昆虫食デザイナーが探求する「デザインの新しい可能性」

新井 将人

新井 将人

アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_新井将人さん_プロフィール

新井将人さんは工業高校のデザイン科を卒業後、グラフィックデザイン科の大学に進学。デザイン事務所を2社経験し、『アララトデザイン』を屋号にフリーランスとして独立。パッケージデザインとロゴデザインを中心に取り組んでいます。地元長野で馴染みのあった昆虫食を広めることを目的に、昆虫食デザイナーとしても活躍しています。日々、成長、挑戦し続ける新井さんに、デザインで独立するきっかけや今後の展望について伺いました。

「アララト」の由来は、ノアの方舟から

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独立する時につけた「アララト」は、トルコに位置するアララト山に由来します。みなさんは「ノアの方舟」をご存じでしょうか。旧約聖書の創世記に登場する物語で、大洪水により地上のほとんどが水にのまれ、方舟に乗っていた生物たちしか生き残らなかったという内容です。この「ノアの方舟」が最後に行きついた地がアララト山でした。

アララト山には、大洪水という困難からたどり着いた地で、新しい世界を作っていった逸話があります。新たな世界の挑戦とシンボル、商品やサービスの魅力・世界観を創造する一助になる思いで、日々成長、挑戦したいという理念のもと「アララトデザイン」と名付けました。

小さい頃からものづくりに興味があり、高校進学でも、自分に興味のあることしかやりたくなくて、ものづくりで生きていけるようにすると決めていました。いくつかある選択肢の中で「デザイン科」が目に入って調べてみると、自分の好きなことで食べていけそうだと考え、デザイン科に進学しました。

入学してみると実態は工業高校であったため、家具などのものづくりが中心で、デザインを学ぶ機会はほとんどありませんでした。

大学ではデザインのことをちゃんと学びたかったのでグラフィックデザイン科に進学。特に印象深かったのは「感覚を磨く」授業でした。たとえば長い廊下を走り、そのままの勢いに任せて、床一面に貼ってある画用紙に身体の感じるままバーッとクレヨンで全身を使って描く授業があり、とても新鮮で楽しかったのを覚えています。

「まずはやってみること」が成功への近道

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大学を卒業後は、食品・飲料メーカーのパッケージデザインを中心としているデザイン会社に就職。会社員として務めるかたわら、副業である程度稼げるようになり、正直不安はありましたが、本業に出来るのではないかと思い一本化することにしました。

企業に勤めていると社会的に信用度が高く、毎月安定してお金が入る安心感があります。一方、独立すると一人で全部やらないといけないですし、毎月の収入も安定しません。新規開拓の営業や、事務書類の整理などが特に苦労しました。

独立してから自分に足りない部分が見えてきて、人間的にもデザインの技術的にもどう補填するかということを考え、試行錯誤しながら取り組んでいます。

今後独立することを考えている人がいたら、「まずはやってみる」ことが成功の近道になると伝えたいです。自分がやっていて楽しく、わくわくすることが自分の人生を豊かにするうえで大事ことだと思います。そして、独立・起業した方が絶対に楽しいと思っているのであれば、やってみてください。その方が楽しい人生を歩めると思います。

昆虫食をデザインの力で変えていく

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_新井将人さん_コオロギ餃子

私は長野県出身で、地元には昆虫食の文化が今も残っている地域があります。保育園の頃、田んぼでイナゴを獲って給食センターで佃煮を作ってもらい、食べた記憶があります。他にも祖父の家が山にあったので、蜂の巣を採り、蜂の子を炒めて食べたりしていました。

昆虫を食べることが普通という環境で育ってきたので、大学で友人に話したら「なにそれ!?」と驚かれ、ゲテモノとして扱われていることに気付きました。

昆虫を食べるとびっくりされる方が多いですが、実は世界的に非常に注目されている食材でもあります。タンパク質が多く含まれているという報告もあり、牛や豚などの家畜に比べると飼育に手間がかからず、育つまでの期間も短いので環境負荷が少ないのが特徴です。

独立したら自分のやりたいことをやろうと考えていたので、昆虫食のイメージ改善の助けになるのではと思い、昆虫食のデザインに取り組みました。実際に、昆虫食活動家のカズキさんのプロジェクトで『コオロギ餃子』のパッケージのデザイン等に携わらせてさせていただきました。他にもさまざまな昆虫食のデザインをしています。

日本では昆虫食が普及していませんが、ゆくゆくはスーパーに惣菜と一緒に並ぶような世の中になっていたら嬉しいです。