊重されている、愛されていると感じる。だから色々と話してくれるようになります。

先程言った「ニーズの無いところに商談はない」というのは全部一緒で、相手に問題があるのかを聞く。悩んでいることを聞くことが大事で、仕事ですらそう思っているはずです。しかし、中々プライベートではできないですよね。

そのあたりも実は色々とありまして、僕は全然できません。こうやって話していると「すごい几帳面な人」と映るかもしれませんが、典型的なO型です。僕のことをよく知ってる方は、大雑把で自分の服も畳めない、何もできないと思っています。だから、仕事の時は努力してスイッチを入れてやっています。

最後に、これからを担っていく若手起業家にメッセージをお願いします!

川田:若手起業家に贈りたいメッセージは、「打って反省、打たれて感謝」ですね。

僕は、子どもにずっと言い続けている言葉があります。「死んじゃう以外はすべていい思い出」と。すべてが後々になった時に「あ!あのことってこのためにあったんだ」と思えるようになります。それが一番大事です。

別の見方では「死んじゃうこと以外はすべて思い出」になるため、感謝することに変わります。そういった風に見て欲しいですね。

人生は祭り!人生を楽しむチカラ

株式会社てっぺん代表取締役の大嶋啓介さんにインタビューをさせていただきました。

大嶋啓介さんは、『居酒屋から日本を元気にする』というコンセプトの居酒屋「てっぺん」の創業者でいらっしゃいます。また、これまでの経験や学びをより多くの方へ伝えたいという想いから、「人間力大學」という会員制の講演会もされています。

今回のインタビューでは、うまくいかない時のメンタル管理や、自分の可能性を信じて行動する大切さについて、大嶋啓介さんの想いを語っていただきました。目標に向かってチャレンジすればするほど、壁にぶつかることも多い私たちですが、「全てのことに意味がある」とまた一歩前進する勇気が湧いてくる内容だと思います。

たくさんのチャレンジをしていく過程でメンタルが落ち込むことがあります。大嶋さんはどのようにメンタル管理をされていますか?

大嶋:俺、ぶっちゃけできていないです。(笑)

毎日いい気持ちで、いい気分で過ごしたいという意識は常に持っていますが、人間なんでなかなか難しいです。特に、特別な日はすごく神経質になってしまいますね。常に客観視をしようと心がけますが、実際にはコントロールできないこともあります。

しかし、頭ではイライラやモヤモヤが良くないことが解っているため、気持ちを切り替えようと努力はしていますね。例えば、朝5時に起きて、ランニングして汗をかいたり、早めにホテルにチェックインして、好きなことをしてみたり。一人焼き鳥をしたり、お風呂に1時間入った後にマッサージを1時間程度やるなど、リフレッシュすることでメンタル管理をしています。

気持ちを切り替えようとしている時は、大変なことがいっぱいあります。気分がいい状態を作ることが大事ということは理解しているため、できていない自分との葛藤ですね。少しでも気を上げるなどの意識はしています。

困難なときにポジティブに考えられるようになったきっかけはありますか?

大嶋:ポジティブに考えられるようになったきっかけはいっぱいあります。
人生が変わったきっかけは24歳のときです。大きく考え方が変わったきっかけは研修です。3日間の研修が俺にとって衝撃的で、全然考え方が違っていたんです。研修を通じて、成功されている方や夢を叶えている方の考え方がわかりました。研修に参加するまでは、考えが真逆だったの。嫌な出来事に対しては、すぐに嫌な感情になっていました。でも、成功している人や夢を叶えている人は、どんな出来事でも面白がれるか、どう楽しめるかを考えている。

先日、伊勢神宮へ行ったときに「運を良くする方法」を教えてもらいました。運を良くする方法は、「今日一日を喜んで生きる」ことだそうです。今日一日を喜んで生きることが、一番神様が喜ぶことなんだってわかりました。よく考えたら、お父さんやお母さんにとって、子どもが毎日を喜んで生きている姿を見るのが一番嬉しいはずです。

俺たちは、神様から見ると子どもみたいな存在だから「人が喜んで生きている姿」に神様は嬉しいはず。だから、喜んで生きている人たちに運がどんどん流れていくと思っています。伊勢神宮ではいっぱい学んだけど、この「運を良くする方法」が一番心に残っていますね。

浅見帆帆子さんという、500万部のベストセラー作家がいます。24歳の時に出した1冊目の著書が100万部売れてて、日本だけで累計500万部売ってるの。先日、その帆帆ちゃんに人間力大學の講演にゲスト講師として来てもらいました。彼女は普通の女の子なんだけど、考え方が神がかっていて、著書も講演もめちゃくちゃ面白い。

その帆帆ちゃんに、「人間力って何?」って聞いてみました。なんだと思います?「人間力が高い」や「人間力が高い人」って?

インタビュアーA:魅力的だなって思う方は、自分のビジョンがある人。そして目標達成をした経験がある人でしょうか。

インタビュアーB:自分のビジョンを追いかけていて、かつ、それが人のお役に立っているとか、社会貢献に通ずる方だと思います。

大嶋:いいねぇ。帆帆子ちゃんが言ってた人間力は、「今、目の前のことを楽しむチカラ」です。
今、目の前に起きていることは楽しいことばかりではない。嫌なことがいっぱいある時に、それをどう面白がれるか。その力が、最も未来を引き寄せる方法なんだって。

話を元に戻すけれど、今、この瞬間を楽しめる力がすごく大事だと思う。もともと俺は、「人間力って何?」に対しての回答を見つけられていなかったの。1年くらい考えてて、帆帆ちゃんに「今、目の前のことを楽しむ力」と言われた時に衝撃が走って、俺もそれを意識するようになった。

究極の夢の叶え方は、今日一日を喜んで生きることだと俺は思う。夢を明確にすることや鮮明にする、わくわくするなど、それらも大事です。それ以上に、いかに夢を達成する時の気持ちを24時間いっぱい感じるかが重要です。

単純にその気持ちを感じることができるか、ただそれだけの話。夢を叶えている人たちは、どんな出来事が起きても流されない。俺も常にできているわけではないけれど、「今、目の前のことを楽しむ気持ち」を長く作ろうという意識はあります。少しでも、自分の気持がいい状態で長くいようと思っています。

大嶋さんにとっての人生の格言や座右の銘はありますか?

大嶋:よく使う言葉は、「人生は祭り」です。

「人生を祭りにする」「人生を思いっきり楽しむ」「人生を面白がる」。中高生の子どもたちに講演するのも、「人生はめっちゃおもろいで!」と伝えたいからです。

中高生の前では、自分が中学生の時にこんなにダメだったという話をいっぱいします。こんなにダメな人間でも、人生は面白くできる。中学で野球を諦めた人間が、プロ野球からオファーをもらう。高校野球に関わって、甲子園に行くお手伝いをしている。「人生はいつでもどんな風にでもできるよ」と伝えたい。

僕は24歳で鬱になったのですが、このためだったのかなとも思います。メンタルのことを勉強しろよって神様から使命をもらったんだなと。人間関係で一番苦労をさせてもらったから、チームづくりを勉強するようになりました。一番悩んだことが、強みになっているんだよね。

悩みが強みになるのは本当だと思っています。こうなりたいと思うから悩むわけ。悩みの裏側には希望があるから、たくさん悩めば悩むほど希望に変わるなと思っています。

居酒屋てっぺんや人間力大學などでコミュニティをつくられてきた大嶋さんにとって、アナログの繋がりと、オンラインサロンやSNSのそれぞれの魅力についてお聞かせください。

大嶋:オンラインは距離関係なく繋がれるのが魅力ですよね。ただ、オンラインで繋がりが強くなっても、直接的な繋がりは大事にしていきたいと考えています。その場にいないとわからない空気感があって、大勢の人が集まるとエネルギーが生まれる。俺はそのエネルギーが大好きなんです。居酒屋でも、オンライン居酒屋ってありえないじゃないですか。居酒屋のあの空気感が良いわけです。

人間力大學で映像を撮って、オンラインサロンで全国どこからでも見れるようにし、リアルの場での集まりも同時並行で考えています。オンラインは、いわゆるウェブ上の学校みたいな形にしていこうと思っています。現在、講演会は東京を中心に開催しているため、遠くからいらっしゃる方もいます。講演の内容を全国で見れるようになるのはいいなって思っています。

これから起業に向けてチャレンジしていく方、夢を持っている方に一言をお願いします!

大嶋:「人生は面白い」ということです。「今、目の前のことを楽しむチカラ」がすごい大事ということも伝えたい。その上で、色々な経験を重ねて欲しいですね。そして自分の殻を破って、限界突破というか自分の可能性を信じてもらいたいのが、俺が伝えたいメッセージです。

自分の可能性に向かって思いっきり走ってください。

一同)最高のお話をありがとうございました。

できない→できるに変化させるポイント

ビジネス書作家の木暮太一先生にインタビューをさせていただきました。

木暮太一先生は、主に経済学や働き方、伝え方など、現代のビジネスマンが知りたいテーマについてのビジネス書を多く執筆されていらっしゃいます。その傍ら、テレビのコメンテーター、出版コンサルティング、一般社団法人教育コミュニケーション協会の代表理事など、幅広くご活躍されていらっしゃいます。

今回のインタビューでは、「〜すべき」の価値観の捉え方や、「相手の立場になって考える」とは本当はどういうことなのか?などについて、木暮太一先生のお考えを深くお聞きしました。

たくさんに人とコミュニケーションをとりながら、互いに刺激をし合って目標達成していく私たちにとって、木暮太一先生が実践なさっていることから学べる事は多いと思います。

幅広くご活躍されていらっしゃる木暮先生ですが、最初の夢は何だったのでしょうか?

木暮:僕は元々、教師になりたかったんです。先生になりたい気持ちが根本にあり、人に教える仕事に就きたいと思っていました。

先生といっても色々ありますよね。様々な先生を分析しましたが、小学校の先生は、教育というより「しつけ」だと思います。中学校の先生は教育というより、「ヤンキーとの戦い」じゃないですか(一同爆笑)。いわゆる生活指導ですよね。高校の先生は大学受験真っ只中なので、教育しているつもりでも生徒は聞いていないのです。そんな中で、僕がやりたい教育ができると思ったのが、予備校の先生だったんです。

予備校の先生と生徒は、お互いに真剣です。講師は成果を出せないとクビになり、生徒も成果を出さないと受験が上手くいかない。大学卒業して予備校の先生をやろうと思った時に、オンライン時代の波が到来していました。当時、私は大手予備校に通っていましたが、すでにオンラインビデオ講座がメインの塾がありましたね。東京校の内容を全国へ配信していくため、極端に言うと一科目に一人いれば成り立ちます。スター講師がいる中で、僕がそこに取って代われるかと考えたら厳しいと感じたため、結局は予備校の先生ではなく、富士フィルムに就職しました。

今は教育ができるセミナー講師をメインでやっていますが、チャンスと感じたらひたすら打ち込んできましたね。

インタビュアー:先生を志したきっかけは何ですか?

木暮:僕は、自分をレアな人種だと思っています。勉強はできないくせに勉強が好きなんです。

中学生の時は、全然勉強ができませんでした。といっても偏差値は55くらいで、クラスで言うと半分よりちょい下です。それくらいの成績の学生って、勉強が嫌いなことが多いです。しかし、僕は勉強が好きだった。この経験から、人がなぜわからないのか?ということがわかるんです。一度聞いただけでは理解できません。自分の中で「なんでわからないんだろう?」と考え始めるため、やがて理解できます。

その結果、わからない人に教えることができるため「お前、天才だな!」って言ってもらえるようになります。喜んでもらえた経験と嬉しい感情が、自分の存在価値の根底にあります。それが、先生を志したきっかけですね。

できない→できるに変化させるポイントはありますか?

木暮:まず、「誰にどういった変化を与えるか」にフォーカスさせます。ほとんどの方は、「これを言いたい」「これをやりたい」など、自分が言いたいことを語ってしまいます。「私が!私が!」が凄いので、私からは「私が!はわかったけれど、それは誰も聞いてないよ」とちょっと強めに言います。

例えば、本のタイトルを決める際に、仮タイトルには一切「私の要素」が出てこないようにします。フレーズをガチガチに固めて「穴埋め方式で考えてください」と。結果、私の要素が言えなくなります。やがて相手の変化にフォーカスが当たるようになって「私は誰をどう変化させられるのか」という目線になると早いですね。

どんな専門家に対しても、「誰がどう変化するの?」とマンツーマンでしつこく言います。伝わるまで続けるため、一日終わると疲れてぐったりしますね。

インタビュアー:木暮先生が一番実感しているご自身の変化はなんですか?

木暮:僕自身が変化したことは、性格です。

僕は、2回鬱になっています。鬱になると精神が崩壊するため、ガラガラポン(価値観が白紙)になるんです。今まで信じてきたものや「これが僕だ!」という人格が全部崩れます。ある意味リストラ(再構築)できるから、屈折してできあがってきたものが矯正されます。

振り返ってみると、価値観を再構築できた経験は良かったと思います。教育者は「俺は先生だ!お前らこれ聞け!」というような、上から目線の人が多いイメージがありました。「僕もそうなるのかな?」という感じでしたが、そこから価値観が変わり、伴走者のようなイメージになりました。トップランナーは走らせておき、後ろの方にいる人や歩きそうになっている人のお尻を叩きながら共に走るスタンスです。このマインドは大きく変わったと思います。

僕自身は、教えることが本当に好きなんです。逆に言うと、それ以外はあまり興味分野を持たない。「僕自身の成長」というキーワードとは少し違いますが、僕はただ単に「人に教えて、その人が上手くいく」過程を見ていたい。最終的には僕の成長に繋がっていると思いますが、仕事を通じての成長はあまり考えたことないですね。

木暮先生にとっての人生の格言や座右の銘はありますか?

木暮:座右の銘とは少し違うかもしれませんが、いつも心がけているのは、「べき」と「だって」という言葉です。

人間は誰しも「べき」を持っているんです。「何をすべき」「こうあるべき」など。多くの人は「べき」の目線で他を見ています。時間通り来るべき、ビジネスシーンではネクタイを締めるべき、など。これはある意味、自分の価値観の押しつけです。お互い共通認識の「べき」を持っていたら何も起こりません。

ルールを守らない人がいるとします。「ルールを守る人」の視点で見ると、守らない人は「べき」をやっていないから、「すごいダメなやつ」になってしまいます。しかし、ルールを守らないことが駄目かというと、別にそうではない。「べき」を向けられた相手は「だって」の思考を持ちます。誰しも、自分に向かう矢印に対しては「だって」で考えます。

例えば、「遅刻して時間を守れなかったけど、しょうがないよ。だって、出かけに子どもが泣き出してさー」とか。その「だって」をみんな持っているので、ズレが起こるんですよね。「べき」と「だって」のベクトルが刺さり合うから、喧嘩になってしまいます。私は、自分が相手に向ける「べき」に対して、どのような「だって」でいるかを常に考えます。

そうすると、「べき」を向けている人が絶対的な悪人には見えてきません。自分が相手のストーリーで生きているためです。もちろん、何かあった時にイライラすることはありますよ。そうなったら、「べき」と「だって」、「べき」と「だって」とずっと反芻しますね。自分がどういった「べき」を思っているから、自分がイライラしているのか。自分の中で「べき」って、いわば槍を向けている感じなんですよね。

自分がどういった刃を持っているかを自覚し、相手がどういった感じの「だって」が返ってくるのか。冷静に考えると「確かにそれは、あり得ることだよな」という気持ちになります。

インタビュアー:それはすごい想像力ですね。

木暮先生が「相手の立場になって考える」ことを徹底されていらっしゃるんですね。コツはありますか?

木暮:そもそも、「相手の立場に立つ」ということができないんですよ。「相手の立場」という場所が無いから。「相手の立場に立つ」は、スローガンに過ぎなくて、アクションに落とせないことなんですね。

「お客さんのことを考えなさい!と言われてもどうやって?」となります。【アクションに落とせない=結局実行ができない】ので、どう実行するかを常に考えます。

これは勉強も一緒なんです。例えば、数式や因数分解を例にすると、見えている人からすると見えるんです。しかし、やり方がわからない人は、ごちゃごちゃな文字列にしか見えませんよね。

因数分解のHOWをやっていく必要があるため、わかりやすいところ、やりやすいところから、実際のアクションを取る。その次に別のアクションを取ろうなど。全部アクションに置き換えて考えるため、僕からするとひとつひとつの行動をやっているだけなんです。「べき」と「だって」と唱えるのもアクションのひとつです。

アクションは「身体」か「時間」を使っているものと定義しています。「相手のことを考えてください」というのは、身体を使っていないため、時間を使う必要があります。アクション、特に再現性のあるものにするためには「考えて思いついたことを10個メモしてください」と手を動かす。もしくは「相手のことを10分考えてください」といった感じです。

時間を使うと再現ができます。「身体」か「時間」を使った表現に置き換えて、自分がやりたいことを考えているとやがて見つかってきます。すべてがすぐに答えが出るわけではないため、時間はかかりますけれどね。

インタビュアー:物事を因数分解しながらアクションに落とし込むやり方は、どのように体得されたのでしょうか?

木暮:教師が好きだと、分解するようになるんですよ。特に僕は理系だから、因数分解がとても得意です。実際の因数分解の問題、例えば3行にわたる文字列や数式が出ても、おそらく1分以内に因数分解できますね。

因数分解のやり方は実は簡単で、方法もいくつかあって決まりはありません。やり方に当てはめていくことが数学的なアプローチですけれど、分解をしていって要素を発見し、まとめます。

例えば、ミックスジュースはごちゃごちゃしているため何が入っているかわかりません。でも、要素で分けてしまえば中身がわかるんです。混ざっているのを分解する視点で見ているから、自然とわかってきます。その発想は、因数分解の考え方で学びました。それをずっとプライベートでやっている感じですね。

作家や出版コンサルティング、講演家など幅広い分野で成功なさっている原因をお聞かせください。

木暮:成功の原因は、リクルートで働いていた時代の上司とのやり取りです。僕には上司が2人いました。チームリーダーの上司と、組織上の上司です。リクルートは営業会社のイメージがあると思いますが、僕の組織上の上司は、リクルート史上ではじめて、営業未経験で役員になった方なんです。

その方はとても頭が良かった。リクルートでは毎週のように新規事業のプレゼンをやるんですが、彼の目線が尖すぎて、完全武装していても一瞬の隙をついてくるんです。弱点はここだと一瞬で見抜きます。彼とやり取りをする中で、事業のポイントを見抜く視点や思考を学びました。

もうひとりのチームリーダーの上司は、これまで僕が会った中で、リーダーとして一番優秀な方だと思っています。絶対に人を後ろ向きにさせない。彼とのコミュニケーションの仕方や仕事の進め方、判断や、ついていきたいと思わせる要素すべてを持っていました。約半年の期間しか仕事をしていませんが、僕にとって一番大きい財産になっています。

インタビュアー:その上司の方々にかけてもらった言葉で、今でも心に残っている言葉はありますか?

木暮:「お前はアピールをしないからダメなんだ」と言われましたね。
ベンチャー投資の仕事をしていた時の話です。ベンチャー企業に足を運んで出資をするんですが、その企業へ行くと、リクルート社内での僕の評価より過小評価されていたんです。僕には何も相談されずに、上司に報告が行ってたみたいです。上司にちょっと愚痴りましたが、「それはお前がアピールしていないからだ!お前に話しても無駄だと思われている!」とフィードバックをもらいました。

「やったことをちゃんとアピールしないのは、謙遜でも何でもない。ちゃんと言っていかなきゃダメだ!」と言われました。自分でできる範囲内で、もしくはやったことをちゃんとアピールする。謙遜が美徳と言われますが、ちょっと変わってきているのかもいれませんね。

やったことをちゃんとアピールをすることが大事とのことですが、コツはありますか?

木暮:絶対にやってはいけないのが、人との比較ですね。「相手より俺のほうが凄い!」はまったく意味のないアピールで、マウンティングは絶対にダメです。アピールするポイントは絶対評価で、「◯◯をやりました」「自分としては誇りに思っています」など、相手と比較せず、自分基準でアピールするのが良いと思います。

芸能界のプロデューサーに教えてもらったことですが、「明石家さんまさんが、なぜあんなに人気があるか、木暮さん考えたことある?」と聞かれ、「面白いからじゃないんですか?」と答えました。そしたら、「違う違う。面白い人だったらたくさんいる。でも、さんまさんはずっと出続けている。なぜか?さんまさんの笑いは、絶対に恥をかかせない!」と返ってきました。

さんまさんは、恥をかかせないことに対して超一級です。「俺の方が凄いんだ」「面白いんだ」と言うと、その場は盛り上がるかもしれませんが、やがて人が離れていきます。

アピールしようとすると、ついつい言いがちなんですよね。「ほかのみんなは間違っていて、俺だけ正しいやり方を知っている」「みんなが寝ている間に頑張った」と、周りと比べがちになります。「俺は頑張った」と頑張ったことだけをアピールすればいいんですよ。「人が寝ている間に」は言わなくて良くて、「自分は誇りを持っています」だけで十分。比べる方にも恥をかかせないということが大事だとって思います。

インタビュアー:木暮先生も、今でも学び続けていらっしゃるのがすごいです。

木暮:僕はまだ41歳ですし、人生の半分も来ていません。僕の場合は、環境がいいですね。周りに色々な人達がいるので、良い環境に身を置くといい刺激を受けます。サラリーマン時代の頃と比べると、今の方ができることは増えていますが、違うところではまだまだひよっこなんですよ。

ある会では、夜飲みながらセッションをしようという話がありました。大手コンサルティング会社のシニアアドバイザーの方と有名俳優、京都のお寺の住職さんと僕の4人なんです。そういった方々がまわりにいらっしゃるから常に謙虚でいられます。同い年で上場している人もたくさんいますし、自分自身の周りの環境はありがたいですね。

最後に、起業を目指す若者に対してメッセージをお願いします!

木暮:正しいことよりも、テンションが上がることを繰り返した方が良いと思うんですね。

道を決めている人は結構多いんですが、「私はこれが強みなんです!」といっても強みは相対的なもので、相手がそれ以上に強かったら何も提供できなくなってしまいます。

私は「これをやるべきなんだ!」から脱しないと、結構苦労するかと思うんです。それよりも、自分が本当に楽しいとテンションが上がるようなことを全力で取り組んでいった方が、最終的には形になってくると思います。

僕が出版した本は、何の役に立つか全然わからない資本論の研究がベースになっています。当時の友達には散々言われましたが、現代の経済学より過去の経済学の方が、僕は役に立つと思っています。そして色々なことを学べたので、当時はこれが楽しかったです。

何でもいいから楽しいことに、のめり込むことが起業前では一番大事かと思います。

今日からハンカチは2枚持ちましょう!

昨年から急激に注目を集めているオンラインサロン。
起業支援のための経営塾や、共通の趣味を持つ人が集まるコミュニティなど趣旨は様々ですが、今回取り上げるオンラインサロンは一風変わっています。

今回インタビューをさせていただいた実業家の方々は、毎週100万部発行する人気週刊誌『女性自身』の生みの親・櫻井秀勲さんと、実業家であり作家の権藤優希さんです。櫻井秀勲さんは、今や歴史上の人物として名高い「三島由紀夫」や「川端康成」と親交がおありで、出版編集力と豊富な女性経験値から多くの恋愛本を執筆されている「モテ」のスペシャリストでいらっしゃいます。そんなお二人が運営するオンラインサロンは、だれもが一度は願う「モテたい」という想いへアプローチした、その名も「ごん×櫻井のモテモテ塾」。

“ 本当の魅力を身に着け、モテモテの人生を手に入れるまで、全力でサポートします”

という宣言のもと、「モテの技術」を惜しみなく伝授するオンラインサロンです。サロン会員向けにオンラインで「モテ」の知識やノウハウを提供するだけでなく、口説き方の実演や実践する勉強会、出会いの場を提供する交流会などオフラインのコンテンツも充実しています。

今回は、フリーアナウンサーの安堂サオリさんをゲストに交えた「モテ」を体験できる交流会の様子をレポートいたします。櫻井秀勲さん・権藤優希さんに目の前でパフォーマンスを披露していただきながら、モテる男の心意気を教わる濃い時間となりました。

櫻井氏に学ぶモテ術 1 「名刺に一言添える

インタビュアー:本日は実演形式でお話いただけるとのことで、とても楽しみです。

櫻井:権藤さんはモテモテ王子。わたしはモテじじい。私は今年の3月4日で88歳になります。じじいでもこれだけモテます。今日いらしている皆さんは若いし、もっとモテるはずですよ。

会場から女性代表、どなたか前に出て来てください。
<ふたりの女性に櫻井氏が名刺をわたす>

(なにやら名刺にしかけが施されているようです。女性たちに書かれている直筆のメッセージを読み上げてもらいました)

(ひとりの女性)” わたしと付き合ってください ”
(もうひとりの女性)” 一目で好きになってしまいました ”
(権藤氏)開始5分でモテテクニック出ました!
(会場一同)きゃー!

櫻井:会場にいる男性陣は、女性に名刺をわたすときに何も書いてないのですか? もったいない。(笑)

櫻井氏に学ぶモテ術 2 「ハンカチは2枚常備する」

櫻井:これはひとつのテクニックですが、男性はいつでもハンカチを2枚持っていないといけません。今日はみんな持ってますか?

みんなが持っているその1枚は、トイレに行ったときに手を拭いてるでしょう。女性にも同じハンカチを渡すわけにはいきません。そんなときに、もう1枚のハンカチを「どうぞ」とわたすのです。(一同感動)

櫻井氏に学ぶモテ術 3 「形態比例の法則をやってみせる」

インタビュアー:名刺もハンカチも準備がマメですね。他にもモテテクニックはありますか?

櫻井:実際はもっといろんなテクニックがあります。例えば、女性とキスをするのはそんなに難しくないですよ。

人の手首の太さは、右も左もほぼ同じです。ちょうど自分の指の長さに合うので、片手でもう一方の手首を握ってみてください。私だと手、首を握る親指と薬指がくっつきます。その指の長さを首にあてると、ほぼ一緒でしょう。

これは「形態比例の法則」といって、体の右と左がほぼ一緒になるのです。男性の場合はその手の長さがほぼ胸囲になります。

同じように、手首のふたつめの輪の線から中指までの長さが、あごから額までの長さと同じになります。僕でやってみましょうか。

・・・ちょっと届かない。つまり禿げてるということになる。
<手のひらの長さと顔の縦の長さが同じか、ハンカチで確かめてみせる櫻井氏に一同爆笑>

それでは、安堂さんでも試してみましょう。安堂さんの手首から中指の長さと、顔のあごから額の長さは均等ですね。同じように、この耳の長さというのは・・・

<左耳から右耳の長さを測るため、安堂さんの両目を覆うように横にしたハンカチをあてる櫻井氏。そのまま自分の顔を近づけて安堂さんにキスしようとしてみせる>

・・・これはキスの長さです。

安堂:いろんな角度からどきどきがきました!(笑)

権藤:目隠しされると女性はどきどきしますよね。

安堂:神秘的な気持ちにもなります!

櫻井:少し長くパフォーマンスをやりすぎてしまいましたが、手首でちょっと試して、すぐ顔へステップしていけば、すぐに術中にはまってしまうと思います。でも、きれいなハンカチじゃなきゃだめですよ。トイレで使った汚いハンカチではだめです。

櫻井氏に学ぶモテ術 4 「デートのときは横に座る」

インタビュアー:デートでの座る位置について教えてください。

櫻井:デートの時、女性の右側と左側のどちらが口説きやすいか。

答えは左側です。女性の肩を抱くときには、自分の左側で抱き寄せます。右側で抱き寄せるのは難しいのです。こういうのを知らない下手な映画監督は、抱き合うシーンで役者たちがどちらに額をつけるかわからない。

私はプロですから、銀座のホステスのママに頼まれて、20人~30人や大きいところだと100人くらいに教えに行くことがあります。そのときは、「必ず男性の左側に座りましょう」と指導します。

左側にこだわる理由は、右手や右足は日常的に使っているため、触れてもあまりドキドキしないからです。女性の右手を、男性の右ひざにのせたとしても、お互いにドキドキするかというとあまりしないです。

仮に、女性が右側に座ったとしたら、男性の左ひざに触れないとだめです。ただそれだと遠いので、女性は必ず男性の左側に座りましょう。腕組むときも、男性は左の腕を差し出しますよね。

まず、自分で色々と試してみることです。試してみるには、モテ術を知るために「ごん×櫻井のモテモテ塾」に入らなきゃだめです。(笑)

櫻井氏に学ぶモテ術5 「待ち合わせはスクランブル交差点」

インタビュアー:待ち合わせ場所にもモテポイントはあるのでしょうか。

櫻井:例えば、最初のデートの場合。お洒落なレストランもありますが、私はデートするときはそういうところに行かないんです。渋谷のスクランブル交差点で待ち合わせをします。

待ち合わせした女性は、「なぜだろう」と思うと同時に、「おもしろい人」だと思いませんか?

みんな、普通はカフェなど座れる場所で待つことが多いと思います。ですが、テーブルを挟んでずっと距離が離れていることになります。初めましてのデートで、その距離だと上手くいきません。

ところが、スクランブル交差点のところで待ち合わせすると、「合流できるかな」「どこからくるのかな」と心配になりませんか。そんな時に、「やぁ!」と男性が到着するとほとんどの人は喜びます。

5~10mのところで女性を見つけて駆け寄ったら、最初から流れで手を握ることもできます。カフェで座っていたら、そうはいかないんですよね。

権藤氏:「再会の感動理論」ですね。

「フィーリング、タイミング、ハプニング理論」もあります。「初めまして」「まだ手も握れない」 その状態でも、「あっちにカフェがあるから行きましょうか」と信号の向かいへ誘います。私はカフェがあるかどうか知らないのですが。(笑)

とにかく、信号を渡った向こう側へ一緒に行こうとします。そのときに、信号が黄色になるタイミングが大事です。渡りながら「黄色になって危ないから」と、自然に手を握れるのです。

櫻井:皆さんもきっとすぐ出来ると思います。ふたりで歩いていて、歩数であと2mくらいがわかると思います。もし、そのとき信号が青だったら、「もっと先の横断歩道からいこう」といって違う信号を狙えばいいのです。

最初のデートでレストランへ行く場合は、3Fとか4Fではなく、2Fにあるレストランに行きます。2Fだったら帰りはほとんどエレベーターに乗りませんよね。「階段から降りましょう」と言って、降りるときには「危ないから手を」と手を自然に握れます。

安堂さんに学ぶモテ術6 「警戒心を抱かせない」

会場の男性:デートに誘いたい女性がいます。初デートの内容でオススメを教えてください。

櫻井:最初のデートは、お互いに気を遣わなくて済むことが大事です。一緒に熱中できるものがあると、距離が縮まるのではないでしょうか。例えばスポーツをするとか、何か見に行くとか。お相手の趣味によるので何とも言えないですが、間違いなく笑えるやつとかいかがでしょうか。

権藤:ちなみに、女性を自分のホームグラウンドに呼ぶのはだめです。女性は間違いなく警戒してしまいます。彼女の家に行っちゃだめだし、自分の家にも呼んじゃだめ。

インタビュアー:あっという間に終わりの時間となりました。今日はドキドキと学びがたくさんある時間となりました。ありがとうございました!