経営者対談

お笑い芸人
トレンディエンジェル × ワクセル

お笑いコンビ「トレンディエンジェル」の斎藤さん、たかしさんにインタビューをさせていただきました。

トレンディエンジェルは2005年にコンビ結成され、約10年後の2015年にM-1グランプリ優勝。「誰だと思ってるんだ。斎藤さんだぞ?」や「ペッ」など、思わずやってみたくなるような汎用性のあるギャグをマネされたかたも多いのではないでしょうか。現在もなおバラエティ番組やアイドルグループ吉本坂46での活動、斎藤さんはミュージカル出演など幅広くご活躍されていらっしゃいます。

今回のインタビューでは、舞台で最大のパフォーマンスを発揮するために意識していることや、「オンリーワン」の価値などについて深掘りしてお聞きしました。舞台上での意思決定のスピードや個性を強みに変える力など、実力主義のお笑い業界で結果を出されてきたおふたりだからこそ聞けるお話だと思います。

お客さんの反応や場の空気を瞬時に読み取り、ネタやトークの軌道修正や意思決定の力が長けていると感じます。それらをスピーディーに行うコツはありますか?

たかし:軌道修正や意思決定…同じネタしかやっていないですからね(笑)

斎藤:こればかりは、やはり経験と「Go」です。とにかく「No Plan Go!」というイメージでやっています。「出てみればなんとかなる!」というのを、まさに舞台上で学んでいますね。
シンプルにいちばん嫌なことは、「滑ること」じゃないですか。「滑りたくない!」というルートを次々に外していくためにはどうすればいいかを瞬時に考えてきて、おのずと結果が出てきたと思います。

インタビュアー:「お客さんを思いきり笑わせてやろう!」よりも「滑りたくない!」のほうがモチベーションが上がるのでしょうか?

斎藤:そうですね。「滑りたくない!」のほうが必死になれます。もちろん、舞台上で空気が回ってきて自分もノってきたら「笑わせてやろう」になります。ですが、やはり「滑らないこと」が謙虚さも含めて大事だと思っています。

インタビュアー:「失敗したくない」と構えて、結局失敗に繋がってしまった経験があります。

斎藤)その経験はもちろんあります。ですが、滑りすぎるとゾーンに入るのです。
僕はそれを「ネバーランド」と呼んでいます(一同爆笑)ネバーランドに入ると、何も感じなくなりますね。

たかし:15年も芸人をやっているので、滑っても何とも感じなくなってしまっている心はありますね。

斎藤:逆にそこがチャンスなのだと思います。その時にしか見えない景色というか、みんなが止まって見えるのです。文字通り止まってるんですけど…。

たかし:笑ってないからね!

斎藤:そうなると逆に冷静になり、もう何をしてもいいというゾーンに入ります。そうなると強いですよね。

下積み時代を振り返って、特に苦労したことはありますか?また、何を原動力に乗り越えてこられましたか?

斎藤:経験はやはり大事ですね。

たかし:吉本は他事務所と比べても舞台の数が多いですから、経験値の高さは大きいです。

斎藤:ただ、僕らは練習があまり好きではないので、そこに苦労しました。基本的に漫才師の方はネタの練習をするのですが、練習するとやはり…嘘というか、演技っぽくなるじゃないですか。

「コンビニの店員やりたい!」という漫才はよくあると思いますが、本当にやりたいわけではないじゃないですか。ですから、この気持ちを考えたときに、やはり練習がしんどかった。そして、自分たちに合ってないなと悩んでいた時にたどり着いた答えが「ドキュメント」だったのです。冒頭でも話したように、本番でGOしたほうが、失敗をしながらでも経験になると学びました。

インタビュアー:本当の意味でライブ、ドキュメンタリーというわけですね。

斎藤:そうですね。「とりあえずやってみる」は結構大事だと思います。(この記事を読まれるのは)経営者の方が多いと聞いています。経営とお笑いは、角度もリスクも全く異なると思うので一概には言えないかもしれません。ですが、計画することももちろん大事だと思うけれど、計画ばかり立てても仕方ないなと感じます。

本番の舞台で最高のパフォーマンスを発揮するために意識していることはありますか?

たかし:お客さんはみんなじゃがいもだと思うこと。(斎藤さんを見て)そしたら僕の隣にいました(一同爆笑)

斎藤:とにかく、落ち着いて、まずやってみること。それがいちばん上手くいくかなと感じます。焦って必死にやってもダメな時はあります。そういうときはもう、柔道と一緒で、「押してダメなら引いてみろ」を舞台で加減しながら試しています。

お笑い業界という結果重視の世界で、「トレンディエンジェル」という名前を世に知れ渡らせた結果の原因は何だと思いますか?

たかし:僕たちがやっていることは変わっていないので、時代が追いついたのではないでしょうか。

斎藤:やはり、オンリーワンが大事だと思います。世の中には面白い人はたくさんいますし、別に僕らがいなくても回ったと思います。ただその中で、「自分たちにしかないもの」を見つけること。

たとえば、僕らコンビ仲が良いのです。たとえばダウンタウンの松本さんのような、ソリッドな笑いはできないけれど、僕らは子供が笑うようなふんわりとした雰囲気を出してみようとか。そのオンリーワンの居場所を見つけ続けてきたことだと思います。
自分の強みを見つけることは簡単なことではないと思います。

自分の強みを見つけることは簡単なことではないと思います。おふたりはどのように「オンリーワン」と言える強みを見つけてこられたのですか?

たかし:単純に剥げてたからな…

斎藤:その時点で見通しが明るかったのです(一同爆笑)何をやっても思うことなのですが、結局、個性は出てきてしまうものだと思います。

例えば、先ほども話した「コンビニの店員になりたい」という漫才や、野球のヒーローインタビューの漫才は一度は見たことがあると思います。色んなコンビがこのテーマで漫才をやっていますが、やはりみんな違うんですよ。結局、テーマが被っていても、どうやったって自分の個性が出ちゃう。

話すことが下手だったり、足が遅かったり、顔が不細工だったり、そういった個性というものは全て、芸人の世界では特にプラスに働きます。一見、マイナスと見えることを個性として、強みに変化させることが大事だと感じます。

経営のことはわかりませんが、皆さんにとってもここにヒントがある気がします。在庫をたくさん抱えているのが強いとか、スピードが命だとか、丁寧だとか、個性ってたくさんあると思います。

最後に、これからチャレンジする若手起業家に向けて一言ずつお願いします!

たかし:経営者になったことがないのでアドバイスになるかわかりませんが… 後輩と飲みに行くのが良いと思いますね。

斎藤:やはり、チームの信頼が大事ですよね。

たかし:先輩に嫌われるより、後輩に嫌われたくないという思いがあります。

インタビュアー:おふたりは頻繁に飲みに行かれるのですか?

たかし:はい、僕は割と飲みに行く方です。

斎藤:私は結婚しているので、頻繁には行かないですね。「経営をしよう」と思っている時点で、1歩リードしていると思います。色んな人がいると思うし、色んな人に会うと思います。残念ながら良い人ばかりではないと思うので、人を見る目を養いながら、俯瞰で見ることを意識することが大事だと思います。

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