
児童養護施設を支援する活動に夫婦で挑む、Felicetoの取り組み
児童養護施設を支援する活動を行っている一般社団法人 Felicetoの武山綾香さん、和矢さん。実際に活動をしているお二人がどのような思いで立ち上げたのか、そして今、どのように施設を出た子どもたちを支えているのかをお伝えします。
「Feliceto」の立ち上げのきっかけ
私(綾香さん)は児童養護施設出身で、施設を出た後にすごく苦労しました。その経験をもとに自分に余裕ができたら絶対に恩返しがしたい、同じような苦労をしている子どもたちを助けたいという思いを抱くようになりました。
施設を出た子どもたちが孤立しないように支援したいと考え、現在Felicetoは、施設の子どもたちと交流を深め、退所後に困難に直面しないようにサポートする活動を行っています。
たとえば、クリスマス会やビンゴ大会などを通じて、子どもたちに楽しい思い出を提供し、信頼関係を築いています。あのときにあやちゃんやかずくんがいたなぁ、と児童養護施設を出たあとに思い出してもらえるような信頼関係を築く活動をしています。
施設を出ると、子どもたちとはそのあと連絡することができないので、孤立してしまうことが多いです。施設に遊びに行き、まずは友達になってもらうことが大切です。施設から出た後にSNSやLINEなどで連絡をもらえた時にやっと、助けることができるようになります。
クラウドファンディングなども行い、施設で過ごす子どもたちが欲しいものを自分で選べるよう、カタログを用意してプレゼントを届けたりもしました。子どもが本当に欲しいものを選ぶ喜びを一緒に体験し、子どもから今までで一番いいクリスマスだったと言われたのは、とても嬉しかったです。
苦しい過去を乗り越えて
私は愛されなかったことに深いコンプレックスを感じていました。養護施設を出たあとはうつ病や精神的な問題にも悩んでいましたが、それでも人を信じたいという気持ちがずっとありました。本当はポジティブな人間になりたいという気持ちを今の夫に伝えて、それを妨げるようなら一緒にいない選択をすることを公言までしていました。
夫の視点から、この活動が子どもたちの光のような存在になっているのを感じて、それも妻が施設育ちで経験して乗り越えてきたことが子どもたちに勇気を与えているんだなというのを実感するので、本当にすごい人だなと思っています。
今後の展望
施設を出た子どもたちは、寮に入って働き始める子が多いです。しかし、仕事が合わなかったとしても、仕事を辞めたら住む場所も同時に失ってしまう状況にあります。そんな子どもたちにとっての居場所、実家のような場所を作っていきたいと考えています。また、キャンプに子どもたちと企業やいろいろな職業の人を呼んで、実際に仕事体験をすることで子どもたちの視野をもっと広げていく活動もしていきたいと考えています。
