経営者対談

女優
竹原芳子 × ワクセル

今回のゲストは、7月15日に公開された映画『キャメラを止めるな!』にも出演している女優の竹原芳子(たけはらよしこ)さんです。

竹原さんは証券会社、裁判所の事務官などの仕事を経て、50歳でNSC(吉本総合芸能学院)に入所したという異色の経歴の持ち主です。そんな竹原さんは、今年1月に『還暦のシンデレラガール』という自伝も出版されています。

ワクセルコラボレーターの岡田拓海(おかだたくみ)さんと総合プロデューサーの住谷が、竹原さんの個性光る魅力に迫りました。

「織田信長だったら死んでいる!?」50歳で一念発起のチャレンジ

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岡田:まずは竹原さんの経歴をご紹介します。1981年、20歳のときに証券会社に入社し、その後、裁判所の事務官に転職、2010年に50歳でNSC大阪校に入所。2016年には『劇団間座』(間寛平氏が立ち上げた劇団)の公演に参加し、女優活動を開始しました。

2017年に映画『カメラを止めるな!』に出演、2019年には初の連続ドラマ『ルパンの娘』にレギュラー出演と活躍の場を広げています。

さらに今年開催された第75回カンヌ国際映画祭にも参加し、自身が出演した『キャメラを止めるな!』が2022年7月15日に日本で公開。初の著書『還暦のシンデレラガール』も出版されています。

住谷:50歳からNSCに入所され、その後は目まぐるしい活躍ぶりです。どういったきっかけがあり、NSCに入所されたのですか?

竹原:当時は裁判所で事務官の仕事をしていたのですが、50歳を迎えたときに昔見た大河ドラマのシーンが自分のなかでよみがえったんです。織田信長が「人間五十年」と言って火のなかで舞っているシーンなんですが、30年も前に観た映像なのに強烈に残っていました。

それをふと思い出して「織田信長だったら死んでるやん!」って大きな衝撃を受けました。「死んだと思ったらなんでもできる、第二の人生だ」と思いNSCにチャレンジすることにしました。

「第二の人生はやり残したことをやろう」 とNSCへ入所

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岡田:それほどお笑いをやってみたいと思っていたのですね。

竹原:証券会社に入社したばかりのときに、ちょうど吉本で一期生の募集が始まったんです。私は小さいころから新喜劇をよく観ていたので、募集の看板を見つけたときに入りたいと思い、看板の前で30分くらい立ったまま悩んだことがありました。結局は諦めましたが、50歳になって「第二の人生、やり残したことをやろう」と考え、思い浮かんだのがNSCでした。同期には『コロコロチキチキペッパーズ』さんや『霜降り明星』さんがいます。NSCにはさまざまな年代の人がいると思っていたんですが、面接に行ってみたら10代、20代ばかりで、「どうしよう、場違いやん……」と居心地悪かったですね(笑)

でも帰り際、階段を下りているといきなり肩をたたかれ、振り返ると知らない男の子から「頑張ろうぜ!」と言われ、思わずうれしくなって「頑張ろうな」って返して、切り替えることができました(笑)

「分析不可能な面白さ」を武器に女優へ転身

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岡田:芸人としての経歴を重ねた後、2016年に劇団間座(はざまざ)で女優活動をスタートされていますが、なぜ演技の仕事をするようになったのですか?

竹原:55歳で落語の大会に出たときに審査員の先生に、「他の人には真似ができない、科学的に分析不可能な面白さがある」と言われて、その場で私のために賞をつくってくださったんです。それがすごくうれしくて、それから“表現者”という仕事への興味が強くなり、演技も勉強してみようと思いました。

それで劇団間座のオーディションの案内を見つけて、受けてみたら通って、旗揚げ公演に出してもらえたんです。でも「演技は求めてないので、舞台で飛んどいたらいいから」ということで、幕間に出てくる蛾(が)の役でした(笑)

岡田:竹原さんの面白さや独特の雰囲気は本当に唯一無二のものですね。『カメラを止めるな!』は私も観ましたが、竹原さんの出番はそこまで多くないにもかかわらず、すごく味のある演技をされていて、とても印象に残っています。

竹原:『カメ止め』にたどり着いたのも本当にたまたまだったんですよ。上田慎一郎監督のシネマプロジェクトを知って、オーディションを受けたら受かって、上田監督が当て書き(キャラクターを演じる俳優をあらかじめ想定して脚本を書くこと)をしてくださったんです。私の撮影は1日だけでしたが、本当にたくさんの方が広めてくれて、知っていただくことができました。

『キャメラを止めるな!』に出演、カンヌ国際映画祭へ

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住谷:そこからフランス版リメイク『キャメラを止めるな!』に日本人で唯一出演され、カンヌ国際映画祭にも参加されています。レッドカーペットを歩いたときはどのような心境でしたか?

竹原:もう「うれしぃーーー!!!最高やな!!!幸せやな!!!」って感じでしたね(笑)『キャメラを止めるな!』の撮影ではパリにも行かせてもらって、有名な監督さんとあの役者のメンバーに入れていただけて夢のようでした。

岡田:竹原さんのお話を聞いていると、本当に一つひとつを楽しんでいらっしゃることが伝わります。50歳から大きなチャレンジをされてきましたが、葛藤することや迷いなどはなかったのですか?

竹原:私は証券会社を辞めてからずっと、自分に向いているものが何か探し続けてきました。派遣会社に登録して、短期間でいろいろな職種を経験しました。習いごとも、友達から誘われたら何でも行ってみて、「これ!」と思ったものはすぐに申し込みしました。

社交ダンス、エレクトーン、生花など、20個くらいはやったと思います。誘われたら何でも行くし、行き当たりばったりで深く考えていないんです。「やらないで後悔するよりも、やって後悔する方がいい」というスタイルで生きています(笑)

流れに身を任せていたら想像以上の世界へ

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住谷:2022年に入り『還暦のシンデレラガール』という著書も出版されています。この本のタイトルは竹原さんにピッタリだと思いました。

竹原:「今までのことを本にしませんか?」というお話をいただいて、すぐに「出します」って答えましたね。数年前に本を出せたらいいなと考えたことがあって、『還暦のシンデレラ』やなって、頭の中をよぎったことがあったんです。私のことをよく知ってくれているカメラマンさんが「シンデレラストーリーだよ」と言ってくれたこともあって、このタイトルになりました。

岡田:これだけ好奇心を持って人生を楽しまれている方は、なかなかいないと思います。50歳以降の人生をガラリと変えて、さらに今後の竹原さんのストーリーが気になります。

竹原:私もこんなに変わるとは夢にも思っていませんでした。でも、本当に今まで深く考えず「何でもやってみよう」の精神でやってきて、想像以上のことが起きているので、これからも流れに身を任せていこうと思います(笑)

あとは、私は旅行が大好きなんですけど、まだまだ世の中には見たことがない景色がいっぱいあるので、そういう景色を見に行きたいですね。そしてそれが仕事につながったらうれしいです。

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