タレント
「清水国明」× ワクセル
タレントの清水国明さんにインタビューをさせていただきました。
長年芸能界で活躍する傍ら、数々の事業を手掛け、大きく成長させている実業家でもいらっしゃいます。
事業のひとつであるアウトドアと研修をミックスさせたプログラムは、研修を受けた社員間の絆が強固になり、退職率が激減するなど大好評で、リピート率が非常に高いのだそうです。
そんな清水国明さんにさせていただいた本インタビューでは、ビジネスに関することから、良好な人間関係の構築やチームビルディングなど、成功するために必要不可欠な項目を中心に掘り下げ、お話をしていただきました。
歳を重ねても精力的に仕事をされ、また、ユーモア溢れる清水国明さんは、起業することで人生を豊かにすることを決めている私たちにとって、とても良いモデルだと思います。
芸能活動をされながらも様々な事業にチャレンジしようと思ったきっかけをお聞かせください。
清水氏:芸能人は面白かったんだけど、ずっとやる仕事じゃないなと思っていました。いくつかある仕事の中のひとつだと。そう言いながらも芸能活動に没頭していて、仕事は当然来るだろうと思ってました。いわば芸能サラリーマンですね。
ところが、3日くらいスケジュールが空いた時がありまして、その時はちょうど子供を育ててた時だから「これ、イカンなー」と気づいて。こういう貰い仕事って、(貰えないと仕事ができないという意味で)良くないなと思うようになりました。誰かに生活をコントロールされてしまう働き方は良くないなと思って。
それが、いわば起業のきっかけみたいなものかな。
オートバイのレースをやっている時はお金を集めなきゃいけないから、うちのチーム(国武舞レーシングチーム)のTシャツにサインをして、鈴鹿サーキットで販売したんです。中国から仕入れた300円のTシャツを3,000円で売ってたんですよ。
それが飛ぶように売れて。
「これだ!」と思ったね。昔はCDやレコードなど1枚売れても、色々な中間流通の関係で2円50銭くらいしか手元に入ってこない。それを数売らなきゃいけないんですが、中間流通がないと手元に残るお金が増える。これが直接販売なんだなと実感して、それがひとつのきっかけにもなりました。人に仕事を貰って、人に養ってもらうのではなく、「自分でやろう!」と決意する、そんな事がありましたね。
人との繋がりや出会いを常に大事にされていると伺いました。このことについてお考えをお聞かせください。
清水氏:人との出会いは大事にしてますね。
出会いも大事にしているし、合うかどうかも大事。人に合わせ過ぎるとしんどいと感じることもあるしね。
人生の後半は、「この人、今日は機嫌がいいかな?」とご機嫌を伺ったり、相手の機嫌の良さで、喜んだりがっくりしたりするような人付き合いはしたくないなと思っています。病気になるの人の側には、ご機嫌を伺わなきゃいけないような人がいる。他人の機嫌をいつも伺ってるような人が病気になりやすいんですって。
『不機嫌は罪(齋藤孝著)』という本を読んだんです。不機嫌でいる人は勝手に不機嫌でいれば良いわけで、他人を嫌な気持ちにさせる権利は誰にもなくて、その不機嫌が周りの人を病気にしてしまう。ご機嫌を伺わなきゃいけない人とは、程よい距離感でいるようにして、自分と感覚が合って、ちゃんとお付き合いできる人との繋がりを大事にしたいですね。
以前、清水さんとお話する機会があったときに「人の持つ周波数」のことを聞きました。ご自身の中で、どういった形で周波数を意識されていますか?
清水氏:特に何にもないんですが、「誰とでも合わせられるなー」って思ってます。自然の中で木に抱きついて、木とコミュニケーションしたり、草や動物ともわかりあえる。集中すれば誰とでも合わせられます。例えば、恐ろしい違う世界で生きている方たちに、仕事で取材しに行った時にも、最初はびびりましたが、最後には仲良くなって一緒に酒を飲んでましたね。
誰とでも合わすためには、自分のキャンバスを真っ白にしておかないといけないんですね。白だからどんな色にも染まれるんです。
インタビューの仕事などでも、予備知識や先入観があると、相手のノリが悪くなります。知ってる話を繰り返すのは辛いですからね。それはあんまり良くない。インタビュー番組をやった時に、その人のデータとか全く知らないままに「この人どんな人なんだろうなー」と思って興味を持っていくと、それが相手に伝わって、丁寧に質問に答えてくれるんです。
相手との周波数も、自然体で臨めば誰とでも合わせられます。過去に、会社への出資をお願いするために妻と一緒にあちこちの投資家を訪ねて回ってました。彼女は隣でパソコンを開いて議事録を取っている風にしてましたが、実は友達にメールを打ってただけだったんだけどね。それでも、なぜか1千万や1億の出資が決まったんですね。
河口湖へ帰る車のなかで
「(嫁)今日、いくらだったの?」
「(清水)今日、一千万円の出資が決まったよ」
「(嫁)なんだ、1億じゃないんだー」
って、横に居たじゃないかって思うんですけどね。
興味深いのは、妻が「あの人、私はちょっと苦手」って言う時があるんです。空気が吸い辛い、息苦しいって言うんです。変な威圧を感じるのかもしれません。霊能力者みたいに、意外と当たってるんですよね。周波数とか、出している波動みたいなのが合わないのかなと思います。
周りの人を一瞬で自分が出してる周波数に合わせてしまう能力がリーダーには必要ですね。「ツカミ」がokであれば会場の周波数が同じになります。最初に「スベル」と最後まで空回りしますね。あとは、あんまり自分の生き方とかにこだわらない、自然体で生きたいなと。自然体って、無理に禁欲せず、全ての欲望と無邪気につきあうことだと思ってます。なんにしても固執するのはみっともないですね。
コミュニケーションをとるする上で大事にされていることはありますか?
清水氏:下にいきますね。うちの姉(橋本真由美氏:ブックオフコーポレーションの元社長)もそうなんですけれど、絶対に相手の足元に潜り込むようにします。例えば、そこそこ勉強していた時も「私、こんなもんですわー」と下から入る。「何だこいつバカじゃねーか」と相手に思われるようにする。いくらバカにされたって気になりません。
初対面の時に上から来る人は全然怖くないですよ。逆に、挨拶の時に低姿勢で潜り込まれたら相手を見定めるのが大変です。さらにこちらも下に下がってみる。「下手に出る」という意味でもありますね。
「なんだ、変なやつだなー」と思われてしまうこと。そういったことを心がけて、バカにされるところから始まる。しかし本当にバカにされるのではなく、(相手の心の)扉をあけるというかね、安心させるというか。下に、下にということなんですね。
清水さんの言葉の中で『縁あって出会い、力を合わせてきた人と喜びと富を分かち合うこと』が、とても心に響きました。このような清水さんの人生の格言や座右の銘について教えてください。
清水氏:今はその言葉にハマってます。これは自分で考えたんですけれど、会社がいくつかあってホールディングにして企業を束ねなければならないので、考え方もまとめようと思ったんです。その時に「縁で集まっていること」と「分かち合うこと」。そしてその文言には出てこないけれど、「苦労も分かち合う」わけなんですよね。それが力を合わせることで、最後はみんなで分け合うことが目的なんだなと気付きました。
俺の知り合いに経営者はいっぱいいますが、世の中には不幸な金持ちが多く、幸せな金持ちはなかなか少ないですね。会社をバイアウトして、100億くらいの大金を得て、世界旅行へ出かけた知り合いがいます。嫁さんは連れて行かないし、バーっと寄ってくる仲間たちも全部切って一人で世界旅行へでかけたんです。でも途中で、鬱になって帰ってきた知り合いが、ふたりいるんですよ。
自分の欲望を達成して、憧れていた豪華旅をしている間に「俺の人生、何だったんだろ、これから何がしたいんだろう」ってわからなくなってしまったのだそうです。
彼らはお金はあって、やりたいことがなんでもできますが、互いに、バカにしたりされたりしても許せて、心から笑い合えるような仲間が居ないのです。1番大切な分け合うという基本がないと、どんな事業も成功しませんね。
さっきの言葉は、思い立って急遽作ったやつなんですが、こんなにウケると思わなかったんですよね。それぞれ任せている会社の仲間たちが「額に入れて飾りましょう!」と言い出しました。みんなの想いを言葉にして共有するって、大事なことですね。
あんまり他人の格言はないのですが、「足るを知る」という言葉は好きですね。「吾唯知足(われ、ただ足るを知る)」京都の龍安寺の手を洗うところの石に掘ってあります。足るを知らないと、糸の切れた風船みたいにどこまでも飛んで行ってしまうんでしょう。
起業やビジネスをしていくにあたり、一人ではなくて、色々な方と関わり、チームをつくって同じ目標に向かって走っていくと思います。清水さんがチームづくりで大切にされている事があればお聞かせください。
清水氏:今、まさに人材を募集していて、名古屋の飲食店づくりで18人くらいの人に面談したんです。人材業界でよく言われることは「人材」って言葉がありますね。一番いいのは、人の財産の「人財」です。それから、存在の「在」を使った「人在」のいるだけな人。もう一つあるのは「人罪」、罪な人がいますね。
このような分け方をする上で、「人財」となる人。「何かやろう」って言う前に「やります!」って言う人がいい。「何かやろう」って言う時に、すぐやって来る人がいい。声をかけても、そっぽを向いたり、水をかけて消そうとしたりする人とチームをつくるのは難しいですね。
コンフォートゾーンから出ようとせず、安全圏でやろうとしている人は駄目です。外はパニックゾーンだから、自分の知らないところには出たくないという人たち。
年齢や性別、立場は関係なしに、みんなで話をして、可能性があるならやってみよう、試そうというような人たちと一緒に仕事がしたいですね。
成人式の講演会に呼ばれたときに、めちゃくちゃ腹が立って怒鳴って帰るような事が何回かありました。「横とべちゃくちゃ喋って、人の話を聞けないやつは成人じゃない!」と。それからギャグを言っても全然ウケない。シーンとしていて関係者は喜んでましたが。
若者には将来の可能性を伝えたいですね。自分の可能性を信じている人は、仏さんの後光のようにキラキラ輝いているのがわかります。
俺なんかこんな生まれだし、こういう親だし、環境だし、と最初から諦めている若者はもったいないですね。経営者の立場からすると、自分で自分の可能性を殺しちゃってる人よりも、自分の可能性を信じて、どんどんチャレンジしようとする人がいいなと思います。
こんな風に色々と考えてはいるのですが、今までの経験から言うと私は人を見る目は、まだまだなんです。
採用面接をするじゃないですか。その時はものすごくいいんですよね。美女で成績一位って、非の打ち所がない人。打ち合わせしようって、2度目会うと最初に会った時の印象とは違う。どんどん下がっていくじゃないですか。
入社後、「なんであの人、採用したんですか?」って言われることが何回もあったから。僕はそういったハッタリに弱いんだよね。
その子が目一杯背伸びをしてきてるときに、俺はそのさらに上を見ているからね。こんな能力があるから、こんなことまでできるかなと。採用した人の中には目一杯、上げ底で来てたっていうのもありましたね。人を見る目ってやっぱり難しいね。
今のお話は、募集の段階だと思います。チームになった時、まとめあげる上で大事にしていることはありますか?
清水氏:そうですね。会議を例にあげることになるけど、一番大事にしていることは、最初の段階でネガティブな発言をする人には、「ちょっと待て」と伝えます。誰かが何か考えて提案してくれる場合、3~4日くらい考えてくるわけです。その案に対して、「それって、雨降ったらどうするんですか?」、「蛇に噛まれたらどうするんですか?」と、考えてきたわけでもない、その場で思いつくネガティブを言う人がいます。
一生懸命やろうとすると、そういうネガティブな人たちにぽんと潰される。その結果、最終的には何もやらないのがいいとなってしまう。だからみんなで、まずはネガティブを言わずに盛り上げて、いいことだけ言う。「こうなったらやったー!」「そうだねー!一人一台ずつ外車買えるね」って、みんなが最高の状態までたどり着いたら、「一回戻ってみよう!」とネガティブ意見も取り入れてみる。「万が一こうなったらどうするんですか?」という意見に対して、「外車が買える」とポジティブな目標を最初に味わった人たちは、このネガティブの壁を乗り越えるエネルギーがあるんですよ。
ここを体験していない人たちの集まりは、止めておいたほうがいいねと思います。会議やチームづくりの時に、その場の思いつきでネガティブを言うような人はまず待っておくように言います。そうじゃないと会議やミーティングは進まないと思います。
チームづくりもそうですよね。足を引っ張ることだけでリーダーになっちゃうのが日本の悲しいチーム。「それは止めておいたほうがいいですね」と言っちゃう人が社長になることもある。
どういうことかというと、確率的には上手くいかない方を主張すると当たりやすいです。だから、ネガティブな人は反対する事を主張する。言ったことが当たるから、まわりからの評判があがる。でも、こういった人が社長になると、社員の提案を否定から入り潰してしまいます。本人はクリエイティブな事をしようと思っていないので、その会社は終わっちゃうよね。
経験値というか、チームをつくっているときも、リーダーを決めるときもずっと気にしていますね。
最後にこれからを担う若手に対して一言お願いします。
清水氏:やればできる!!(一同爆笑)
どうだろうなー。出会いや縁を大事にした方がいいかなと思います。あとは、チャンスの後頭部には髪の毛がないってよく言いますよね。
ツルッツルな頭って掴めないから、近づいていくるチャンスを発見する力を身に着けておく必要がある。そのためには、ずっと必要に思い描いておかないとだめ。
流れ星の時に、願い事を言うと叶うというじゃないですか。バッと流れた時に「えっと?なんだっけ?願いなんだっけ?」「えっと、100万円!」「えっと、結婚したい!」という頃には、流れ星が消えている。普段から「100万円!100万円!100万円!」ってずっと思ってる人は、流れ星の一瞬でも「100万円!!」って言えるわけですよ。
それくらい念じ続けている「願い」は叶うわけですよね。チャンスというのも、チャンスがきてから何とかしようというのではなくて、そのチャンスを「ないかな?」「ないかな?」って見たら、他の人には見えないチャンスが見えてくるようになるはずです。
ずっと念じ続ける、思い続けることが必要ですよね。