捨てられるはずだったギターの弦に新しい命を吹き込む『弦アート』の世界

矢田 祐介

矢田 祐介

アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_矢田 祐介さん

何もないところから想像を膨らませ、作品に命を吹き込むアートの世界。アーティストの矢田祐介さんは、音楽活動をやっていた経験を活かして弦(げん)アートの作品を制作しています。デザイナーとしての長年の経験から、弦アートに辿り着いた経緯や、今後の活動について語っていただきました。

サカナクションなどのアーティストのデザインを担当

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僕はデザイナーとして、主に占いコンテンツのデザインをしています。最近テレビでも占いの番組が多くありますが、『ホンマでっか!?TV』などに出演している占い芸人のシークエンスはやともさんの占いコンテンツのデザインも制作しました。

その前はサカナクション、MISIAなどアーティストサイトのコンテンツデザインや、それに付随するノベルティのデザインなども担当していました。

元々、小学生から図工の成績だけはよくて、それなら「絵に関するクリエイティブなことをやりたい」と考えたことがデザイナーになったきっかけです。スクールに通ってAdobeなどの基礎を学んだあと、アルバイトでデザインの仕事を始めました。

当時は神奈川に住んでいましたが、デザイナーとしてやっていくタイミングで東京に移り、同時にバンド活動をスタート。バンドは高校生のときに文化祭などで演奏していて、オリジナルの曲でもやりたいという願望がありました。作詞・作曲を担当していて、都内でライブもたくさんやっていました。

バンドをやっているということもあり、当時の会社では着メロサイトの運営とデザインを担当していました。デザイナーの仕事と音楽を両立しながら頑張っていましたが、2010年にバンド活動が終了。その翌年に東日本大震災があって、そこから自分の人生を見つめ直すようになり、転職も経験しました。

転職してもデザイナーという肩書のままで、4社くらいの会社を転々として色んなデザインの技術を吸収することができましたね。

ギターやベースの弦を使った『弦アート』作品

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バンドを辞めてデザイナーだけでやっていくなかで、フラストレーションを感じることもありました。デザイナーはクライアントの依頼でデザインをする仕事ですが、自分が作ったサイトで名前がでることはないので、もどかしさを感じることもあります。

そこで、最初に個人で始めたのがオリジナルの『デジタルコラージュアート』です。展示会にも出展していましたが、まだNFTがない時代だったこともあり、デジタルアートは簡単に複製できてしまうと思ったんです。それならば「1点ものを作れたらいいのではないか」という考えが浮かんできました。

音楽をやっていた経験から、「使ったらすぐ捨てるだけのギターやベースの弦で、何かできたらおもしろい」と思いついたんです。それ以降は作品の制作を少しずつ始めていきました。

昨年末にギターの弦アートに関する商標を取得できたので、これからどんどん確立して発展していけたらと思っています。それでも弦だけだとどうしても煮詰まることもあるので、デジタルアートも並行しつつ、NFTにも力を入れようと考えています。

気づいたらもうデザイナーを15年くらいやっていますが、長く続けているという意識がないのは、同じ会社にずっと留まっていなかったからなのかもしれません。各会社で違うものを作っているので、マンネリを感じることはありません。

長年デザインをやってきて意識していることは、相手の意見を最大限に吸収することです。たとえばアイドルのデザインはかわいいイメージが多いと思いますが、クールや、シック、かっこいい方が向いていると感じたら、より良いものにするためにも前段階での調整、かみ合わせをすることが大事だと思っています。

アートストーンギャラリーなどの展示会に出展

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現在は色々な展示会に出展していますが、アートストーンギャラリーはインスタグラムで出展者の募集を発見したのがきっかけです。2021年末に出展させていただいて、大勢の参加者がいるフェスのような雰囲気でした。そこからアートストーンギャラリーが開催している企画展にたくさん出展しました。

また、京セラ美術館からは「弦アートで出展してみないか」とお誘いいただき、昨年の12月に展示しました。

グループ展や企画展に出展すると、さまざまな作家の作品を同時に見られるのでとても刺激を受けます。そうすると現状のままでは満足ができなくて、去年は色んな事を試しました。正直なところ、まだ答えは見つかってはいませんが、自分がやるべき方向性のようなものは固めることができました。

弦アートの商標もとりましたし、今後は去年以上に弦アートに注力してやっていこうと思っています。弦に限らず、今後はギターで弦を弾くのに使うピックの作品も増やしていこうと考えています。そのなかでも現役の第一線で活躍しているアーティストの弦を使って何か作品ができたらと考えています。

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