
人はなぜ満たされないのか?幸せの鍵は“基本的欲求”にあり
精神疾患を抱える方々の支援に携わる心理カウンセラー・瀧川昇三さん。今回は「人が本当に求めている5つの基本的欲求」をテーマに、選択理論心理学の視点から、自己理解と人間関係を豊かにするヒントをお届けします。
人が本当に求めている“5つの基本的欲求”とは
「過去と他人は変えられない、変えられるのは自分と未来だけ」
カナダの精神科医エリック・バーンのこの名言は、私の人生の指針でもあります。皆様、こんにちは。ワクセルコラボレーターの瀧川昇三と申します。私は大阪で、障がいのある方の就労を支援する『スリーピースグループ』の施設長兼専務理事を務めております。また、日本選択理論心理学会認定の選択理論心理士、分子栄養療法を学ぶ認定ONE栄養アドバイザーとしても活動しております。
前回のコラムでは、皆様が幸せに近づくための3つの柱として、
- 見方、捉え方、人間関係の改善
- 人生の目的や目標の明確化
- 未来のプランニング
を提示いたしました。今回は、最初の柱である「見方、捉え方、人間関係の改善」について深く掘り下げていきたいと思います。
前回の問いかけを覚えていらっしゃいますか?
「皆さんは今の日々が満足いくものになっていますか?今の充実度はどのくらいですか?100%を最高としたら、今何%くらいですか?」
私は迷わず「100%」と断言できます。皆様はいかがでしょうか?
なぜ私が100%と言い切れるのか。それは、「選択理論心理学」との出会いがあったからです。
人は誰しも「幸せ」を求めて生きています。しかし、「幸せ」とは一体何でしょうか?どのような状態が幸せなのか、じっくりと考えたことはありますか?
選択理論では、人は生まれながらに遺伝子に組み込まれた5つの基本的欲求があり、その欲求がバランスよく満たされている状態を「幸せ」と感じるとされています。
その5つとは、
- 愛・所属の欲求:誰かとつながりたい、愛し愛されたいという欲求
- 力の欲求:達成したい、認められたい、貢献したいという欲求
- 楽しみの欲求:学びたい、遊びたい、楽しみたいという欲求
- 自由の欲求:自分で選びたい、束縛されたくないという欲求
- 生存の欲求:安全に生きたい、健康でいたいという欲求
です。
人間関係を円滑にする“欲求タイプ”の見極め方
これらの欲求には強弱があり、人それぞれ異なります。そして、その強弱に良し悪しはありません。
たとえば、ある人の欲求の強さが、
- 愛・所属:5
- 力:4
- 楽しみ:4
- 自由:2
- 生存:1
(5段階評価)
だったとしましょう。
この人は、いつも誰かと一緒にいたい、誰かに貢献したり競争で勝ちたい、あまり束縛されず自分で選択したい、安定より冒険やスリルを求める、という傾向が予測できます。
この人が常に幸せでいるためには、特に強い欲求を満たすことが重要です。弱い欲求は、その数値の程度に満たされていればご機嫌でいられます。
これは自己理解を深め、自分の「取り扱い説明書」を手に入れるようなものです。自分が何を求めているのかを知れば、いつも上機嫌でいられ、人とも良い関係を築きやすくなります。
さらに、相手の欲求の強弱が見えてくると、人間関係はよりスムーズになります。
たとえば、相手が「力の欲求」が強い方であれば、「すごいね」「流石」という言葉が響くでしょう。「楽しみの欲求」が強い方であれば、「おもしろいね」「おしゃれね」といった言葉がうれしいかもしれません。
これらは選択理論のほんの一部ですが、いかがでしょうか?
満足度100%の秘訣は「全行動」の実践にあり
私は常に自分の欲求を満たすことを心がけているため、気分が良い状態を保てています。そして、他者(特に身近な人)とも良好な関係を築きやすいのです。
また、日々起こる出来事に対して、マイナスな見方や捉え方をしてしまうと、誰でも落ち込むことがあります。しかし、私は落ち込むという感情にフォーカスするのではなく、「自分はどんな人で在りたいか?」をイメージします。そして、「その理想の自分なら、こんな時どうするか?」と考え、行動を変えます。すると、感情は自然と上向き、体調も良くなるのです。これは、選択理論の「全行動」という考え方に基づいています。
私が今日、100%の満足度でいられる理由は、このような考え方と実践があるからです。
もし、あなたが今50%の満足度だったとしても、大丈夫です。あなたが望む%まで上げることは可能です。
次回のコラムでは、その具体的な方法について、さらに深く掘り下げてお話ししたいと思います。
最後に、皆様にこの言葉を贈ります。
「あなたの人生は、あなた自身が描くキャンバス。どんな色を使い、どんな絵を描くかは、あなた次第。今日という一日を、最高の笑顔で彩りましょう。」
