株式会社ソーシャルメディアリスク研究所代表取締役社長
田淵 義朗 × 住谷知厚
田淵義朗(たぶちよしろう)さんは、情報セキュリティのプロとしての経験からAIに着目し、66歳で独学で勉強を進められました。 「AIはシニアのパワースーツ」と表現するほど、豊富な経験を持つアクティブシニアがAIを習得することで、新たなキャリアや長年の夢を実現できる可能性があると伝えています。 優秀なAIシニア人材を企業へ送り出す「AI人材バンク」の構築、それによってシニアと若手世代が連携して活性化する社会についてお話いただきました。
AIへの関心とシニアの可能性
住谷:田淵さんがAIに興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?
田淵:私がAIに注目し始めたきっかけは複数あります。 まず、これまで20年間情報セキュリティや個人情報保護の分野に携わってきた中で 、AIの登場によりソーシャルメディアのリスクと同様に、AIの分野でも新たな問題が生じるだろうと感じたからです。
もう一つの大きなきっかけは、2023年3月に「7つの習慣」の翻訳者としても世界的に著名なジェームズ・スキナー氏に取材したことでした。 「AIが書いたAIについての本」を出版する際、たった数日間で下書きが完成したという話を聞き、その生産性の高さに非常に衝撃を受けました。 この経験から、AIが仕事のやり方そのものを変え、コンサルタントやホワイトカラーの人々が職を失う可能性が高まるだろうと認識しました。 そして、これからの時代に何が必要かを探る必要性を感じたのです。当時66歳で、まだChatGPTの存在すら知らなかった私は、そこから独学でAIの勉強を始めました。 さらにNewsPicksが主催するAIの勉強会にも積極的に参加し、若者と一緒に学びを深めていきました。
私はAIを「シニアのパワースーツ」と表現しています。これは、物事を調べたり、文章を書いたりといった、年齢と共に衰えがちな能力をAIが補ってくれるという意味です。 私自身も15冊の本を書いてきましたが、裏付けを取ったり構成を考えたりするのが億劫になり、最新の著書は14年前に書いたものです。 しかし、AIを使うことで「またどんどん新しい本が書ける」という気持ちにさせてくれます。 本を書くことに限らず、たとえばシニアの方々が昔諦めてしまったアーティスト、ミュージシャン、映画監督になりたかったといった夢も、AIを使えばその下地を作ることができます。 このように、AIはシニアの可能性を大きく広げてくれるのです。日本は少子高齢化が進み、60歳以上の人口が4500万人にもなりました(2025年9月現在)。 このシニア層が社会で活躍し続けるために、AIは絶対に使うべきツールだと強調したいですね。
現在の日本社会では60歳で定年を迎えると、ハローワークに行ってもガードマン、マンションの管理人、清掃員といった限られた働き口しか見つけられないのが現状です。 これは、「60歳を過ぎたら…」と、シニアの能力を過小評価していることに原因があると考えています。 しかし、「アクティブシニア」という言葉があるように、今の60歳以上の人々は非常に元気です。彼らは経験、知識、そして人を動かすネットワーキングや豊富な人脈を持っています。 このようなアクティブシニアがAIを使いこなして若い世代と共同で仕事をしていくことで、若い人たちのチャンスが増えて社会全体が活性化すると信じています。 アクティブシニアは人脈や資産も持っているので、それらを生かしつつAIでパワーを身につけて再始動して欲しいなと思います。
AI田淵塾の独自性と成功事例
住谷:AI田淵塾とは、どんなところですか?
田淵:AI田淵塾のカリキュラムは、単にAIのスキルを「学ぶ」ことに留まらない点が最大の特徴です。
https://ai.tabuchi-masterschool.com/p/VdqZChyAfLRk?ftid=7ZYzxiV0zad6
もちろんAIの使い方は教えますが、私は人が学ばなくてもAIを自然に使えるようになる時代が来ると予測しています。 たとえば、AIエージェントのように、あるキーワードを指示すれば、「ディープリサーチ」機能によって最終的に求めるレポートが作れてしまうからです。 そのため、当塾で最も重要視しているのは、受講生自身の「人生の棚卸し」です。 シニア層は残りの人生の時間が限られていますから、その中で何をしたいのか、改めて自分自身を見直すようなセッションも入っています。 現在、6期生までが卒業しており、これから特にシニアの方々を中心に募集をかけようとしています。 そんなシニアで起業したい人に向けた、独自のカリキュラムと動画 (30セッション60本動画)が完成しました。 そしてここが他の研修機関や塾との大きな違いなのですが、徹底した個別指導で使いこなせるようになるまでZoomでレクチャーをする点です。 場合によっては、その人に合ったオリジナルのカリキュラムを作成して指導しています。ChatGPT5が出たおかげで、きめ細かいワーキングシートが作成できるようになったことも大きいです。 こうした取り組みなので、多くの人数をこなせない(笑)。営業的にいうと賢いやり方ではないかもしれませんね。でもそれで良いと思ってやっています。
具体的な成功事例として、2025年6月には、卒業生4人の成功物語を漫画化した書籍『AIで新たなキャリアに挑戦したシニア4人の成功物語』がAmazonから出版されました。 この本は受講生がキャラクターとして登場します。一例を挙げると、大手電機メーカーで社内ITシステムの部長を務め、60歳で退職後にITコンサルタントとして活動していた男性がいます。 彼はITコンサルタントだけでは限界を感じ、AIを勉強したいと私の塾に入ってきました。 現在では静岡県でAI講師を務めたり、私がAI講演や研修をする際のアシスタントとして活躍してマネタイズの機会を得ています。 これまでに約60人が卒業していますが、そのうちの4分の1〜5分の1程度の卒業生が、このようにAIスキルを身につけ、社会で活躍してくれていると感じています。 このように活躍できる人がもっと増えるように力を入れていこうと思います。
未来へのビジョンとワクセルとの連携
住谷:田淵さんの将来のビジョンを教えてください。
田淵:私の人生における最終的なミッションは、「AIシニア人材バンク」を構築することにあります。 このバンクは、AI田淵塾の卒業生の中から、単にAIスキルを習得しただけでなく、与えられた課題にきちんと向き合って目に見える成果を出し、 また宿題をきちんとこなすなど学習に対する真摯な姿勢と実力を備えた人々を評価し、登録する仕組みとして現在稼働させています。 私たちが「この人なら」と太鼓判を押せる人材を厳選し、企業からのAIスキルを持つシニアに対する依頼があった際には、即座に適切な人材を送り出せるようなプラットフォームを目指しています。 この人材バンクの構想は、現在の日本社会が抱える大きな課題、すなわち「60歳を過ぎたらもうお払い箱」という固定観念を打ち破るための重要な一歩だと考えています。 アクティブシニアは長年にわたる豊富な経験、深い知識、そして人を動かすためのネットワーキング能力や広範な人脈を有しています。
私のビジョンは、AIを使いこなすシニアが、若い世代と共同で仕事を進めていく社会を築くことです。 これは、若い人たちに新たなチャンスをもたらし、社会全体を活性化させることに繋がると信じています。 私自身は政治家ではないため、社会の仕組みを根本から変えることはできませんが、AIを身につけた60歳以上のシニアが、 その能力を正当に評価され、再び雇ってもらえる社会を、皆さんの力で共に作り上げていきたいと強く願っています。 人材バンクは、まさにそのための受け皿として機能し、シニアが働ける場所をこれから創り出していくことが、私の人生最後のミッションだと考えています。
このような壮大なビジョンを実現するためには、多くの共感者と協力者の存在が不可欠です。 ワクセルが持つ若い世代のコラボレーターたちと、AIスキルを身につけたアクティブシニアが連携することで、 世代間のシナジーが生まれ、新しい価値創造の機会がさらに増大すると期待しています。これは、お金を稼ぐという側面だけでなく、 社会全体にとって必要なことであるため、このミッションを遂行し続けます。
AI田淵塾に興味のある方は、こちらから何でも田淵塾長に聞いてくださいね。
https://ai.tabuchi-masterschool.com/p/VdqZChyAfLRk?ftid=7ZYzxiV0zad6
■田淵 義朗さん コラボレーターページ 公式HP 生成AI講座 個人ページ FaceBook X(旧Twitter)
本記事は、ワクセル会議にて公開収録した田淵さんのインタビューの内容です。 ワクセルのCollaboratorの方は、公開収録への参加が可能で、ご自身の事業へのヒントが得られる絶好の機会となりました。 ワクセルのCollaboratorの詳細は下記よりご確認ください。
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